つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

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摂ちゃんのこと(12)

2018-05-31 13:06:01 | 摂子の乳がん

摂ちゃんが逝って10日経った。

少し落ち着いてきたので記事を更新しようと思う。

 

摂ちゃんが暮らしている小原寮のスタッフのMさん(女性)から私の携帯に連絡が入ったのは5月20日(日)の19時37分だった。

家族と焼き肉食べて帰宅して、「さあ、西郷(せご)どん観よっ」と自室のベッドでマグロ状態になっていた時だ。

 

「今日、寮でお好み焼きパーティをしていたが、途中から摂ちゃんの具合が悪くなった。

朝から下痢気味だったが、昼過ぎから嘔吐し始め、吐しゃ物に血が混じっていた上に、お腹も膨れていたので念のため19時頃に救急車を呼んで病院に連れて行くことにした。

搬送先は乳がんの治療をしてくれている豊田厚生病院。

小原寮のT看護師とスタッフのHさんも同行している。

スタッフのMさん(男性)は病院の近くに住んでいるので自宅から病院に直行する予定。」

 

Mさん(女性)の話では、摂ちゃんはペロリとお好み焼きを3枚食べたという。

「食いすぎじゃねーか?」

と思った。

とはいえ、救急搬送された以上、翌月曜日から入院手続きや乳がんの主治医の先生との打ち合わせが必要になるだろう。

翌朝一番で病院に着けるよう、夜中に車で豊田厚生病院(@豊田市)に向かうことにする。

西郷どんは諦めて早めに入浴。

 

19時57分。入浴前に、摂ちゃんに付き添ってくれているT看護師の携帯にショートメールを送信。

「お手数おかけします。入院になるようでしたら、スケジュールを調整して明日、病院に向かいます。

状況が分かりましたらご連絡ください。」

 

20時21分、豊田厚生病院の代表電話からの着信履歴あり。

20時23分、同上

20時25分、再びT看護師からの着信履歴あり。

20時27分、同上

20時29分、同上

風呂から出たのは20時30分頃。

携帯に残されていた着信履歴の山(上記)に驚いて

20時32分、T看護師に電話するが通じず。

 

不安になってきた20時40分、T看護師と一緒に付き添ってくれたMさん(男性)から電話がかかってきた。

「ちょっと大変なことになってます。いったん、電話を切って、病院のドクターからお兄さんの携帯に電話してもらいます。」

 

20時44分、豊田厚生病院のS医師から電話。

「救急搬送されてきた妹さんを担当したSです。

妹さんは、救急車の中ではまだ意識があったようですが、病院に着いた時にはもう、意識はありませんでした。

その後、心臓も止まってしまったので先ほどまで心臓マッサージを続けていましたが、20分以上、マッサージを続けても蘇生されませんでした

吐しゃ物が気管に詰まってしまっているため気管挿管もできません。

お兄さん、誠に残念ですが・・・」


「ありがとうございました。それ以上、尽くす手立てがないなら本人が苦しまないようにしてやってください。」

と伝えて電話を切った。

20時50分。再度、豊田厚生病院のS医師から電話。

「妹さんは息を引き取られました。正式な死亡時刻は20時39分ということになります。」

「苦しまなかったですか?」

「病院に来られた時は既に意識はなくなっていたので苦しまれる様子はありませんでした。」

「乳がんを再発してたんですが、やっぱり乳がんのせいなんでしょうか?

でも、先日(11日)のCT検査の結果ではがんは全体的に小さくなってて、腫瘍マーカーの数値も全部、基準値内。

乳がんの担当の先生も、『アロマシンが随分、効いてますね。』と仰っていたんですが・・・」

「いえ、死因はがんじゃないです。カルテを見ても腸への転移はありませんでしたから。

直接の死因は腸管穿孔。

簡単に言えば、何らかの原因で腸が破れてお腹の中で大出血をしたためです。」

「・・・・・」

「付き添ってくださった寮のスタッフの方から伺ったお話では、今日のお昼頃から急激に体調が悪化したとのことですから、本当に急性の穿孔だったと思います。

原因や穿孔箇所を確認されたい、ということであればご遺体を解剖するしかありませんが、どうしますか?」

「・・・けっこうです。原因が分かったからって、摂子が生き返るわけじゃないですから。」

 

病院に着いたのは月曜日の午前2時頃だった。

死後6時間近く経っているのに、まだ摂ちゃんの鼻からは血が流れ続けていた

拭っても拭っても鼻血は止まらなかった。

お腹の中に溜まった血が死後硬直と体内のガスに押し上げられて鼻から出てきてしまっている、と病院の看護師さんから教えてもらった。

私をずっと待っていてくれたT看護師とMさん(男性)と私の3人で、泣きながら鼻血を拭き続けた。