『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第14章  焼討炎上  2

2008-06-16 07:27:29 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 『それにしては、たいそうな奉献物だな。アンテノール、どうだ。どうするかは、皆にはかって決めよう。』
 プリアモスについてきた預言者のラオコーンが口を開いた。
 『王、この木馬は、トロイにとんでもない災厄を及ぼすと思われます。市内への引き入れは決してなりませんぞ。ギリシア人は奸智にたけた者どもですぞ。油断はいけません!即刻、打ち壊すことが上策と思われます。』 と、言葉を吐いたラオコーンは、手にしていた杖を木馬の胴に向かって投げつけた。木馬の胴はうつろな音を響かせた。これを見ていた王女カッサンドラもラオコーンに同調したのだが、このカッサンドラの言うことには、市民たちは誰も耳を貸さない。彼女の言うことを、あたまから信じないのである。そのようなわけでラオコーンの言うことも、市民たちは、いいかげんに聞いていただけであった。
 王をはじめ市民も、この木馬をいぶかしい目で見ていた。
 腹胴の中のオデッセウスは、いっときも早いシノンの登場を念じた。
 そんなとき一隊の将兵に捕らわれて、引き立てられて来る一人の男がいた。


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