トランプ大統領が中東・アフリカ7カ国からのアメリカ入国を禁じる大統領令に署名した直後のNYダウは、就任演説直後と同じく大きく下落した(前日比122.65ドル安。ようやく超えた2万ドルをあっさり下回った。)。
これまで盲目的にトランプ・フィーバーに沸いていた市場も、トランプ大統領の常軌を逸した政策遂行態度にとうとう距離を置き始めたように見える。
イギリスでは、トランプ大統領が実施する難民・移民の拒絶政策(というか独善的な保護主義・人種差別政策)に批判が高まり、トランプ大統領の訪英中止を求める請願がとうとう150万人を超えた。
だけどなぁ、イギリス。
難民の受け入れを拒んで、自国利益優先主義に走って、EU離脱を国民投票で決めたお前が言うな!
そういうのを日本語で目糞鼻糞を嗤う、という。
The kettle calls the pot black ass.
「恐怖は怒りを、怒りは憎しみを、そして憎しみは苦痛を呼ぶ。」
スター・ウォーズのエピソードⅠ(ファントム・メナス)に出てくるヨーダのセリフである。
大統領選挙戦中、ドナルド・トランプは、ワシントンの既成勢力に、共和党の反対派に、ヒラリー・クリントンに、マスコミに、怒りをぶちまけ続けていた。
大統領になった今は、ツイッターで、大統領令で、マスコミを、イスラム教徒を、自分の意に沿わないすべての存在を、露骨に憎悪している。
トランプ大統領が入国を禁止した中東7カ国は、実は、実業家ドナルド・トランプがホテルやゴルフ場などを経営していない国々である(by Washington-Post)、というなにやらキナ臭い話はさておき、そもそも彼を怒りに、そして憎悪に向かわせた恐怖とはいったい何だったのか。少なからず興味のあるところだが、ヨーダの言葉が正しければ、次に待っているのは苦痛である。
世界の大国アメリカを代表する(フォースの暗黒面にとらわれた)大統領の恐怖と怒りと憎しみが呼び込むであろう苦痛が、トランプ個人あるいはアメリカだけにとどまらず、世界を覆い尽くす、臓腑を抉(えぐ)るような苦痛にならないことを今は祈るばかりである。