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タッノコプロ アニーメーショに内在する京畿関西文化

2019-08-01 03:08:01 | 漫画
タッノコプロ アニーメーショに内在する京畿関西文化

 吉田竜夫久里一平の漫画やアニメーションを見て育った私個人としては
20代の頃11PMに登場した久里一平の実験的アニメに驚いた記憶がある。
アメリカのロックバンド、クリーデンス、クリアーウオター、リバイバル
の初期LPに収録されていた墓場行き列車と言う曲に久里氏の白黒アニメ
が淡々と抽象的に繰り返される画像に衝撃を受けたものだ。この手法とは
淡々と繰り返される音楽。一種のミニマルミュージックに淡々と繰り返さ
れる白黒アニメを付けた実験的なものだったが、若い私は強い衝撃を受け
たものだ。つまり、ミニマリズムとアニミズムを合成した作品だった訳だ。
彼等吉田三兄弟が京都出身であった事に今更ながらも強い興味と関心を抱く。

タイムボカンシリーズのアニメ視聴率26%
 テレビアニメ「タイムボカンシリーズ」は驚異的な人気を誇った。特に
人気の要因は主役の男女二人ではなく、悪役として設定された女性マージョ
様、トボケた天才科学者トボッケー、力のトン十郎が繰り出す。子供向けと
は言えない大人の会話に人気が及んだのだ。子供を対象としたアニメなのに
会社生活や社会生活に精神的に疲弊た中年男性は「タイムボカンシリーズ」
に憩いや笑を求めたものだ。ある真面目な関西の中年サラリーマン男性が
家庭に帰り子供達が見るテレビアニメ「タイムボカンシリーズ」を楽しみに
していたのだ。この悪役凸凹三人組は素晴らしいメカや化学技術を駆使する
ハイテク技術を持って登場するのに必ず、ヘマやシクジリや失策をするのだ。
アニメ前半では颯爽と登場し時に彼等三人組が化学忍者隊ガッチヤマンの様
に凛々しい劇画風のシリアス描写で登場しても、結局三人の搭乗するメカは
失敗や欠点を露呈して大爆発炎すると言うミジメな結末を必ず迎えるのだ。
三人が炎上したメカから三人乗り自転車に乗り換えてポロポロになり無様に
逃げ帰る姿は、奮闘苦労の甲斐もなく家路を急ぐ哀愁のサラリーマンの姿と
重なるものがあるのだ。あまつさえ三人は上司に失敗の結末を報告する際に
互いの失策を指摘し自分だけを弁護する見苦しい言い訳を展開して失笑を買
うドタバタ喜劇が展開する作品なのだ、この三人のキャラクター設定は見事
秀逸で高慢な美女。優秀だがドジな技術者。猪突猛進の肉体派人間の設定は
見事に社会を風刺して滑稽で笑える娯楽作品に仕上げられていた。この笑の
原型や土壌は京畿関西文化つまり松竹芸能や吉本興業などにルーツがあると
私は時に思うのだ。いやイチビリ、トボケ、ツッコミ、哀愁悲喜こもごもの
関西文化の伝統かもしれない。「タイムボカンシリーズ」のマヌケの三人組
は必ず、みじめ、むざんに敗れ去る自虐の結末が予定調和的に設定されていた。
落語や漫才や芸能には必ず「落ち」が設定されているのだ。人間とは結末こそ
全て解っているのに期待を裏切らない強烈な「落ち」を本能的に期待するのだ。






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