1958年(昭和33年)10月に市民向け天文台として設置された札幌市天文台は2022年10月に65年目を迎えます。
この天文台は、私が中学生の頃から通った施設でもあり、高校時代には創部した天文同好会で夜間貸切観察会をさせてもらったこともあります。(1970年当時は事前申請すれば夜間貸切ができましたが、札幌市天文台管理規則が2010年3月に改正され、利用申請書の様式が削除されたままになっています)
1980年から1984年まで、私はこの施設の管理運営委託の監督業務をしていました。1984年には口径20cm屈折望遠鏡の更新業務も担当、その更新後に科学館から別の職場へ異動となった思い出深い施設です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/2d/8e4df15034c4e7350f33cc3823e82fce.jpg)
直径5mドーム内に口径20cmF12アポクロマート屈折望遠鏡が設置されています。
札幌市天文台は人口197万都市のほぼ中心部、繁華街ススキノのすぐ南側の中島公園内に位置し、夜空が明るいものの地下鉄駅から徒歩5分という、気軽に立ち寄れる公開天文台としては利用しやすい、国内では珍しい存在の市民天文台ではないでしょうか。
(他都市の公開天文台は交通の便が悪い場所に移転してしまうか、最初から交通の便が悪い場所に建設される例が多く、私の知っている限りでは、札幌市天文台はフラッと気軽に立ち寄れる数少ない天文台です。)
日中は太陽・月・惑星・明るい1等星、夜間は月・惑星・二重星・星団などの観望や説明を行っています。
(コロナ禍のため、2022年8月現在、夜間公開への参加は科学館へ事前予約制となっています。早く元通りの自由見学ができるように祈っています。なお、昼間の公開時間帯はこれまで同様、申込不要で自由に見学が可能です。)
1980年代に郊外への移転計画が立案されたものの、近隣住民からの強い要望で当時の板垣武四札幌市長が移転しないと決断した経緯もあり、市民から愛されている天文台といっていいと思います。
板垣市長が天文台を見学した際、小学生(もしかしたら中学生)の女の子と対談し「移転しないでください」と要望された時の様子が写真入りで札幌市の広報誌に掲載されています。
7月下旬に札幌市役所2階の行政情報課を訪問し、「札幌市統計書」を閲覧。天文台オープン後の各年度(4月〜翌年3月)の利用者数を調べてきました。
過去の利用者数を平準化するため、5年平均値で示しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/46/9e5d7005e47ec998090b310085a6d9c7.jpg)
望遠鏡だけの単独設備で、毎年2万人近い利用者がある公開天文台は珍しい存在ではないでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/db/1d60610fedcba42dd54286a14be1a8c2.jpg)
ハヤさんが着任してから、利用者数が3倍近く伸びていることがわかります。
51020122
彼は、フラッと立ち寄る利用者さんが入りやすいよう常に入り口のドアを開放し、天文台前の通路には「天文台公開中」という看板を掲げ、来客者が増える活動を地道に続けてきました。
彼のドーム内での対応を何回も拝見させてもらったことがあります。
来客者には常に笑顔で丁寧な対応、それも来客者のレベルに合わせた知的好奇心をくすぐる見事な対応でした。壁面に飾られている展示物も彼が企画し丁寧にコツコツと作ってきたものです。
望遠鏡の対物レンズなどもギトギトに汚れたままになっていたのを2015年4月に着任早々、地道に清掃したことも私は知っています。
彼の一生懸命さを見ていた私たちは清掃ボランティアをさせてもらいました。その様子は2015年6月13日のブログ記事 【 札幌市天文台の清掃 】をご覧ください。
彼の素晴らしい対応は、長年天文普及活動を続けてきた私にとっても、見習い学ぶべきものでした。
そのような素晴らしい対応ができる全国的にも稀有な人材であっても、嘱託職員の雇用期間満了の5年を経過したということで雇用を打ち切られてしまいました。
客観的な人事評価も一切せずに雇用期間満了というだけの雇用打ち切り、私はとても残念に思いました。
幸いなことに、新たに2022年4月から天文台業務に従事した3人のパート職員の一人が「彼の後継者になる」と言って頑張っているのが救いです。
しかし、このパート職員という位置づけも最長5年だそうです。
専門知識・望遠鏡導入技術・説明技能が必要な専門職的なスタッフであっても、まるで雇い止めを絵にかいたような対応に終始している札幌市生涯学習振興財団の対応が残念でなりません。
公益財団法人だそうですが、公益財団法人の名が泣いていると私は感じます。
現在、昼間の公開と夜間の公開の全ての業務を4人のパート職員さんがシフト勤務で担当されていますが、専門職のような人材が北海道の最低賃金に近い時間給与(1人当たり月額5万円ほど+交通費)で働き、雇用期間が不安定な状況で精一杯汗水流して市民のために働いていることを市民は知っているのでしょうか。
なお、似たようなことを 【 2022年3月23日のブログ記事 】にも書きました。
私にとって、暗い闇から札幌市天文台を蘇らせてくれたといっても過言ではない彼に感謝する意味で、このブログ記事を書かせていただきました。夜空は暗いほうがいいですけどね。(笑) (文責 平井諭 2022年8月1日 記)
【8月2日(火)8時:記事追加】
2022年8月2日付け北海道新聞朝刊26面に7段組の大きな記事が掲載されました。
見出しも大きく
無期雇用転換 トラブル相次ぐ
労働者 不更新条項に疑問
企業 見極め期間が必要
ハヤさんの事例は、財団側で「見極めすらも全くしなかった機械的な対応」だったと私は思います。
この天文台は、私が中学生の頃から通った施設でもあり、高校時代には創部した天文同好会で夜間貸切観察会をさせてもらったこともあります。(1970年当時は事前申請すれば夜間貸切ができましたが、札幌市天文台管理規則が2010年3月に改正され、利用申請書の様式が削除されたままになっています)
1980年から1984年まで、私はこの施設の管理運営委託の監督業務をしていました。1984年には口径20cm屈折望遠鏡の更新業務も担当、その更新後に科学館から別の職場へ異動となった思い出深い施設です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/2d/8e4df15034c4e7350f33cc3823e82fce.jpg)
直径5mドーム内に口径20cmF12アポクロマート屈折望遠鏡が設置されています。
札幌市天文台は人口197万都市のほぼ中心部、繁華街ススキノのすぐ南側の中島公園内に位置し、夜空が明るいものの地下鉄駅から徒歩5分という、気軽に立ち寄れる公開天文台としては利用しやすい、国内では珍しい存在の市民天文台ではないでしょうか。
(他都市の公開天文台は交通の便が悪い場所に移転してしまうか、最初から交通の便が悪い場所に建設される例が多く、私の知っている限りでは、札幌市天文台はフラッと気軽に立ち寄れる数少ない天文台です。)
日中は太陽・月・惑星・明るい1等星、夜間は月・惑星・二重星・星団などの観望や説明を行っています。
(コロナ禍のため、2022年8月現在、夜間公開への参加は科学館へ事前予約制となっています。早く元通りの自由見学ができるように祈っています。なお、昼間の公開時間帯はこれまで同様、申込不要で自由に見学が可能です。)
1980年代に郊外への移転計画が立案されたものの、近隣住民からの強い要望で当時の板垣武四札幌市長が移転しないと決断した経緯もあり、市民から愛されている天文台といっていいと思います。
板垣市長が天文台を見学した際、小学生(もしかしたら中学生)の女の子と対談し「移転しないでください」と要望された時の様子が写真入りで札幌市の広報誌に掲載されています。
7月下旬に札幌市役所2階の行政情報課を訪問し、「札幌市統計書」を閲覧。天文台オープン後の各年度(4月〜翌年3月)の利用者数を調べてきました。
過去の利用者数を平準化するため、5年平均値で示しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/46/9e5d7005e47ec998090b310085a6d9c7.jpg)
望遠鏡だけの単独設備で、毎年2万人近い利用者がある公開天文台は珍しい存在ではないでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/db/1d60610fedcba42dd54286a14be1a8c2.jpg)
ハヤさんが着任してから、利用者数が3倍近く伸びていることがわかります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/01/238fa95b9fc77e8961e24a3fceea3098.jpg)
彼は、フラッと立ち寄る利用者さんが入りやすいよう常に入り口のドアを開放し、天文台前の通路には「天文台公開中」という看板を掲げ、来客者が増える活動を地道に続けてきました。
彼のドーム内での対応を何回も拝見させてもらったことがあります。
来客者には常に笑顔で丁寧な対応、それも来客者のレベルに合わせた知的好奇心をくすぐる見事な対応でした。壁面に飾られている展示物も彼が企画し丁寧にコツコツと作ってきたものです。
望遠鏡の対物レンズなどもギトギトに汚れたままになっていたのを2015年4月に着任早々、地道に清掃したことも私は知っています。
彼の一生懸命さを見ていた私たちは清掃ボランティアをさせてもらいました。その様子は2015年6月13日のブログ記事 【 札幌市天文台の清掃 】をご覧ください。
彼の素晴らしい対応は、長年天文普及活動を続けてきた私にとっても、見習い学ぶべきものでした。
そのような素晴らしい対応ができる全国的にも稀有な人材であっても、嘱託職員の雇用期間満了の5年を経過したということで雇用を打ち切られてしまいました。
客観的な人事評価も一切せずに雇用期間満了というだけの雇用打ち切り、私はとても残念に思いました。
幸いなことに、新たに2022年4月から天文台業務に従事した3人のパート職員の一人が「彼の後継者になる」と言って頑張っているのが救いです。
しかし、このパート職員という位置づけも最長5年だそうです。
専門知識・望遠鏡導入技術・説明技能が必要な専門職的なスタッフであっても、まるで雇い止めを絵にかいたような対応に終始している札幌市生涯学習振興財団の対応が残念でなりません。
公益財団法人だそうですが、公益財団法人の名が泣いていると私は感じます。
現在、昼間の公開と夜間の公開の全ての業務を4人のパート職員さんがシフト勤務で担当されていますが、専門職のような人材が北海道の最低賃金に近い時間給与(1人当たり月額5万円ほど+交通費)で働き、雇用期間が不安定な状況で精一杯汗水流して市民のために働いていることを市民は知っているのでしょうか。
なお、似たようなことを 【 2022年3月23日のブログ記事 】にも書きました。
私にとって、暗い闇から札幌市天文台を蘇らせてくれたといっても過言ではない彼に感謝する意味で、このブログ記事を書かせていただきました。夜空は暗いほうがいいですけどね。(笑) (文責 平井諭 2022年8月1日 記)
【8月2日(火)8時:記事追加】
2022年8月2日付け北海道新聞朝刊26面に7段組の大きな記事が掲載されました。
見出しも大きく
無期雇用転換 トラブル相次ぐ
労働者 不更新条項に疑問
企業 見極め期間が必要
ハヤさんの事例は、財団側で「見極めすらも全くしなかった機械的な対応」だったと私は思います。
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