内惑星の水星は地球からだと見かけ上、太陽からあまり離れないため夕方や明け方の短時間だけ裸眼で見ることができますが、金星に比べ見るのが難しい対象です。
しかし、条件が揃えば日中でも望遠鏡で見ることができます。
2023年5月31日(水)の9時過ぎに南中前の水星を目盛環で導入。金星よりも暗く淡いので事前のピント合わせが大事です。この日は水星の導入前に、ぎょしゃ座のカペラという0等級の恒星でピント合わせをしました。恒星状の0等級は見やすいのですが、水星のような面積状の0等級では少しでもピントがずれると確認が途端に難しくなるためです。
口径5cm8倍のファインダーだと水星は全く見えませんが、口径15cm70倍の視野内で青空の中に淡く浮かぶ水星を発見。視直径7.9秒角(視半径4.0秒角)と小さいものの月齢6のような形状が確認できます。水星の光度は+0.4等級、輝面比は0.42(42%)、太陽からの離角は約25度でした。
なお、輝面比(輝面率)とは、地球から見える月や惑星の視直径を1とした場合、太陽に照らされて光っている部分の割合です。したがって、半月だと輝面比は0.5(=50%)、満月だと1(=100%)となります。水星の輝面比0.3というのは月に例えれば月齢4ぐらいの形状です。
輝面比(輝面率)についての詳しい説明は国立天文台暦計算室の用語解説記事 【 太陽の位置 】をご覧ください。
様々な理由で、日中の金星を見るよりも日中の水星を見るのは難しく、私の体験では
① 輝面比が概ね0.3以上で
② 0等級以上の明るさで
③ 太陽からの離角が20度以上離れている
という3条件を満たせば何とか見つけられると思います。昼間の金星は小さな口径のファインダーでも簡単に見えるのに対し、水星はファインダーだとまず見えません。
この3条件を満たす期間は、おおよその目安ですが
・東方最大離角(太陽の東側に水星が最大に離れる現象)の3週間前〜1週間後
・西方最大離角(太陽の西側に水星が最大に離れる現象)の1週間前〜3週間後
という短い期間です。
2023年における水星の西方最大離角は、1月30日・5月29日・9月22日の3回あり、今回の水星導入をした5月31日は西方最大離角の2日後になります。
順番としては、西方最大離角→外合(視直径最小)→東方最大離角→内合(視直径最大)→西方最大離角というサイクルを平均して約116日(=会合周期)ごとに繰り返します。
今回の5月31日は、水星を眼視確認後に撮影しようと準備完了した途端、曇ってしまい撮影はできませんでした。(泣)
なぜ、水星は金星に比べて昼間に見えにくいのか、一覧表を作って検証してみます。
金星の明るさはマイナス3.9等級からマイナス4.9等級まで1等級しか変化しませんが、水星はプラス6.8等級からマイナス2.2等級まで実に9等級も変化します。調べてみると輝面比が0.3以下だとプラス1等級よりも暗くなり水星の表面輝度が急激に下がります。
金星の表面は白っぽい気体で覆われているため反射能(表面輝度)が0.78と高く、水星の表面(地面)は直接見えるため反射能が0.06と低いことが天文年鑑に示されています。気体と個体の反射角度の違いによる明るさの違いも表面輝度の急激な変化の理由です。
このため、水星が地球に近づく内合前後には急激に暗くなってしまい、昼間に望遠鏡を使っても水星は青空の輝きに埋もれてしまい見るのはほぼ不可能となります。金星が内合前後でも見えるのとは大違いです。
例えて言うと、金星は真っ白なドレスを着て踊るビーナス。遠くに行っても目立ちます。水星は外合から最大離角の頃までは白い服を着ていますが近づくにつれ服が灰色へと変化し雲隠れする忍者です。(笑)
なお、太陽からの離角がおおむね10度以内の金星や水星を見るには、太陽の直接光を遮る工夫をしないと危険です。十分な注意が必要です。
しかし、条件が揃えば日中でも望遠鏡で見ることができます。
2023年5月31日(水)の9時過ぎに南中前の水星を目盛環で導入。金星よりも暗く淡いので事前のピント合わせが大事です。この日は水星の導入前に、ぎょしゃ座のカペラという0等級の恒星でピント合わせをしました。恒星状の0等級は見やすいのですが、水星のような面積状の0等級では少しでもピントがずれると確認が途端に難しくなるためです。
口径5cm8倍のファインダーだと水星は全く見えませんが、口径15cm70倍の視野内で青空の中に淡く浮かぶ水星を発見。視直径7.9秒角(視半径4.0秒角)と小さいものの月齢6のような形状が確認できます。水星の光度は+0.4等級、輝面比は0.42(42%)、太陽からの離角は約25度でした。
なお、輝面比(輝面率)とは、地球から見える月や惑星の視直径を1とした場合、太陽に照らされて光っている部分の割合です。したがって、半月だと輝面比は0.5(=50%)、満月だと1(=100%)となります。水星の輝面比0.3というのは月に例えれば月齢4ぐらいの形状です。
輝面比(輝面率)についての詳しい説明は国立天文台暦計算室の用語解説記事 【 太陽の位置 】をご覧ください。
様々な理由で、日中の金星を見るよりも日中の水星を見るのは難しく、私の体験では
① 輝面比が概ね0.3以上で
② 0等級以上の明るさで
③ 太陽からの離角が20度以上離れている
という3条件を満たせば何とか見つけられると思います。昼間の金星は小さな口径のファインダーでも簡単に見えるのに対し、水星はファインダーだとまず見えません。
この3条件を満たす期間は、おおよその目安ですが
・東方最大離角(太陽の東側に水星が最大に離れる現象)の3週間前〜1週間後
・西方最大離角(太陽の西側に水星が最大に離れる現象)の1週間前〜3週間後
という短い期間です。
2023年における水星の西方最大離角は、1月30日・5月29日・9月22日の3回あり、今回の水星導入をした5月31日は西方最大離角の2日後になります。
順番としては、西方最大離角→外合(視直径最小)→東方最大離角→内合(視直径最大)→西方最大離角というサイクルを平均して約116日(=会合周期)ごとに繰り返します。
今回の5月31日は、水星を眼視確認後に撮影しようと準備完了した途端、曇ってしまい撮影はできませんでした。(泣)
なぜ、水星は金星に比べて昼間に見えにくいのか、一覧表を作って検証してみます。
金星の明るさはマイナス3.9等級からマイナス4.9等級まで1等級しか変化しませんが、水星はプラス6.8等級からマイナス2.2等級まで実に9等級も変化します。調べてみると輝面比が0.3以下だとプラス1等級よりも暗くなり水星の表面輝度が急激に下がります。
金星の表面は白っぽい気体で覆われているため反射能(表面輝度)が0.78と高く、水星の表面(地面)は直接見えるため反射能が0.06と低いことが天文年鑑に示されています。気体と個体の反射角度の違いによる明るさの違いも表面輝度の急激な変化の理由です。
このため、水星が地球に近づく内合前後には急激に暗くなってしまい、昼間に望遠鏡を使っても水星は青空の輝きに埋もれてしまい見るのはほぼ不可能となります。金星が内合前後でも見えるのとは大違いです。
例えて言うと、金星は真っ白なドレスを着て踊るビーナス。遠くに行っても目立ちます。水星は外合から最大離角の頃までは白い服を着ていますが近づくにつれ服が灰色へと変化し雲隠れする忍者です。(笑)
なお、太陽からの離角がおおむね10度以内の金星や水星を見るには、太陽の直接光を遮る工夫をしないと危険です。十分な注意が必要です。
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