18歳のヒロへ
誕生日おめでとう。
10歳の誕生日から毎年、ヒロに書き続けてきた手紙も今回で終わり。
パパがヒロに伝えたかったことは、これまでの手紙に全部書き切ったから。
もうすぐ「18歳」は成人の年になる。
(ヒロの場合は民法改正の過渡期だから2022年4月1日に19歳で成人だ。)
つまり、あと1年2カ月でヒロも大人の仲間入りだ。
いつかの手紙にも書いたけれど、パパはヒロに頑張れる人間になって欲しかった。
優しい人間になって欲しかった。
強い人間になって欲しかった。
そして今。
パパはヒロの優しさを信じてる。
ヒロの強さを信じてる。
そして、ヒロの頑張る力を何よりも信じてる。
サッカーも、そろばんも、卓球も、受験も、本当によく頑張った。
ヒロはパパなんかより遥かに優しくて、強くて、頑張れる力を備えた男になった。
だからもう、この先パパがヒロを叱ることはないだろう。
パパがヒロを助ける必要もないだろう。
パパはただ、ヒロのそばにいて、あるいは遠くから、ヒロにエールを送り続けるだけだ。
18歳の誕生日。ヒロが生まれてから今日までの18年分の写真データを贈る。
パパが撮った写真も、ママが撮った写真も、そしてヒロが撮った写真もある。
ピンボケの写真、苗場の花火の写真、被写体が何だかよく分からない写真はパパから貰ったデジカメでヒロが撮ってくれた写真だ。
途中から祐ちゃんが写ってる写真が多くなっているのは、いつの頃からかヒロがパパのもとを巣立って自分の世界を歩き始めたからだ。
写真にヒロの笑顔が少なくなって、祐ちゃんの笑顔が少なくなって、パパのアルバムはどんどん寂しくなってきたけど、あの日のヒロや祐ちゃんの笑顔があったからパパはここまで頑張れた。
ヒロが生まれた日。祐ちゃんが生まれた日。パパは決して負けない強い力をヒロと祐ちゃんからもらった。
ヒロと祐ちゃんがいるだけでパパは無敵だった。
握りしめたヒロや祐ちゃんの、あの小さな小さな手の感触を思い出すだけで、いつだってパパの右手はスーパーでスペシャルで最強になった。
18年間、ヒロはパパの誇りだった。
叱ったときも、褒めたときも、ケンカしたときも、仲直りしたときも、どんなときもヒロはパパの誇りだった。
ヒロがパパにくれたもの。ヒロがパパに教えてくれたこと。
その全部が、パパの宝物だった。
あの時。もっともっとヒロと遊んであげればよかったと思う。
あの日。もっともっとヒロと話をすればよかったと思う。
そして。もっともっとヒロに優しくすればよかったと思う。
いくら言っても言い足りない。
ごめんな。それから、ありがとう。
2021年2月9日
大好きなヒロへ。