つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

18歳のヒロへ

2021-03-04 18:50:00 | 子育て

18歳のヒロへ

 

誕生日おめでとう。

 

10歳の誕生日から毎年、ヒロに書き続けてきた手紙も今回で終わり。

パパがヒロに伝えたかったことは、これまでの手紙に全部書き切ったから。

 

もうすぐ「18歳」は成人の年になる。

(ヒロの場合は民法改正の過渡期だから2022年4月1日に19歳で成人だ。)

つまり、あと1年2カ月でヒロも大人の仲間入りだ。

 

いつかの手紙にも書いたけれど、パパはヒロに頑張れる人間になって欲しかった。

優しい人間になって欲しかった。

強い人間になって欲しかった。

 

そして今。

パパはヒロの優しさを信じてる。

ヒロの強さを信じてる。

そして、ヒロの頑張る力を何よりも信じてる。

サッカーも、そろばんも、卓球も、受験も、本当によく頑張った。

ヒロはパパなんかより遥かに優しくて、強くて、頑張れる力を備えた男になった。

だからもう、この先パパがヒロを叱ることはないだろう。

パパがヒロを助ける必要もないだろう。

パパはただ、ヒロのそばにいて、あるいは遠くから、ヒロにエールを送り続けるだけだ。

 

18歳の誕生日。ヒロが生まれてから今日までの18年分の写真データを贈る。

パパが撮った写真も、ママが撮った写真も、そしてヒロが撮った写真もある。

ピンボケの写真、苗場の花火の写真、被写体が何だかよく分からない写真はパパから貰ったデジカメでヒロが撮ってくれた写真だ。

途中から祐ちゃんが写ってる写真が多くなっているのは、いつの頃からかヒロがパパのもとを巣立って自分の世界を歩き始めたからだ。

写真にヒロの笑顔が少なくなって、祐ちゃんの笑顔が少なくなって、パパのアルバムはどんどん寂しくなってきたけど、あの日のヒロや祐ちゃんの笑顔があったからパパはここまで頑張れた。

ヒロが生まれた日。祐ちゃんが生まれた日。パパは決して負けない強い力をヒロと祐ちゃんからもらった。

ヒロと祐ちゃんがいるだけでパパは無敵だった。

握りしめたヒロや祐ちゃんの、あの小さな小さな手の感触を思い出すだけで、いつだってパパの右手はスーパーでスペシャルで最強になった。

 

18年間、ヒロはパパの誇りだった。

叱ったときも、褒めたときも、ケンカしたときも、仲直りしたときも、どんなときもヒロはパパの誇りだった。

ヒロがパパにくれたもの。ヒロがパパに教えてくれたこと。

その全部が、パパの宝物だった。

 

あの時。もっともっとヒロと遊んであげればよかったと思う。

あの日。もっともっとヒロと話をすればよかったと思う。

そして。もっともっとヒロに優しくすればよかったと思う。

 

いくら言っても言い足りない。

ごめんな。それから、ありがとう。

 

2021年2月9日

 

大好きなヒロへ。






 

 


17歳のヒロへ

2021-03-03 10:03:00 | 子育て

17歳のヒロへ

 

誕生日おめでとう。

 

ヒロが中学生だったころ。

なかなか学校の成績が上がらなくて、たぶん、ヒロなりに悩んでいたころ。

パパはヒロにこう言った。

 

「どんな科目でもいいから、とにかく一つ、成績を上げてみよう。

何か一つの科目で、『なんだ、こうやって勉強すれば成績って上がるんだ』ということが分かれば、そしてそういう達成感を手にすれば、自分に自信がつく。

自信は努力する力になる。

その努力が更に自信を産む。

自信をつけた人間はいい顔になる。

自信をつけていい顔になると、他の科目の成績も自然と上がってくる。

そうすると『勉強することが嫌で嫌でしょうがない』という苦しみの世界から抜け出せる。

毎日の頑張りの成果はすぐにはでないけれど、1年後に振り返ったとき、きっと1年前の辛かった世界から抜け出していたことに気づく。

抜け出した先の世界は、それまでの世界より見晴らしがいい。

その見晴らしのいい世界は、ヒロをもっと別の世界に連れて行ってくれる。」

 

とっくに忘れちゃってるだろうが、まぁ、いい。

ヒロはもう、とっくに中学生時代の世界とは違う見晴らしのいい世界に立てているから。

 

今年はいよいよ大学受験の勉強が本格的に始まる年。

自分の進路を決めなければならない年。

 

これはパパからのお願いでもあるけれど、どの大学の、何学部に進むのであれ、どんな進路を目指すのであれ、「偏差値」とか「楽できるか」とか「儲かるから」といった、つまらないチンケな理由で大学や学部や進路を選ばないで欲しい。

自分の進路は、「今、自分が大好きで夢中になれることは何か」という基準で決めて欲しい。

パパはヒロに自分が大好きで夢中になれる道に進んで欲しい。

 

もちろん、この先生きて行くためには生活できるだけのお金を稼ぐことも大切だ。

結婚して子供ができたら家族が飢えないように寒さに凍えないようにもっともっとお金を稼がなければならなくなる。

でも。

人は「本当に好きなこと」「本当にやりたいこと」じゃないと努力できない。努力を続けられない。壁にブチ当たっときにそれを乗り越えて進めない。そういう具合にできている。

その代わり人は、「大好きなこと」「やりたいこと」なら自分の限界を超えて努力ができるようにもできている。

 

自分の「大好き」を見つけること。

見つけた「大好き」に時間やお金や努力を惜しまないこと。

自分が選んだ世界で120%の努力をすること。

そうすると、必ずもっと見晴らしのいい「次の世界」に行ける。

結局、「勉強の仕方」は、「見晴らしのいい世界に行くための生き方」と同じなんだ。

 

自分を大切にするために、家族を守るために、楽しくお金を稼ぐために、生き方は「お金の多少」ではなく「大好きかどうか」で選ぶべきだ。

お金はしょせん、「大好きなこと」を続けて行くための手段に過ぎない。「家族」や「大切な人」を守るための手段に過ぎない。手段と目的を混同してはならない。

少なくとも、「大好きなことはお金を稼ぐこと」という寂しい人生は送ってはいけない。

 

自分の「大好きなこと」「やりたいこと」が見つかったら、次のことを考えよう。

①それは誰かを傷つけるようなものではないのか?

②それは自分の大好きな人や大切な人に胸を張って語れることか?

③それは自分以外の誰かの役に立つことか?

④自分がそれをすることで、世界が、たとえ少しだけでも良い方向に変わる可能性があるか?

この4つにYESと心が答えたら、次に努力の仕方を決めよう。

 

今の社会が、自分が選んだ「大好きなこと」で生活のためのお金を稼げる世の中ならそれでOK。大好きなことを死に物狂いでやればいい。

今の社会が、自分が選んだ「大好きなこと」をしているだけでは生活できない世の中なら、「大好きなことをして生活するためにはどうすればいいか」を考えて、工夫して、試し続けてみよう。

もちろん、すぐに大好きなことをして食べていけるようになるわけではないけれど、最初から、「大好きなことで食べていけるわけないから、金を稼ぐために嫌な仕事でも我慢してやる。それでいい。」という生き方を選ぶのだけはやめよう。

「金が稼げないこと」を大好きなことをしない言い訳にしてはいけない。

 

いつか結婚して家族ができるまでは、お金はすべてに優先して自分自身への投資に使おう。

それはカッコいい服を着るとか、カッコいい靴を履くとか、お洒落な髪形にするとか、美味しいものを食べるとかじゃなくて、「10年後、20年後の自分を、今より見晴らしのいい世界に引きあげるために役に立つ武器」を身に付けることだ。

自分への投資に比例して、「大好きなことで生活していける可能性」も大きくなる。

 

ヒロは勉強に自信をつけて、卓球にも自信をつけて、中学時代よりずっと見晴らしのいい世界に立った。

でも、今よりもっと見晴らしのいい世界はある。

せっかくこの世に生まれてきたんだ。

どうせなら、大好きなことをして生きようよ。

 

2020年2月9日

 

大好きなヒロへ。

 

パパより。






16歳のヒロへ

2021-03-02 14:34:00 | 子育て
16歳のヒロへ

 

誕生日おめでとう。

一生懸命勉強して、真面目に部活に取り組んで、可愛い彼女を作って、パパと約束した門限を守り続ける。

そんなヒロの高校生活をパパは誇りに思う。

 

努力できること。

嘘をつかないこと。

約束を守ろうとすること。

そして人に優しいこと。公平であること。裏切らないこと。

目の前の苦しさから逃げないこと。

ヒロには人に誇っていいところがたくさんある。

それは幸せな人生を送るため大切な資質だということが、いつか、わかる日が来る。

 

16歳になって、身長もパパを追い越したヒロに対して、パパはもう、ヒロに代わって何かを決断してあげることも、ヒロが歩く道を決めてあげることもできない。

パパにできることは少し離れたところからヒロを応援することだけだ。

 

この先もし、ヒロが何かに迷ったり壁にぶつかったりしたら、こう考えて欲しい。

自分がやろうとしていること、選ぼうとしている道は、

胸を張ってパパやママや祐ちゃんに語れることか?

ヒロのことを死ぬまで可愛がってくれていた名古屋のじいちゃんに語れることか?

彼女に語れることか?

いつかできるだろう自分の子供に語れることか?

校則とか、法律とか、常識とか、世の中のルールなんかより大切な、ヒロが生きていくうえでどんな時も揺らがない基準だ。

卑怯というのは自分の心の中にある大切な基準を裏切ることだ。

自分の基準に嘘をつく人間のことを卑劣という。

自分の基準を失くした人間のことを弱者という。

その基準でヒロがやろうと決めたことは、それがなんでも、パパは100%応援する。

パパがヒロを応援する、ということはそういうことだ。

 

これからの数年間はヒロ「人間としていちばん基本的で大切な部分」を形作る大切な時間になる。

だから、色んな人と会って話をしてほしい。

色んな所へ旅に出かけてほしい。

たくさん本を読んでほしい。

人と旅と本はヒロの心を成長させるインプットだ。

別にパパが考えた言葉じゃなくて、ライフネット生命の創始者で立命館アジア太平洋大学の学長でもある出口治明さんとう人の言葉だ。

 

話をしていて楽しい人。魅力的な人。一流といわれる人。

そういう人は例外なく本をたくさん読む。

スマホやパソコンからは「情報」は得られるけど「知恵」は得られない。

人を魅力的にするのは、持っている情報の量じゃなくて、その人が持っている知恵の深さだ。

 

電車に乗っている時間。誰かを待っている時間。ふと空いた時間。

即座にスマホを取り出してゲームを始めるような人間じゃなく、ポケットに突っ込んでいた文庫本を開くような、そんなカッコいい男になってほしいと思う。

 

2019年2月9日