『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1162

2017-11-14 08:25:13 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『ゴッカス、了解した』
 オキテスが応じる、イリオネスに伝える、イリオネスがエドモン、テムノスの両浜頭にその旨を伝える。
 エドモン浜頭が口を開く。
 『おう、予定していたよりも早くマリアに到着するか、それは重畳!イリオネス殿』
 『そうですな、浜頭!』
 テムノスが応じる。艇は転進して東南に向かって、風に押されて波を蹴立てている。
 彼らは右手方向に見えるアニッサラスの岬を眺める、あらためて、目を進行方向に移す。
 はるかにマリアの街邑を視野に入れた。アニッサラスの岬からマリアへは、35スタジオンくらい(7キロ余り)である。
 ゴッカスが空模様、風の具合、海上状況を確かめる、艇は東南方向に進んでいる、風は右手斜め後方からに変わっている、帆に受ける風力の衰えは少ないように感じられる。
 艇は速度を落とすことなく進んでいる、舳先の波割り状態をチエックする、櫂漕ぎはどのあたりからと思案する、その答えを出さぬまま、艇の進み具合の感知に神経をとがらせた。
 艇は快調に進みマリアに近づいていく、マリアへあと5スタジオンくらいまでに到達した。
 ゴッカスがグッダスを呼ぶ、操舵しているイグデスに伝える連絡事項を述べる。
 『艇は、帆を下ろして、櫂漕ぎをする。急いで伝えてくれ!』
 ゴッカスの指示が飛ぶ。
 『帆を下ろせ!半帆航走開始!』『漕ぎかた開始!』
 『おうっ!』と返事が返って艇は漕走に移行する。
 ゴッカスが艇尾の操舵席に移る、イグデスと係留岸壁までの船速について打ち合わせる。
 続けて距離、船速、タイミングを計りながら指示を出していく、係留岸壁に残すところ1スタジオンくらいに接近する。
 『帆を下ろせ!』『漕ぎかた!そのまま漕ぎ続けよ!』
 慎重走行に注意を集中させている、漕ぎかたに櫂を操作しての船速制御の指示をする。
 操舵するイグデスとは、互いの呼吸があっている、櫂操作で係留岸壁に無事に着けた。傍らにいるスダヌスにゴッカスが声をかける。
 『スダヌス浜頭、何とかうまくいったようです』
 『そのようだ。重畳!』
 イグデスは操舵棒をグッダスに引き継いだ。グッダスがイグデスに声をかける。
 『イグデス殿、この新舵、はじめてにしては、うまく操舵してくれました。上々でした、ありがとう』
 『そうでしたか、ありがとう』
 二人は言葉を交わして手を握り合った。
 ゴッカスは後続していたギアスのヘルメス艇も係留岸壁にうまくつけていることを確認した。


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