つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

ちょっとあの雲の向こう側まで(埼玉県)

2021-08-03 21:37:00 | 晴れた日は仕事を休んで
かき氷を食べたい。夏はかき氷。それもふわふわの天然氷で。

味はイチゴの練乳がけ一択。

そうだ、かき氷を食べに行こう。

カンカン照りのお日様の下で、キンキンに冷えたかき氷を食べて、存分に夏を取り込もう。

ガソリンは先日の山中湖ツーリングから帰ってきた後に満タンにしておいた。いつでもどこにでも行けるように。思い立った時にガス欠なんてとてもつまらないから。

着替えのTシャツとタオルをサドルバッグに入れてエンジンをかける。快調。

 

環八の谷原交差点から富士街道に入る。

片側一車線の狭い街道をしばらく走って北原の交差点から新青梅街道へ。

道幅が広くなっても休日の新青梅街道の下りはいつも渋滞している。トラックが車線いっぱいに進路を塞いでいたりするので脇をすり抜けるのも難しい。

休日だけレンタカーを借りてドライブに出かけて来たようなサンデー・ドライバーも多い。

サンデー・ドライバーはたいてい左に左に寄ってくる。自分の視界と、運転している車の車幅と、走行している車線の幅が感覚として一致していないから、無意識のうちに対向車から自分を守ろうと車を左に寄せてしまうのだ。

加えて日本の道路は水はけをよくするために、たいてい、かまぼこ型に舗装されている。センターラインを頂点に左右に目に見えないほどの緩やかなスロープがつけられているから、それを意識してハンドルを操作していないと車は自然に左へと流れていく。自分の運転している車がどの程度左に流れるのか、乗り慣れていないレンタカーだと最初は分かりにくい。サンデー・ドライバーなら車が左に流れる率はさらに高くなる。

車の左側をすり抜けようとしたバイクが幅寄せしてきた乗用車に引っ掛けられて転んだりするのはたいてい、こういうケースだ。

何度か危ない目に遭っているので、レンタカーを見つけたらなるべく近寄らないようにしている。狭い片側一車線の道でレンタカーを左から抜くのはある意味、自殺行為だから。

 

950ccのエンジンの放熱で膝から下が焼けるように熱い。

渋滞が続いているから風でエンジンの熱を後ろに流すこともできない。

花小金井四丁目あたりでスリムジーンズを履いてきたことをとても後悔した。エンジンの熱で焼けたデニム地が脹脛(ふくらはぎ)に溶着してくるようだ。

東村山市に入り、野口橋を越えたあたりで、ようやく車が流れ始めた。

渋滞に巻き込まれて、車のエンジンとエアコン、それに自分のバイクのエンジンのトリプル放熱に焦がされ続けてきた後だけに風が心地いい。体を包むのは真夏の太陽とアスファルトの路面の反射熱で温められた熱風なのだけれど。

 

野口橋の交差点をさらに西へ走る。

瑞穂町に入り箱根ヶ崎の駅を越えたあたりで新青梅街道はルート16と交差している。

全国展開しているハンバーガーレストランとマクドナルドが仲良く並んでいる、ハンバーガー・パラダイスとでも呼べそうな交差点を右に折れてルート16に。

ルート16を少し北上して武蔵カントリークラブ豊岡コースを右手に抜き去ると小谷田の交差点。小谷田でルート16号と交差している道路は右折でルート463、左折すればルート299だ。

左折してルート299に入り、ひたすら北上していく。

狭山市を抜け毛呂山(もろやま)町を過ぎて飯能(はんのう)市に入る。

飯能市に入ったあたりから風景と道が一変する。

高い建物が少なくなり、空が広くなり、カーブが増える。

東吾野(ひがしあがの)から正丸(しょうまる)トンネルまでの道は山間(やまあい)で空気も涼しく、さっきまでの灼熱地獄が嘘のようだ。

蝉時雨(せみしぐれ)が、ヘルメットを通して聞こえる。

正丸トンネルを抜け芦ヶ久保(あしがくぼ)。上野町の交差点を右折してルート140。

しばらく北上して、ようやく目的地の長瀞(ながとろ)に着いた。



空いていればここのかき氷を食べたかったのだが、当然の如く長蛇の列。阿佐美冷蔵さん。
しかも、「本日分は終了しました」の看板まで出ている。
25年前に見つけたときはもう少し空いていたのだけれど、TVなどで取り上げられてからは最低でも2〜3時間は並ばないと食べられない超人気店になってしまった。

7年前に子どもたちを連れて食べに来た時の写真。2時間待つ価値のあるボリューム満点のかき氷だった。これもまた、夏の原風景だ。



阿佐美冷蔵さんを諦めて長瀞駅前のお店でかき氷を注文。店の裏の空き地のような駐車場に停めたボルティのシートの上に乗せて写真を撮った。
長瀞駅周辺のかき氷のほとんどは阿佐美冷蔵さんが冬に天然の氷室で作った氷を使っている。
きめが細かくて、しっかりとふわふわで、溶けにくい。


かき氷を食べ終えて、長瀞駅の反対側、岩畳まで歩いてみる。
天然記念物にも指定されている奇岩の河岸だ。
オートバイ用のブーツの底はツルツルなので、岩の上でちょっとバランスを崩しただけであっけなく滑って転んでしまった。


川では子どもたちがカヌーで川遊びに興じている。



岩畳から長瀞駅に向かう土産物通り。
それなりに店には人が集まっているけれど、通り全体を引いて見てみるとやはり夏休みに入った最初の週末にしては人出は少ない。



通りの途中で秩父胡瓜の浅漬けを見つけた。1本100円。
かじりつくと口の中いっぱいに甘酸っぱい浅漬けの味が広がる。美味い。



秩父胡瓜を売っている店の通りをはさんだ向かいでは鮎の塩焼きを売っている。
おばさんが炭火の熱でふうふう言いながら鮎を焼いていた。
1尾500円。
旬の鮎ははらわたまで美味い。

かき氷を食べ、秩父胡瓜をかじり、鮎の塩焼きを骨ごと食い尽くす。

夏が、僕の身体の中に満タンになった。

としまえん問題についての一応のまとめに頂いたコメントに対する回答

2021-08-02 20:25:00 | としまえん問題
としまえん問題についての一応のまとめに頂いたコメントに対する回答です。

タイトル長いわ!

当ブログのコメントがうまく読めない方がいらっしゃるようなので、以下、ご本人のご了解を得て引用(全文)↓

Unknown (岡田英昭)2021-07-27 18:04:18Twitterにも書きましたが長文執筆お疲れさまでした。
平岩先生が誠心誠意事実を追及された様子をより知る事ができました。
また、本件に対して議員の多くの方が関心を示さなかった事に対する先生の失望も強く感じます。

個人的には
①「企業というのはそういう存在だし、議員というのもそういうもの(中略)感情に走って誰かを罵倒する必要もないし、無駄に誰かを憎悪する必要もない」
②同情票・感情票が都民ファーストの会の候補者に流れたが、その下地を作ったのは他でもない。議論ではなく感情だけでおじま議員を攻撃していた人たちだ。

の、2点については強く同感です。

ただ、その前提で「西武が対応する気などなかった」と若干西武さんにネガティブな書き方をされている事には違和感を覚えました。

西武にとって跡地のベストな手放し方は分譲だったはずであり、なかなか進まない公園化の話の中、赤字ギリギリのとしまえんをここまで経営するのは苦労があったと思っています。
そして時間的スパンや進め方に問題はあるものの将来的には防災公園を全面開園できるように動いたのは事実と思っています。

個人的には半世紀放置した上、10年というリミットも設けておきながらギリギリまでパブコメを含めた公園計画を全く進めなかった行政と、それに対する指摘の無かった議員さんたちは一体何をしていたのだろうという印象です。

西武(企業はそういうものという前提で)には引き続き協力を求めつつ、議員さんにこれまでの行政の行動やスタンスに問題が無かったかをつついていただく(関心が無い議員さんにはその点に於いてある程度批判があってもいいかと思います)というのが適切なスタンスかと思うのですが、いかがでしょうか。

というご意見。

岡田さん、丁寧なコメントありがとうございました。

 

「若干西武さんにネガティブな書き方をされている」というコメントに岡田さんの優しいお人柄がうかがわれますが、いえいえいえいえ。

私、西武に対してはスーパー・ネガティブな印象しか抱いておりません。

 

思うに、西武に対して「企業ってそういうもの」と割り切って引き続き協力を求めていくべきかどうかは、一次的には「西武に対して何を求め、期待しているか」によるのではないかと思います。

 

「伐採したとしまえんの木で作った木工製品を売ってほしい」とか、「としまえんの木のドングリ詰め合わせセットが欲しい」とかであればそれでもいいと思います(それですら西武は何もしないと私は見ていますが)。

 

「プールを再開してほしい」・・・これはもう、絶望的でしょう。

理由は全2回のまとめ(前編・後編)に書いたとおり。

プールを再開する、ということは練馬城址公園の整備計画・スタジオツアーの誘致計画を前提とした5者覚書を白紙撤回する必要がありますが、それはあり得ない。「覚書」といっても5者の権限ある代表者が署名・捺印した文書です。「やっぱり事情が変わったから」「よくよく考えてみたら別のやり方がいいと思ったから」で白紙撤回できるほど甘くはない。

スタジオツアー東京の計画を維持したままプールを再開するということは、東京都にとっては練馬城址公園として整備する予定だったエリア(としまえん跡地の南半分)すらもプール存続中は手をつけられないということになりますが、そんな判断はあり得ないでしょう。おまけに避難場所も広域防災拠点もなくなります。

他方、プールを再開して練馬城址公園を整備するというのであれば、ワーナーに「スタジオツアー東京を諦めて出て行ってくれ」というほかありませんが、そんなことをしたら巨額の損害賠償請求・違約金の請求書が送られてくるでしょう。これもあり得ない。

契約論、利害得失関係から考えて西武が「プールの再開」に応じることはあり得ない以上、この点で「西武に協力を求める前提」もありません。

 

「としまえんの遺産(カルーセル・エルドラドとか古城とか)の存続・譲渡を求める」

これはあり得る選択肢かもしれません。

(こんなことを書くとまたとしまえん存続派の方から嵐のような批判が来るでしょうが)カルーセル・エルドラドを残し古城を残せば、としまえんとの別れを惜しんでいる方々の溜飲も多少は下がるかもしれません。

しかし、広域防災拠点との関係では全く意味がありませんし、避難場所の確保という観点からはむしろ避難場所に利用できる面積が減ってしまうだけのことです。

「としまえん問題」の軸足をどこに据えているかによりますが、私は少なくとも防災という観点で一貫して主張を続けていますから、カルーセル・エルドラドや古城を残して避難場所が失われてしまうのなら、カルーセル・エルドラドも古城も、いっそ西武園遊園地にでも持って行ってもらった方がいい。

プールを潰して練馬城址公園にする。

5者覚書は白紙撤回できないから、としまえん跡地の北側には当初の予定どおりスタジオツアー東京を誘致する。

みんなが切望するからカルーセル・エルドラドと古城は練馬城址公園エリアのどこかに移築する。

避難場所はその分狭くなり、広域防災拠点として使える面積も少なくなる。

防災という観点からとしまえん問題において東京都や西武のやり方を批判している者にとっては何の意味もないのです。

 

確かに「企業というのは利益の最大化を目指して活動する存在」ではありますが、金のためなら何をやってもいい、ということではないと私は思っています。

コンプライアンス、社会的正義、インテグリティ・・・表現は様々ですが、端的に言えば、

やっていいことと、悪いことがある。

 

今回、西武がやったことは、少なくとも私の価値観からはおよそ許されないヤクザまがいの手法であり、金に目が眩んだ最低の企業姿勢でした(そう思わない人もたくさんいるとは思いますが、あくまでも私の価値観です。)。

東京都はなにも「練馬城址公園にするからとしまえん跡地をタダでよこせ」と西武に言っていたわけではない。

当然、土地収用法その他の法令に基づいて適正な土地取得代金・補償金が西武には払われます。

要するに今回、西武がやったことは、

「それだけじゃ足りないからもっと金をよこせ。

金をよこせないなら自分たちが30年間、儲けられる方法を是認しろ。

そのかわり避難場所はなくなるし、広域防災拠点の機能も減殺されるかもしれないが、そんなことは知ったことではない。東京都が考えろ。」

ということでしょう。

そして東京都は何の抵抗をすることもなく、この要求を受け入れました。

唾棄すべき敗北主義、西武の利益の前に都民の命をドブに捨てた事大主義、公園の完全な整備計画を30年間先送りすることで今の自分たちには責任がかからないようにした無責任主義。

そこには議員であれ役人であれ、公僕としての矜持のかけらもない。

(この辺の事情、流れについては前編・後編で時系列を踏まえて論証しました。仮に私の推測が外れていたとしても、「避難場所に指定されている、広域防災拠点にもする予定であることを知っていた『としまえん跡地』を、としまえん閉園の直前に、優先整備区域の10年という年限ぎりぎりになって、伊藤忠に事業用定期借地契約で貸し渡してスタジオツアー東京を誘致した。」という事実は動かしようがありません。そしてその事実の中心にいるのは西武です。)

 

繰り返しになりますが、法律違反でなければ、契約上問題なければ、企業は金を稼ぐために何をしてもいい、ということではない。

少なくとも私はそう思っています。

適法だとか、契約自由の原則だとか、私的自治だとか、企業の本質だとかは関係ありません。

こういうことを卑劣といいます。

 

かつての総会屋への利益供与、有価証券報告書への虚偽記載、株主偽装という一連の不祥事を理由に上場廃止にまでなって以来、西武という企業の体質は何一つ変わっていない。


「企業の信頼というのは足し算ではない。掛け算である。一度でもお客様や社会からの信頼を失って0にしてしまったら、その後、何を掛けても永久に0のままだ」

と企業の社会的責任を喝破した、とある上場企業の社長がいました。

過去は過去としても、西武は今回、としまえん問題で私たちの、それどころか東京都の信頼にすら0を掛けました。

西武という企業は信頼に値する交渉相手、協議相手ではない、と私は思っています。

これは私の経験則にすぎませんが、卑しい奴は何度でも卑しいことを繰り返します。

金のために人を裏切るやつは、何度でも金のために人を裏切ります。

信頼できない相手は、どこまで行っても信頼できない。

私は西武という企業を髪の毛の先ほども信頼していないのです。

昨年8月以来、私は通勤時に西武線には絶対に乗らなくなりました。

よほど体調や天候が悪くない限り、練馬から東中野まで歩く。

おかげでずいぶん体力がつきました。

 

西武に対する評価はいろいろあるでしょうが、こと練馬城址公園の整備に関して、「西武を信頼できる交渉相手として協力を求めていく」という選択肢は、西武のこれまでの企業姿勢からしても、やってきた行為からしても、また、5者覚書と事業用定期借地権の設定という事実からしても、ほとんど意味がなくなってしまいました。

後編にも書きましたが、さらに30年間、事業用定期借地契約を更新される可能性すらあります。

信頼できない、土壇場で相手の足をすくってひっくり返すようなことをしてくる相手に対しては、建築審査会への審査請求などを通じて法的にスタジオツアー東京の建設を阻止してしまうか、淡々と土地収用法を発動して30年後にスタジオツアー東京の敷地部分を強制収用してしまうほかない、と私は思っています。

無責任な役人同様、私もまたその頃にはこの世にいないので、正しい怒りを持ち続けられる次の世代に希望を託すほかないのですが。