つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

セカンド・オピニオン(2)

2012-11-28 22:53:36 | 親父の肺癌

平成24年11月28日(水)

内藤クリニックに親父とK叔父と3人で伺った。

内藤先生は親父の愚痴のような話を辛抱強く聞いてくれました。

親父は、(内藤先生が余命告知反対論者なこともあり)

「医者が患者に余命を告知するのはいかんですよね。」

と延々、グチグチグチグチ。

30分ほど黙って聞いていたが、だんだん腹が立ってきて思わず口を挟む私。

「余命告知の是非は俺には分からないけど、親父が『私の余命はどれくらいですか?』って主治医の先生に聞いたから主治医の先生はそれに答えたんだろ? 自分で質問しといて、その答えに傷ついたから『医者は余命告知すべきじゃない』って文句言うのはおかしい。ってゆうか、品がない。医者も俺たち弁護士も、患者やクライアントから質問されれば誠意をもってそれに答えるのが仕事。俺は親父の質問に正直に答えた主治医の先生は全然間違ってないと思う。今日はセカンド・オピニオンとNK療法の説明を聞きに来たんだから、それをちゃんと聞こう。他のお医者さんの治療姿勢の是非を今ここで論じたって仕方ないだろ?」

 

お優しい内藤先生が、

「まぁ、そうは言っても、白衣着た医者から『あと何年しか生きられません』って言われれば、どんな人間だってやっぱり、がっくりしちゃうんです。人間、そんなに強い生き物じゃないですよ。」

とフォロー。

私も多分、「弁護士とクライアント」という仕事上の関係なら内藤先生と同じことを言ったであろう。

ただ、やっぱり、親父には最後までカッコ良くあって欲しい。勝手な言い草だが。

ちなみに、内藤先生に伺ったところ、

「NK療法でガンの明らかな縮小・消滅が認められた当クリニックの患者さんは全体の39%。ガンの進行が明らかに止まったのが20%。残りの患者さんは途中で治療に来なくなってしまったりして追跡不能。」

とのこと。

 

帰り道、K叔父の家に寄って、それから「かっぱ寿司」で昼食(なんか、名古屋の食事って回転寿司ばっかだ。)。

K叔父の家で、親父は早速、安藤先生に面談の予約(サード・オピニオン?)を入れてました。

12月18日に安藤先生の病院(北九州市小倉区)まで日帰りで行って来る、という。

私はその日、さいたま地裁で裁判なので同行できず。

それにしても、北九州日帰りって・・・・・

 

・・・・めっちゃ元気じゃん。親父。

 

主治医の「余命告知」に愚痴をたれる親父を非難はしたけど、少なくとも、親父は内藤先生や安藤先生を信頼してガンを治そうとはしてる。

私はどちらかというと(職業柄か、生まれつきの性格か)まずは物事を疑ってかかる方なので、NK療法も安藤先生の代替療法も実は半分眉唾。

「どっちの生き方が人として美しいか」っていったら、

物事斜に構えて疑いながら生きてる私より、人を信じて生きようとしている親父の方だと思う。

 

東京に戻ってきて、親父に電話をする。既にNK療法を正式に申し込んだとのこと。

早っ

今日、内藤先生との面談後に培養用の血液は採取して貰っていたので、12月16日にNK細胞を培養増殖させた血液を身体に戻すために内藤クリニックに行くそうである。

ちなみに、翌17日は親父が主催する「いとこ会」(という名の親戚が集まる食事会)。翌々18日は北九州小倉に日帰りサード・オピニオン。

 

・・・・超元気じゃん、親父。

 

 

 


セカンドオピニオン(1)

2012-11-28 22:38:43 | 親父の肺癌

平成24年11月27日(火)

親父が「内藤先生の所に28日に説明を聞きに行く」と言うので、それに同行する。

28日の面談予約が朝9時と早いので私は前日から名古屋入りだ。仕事を終えてから新幹線に乗ったので、実家の近所の駅に着いたのが夜10時くらい。

名古屋は東京と比べてとにかく寒い。

最寄りの三郷駅から実家までは徒歩10分くらいである。実家に向かって歩きながら、

「親父は俺を育てるために20年以上も毎日毎日この道を駅まで歩き続けたのか。」

とか思う。

三郷駅と実家の間に祖父母と妹が眠っている墓があるので、

「親父をそっちに呼ぶのは、もう少しだけ待ってくれや」

と(やや上から目線で)心の中で手を合わせておいた。

実家に着くと、新しい本を親父が購入していて、

「読んで感想を聞かせてくれ」

という。 

北九州市小倉で整形外科を開院されている安藤先生の

『「がん」になったら私はこの代替医療を選択する』

 

安藤先生は奇しくも私と同い年である。1時間くらいで読み終える。

食事療法と、波動水と、フコイダンと、丸山ワクチンを併用する、というもの(大雑把な要約で申し訳ありません。万一、ブログを読まれた方に誤解を生じさせたら、それはすべて私の責任です。)。

 

「まぁ、仕方ないわ。ジタバタしてもどうしようもない。」

と淡々としているように見えた親父だが、親父なりに「生きよう」と必死である。


歯が割れました

2012-11-28 22:28:02 | 親父の肺癌

平成24年11月26日(月)

私の48回目の誕生日である。特に誰も祝ってはくれんが。

というより、それどころではない。数日前から歯茎が痛むので歯医者さんに行って診て貰ったところ、ストレス性(寝ているときの)歯ぎしりで歯が根元まで真っ二つに割れていた。

これで2回目だ。

歯医者さんから

「THE BODY SHOPで売っているサボテンの繊維で作ったボディブラシで全身マッサージしてから眠るといいですよ。あと、寝室に好きな香りのアロマオイルを置くとか。」

と教えられ、事務所に戻って秘書嬢にその話をしたら、早速、新宿のTHE BODY SHOPで買ってきてくれました。誕生日プレゼント。優しいのう。給料上げちゃおうかな。無い袖は振れぬが。

夜、早速使ってみたら、確かに熟睡した。

 

顧問先のT社長が知り合いの金沢医大の教授に「NK療法」のことを聞いてきてくれました。

「確かに効果があったという話は聞いたことがある。ただ、正確な臨床データも開示されていないので、主治医の先生が『民間療法』と評価するのも分からないではない。ステージⅢBということなら、お父さんのお気持ちを尊重して、お父さんが一番納得できる治療方法を選択させてあげるべきではないかと思う。」

とのこと。

まったく私も同意見。

自分の人生と命は自分が思うように燃焼し尽くすべきである。 


インフォームド・コンセント

2012-11-28 22:15:56 | 親父の肺癌

平成24年11月20日(火)

親父の主治医が

「息子さんがいるなら、息子さんにも状況をご説明したいので来て貰ってください。」

と言っているとのことなので名古屋に帰省する。

若い主治医の先生に会って親父の状態を伺った。内容的には親父が電話で伝えてきたとおりである。

同席した親父はここでも

「抗ガン剤治療は受けたくない。」

と言い続けていた。

15日に告知を受けてから色々と買い揃えたらしく、自宅には「(いわゆる三大治療法といわれる)手術、放射線、抗ガン剤」反対論者の方々が書かれた本がたくさんあった。

その中の一つ、名古屋の内藤先生が施術されている「がん超活性NK細胞治療」(以下、「NK療法」といいます。)に強く惹かれたらしく、主治医の先生にも

「これを受けたいのだがどうでしょうか?」

と親父。

私からも、

「忌憚のない意見を伺いたいです。こういう治療法の効果というのはどうなんですか?」

と尋ねたところ、主治医の先生曰く、

「まぁ、いわゆる民間療法の一種です。私としては抗ガン剤をお勧めします。確かに副作用はありますが、今は薬で副作用もかなりコントロールできるようになっていますから、『抗ガン剤=QOLの低下』というほど単純じゃないですよ。」

夜、親父と近所の「スシロー」(←回転寿司。けっこう旨い)でメシを食う。

私「ぶっちゃけさ、親父、何かやり残したこととかないの? これだけはどうしてもやっておきたいこととか。」

親父「まぁ、そんなやり残したようなことはないわ(←名古屋弁)。ただ・・・」

私「ただ、何?」

親父「ユウト(←私の次男。現在、幼稚園年少)の小学校入学の姿は見たかったなぁ・・・」

・・・・・・切なくて言葉が出ない。 


告知

2012-11-28 22:15:46 | 親父の肺癌

平成24年11月15日(木)

名古屋で一人暮らしをしている77歳の親父から電話がありました。

「主治医からステージⅢBの肺腺ガンと言われた。何も治療をしなければ余命1年。ガンの場所や数や肺の状態等との関係で手術と放射線治療はできないらしい。抗ガン剤については副作用や効果の点で使う気はない。抗ガン剤で身体をボロボロにされて、廃人のようになって、それで1年やそこら寿命を延ばしたって意味がない。」

その後、親父の家の近所(といっても車で20分くらいかかるのだが)に住んでいるK叔父と電話で話す。

K叔父曰く

「アニキ(K叔父は親父のことをこう呼んでいるので)はああいう性格だから淡々としているが、利ちゃん(←たのむから今年48歳になる弁護士をつかまえてこう呼ぶのはやめてくれい)の言うことなら聞くだろうから、治療を受けるように説得した方がいい。抗ガン剤の副作用が大変だといっても乗り越えられないものではないだろうし、もしかしたら抗ガン剤で延命している間に画期的なガンの治療方法が見つかるかもしれないじゃないか。」

親父の考えも正論。K叔父の意見も正論。

正論には反論が許されぬ。