伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

保存会白皮作り再開

2024年01月10日 | 遠野町・地域
 新年を迎えた保存会だが、当面2つのミッションがある。1つは和紙の材料となる楮の白皮作り、2つは和紙作りだ。

 和紙作りは、時間が限られている卒業証書の用紙を漉く作業だ。溜(た)め漉きという手法で漉いていく。

 紙漉きには大きく分けて流し漉きと溜め漉きの2つの手法がある。

 流し漉きは、水に楮(こうぞ)の繊維とトロロアオイの根から作るネリ(糊状の成分)を混ぜ合わせた紙料を簀桁(すげた)に汲み上げて、水を揺すり、残った水を捨てる作業を数回繰り返して厚みを作る。

 一方、溜め漉きは、簀桁に汲み上げた紙料を多少揺すって静止させ水を滴り落として繊維の厚みを作る手法だ。漉き方自身は、それほど難しくはないが、必要な厚みを作ることに難しさがある。

 まだまだ素人に毛が生えた程度の技術しか持っていない私なので、必要な厚みの紙を安定して漉き上げる点には難点がある。とにかく必要枚数確保に資するために漉き続けるしかない。



 この集中的な紙漉き作業は20日まで続く予定だ。

 さて、楮畑の楮は、大きいもので3mを超えるまでに成長している。根本の直径も55mm程度はある。保存会全体の活動は、この楮の伐採から始まる。刈り取った楮を一定の長さに切りそろえて束ね、釜で2時間程度蒸す「ふかし」の後に皮をはぎ、皮の黒皮と甘皮を削ぎ落とす「しょしとり」で白皮にし、乾燥させる。毎週、火曜日と水曜日に活動しているが、この作業がしばらくは続く。

 積雪のあった翌9日が新年の活動初日になったが、しょしとりのため前日から楮を浸けていた水は凍りついていた。



 割ってみると10mm以上の厚みがありそうだ。寒さが厳しかった証だ。



 しかし、太陽に照らされる日中は暖かい。その中、作業は進む。
 戸外では、刈り取ってきた枝を裁断し、蒸し、皮を剥ぐ作業をする。室内では、水に浸けていた楮の皮のしょしとり作業をする。


楮の枝の裁断作業。今年から丸鋸を使っている


楮の枝からの皮はぎ作業


しょしとり作業


 紙漉きが必要な私は、紙漉きの合間に他の作業も手伝い、両日の作業をした。
 紙漉きでは、これまでの作業では紙の厚みの感触を得ないまま進めたため、厚すぎたり、薄すぎたり、失敗が多かった。その日の作業で最初に漉いた紙が厚さの基準になってしまっていたことに原因があったと思う。感触がないため厚みの調整がきかないためだと思われた。

 そこで、本来の方法ではないが、数枚漉き上げた紙をすぐに圧搾して乾燥させ、紙の厚み(重量で見る)を確かめた後に、紙漉き作業をする方法をとった。その結果だと思う。必要な厚みの紙を安定して作ることができた。

 これまでは失敗が多いので、一度にたくさんの紙を漉くことがためらわれた。厚みが一定にできるようになれば、たくさんの紙を漉くことも可能となると思う。
 がんばらなくちゃ。


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