『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第1章  二つの引き金  13

2007-04-03 07:20:12 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 時は朝である。背中を押す風といえども、波を荒立ててはいなかった。
 舟は、波の上をすべるように静かに進んでいる。浜方向からの風を帆にはらみ舟を押し進める。舟は、陸地から遠ざかる。洋上の風は、強さを増して舟を押す、舟には、舵はついていない、オールさばきで操船していくのである。二人は、この海の潮の流れについては不明であった。
 出舟したのは、今の時間でいうと朝の7時過ぎぐらいと思われる。海路を順調にのりきれば、遅くとも10時くらいまでには、確実に向こうの浜に着くはずである。
 オデッセウスとメネラオスは、陸上行程の危機を脱出したとはいえ、また、新たな危機に遭遇するかも知れないのだ。とにかく向こうについた上での話しだ。船の上では、他人の耳がある。二人は、だんまりでいる。つかの間であるが、二人は、海老のように背をまるめ、舟底に体を横たえて身を休ませた。しかし、空腹であった。

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