★星空日記コリメート風goo★

星や旅などの話題を「ひらい」が札幌から発信。2010年開設。2022年7月にteacupからgooへ引越しました。

プラネタリウム100周年を迎えて

2023-11-29 06:00:00 | プラネタリウム・各地の科学館
 近代的なプラネタリウムが1923年にドイツで生まれ、今年の2023年でちょうど100年目。全国のプラネタリウム施設では様々な100周年企画が催されています。

 残念ながら、札幌市青少年科学館は展示物大規模リニューアルと施設の長寿命化などの改修工事のため、2022年8月22日から閉館中で、2024年3月末に開館の予定です。

 札幌市青少年科学館が開館した1981年当時、私はプラネタリウムの投影スタッフもしていました。


 札幌市青少年科学館の初代プラネタリウム五藤光学研究所製 GN18-AT を保守点検している42年前の私。若いなあ〜。ネクタイがスーツの外に出ていてちょっと残念。(笑)

 各地のプラネタリウムをみると、座席配置は投影機本体を中心とした「同心円配置」と、一方向が見やすい「扇形配置」とに大まかに分類されます。(床が一方向に傾斜したコンサートホールのような傾斜型ドームは、全天映画などの自動投影に向いています。)

 1960年代までのプラネタリウムは、全天の星空説明をするため「同心円配置」の座席にせざるを得ませんでした。ところが、1970年代に入り画期的な機構が投影機に組み込まれました。
 それは、投影機全体を水平回転させる機構です。この機構が投影機を支える架台に組み込まれたことで新設館の多くは「扇形配置」座席を採用することが多くなり、1981年10月に開館した札幌市青少年科学館のプラネタリウムも水平架台回転装置付きで「扇形配置」座席でした。

 なお、五藤光学研究所製の光学式プラネタリウムは、機種名の最後に「T」が付番されているのが水平架台回転装置付きの機種です。同社のプラネタリウム納入実績を拝見すると、1972年以降から「T」が付番されたプラネタリウムが激増しています。

 「扇形配置」座席であれば南側を正面にし、南中した星座(冬ならオリオン座、夏ならさそり座など)の説明をした後、北天の北斗七星やカシオペヤ座、北極星の説明をする際には180度ほど投影機をゆっくりと水平回転させ北を正面に、日の出の時にはさらに90度ほど水平回転させ日の出位置を正面にします。「扇形配置」座席だと殆どのお客様が見やすい姿勢で星空を楽しむことが可能となりました。

 あまり頻繁に水平回転させることは好ましくありません。いかに水平回転を少なくしお客様が見やすいように星空投影するかは説明員の腕の見せどころでもありました。
 投影機本体を水平回転させる際は、地平線上の建物や景色を写し出す投影装置(五藤光学研究所ではスカイラインと呼称していました)を薄っすらと投影しながらゆっくり水平回転運動をさせると、多くのお客様は床全体が動いていると錯覚するようです。

 このように画期的な水平回転装置が組み込まれている現在のプラネタリウムですが、各地のプラネタリウムを見学させていただくと、水平回転を全く使わないで全天の星空説明を肉声で行う「扇形配置」座席のプラネタリウムがあることに驚かされます。
 南天の説明後に水平回転なしで北極星の説明をポインターで示しても、殆どのお客様は背もたれから起き上がり振り返るような姿勢を強いられるからです。水平回転機能があるのに使われていないのが勿体ない!

 投影を担当するスタッフの人事異動が頻繁な施設は、投影のノウハウがうまく受け継がれていないのではないかと心配になりました。もしかしたら、オート番組投影上の制約があるのかもしれませんが残念なことです。一部のプラネタリウム施設では星を指し示すポインターの使い方が乱雑なのも残念に思います。

 先人の知恵と汗で誕生した投影機本体の水平回転機構をうまく使い、お客様が見やすい星空案内をして欲しいなあと願います。古い時代の投影スタッフだった私の思い込みや勘違いがあるかもしれませんけど。

 なお、「同心円配置」座席であっても、個々の座席が半回転ほど動かせるようにしてあり、お客様自身が見る方向をある程度自由に変えられ少しでも見やすくなるよう工夫している施設も存在します。

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