時は朝である。背中を押す風といえども、波を荒立ててはいなかった。
舟は、波の上をすべるように静かに進んでいる。浜方向からの風を帆にはらみ舟を押し進める。舟は、陸地から遠ざかる。洋上の風は、強さを増して舟を押す、舟には、舵はついていない、オールさばきで操船していくのである。二人は、この海の潮の流れについては不明であった。
出舟したのは、今の時間でいうと朝の7時過ぎぐらいと思われる。海路を順調にのりきれば、遅くとも10時くらいまでには、確実に向こうの浜に着くはずである。
オデッセウスとメネラオスは、陸上行程の危機を脱出したとはいえ、また、新たな危機に遭遇するかも知れないのだ。とにかく向こうについた上での話しだ。船の上では、他人の耳がある。二人は、だんまりでいる。つかの間であるが、二人は、海老のように背をまるめ、舟底に体を横たえて身を休ませた。しかし、空腹であった。
舟は、波の上をすべるように静かに進んでいる。浜方向からの風を帆にはらみ舟を押し進める。舟は、陸地から遠ざかる。洋上の風は、強さを増して舟を押す、舟には、舵はついていない、オールさばきで操船していくのである。二人は、この海の潮の流れについては不明であった。
出舟したのは、今の時間でいうと朝の7時過ぎぐらいと思われる。海路を順調にのりきれば、遅くとも10時くらいまでには、確実に向こうの浜に着くはずである。
オデッセウスとメネラオスは、陸上行程の危機を脱出したとはいえ、また、新たな危機に遭遇するかも知れないのだ。とにかく向こうについた上での話しだ。船の上では、他人の耳がある。二人は、だんまりでいる。つかの間であるが、二人は、海老のように背をまるめ、舟底に体を横たえて身を休ませた。しかし、空腹であった。