『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  979

2017-03-02 15:30:59 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスは、日々の段取り、作業が予定通りに進行していることに安堵を覚えている。
 『なあ~、ドックス、新艇2艇の納入が終われば、一段落というところだな。それであってこそ、戦闘艇の建造に集中できるというわけだ。そのころには試作艇の試乗も終えている。とにかく前へだ』
 二人は作業者たちに適切に指示を出し工作作業を進めていっっている。
 パリヌルスは、食を忘れて思考作業を進めている、彼の作業も集中が進捗をはかどらせている。
 レテムノンのテムノス方への納入航海は一案のみで決まりであるが、テムパキオのパキオテ方への納入については海路にての往復航海で二案、往きが海路、帰りが陸路で一案の三案として計画を立案した。 
 『おう、これでよしっ!あとは日付を知って、実施日程を立案すればいい!』
 パリヌルスは、納入航海の日程案を説明しやすいように木板に書きつけて案件立案作業を終えた。
 彼はひとりごちる、『待てよ!実行日は?これの解決をしなければーーー』であった。彼は、これからを考えたとき、このことの重要性を認識した。
 案件を立て終えた彼は、建造の場へと歩を運ぶ、統領も軍団長もいる、二人は場の各所に展開している作業風景を見ている。首を縦に振ったり、横に振ったりしてうなずき合っている。
 パリヌルスは少々改まって声をかけた。
 『軍団長、教えていただきたいことがあります』
 『おう、なんだ?謙虚なもの言いではないか。どうした』
 『これは、私が教えを乞う時の態度です』
 『ほっほう、それでーーー』
 『恥を忍んでいます。笑わないでください』
 『言ってみろ!聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥だぞ』
 パリヌルスは勇気を奮い起こした。
 『今日の日付。今日は、何月の何日でしょうか?』
 『何だ、そんなことか。ちっとも恥ずかしがることはない、今日は、第五の月の六日だ。パリヌルス。それは俺たちがいる、ここだけの日付だ。オロンテスが返ったら、集散所の日付が何日か聞いてみろ。3日から5日の差があるやもしれん』
 『それは、なぜです?』
 『それを決める人間が集散所とここでは違うからだ』
 『ほう、そんなもんですか』
 『ここでは、統領と俺が相談して決めている。そういうことだ』
 『へえ~、そうなのですか』
 『それは、統領だけに許されている権利と言おうか、はたまた権限と言おうか、権力のある者が有するものなのだ』
 パリヌルスは、不可解な表情で頭をかしげた。


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