清水市長の初議会は2013(平成25)年10月定例会。議会が始まる頃には選挙中に語っていた発現、公約がだいぶ変更されていました。
櫛田市長、渡辺市長に続き、3人目の市長の初議会で公約等に対する質疑を行ったものです。
初議会に臨んだ渡辺市長への一般質問
◆10番(伊藤浩之君)
(拍手)10番日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。
まずは、清水市長、当選おめでとうございます。選挙戦の中で多くの市民の皆さんが復旧・復興の促進、あるいは新たな展開に期待を寄せたことが、新市長誕生の原動力になったものと思います。その市民の皆さんの期待に応えて、新市長には全力で取り組んでいただきたいと思います。
9月の市長選に向けて、私たち日本共産党は、清潔、公正、市民本位のいわき市政をつくる会の皆さんと独自の候補者擁立を模索しました。結果、擁立することができませんでした。市民の皆さんの期待に応えることができなかったことにおわび申し上げますとともに、市民の皆さんの声を市政に届け、市民の目線でチェックし、正すべきは正し、進めるべきは進める、こうした立場でしっかり活動することで、市民の皆さんの期待に応えていきたいと考えております。
さて、清水市長が当選した後、日本列島には台風が相次いで襲来しました。幸い、いわき市は大きな被害に見舞われなかったものの、全国には大きな被害もありました。被害に遭われた皆様にはお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
政治の世界でも暴風雨が吹き荒れています。来年4月の消費税増税を安倍首相が表明したこと、TPP交渉では関税を撤廃しないという公約に反して重要5項目も交渉の対象にされ、特定秘密法案などの民主主義に挑戦する法案も提出されております。さらに、原発では事故収束の方向も見えず、汚染水の漏水と雨水の排水が行われ、外洋でセシウムが検出されるなど、汚染水漏水問題の拡大という引き続く困難な状況の中で清水市長は船出を迎えられたわけであります。こうした中で、市民の安全と安心を守り、また、暮らしをしっかりと支えていくことが求められています。
私たちは市長選に向けて、先ほど紹介したつくる会の皆さんと一緒に政策をまとめましたが、候補者擁立を断念したことを受け、つくる会として8月当初立候補を予定していた皆さんにアンケートをお願いし回答をいただきました。このアンケートの回答も踏まえながら、幾つか質問をしていきたいと思います。
まず、憲法についてであります。
安倍政権が誕生し、改憲の議論が高まりました。既に改憲に必要な国民投票法はつくられていますが、安倍政権のもとでは改憲の発議の基準を引き下げようと、これを定めた憲法96条の改憲を言い出し、現在は、これまで現在の憲法では許されていないとされてきた集団的自衛権について、憲法解釈の変更を狙っているようです。このように、憲法については解釈で改憲する、あるいは明文で改憲する、現在の憲法を守る、さまざまな議論がされている状況であります。
市長は、つくる会のアンケートで改憲への姿勢を問われて、国の専管事項であり、国会で議論される事項について、地方自治体の選挙において、候補者選考の判断材料とすることには疑問を感じる。このような回答をされておりました。その立場がよくわからない回答であります。宇佐美登氏及び渡辺敬夫前市長は、9条あるいはその理念についてはそのままに、環境権などを書き込む改憲が必要だと、この立場に同意できるかどうかは別の問題といたしまして、その立場は明確でした。
そこで、清水市長は、改憲についてどのようなお考えをお持ちか改めて伺います。
◎市長(清水敏男君)
憲法改正につきましては、国会において論議される事項であり、地方行政を預かる立場にある市長として、論評は差し控えさせていただきたいと思います。
◆10番(伊藤浩之君)
引き続きその立場がよくわからないという状況であります。
いわき市には非核平和都市宣言が制定されてあるわけですが、市当局はこれまで、平和を願い求めること、そして達成することは国民主権、基本的人権の尊重と並んで日本国憲法の基本原則として尊重すべきもので、本市の非核平和都市宣言についても、このような憲法の精神が反映されているものと認識しているとしてきました。
この本市の非核平和都市宣言に込められた精神は、今後とも尊重し、継承すべきものと考えますが、市長のお考えを伺います。
◎市長(清水敏男君)
この宣言に込められている核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現を目指す精神は、今後とも尊重し、継承すべきものと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
現在の憲法のもとでつくられた、この非核平和都市宣言であります。この大切な願いをしっかりと後世に伝えていくことが、今、何よりも求められていると思うんですが、この非核平和都市宣言に込められた精神の実現に、今後どのように取り組んでいくお考えかお伺いします。
◎総務部長(石井和一君)
核兵器のない平和な世界の実現に向け、庁舎や学校等の公共施設における宣言文の掲示や、庁舎等における原爆パネル展の実施、周年事業として講演会の開催等、さらには本市が加入しております非核宣言自治体協議会及び平和首長会議における加盟都市との連携等により、非核平和思想の普及・啓発に努めてまいる考えであります。
◆10番(伊藤浩之君)
さらに取り組みの充実もぜひ御検討いただきながら、次の質問に移っていきたいと思います。
次に、原子力発電を含むエネルギー政策に関する、原発事故被災地の市長としてのお考えを聞きたいと思います。
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、県内の原子力発電所は全て廃炉にすることを求めるのが、市民の皆さん、福島県民の皆さんの圧倒的な世論であり、県、県議会、そしていろいろありましたが、本市としても、また市議会もその実現を求めてまいりました。
今度の市長選挙では、どの候補者も異口同音、県内原発廃炉を求める立場を表明してまいりました。市長も県内の原子力発電所は全基廃炉にする立場を表明されております。そのときに安倍首相は9月19日、第一原発の5号機、6号機の廃炉を要請し、東京電力の廣瀬社長は年内に判断すると答えております。
5号機、6号機の廃炉の決断を早期に促すとともに、東京電力福島第二原子力発電所の廃炉の決断も促すことも含めて、県内原発の全基廃炉に向けてどのように取り組んでいく考えかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
福島県内の原発につきましては、去る9月に安倍総理大臣が福島第一原発について、既に廃炉が決まっている1号機から4号機に加え、5号機、6号機の廃炉を東京電力に要請したところであり、東京電力の廣瀬社長は年内に判断するとしておりますが、福島第二原発については、茂木経済産業大臣が廃炉に理解を示す発言をしているものの、いまだ先行きが不透明な状況にあります。私といたしましては、福島第一原発5号機、6号機はもちろんのこと、福島第二原発につきましても、国及び東京電力に対し、一刻も早い廃炉の決定を引き続き強く求めてまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
原発の事故をめぐっては、さまざまな課題があると思います。その課題一つ一つをしっかり取り組むことも含めて、市からの働きかけ、要望を強めていっていただきたいと思います。
そして、この原発の問題を考える上で、日本のエネルギー政策をどうするかということも大切な課題だと思います。渡辺前市長のときに、東海第二発電所はいわき市南部から50キロメートルの距離にあり、もし事故を起こせば本市への影響が多大であること、そして現実に震災であわやの事態に陥っていたことを挙げながら、いわき市民の安全・安心を考えたときに、原発をゼロにすることが市民の安全と安心につながると求めた経過がありました。渡辺前市長は、ひとしく国民に配電ができるのであれば、原発はゼロにすべきと考えているという答弁をされてきました。
さきのアンケートでも、渡辺前市長は同様の回答を寄せており、また、宇佐美氏は原発に依存しないエネルギー政策を確立したときに全廃というように、全廃の時期がいつなのかという問題はありますが、両者とも将来的には原発ゼロの立場を表明しておりました。ところが、清水市長の場合は、国の専管事項であり、原発を有する地元と国が話し合って決めることであると思うとしておりました。
原発事故で被災した本市と市民だからこそ、原子力エネルギー政策から早期に抜け出して安全で安心できる国土にできるよう国と東電に求めるべきであります。
市長になられてどのように考えているのか改めてお考えを伺います。
◎市長(清水敏男君)
エネルギー政策につきましては、外交・防衛政策などと並び、基本的に国の専管事項であり、国民の生活や経済産業の動向を踏まえながら、国が責任を持って判断すべきものと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
さきの原発事故において、市民が大きな被害を受けている地元の市長だからこそ、この問題にはもっと積極的に発言をしていく必要がある、私はそのように思います。今のような立場でおりますと、結局、原発政策、原発事故の問題についてもしっかりとした対応ができないのではないか、このような危惧も覚えるところであります。改めて、そこのところは熟慮をいただいて、どういう考えに立つのかはっきりさせていただきながら、今後、私自身もその問題、市長に改めて問うていきたいと思います。
次に、清水市長の公約などについて伺いたいと思います。
選挙戦ともなれば、立候補された皆さんが、さまざまな約束を有権者の皆さんに向けて発信をされます。私たち市議会議員も、選挙戦の中で市民の皆さんの声を政策化しながら、その政策の実現のために努力することを約束し、そのことが支持をされてこの議場に送られてきているわけであります。
残念ながら議員には予算編成権がありませんので、専ら市民の皆さんと一緒に、市長にその実現に向けて要望・要求をするという形でその政策の実現を図るための努力をするわけですが、市長の場合は全く立場が違います。市長には予算編成権があるわけです。この権限を行使しながら公約実現に向かうことができるわけであります。もちろん実現に向けての他の予算との調整という段階はあるわけですが、みずから公約の実現の道を切り開くことができる、ここが議員との大きな違いということになります。
いわき市長選挙で、清水市長は風格あるいわき市の実現を推進するとした8つの政策を初め、さまざまな公約を打ち出しております。
これら公約等は、清水市長にとってどのような意味を持つのかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
私は、このたびの市長選挙におきまして、医療、職・雇用、住居の3つの課題解消を公約として掲げ、8つの約束などを訴え当選させていただきました。私に与えられた使命は、私たちのふるさと・いわきを東日本大震災と原子力発電所の事故から可能な限り早く復興させることにあると考えており、これら公約等は、私が市政運営を行っていく上での目標としてしっかりと心に刻み、いわき市を再生させるため全身全霊をかけて市政運営に取り組み、私の公約の実現を図ってまいる考えであります。
◆10番(伊藤浩之君)
政治家一般にとっての公約という意味で、もっと端的にお答えをいただきたいと思います。
◎市長(清水敏男君)
公約に掲げましたことの実現に向け、一生懸命努力してまいりたいと思います。
◆10番(伊藤浩之君)
政治家にとっての公約というのは、これは有権者に対する約束でありますので、それを実現するために努力するのはもちろんでありますが、これを守っていく、あるいは責任を持って公約を打ち出していくというのが、やはり政治家の務めであると、私は思います。公約に責任を持たないということになれば、有権者の政治不信が大きくなって、選挙での低投票率の問題が生まれてきます。当選はしたけれど、圧倒的多くの方に支持をされないという状況の中で政治が進むわけで、これは政治家にとっても、また有権者にとっても不幸な事態だと言わざるを得ないと思います。
そこで、選挙中の論戦の1つとなった復旧・復興の進捗という問題について伺います。
選挙の論戦の中では、新人側が復旧・復興のスピードがないため、その加速化を図りたい、一方で現職が着実に復旧・復興の道筋をつけてきたので引き続き担っていきたい、大筋こういう論戦がありました。結果として、現職が選挙で敗れるという結果になったわけであります。
そこでまず、震災から2年7カ月がたちましたが、この間の復旧・復興の進捗状況について、市長はどのように評価しているのかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
本市の復興につきましては、市復興事業計画におきまして、被災者の生活再建を初めとして、5つの取り組みの柱ごとに多様な事業を位置づけ、平成27年度までには復興に向けた取り組みを完了することとしております。これまで一部の取り組みで課題やおくれがあるものの、本計画に基づき、一歩一歩着実に復興の歩みを進めてきたものと考えておりますが、一方で、復興の姿を市民の皆様に実感していただけてはいないことが閉塞感につながっているのではないかと認識しております。
◆10番(伊藤浩之君)
選挙戦の中で、また、選挙後の発言でもそうですが、スピード感を持って進めるとか、また、私自身も参加してお話を聞かせていただきましたが、青年会議所が行った立候補予定者の公開討論では、復興が70%ということを感じることができませんという趣旨の発言をされておりました。このときの進捗の状況についての考えと、今回の答弁には大きな開きがあるように思います。1つの根っこから枝葉が分かれたというような差ではなくて、そもそも根っこが違うと感じるんですが、市長はそのときの発言との違いをどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
◎市長(清水敏男君)
議員おただしの件でありますが、復興のスピードアップ化を図っていくことはもちろんでございます。そういった中で、市民の皆様がそれを感じることができないということは、情報の共有化あるいは復興の進捗をつぶさに市民に発信することができなかったことが、1つの要因ではないかと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
そういう違いではなくて、そもそもこの認識が違ったのではないかということを、そのときの発言と今回の答弁を聞くと感じるわけであります。結局、選挙戦の中で争われたこと自身が、今、市長がおっしゃったことがそのとおりであるとするならば、結局、市民に大いなる誤解を与える中で選挙戦が進んだのではないかと考えざるを得ないところがあるわけなんですね。そういう意味で、やはりその発言のあり方というのには、しっかりと注意を払って行うことが必要なのかなという感想を持ちます。
次の質問ですが、復旧・復興事業のスピードアップ化を図るとされております。
どのように図っていくお考えなのかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
ふるさと・いわきの一日も早い力強い復興と再生を果たすためには、市民の健康や雇用を守ること、市民の住環境を整えることが極めて重要でありますことから、医療、職・雇用、住居、いわゆる医・職・住における課題解消に向けた取り組みを、重点的かつ積極的に展開してまいりたいと考えております。また、福島県内原発の全基廃炉の実現など、市民の皆様との8つの約束の実現に努めるとともに、被災沿岸地域における生活基盤の再生に向けた取り組みの着実な推進とあわせ、フェイスブックなどを活用した積極的な市政情報の発信に取り組み、市民の皆様が復興を実感でき、将来に夢と希望の持てる明るく元気ないわき市の創造に向け、国・県との連携を図りながら、全力を挙げて邁進してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
できるだけ具体的な施策についてお伺いしたかったんですが、今の答弁の中にあったのは、これからの取り組みに対する決意ということとお伺いしました。具体化はこれからということなんでしょうが、ぜひ市民の期待に応えるスピードで、また、情報発信も含めてですが、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
私たちはつくる会と政策を議論する中で、震災後の渡辺市政のもとでの復旧・復興についてどう見るかということを、繰り返し繰り返し議論しました。市民の皆さんの中でのうわさや評判もありまして、その影響を受けた意見もありました。しかし、これには根拠がないということと、復旧・復興の事業が国・県の施策展開のスピードに左右される側面が大きいことから、復旧・復興のスピードを選挙で問題にすれば、有権者に誤解を与えることになると意見がまとまりました。このため、復旧・復興の事業については、渡辺市政から引き継ぎながら、これまで実現してこなかった高過ぎる国保税の引き下げや、一部損壊住宅への支援などで市民生活を支え、また、子供たちの教育環境を充実して学びを保障するなどの政策をまとめ、選挙ではこの実現を目指そうということになりました。残念ながら候補者を立てることができなかったので、このことを市民の皆さん、有権者の皆さんに問うことはできなかったわけでありますが、こうした立場から見ても、復旧・復興のスピード云々が選挙戦の中で争われたことは、大変残念な思いで聞いておりました。
次に、共立病院の建てかえ計画にかかわって伺います。既に提案説明で表明された中身も含むと思いますが、改めて伺います。
今度の選挙戦では、総合磐城共立病院の病床数を建てかえの基本計画にある670床にするのか、それ以上にするのかが論戦され、清水市長は、ベッド数を減らすことの是非を含め、新病院のあり方を再検討すると発言されたことが報道されておりました。
市長は病床数についてどのような見解をお持ちかお伺いします
◎市長(清水敏男君)
新病院における病床数につきましては、いわき地域の医療体制の現状や総合磐城共立病院の果たすべき役割を考慮すると、一定規模の病床の確保は必要と考えておりますが、新病院については、建設後、数十年の長期にわたる使用が想定されますことから、今後、加速する人口減少や高齢化のさらなる進展など、病院を取り巻く社会情勢の変化に柔軟に対応し、かつ将来にわたり持続可能な病院経営を見据えた適正な病床数を模索する必要があると考えております。こうした考えのもと、基本計画における病床数670床程度を基本としながら、市内人口の動向や将来の入院患者数の見通しなどについて、なお見きわめを図るとともに、現場の医師の意見も踏まえながら、将来を展望した必要な病床数について、建築基本設計の中で決定してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
基本的に、これまでの計画を踏襲していくんだという答弁であったと思います。また、今度の選挙の中では、この経営形態も含め再検討する必要があるともされておりました。
この経営形態について、清水市長はどのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
◎市長(清水敏男君)
経営形態のあり方につきましては、私は市長就任以来、さまざな視点から熟慮を重ねてまいりましたが、市病院事業中期経営計画に基づく各種取り組みの着実な推進により、昨年度においては、平成12年度以来、12年ぶりに黒字決算となるなど、経営状況に一定の改善が見られることを評価するとともに、次年度に予定される地方公営企業会計制度の大幅な改正なども見据えて、当面、病院事業管理者のもと、現行の地方公営企業法の全部適用を維持し、経営改善に向けたさらなる取り組みを進めていくことといたしました。
◆10番(伊藤浩之君)
次の質問ですが、これらの見直しをしながら、選挙後の発言では、78億円の補助金はいただく方向で進めたいとされてきました。事業の進捗と補助金の支給は、密接な関係を持っているものと考えております。市長は、見直しの公約で事業をおくらせながら補助金を活用していくことについて、どのように整合性をとっていくお考えですかという質問でありましたが、既に提案要旨説明、また、昨日の答弁の中でも78億円の補助をいただくことを前提に事業を進めると、平成28年度までに事業を完了することを目指すのだということでありましたので、これについては質問を割愛させていただきたいと思います。
私は、公約自体を見直した今回の判断内容は是認するところですし、今回、質問項目に挙げたのも、そういうことを市長に伝えたいからでありました。ただ、多くの皆さんが選挙中、あるいは選挙後に耐震工事をしているので、急いで建てかえる必要はないと訴えたことと、補助金をいただき平成28年度までに事業を進めるという考えには大きな格差・隔たりというものを感じるわけであります。選挙前後の市長の訴えを聞いた市民の皆さんは、その格差・差異がなぜ生じてしまったかということの説明を求めていると思います。
改めて、わかりやすく説明をお願いしたいと思います。
◎市長(清水敏男君)
私は9月28日の就任後、いろいろと精査をさせていただきました。補助金と事業計画の関係、あるいは市内医療関係者等の意向、あるいは事業展開をするに当たっての関係知見者等の動向や、病院内部のこれまでの対応、あるいは医師確保に関する当面の活動、あるいは経営形態の見直しに関する環境条件の整備状況等、熟慮に熟慮を重ねた結果でございます。
◆10番(伊藤浩之君)
選挙戦から1カ月しかたっていないという状況であります。選挙のときに、どういう情報を持っていたのかということが問題になるような感じがするんですが、同じ答弁の繰り返しになると思いますので、次に進みたいと思います。
次に、町外コミュニティについて伺います。
町外コミュニティをどのような形で設置するかは、将来の本市まちづくりに大きく影響するものと思います。これまで本市は、町外コミュニティの受け入れについて分散型で受け入れる希望を述べてまいりました。ところが、清水市長は町外コミュニティに関して集中型、分散型にこだわらないとおっしゃっております。
まず、集中型とはどのような内容を持った町外コミュニティなのかお伺いします。
◎行政経営部長[兼]危機管理監(本間靜夫君)
一般的には、災害公営住宅と役場庁舎や学校、病院などの公共施設等を組み合わせたものを、別の自治体の特定の場所に集中して整備するものとしてイメージされております。
◆10番(伊藤浩之君)
結局、一定の規模を持った開発行為を伴うコミュニティーのあり方だと思うんです。
こういう集中型を整備した場合の、将来の本市まちづくりへの影響をどのように捉えていらっしゃるでしょうか。
◎市長(清水敏男君)
集中型の町外コミュニティが整備される地域では、人口の集積が図られ、地域の活性化など、地域振興にプラスの効果が期待されるところであります。一方、組み合わせる公共施設等の種類や規模によっては、上下水道など新たなインフラ整備が必要になることや、住民の帰還が完了した場合はその後の跡地利用が課題となるなど、本市の都市計画に影響を与えることが懸念はされております。
◆10番(伊藤浩之君)
集中型がよいのか、分散型がよいのかを考える際に、現在の国などの考え方も踏まえていかなければならないと思います。少なくとも、国は、双葉郡の住民について、それぞれの町に早期に帰還することを前提に、除染を初めとした作業を進めております。おまけに、除染をしても十分に線量が下がらない現実がある中で、最近は、調査に訪れたIAEAが、追加被ばく線量の1ミリシーベルトにこだわらなくてよいというアドバイスをしていきました。また、原子力損害賠償紛争審査会が、避難命令解除後、1年で賠償を打ち切るという方針を打ち出しております。命令が解除されても、住民が帰還できないでいる現実は、広野町を見れば明らかです。緊急時避難準備区域が解除されて1年半余りが過ぎましたが、いまだに2割程度の住民しか帰還できないでいるわけであります。いずれにせよ、国はこういうことをしながら、帰還に向けての外堀をどんどん埋めているという状況があるわけですから、その中で集約型として整備することは妥当なのかという問題が発生してくると思います。早期の帰還が実現することになれば、集約型の町そのものが住民がいない町になってしまいかねないことになるわけですので、もし集約型を考えるのであるならば、先ほど述べたような、早期の帰還を迫るという国の考えを改めることを求めることがまず必要なのではないかと私は思います。町外コミュニティのあり方も、国の動向も見て、本市の将来のまちづくりという観点をしっかりと見据えて、慎重に考えていただきたいと思います。
次に、市街化区域の見直しについて伺います。
現在、市内での宅地不足が言われています。市長は、宅地の確保の観点から市街化区域を見直すという発言をされています。市街化区域は、公共投資を優先することになる地域になりますので、見直しで市街化区域をいたずらに広げることになれば、これも将来の本市のまちづくりと財政に影響を及ぼすことになります。
そこでまず、本市の市街化区域は現在どのようになっているのかお伺いします。
◎都市建設部長(伊藤公二君)
本市の市街化区域につきましては、昭和45年の当初指定以来、5回の見直しを経て、現在は約1万48ヘクタールとなっております。このうち、田、畑、山林などを合わせました未利用地の面積は約2,160ヘクタールで、市街化区域面積の約21.5%となっております。
◆10番(伊藤浩之君)
21.5%の未利用地がある。そこには畑も水田もあるというお話でありますが、それだけの未利用地があるという状況であります。
この市街化区域を拡大することによる本市への影響は、どのようなものがあるとお考えでしょうか。
◎都市建設部長(伊藤公二君)
市街化区域を無計画に拡大いたしますと、無秩序な市街地が低密度に拡散し、住環境の悪化を招くとともに、道路、公園、上下水道などの都市インフラ設備への初期投資や維持管理コストが多大となることが考えられるところであります。このため、市街化区域の拡大に当たりましては、住宅団地など計画的な市街地の整備が行われた地域を初め、人口や産業の将来動向を見通し、行政の政策等により位置づけられた区域を対象としまして、区域拡大と調整の図られた都市インフラの整備など、計画的な市街地の整備を行うこととしております。
◆10番(伊藤浩之君)
市街化区域の無秩序な拡大が、本市のまちづくりにとっては悪影響になるということだと捉えました。
市街化区域については適宜見直されることになっておりますが、本市市街化区域の見直しの状況は、どのようになっているのでしょうか。
◎都市建設部長(伊藤公二君)
線引き見直しに当たりましては、県からは震災の影響を踏まえた防災の視点に加え、今後の状況変化に応じた対応を検討するとの方針が示されておりましたが、本市における津波被災者の住宅再建や原発事故に伴う避難者の受け入れの増加等に伴い、宅地需要の増加や地価の高騰、交通渋滞の発生などのさまざまな影響が顕在化しつつありまして、市街化区域の拡大が求められている状況にあります。
このようなことから、市といたしましては、今後における県の復興公営住宅建設の候補地選定の見通しや、土地区画整理事業及び未利用地における民間開発等による宅地供給の状況等を見きわめながら、市街化区域の拡大も視野に、震災後における都市計画基礎調査の実施など、早期線引き見直しに向けた県との協議を開始したところであります。今後、市街化区域の拡大に当たりましては、市街化区域に近接し、道路などの必要な公共施設が既に整備され、または将来の整備が確実であるなど、土地利用計画との整合を図り、良好な住環境を形成する区域などを基本として、県と協議を進めてまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
見直すとしても、これまでの公共投資を生かして最小限の見直しにしたいという意向を持っているように、今の答弁を聞いて感じます。この見直しについても、人口減という現実を踏まえて慎重に対応されることをお願いしたいと思います。
次に、子育て支援等について伺います。
清水市長は、出産祝い金や放課後児童クラブの全小学校区への設置などの子育て支援、保育士の正規職員の配置、また、学校図書館司書を全小・中学校に配置することを公約しております。将来を担う子供たちが育つ環境整備に大いに取り組もうという姿勢には賛同をするところであります。
そこでまず、出産祝い金の公約について、どのように実現するお考えか伺います。
◎保健福祉部長(赤津隆彦君)
安心して子供を産み育てられる環境を整備し、市民福祉の向上を図るためには、子育て世代に対する支援が大変重要な要素であると考えております。このため、市としましては、子育て世代の経済的な負担を軽減し、さらなる子育て支援につながるような事業の創設及び内容について、検討してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
昨日の質問の中で、出産祝い金が安易な政策だというお話があって、その実現を求める質問というのも安易な質問なのかなという感想を持つところでありますけれども、ただ、学校の先生によく聞くんですが、子供たちの家庭に貧困が広がっているというお話がよくあるんです。そして、その貧困が子供たちの学力にも影響しているというのであります。こうした状況があるからこそ、何らかの形で家計を支援するということは決して安易なお話ではないと思います。子育て支援を充実させようという市長の考えには賛同するところです。きのうのお話ですと、現金で給付するか、現物で給付するのか云々というお話もありました。学校給食の無料化、また、パートで働いても保育料に消えてしまうという訴えもあります。保育料の引き下げを求める声もあるわけであります。現金給付か、現物給付か、子育て支援に異を唱える議員もいないと思います。市民の願いによく耳を傾けながら、また、議会ともよく話し合って子育て支援策の充実に向けて努力されることをお願いしたいと思います。
次に、放課後児童クラブの全小学校への設置については、どのように実現するお考えでしょうか伺います。
◎保健福祉部長(赤津隆彦君)
今後の放課後児童クラブの整備につきましては、74小学校区のうち、36小学校区が未実施であり、このうち国が定める実施対象要件であります利用児童数10人以上が見込まれる就学児童数100人以上の小学校区11カ所について、余裕教室を活用することを基本として、計画的に整備してまいりたいと考えております。その他の小学校区については、余裕教室の状況や保護者のニーズ等を勘案して、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
よく状況を見きわめながら進めていただきたいと思います。
市長は、いわき市の保育士の配置の現状について、先ほどのアンケートへの回答でもありますが、半数以上が非正規の状況は、公立の施設として望ましいものではなく、早期に改善すべきと考えるという考えを表明しておりました。
正規職員の配置拡大にどのように取り組む考えかお伺いします。
◎保健福祉部長(赤津隆彦君)
正規職員の配置につきましては、今後の保育需要や退職者数の推移、さらには民営化による影響等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
民営化の状況を見きわめながら検討するとおっしゃっておりますが、結局、この半数以上が非正規の状況というのは、そういう状況の中で延々と続けられるという状況になるんです。これが不正常な状況であるのは、これまでも議会の中で議論されてきたところであります。やはり、先ほどの質問の中でもありましたけれども、正規の職員をしっかりとふやしていくということに取り組んでいただきたい。このことを要望しておきたいと思います。
次に、学校図書館司書の配置は、渡辺前市長のもとで試行的に実施をされ、その結果を検証しながらその後の対応を検討するとされてきました。
今後、全小・中学校に配置する取り組みをどのように進めるお考えかお伺いします。
◎教育部長(加藤和夫君)
学校図書館司書につきましては、現在、学校司書設置事業として、今年度は平五小、御厩小、植田中に1名ずつ配置し、さらに長倉小を基幹校に、常磐地区の6つの小学校を担当する者を1名配置し、計4名の配置となっております。今後につきましては、本事業の目的である効果の検証や課題の洗い出しを行った上で、これらを踏まえて、全校配置に向け検討してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
この配置については、どの程度のスピードで進める考えがあるのかお伺いします。
◎教育部長(加藤和夫君)
できる限り速やかに進めてまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
早期に進めることを、ぜひお願いしたいと思います。
次に、職員の給与についてお伺いします。
国は、国家公務員給与の減額をしたことに伴って、地方公務員にも今年度の給与を国に見合って削減することを要請し、あわせて地方交付税の削減を行うことにしました。本市は、市長選前、給与削減は実施しないこととしましたが、清水市長は選挙前にもそういう発言をされておりますが、選挙後、改めて給与削減を検討するという表明をしておりました。
そこでまず、本市職員給与の民間との格差はどのようになっているのかお伺いします。
◎総務部長(石井和一君)
本市の職員給与につきましては、地方公務員法に定める均衡の原則に従い、県の人事委員会が県内の一定規模以上の民間企業の平均給与を調査して行います勧告の内容に基づき、県に準じて改定を行ってきているところであります。今年度につきましては、県の人事委員会が県内の民間給与との格差が極めて小さいことから、勧告を見送った状況を踏まえますと、本市の職員給与につきましても同様に民間給与との格差はないものと認識しているところでございます。
◆10番(伊藤浩之君)
民間との格差は非常に小さいという状況で給与改定をしない、それが今回の人事院勧告であったり、県の人事委員会の報告の結論であったわけであります。こうしたときに、給与を削減することには合理性はないと言わざるを得ないと思います。
そこで、職員給与のピーク時からの減額分はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
◎総務部長(石井和一君)
職員の給与がピークでありました平成10年度における一般行政職の平均年齢である42歳程度で、妻と子供2人を扶養しているモデル職員で比較をいたしますと、平成25年度におけます年収の見込みは約646万4,000円となり、平成10年度と比較をいたしますと約107万6,000円の減額となっております。
◆10番(伊藤浩之君)
民間の皆さんも大変な思いをしておりますが、公務員も同じように大変な思いをしているというのが、今の数字から見てもわかるんだと思います。職員給与の減額について、渡辺前市長のもとで実施しないことが決定をされ、清水市長は、他市でも実施しているので、いわき市としても検討するべきという発言をされております。
震災以降の職員の労働をどのように評価しているのかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
職員の皆さんは、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故という、未曽有の複合災害からの一日も早い復旧・復興のため、いわき市職員としての使命感を持って、津波被害に見舞われた沿岸域の復旧・復興や全市的な除染対策、風評の払拭など、直面するさまざまな課題の解決に向けて、震災直後から昼夜を問わず一致協力して、それぞれの職務に全力で取り組んでいただいているものと認識しております。
◆10番(伊藤浩之君)
そういう状況でありますので、きのうの西山議員の質問の中で、給与の削減については見送るんだと、行わないんだということが表明されておりますので、そのことは是にしたいと思います。
この給与削減を迫る国のやり方には、地方自治に対する介入だという批判があります。削減の見送りを決めた際の1つの理由は、各自治体の判断において自主的に定めるべきものであることとしていましたが、ここで表明されたことは、まさに地方自治の立場で判断するということだったと思います。本年度の人事院勧告も、また、県の人事委員会の報告も、官民格差は小さいとして給与改定は見送るという結論を出しております。市長に就任して最初の仕事が、よそもやっているからとか、国が求めているからなどということで給与削減の判断をなされるということになれば、本市の自主性、本市の自治が問われることになる、私はそう思っておりました。そうしたことから、昨日の答弁を是にするという思いでいるわけであります。この大きな項目の中、総じて、選挙前、選挙中そして選挙後の発言、こういったところからわずか1カ月の中で、復興の進捗状況もそうであります。新病院の建設計画もそうであります。そして、この給与の問題でもそうであるんですが、余りにも言動に開きがあるんではないかと感じております。
先ほど、公約について市長の口からは聞けなかったんですが、やはり議員にとってはそれを準備する過程でもしっかりと情報を集めて準備をするし、それについてはしっかりと守っていくことが必要だということを私は指摘したわけでありますが、公約あるいは選挙前、選挙中、そして選挙後の発言と現在の考えが、このように開きがある状況になったのはなぜか、市長はどこに原因があったと考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
◎市長(清水敏男君)
市長就任後、的確な状況分析に基づいて迅速な判断を行い執行することは、いわゆるスピード感を示す源泉と考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
そのとおりであるとは思うんですけれども、ただ、やはり発言したことの重みといいますか、発言したことに対する責任といいますか、そういうものはどうしてもついて回るのです。結果はオーライであったとしても、やはりその過程というのは遵守されなければならないと思いますので、市長には十分その点、今後の市政運営の中でも心に置いて、市政運営に当たっていただきたいと思います。
次に、イノシシの有害鳥獣の対応策についてです。
まず、イノシシの駆除には市イノシシ捕獲報奨金交付制度で対応し、そのための予算として1,500万円、1,500頭分の予算を計上しておりました。
本年度の実績はどのようになっているのでしょうか。
生活環境部長(鈴木秀幸君)
本年9月末現在の市イノシシ捕獲報奨金交付制度における捕獲実績は593頭でございます。
◆10番(伊藤浩之君)
593頭ということでありましたので、申しわけないんですが、時間がなくて最後の結論の質問だけにさせていただきたいと思います。
イノシシの捕獲については、わな及び巻狩りというのが行われております。
わなによる捕獲が実績として多いとは思うんですが、巻狩りの効果をどのように捉えていらっしゃるのかお伺いします。
◎生活環境部長(鈴木秀幸君)
巻狩りの効果といたしましては、複数の人員等によってイノシシを取り囲んで追い込むことにより、捕獲に至らなかった場合であっても、被害が発生している区域からイノシシを遠ざけることができる、追い払い効果があるものとされております。
◆10番(伊藤浩之君)
この巻狩りに対する支援策というのが、やはり十分ではないというか、ない状況の中で、ここに光を当ててほしいという狩猟者の声があるわけであります。
現在行われているイノシシ捕獲報奨金制度のほか、巻狩り等に対する支援制度を新たに創設して、有害鳥獣対策を充実すべきと思いますがいかがでしょうか。
◎生活環境部長(鈴木秀幸君)
市イノシシ捕獲報奨金交付制度におきましては、有害鳥獣対策の一環として、巻狩りも含め捕獲実績により報奨金を交付することとしており、平成24年度は目標とする事業量である1,500頭の捕獲頭数を達成するなど、狩猟者の協力がありますことから、一定の理解を得られているものと認識しておりますので、今後も現行制度を維持してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
ある地域では、区長会が弁当代を出しているというようなところもあるんです。そういう市民の努力を踏まえて再検討されることをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
櫛田市長、渡辺市長に続き、3人目の市長の初議会で公約等に対する質疑を行ったものです。
初議会に臨んだ渡辺市長への一般質問
初議会に臨んだ清水市長への一般質問
◆10番(伊藤浩之君)
(拍手)10番日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。
まずは、清水市長、当選おめでとうございます。選挙戦の中で多くの市民の皆さんが復旧・復興の促進、あるいは新たな展開に期待を寄せたことが、新市長誕生の原動力になったものと思います。その市民の皆さんの期待に応えて、新市長には全力で取り組んでいただきたいと思います。
9月の市長選に向けて、私たち日本共産党は、清潔、公正、市民本位のいわき市政をつくる会の皆さんと独自の候補者擁立を模索しました。結果、擁立することができませんでした。市民の皆さんの期待に応えることができなかったことにおわび申し上げますとともに、市民の皆さんの声を市政に届け、市民の目線でチェックし、正すべきは正し、進めるべきは進める、こうした立場でしっかり活動することで、市民の皆さんの期待に応えていきたいと考えております。
さて、清水市長が当選した後、日本列島には台風が相次いで襲来しました。幸い、いわき市は大きな被害に見舞われなかったものの、全国には大きな被害もありました。被害に遭われた皆様にはお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
政治の世界でも暴風雨が吹き荒れています。来年4月の消費税増税を安倍首相が表明したこと、TPP交渉では関税を撤廃しないという公約に反して重要5項目も交渉の対象にされ、特定秘密法案などの民主主義に挑戦する法案も提出されております。さらに、原発では事故収束の方向も見えず、汚染水の漏水と雨水の排水が行われ、外洋でセシウムが検出されるなど、汚染水漏水問題の拡大という引き続く困難な状況の中で清水市長は船出を迎えられたわけであります。こうした中で、市民の安全と安心を守り、また、暮らしをしっかりと支えていくことが求められています。
私たちは市長選に向けて、先ほど紹介したつくる会の皆さんと一緒に政策をまとめましたが、候補者擁立を断念したことを受け、つくる会として8月当初立候補を予定していた皆さんにアンケートをお願いし回答をいただきました。このアンケートの回答も踏まえながら、幾つか質問をしていきたいと思います。
まず、憲法についてであります。
安倍政権が誕生し、改憲の議論が高まりました。既に改憲に必要な国民投票法はつくられていますが、安倍政権のもとでは改憲の発議の基準を引き下げようと、これを定めた憲法96条の改憲を言い出し、現在は、これまで現在の憲法では許されていないとされてきた集団的自衛権について、憲法解釈の変更を狙っているようです。このように、憲法については解釈で改憲する、あるいは明文で改憲する、現在の憲法を守る、さまざまな議論がされている状況であります。
市長は、つくる会のアンケートで改憲への姿勢を問われて、国の専管事項であり、国会で議論される事項について、地方自治体の選挙において、候補者選考の判断材料とすることには疑問を感じる。このような回答をされておりました。その立場がよくわからない回答であります。宇佐美登氏及び渡辺敬夫前市長は、9条あるいはその理念についてはそのままに、環境権などを書き込む改憲が必要だと、この立場に同意できるかどうかは別の問題といたしまして、その立場は明確でした。
そこで、清水市長は、改憲についてどのようなお考えをお持ちか改めて伺います。
◎市長(清水敏男君)
憲法改正につきましては、国会において論議される事項であり、地方行政を預かる立場にある市長として、論評は差し控えさせていただきたいと思います。
◆10番(伊藤浩之君)
引き続きその立場がよくわからないという状況であります。
いわき市には非核平和都市宣言が制定されてあるわけですが、市当局はこれまで、平和を願い求めること、そして達成することは国民主権、基本的人権の尊重と並んで日本国憲法の基本原則として尊重すべきもので、本市の非核平和都市宣言についても、このような憲法の精神が反映されているものと認識しているとしてきました。
この本市の非核平和都市宣言に込められた精神は、今後とも尊重し、継承すべきものと考えますが、市長のお考えを伺います。
◎市長(清水敏男君)
この宣言に込められている核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現を目指す精神は、今後とも尊重し、継承すべきものと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
現在の憲法のもとでつくられた、この非核平和都市宣言であります。この大切な願いをしっかりと後世に伝えていくことが、今、何よりも求められていると思うんですが、この非核平和都市宣言に込められた精神の実現に、今後どのように取り組んでいくお考えかお伺いします。
◎総務部長(石井和一君)
核兵器のない平和な世界の実現に向け、庁舎や学校等の公共施設における宣言文の掲示や、庁舎等における原爆パネル展の実施、周年事業として講演会の開催等、さらには本市が加入しております非核宣言自治体協議会及び平和首長会議における加盟都市との連携等により、非核平和思想の普及・啓発に努めてまいる考えであります。
◆10番(伊藤浩之君)
さらに取り組みの充実もぜひ御検討いただきながら、次の質問に移っていきたいと思います。
次に、原子力発電を含むエネルギー政策に関する、原発事故被災地の市長としてのお考えを聞きたいと思います。
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、県内の原子力発電所は全て廃炉にすることを求めるのが、市民の皆さん、福島県民の皆さんの圧倒的な世論であり、県、県議会、そしていろいろありましたが、本市としても、また市議会もその実現を求めてまいりました。
今度の市長選挙では、どの候補者も異口同音、県内原発廃炉を求める立場を表明してまいりました。市長も県内の原子力発電所は全基廃炉にする立場を表明されております。そのときに安倍首相は9月19日、第一原発の5号機、6号機の廃炉を要請し、東京電力の廣瀬社長は年内に判断すると答えております。
5号機、6号機の廃炉の決断を早期に促すとともに、東京電力福島第二原子力発電所の廃炉の決断も促すことも含めて、県内原発の全基廃炉に向けてどのように取り組んでいく考えかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
福島県内の原発につきましては、去る9月に安倍総理大臣が福島第一原発について、既に廃炉が決まっている1号機から4号機に加え、5号機、6号機の廃炉を東京電力に要請したところであり、東京電力の廣瀬社長は年内に判断するとしておりますが、福島第二原発については、茂木経済産業大臣が廃炉に理解を示す発言をしているものの、いまだ先行きが不透明な状況にあります。私といたしましては、福島第一原発5号機、6号機はもちろんのこと、福島第二原発につきましても、国及び東京電力に対し、一刻も早い廃炉の決定を引き続き強く求めてまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
原発の事故をめぐっては、さまざまな課題があると思います。その課題一つ一つをしっかり取り組むことも含めて、市からの働きかけ、要望を強めていっていただきたいと思います。
そして、この原発の問題を考える上で、日本のエネルギー政策をどうするかということも大切な課題だと思います。渡辺前市長のときに、東海第二発電所はいわき市南部から50キロメートルの距離にあり、もし事故を起こせば本市への影響が多大であること、そして現実に震災であわやの事態に陥っていたことを挙げながら、いわき市民の安全・安心を考えたときに、原発をゼロにすることが市民の安全と安心につながると求めた経過がありました。渡辺前市長は、ひとしく国民に配電ができるのであれば、原発はゼロにすべきと考えているという答弁をされてきました。
さきのアンケートでも、渡辺前市長は同様の回答を寄せており、また、宇佐美氏は原発に依存しないエネルギー政策を確立したときに全廃というように、全廃の時期がいつなのかという問題はありますが、両者とも将来的には原発ゼロの立場を表明しておりました。ところが、清水市長の場合は、国の専管事項であり、原発を有する地元と国が話し合って決めることであると思うとしておりました。
原発事故で被災した本市と市民だからこそ、原子力エネルギー政策から早期に抜け出して安全で安心できる国土にできるよう国と東電に求めるべきであります。
市長になられてどのように考えているのか改めてお考えを伺います。
◎市長(清水敏男君)
エネルギー政策につきましては、外交・防衛政策などと並び、基本的に国の専管事項であり、国民の生活や経済産業の動向を踏まえながら、国が責任を持って判断すべきものと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
さきの原発事故において、市民が大きな被害を受けている地元の市長だからこそ、この問題にはもっと積極的に発言をしていく必要がある、私はそのように思います。今のような立場でおりますと、結局、原発政策、原発事故の問題についてもしっかりとした対応ができないのではないか、このような危惧も覚えるところであります。改めて、そこのところは熟慮をいただいて、どういう考えに立つのかはっきりさせていただきながら、今後、私自身もその問題、市長に改めて問うていきたいと思います。
次に、清水市長の公約などについて伺いたいと思います。
選挙戦ともなれば、立候補された皆さんが、さまざまな約束を有権者の皆さんに向けて発信をされます。私たち市議会議員も、選挙戦の中で市民の皆さんの声を政策化しながら、その政策の実現のために努力することを約束し、そのことが支持をされてこの議場に送られてきているわけであります。
残念ながら議員には予算編成権がありませんので、専ら市民の皆さんと一緒に、市長にその実現に向けて要望・要求をするという形でその政策の実現を図るための努力をするわけですが、市長の場合は全く立場が違います。市長には予算編成権があるわけです。この権限を行使しながら公約実現に向かうことができるわけであります。もちろん実現に向けての他の予算との調整という段階はあるわけですが、みずから公約の実現の道を切り開くことができる、ここが議員との大きな違いということになります。
いわき市長選挙で、清水市長は風格あるいわき市の実現を推進するとした8つの政策を初め、さまざまな公約を打ち出しております。
これら公約等は、清水市長にとってどのような意味を持つのかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
私は、このたびの市長選挙におきまして、医療、職・雇用、住居の3つの課題解消を公約として掲げ、8つの約束などを訴え当選させていただきました。私に与えられた使命は、私たちのふるさと・いわきを東日本大震災と原子力発電所の事故から可能な限り早く復興させることにあると考えており、これら公約等は、私が市政運営を行っていく上での目標としてしっかりと心に刻み、いわき市を再生させるため全身全霊をかけて市政運営に取り組み、私の公約の実現を図ってまいる考えであります。
◆10番(伊藤浩之君)
政治家一般にとっての公約という意味で、もっと端的にお答えをいただきたいと思います。
◎市長(清水敏男君)
公約に掲げましたことの実現に向け、一生懸命努力してまいりたいと思います。
◆10番(伊藤浩之君)
政治家にとっての公約というのは、これは有権者に対する約束でありますので、それを実現するために努力するのはもちろんでありますが、これを守っていく、あるいは責任を持って公約を打ち出していくというのが、やはり政治家の務めであると、私は思います。公約に責任を持たないということになれば、有権者の政治不信が大きくなって、選挙での低投票率の問題が生まれてきます。当選はしたけれど、圧倒的多くの方に支持をされないという状況の中で政治が進むわけで、これは政治家にとっても、また有権者にとっても不幸な事態だと言わざるを得ないと思います。
そこで、選挙中の論戦の1つとなった復旧・復興の進捗という問題について伺います。
選挙の論戦の中では、新人側が復旧・復興のスピードがないため、その加速化を図りたい、一方で現職が着実に復旧・復興の道筋をつけてきたので引き続き担っていきたい、大筋こういう論戦がありました。結果として、現職が選挙で敗れるという結果になったわけであります。
そこでまず、震災から2年7カ月がたちましたが、この間の復旧・復興の進捗状況について、市長はどのように評価しているのかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
本市の復興につきましては、市復興事業計画におきまして、被災者の生活再建を初めとして、5つの取り組みの柱ごとに多様な事業を位置づけ、平成27年度までには復興に向けた取り組みを完了することとしております。これまで一部の取り組みで課題やおくれがあるものの、本計画に基づき、一歩一歩着実に復興の歩みを進めてきたものと考えておりますが、一方で、復興の姿を市民の皆様に実感していただけてはいないことが閉塞感につながっているのではないかと認識しております。
◆10番(伊藤浩之君)
選挙戦の中で、また、選挙後の発言でもそうですが、スピード感を持って進めるとか、また、私自身も参加してお話を聞かせていただきましたが、青年会議所が行った立候補予定者の公開討論では、復興が70%ということを感じることができませんという趣旨の発言をされておりました。このときの進捗の状況についての考えと、今回の答弁には大きな開きがあるように思います。1つの根っこから枝葉が分かれたというような差ではなくて、そもそも根っこが違うと感じるんですが、市長はそのときの発言との違いをどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
◎市長(清水敏男君)
議員おただしの件でありますが、復興のスピードアップ化を図っていくことはもちろんでございます。そういった中で、市民の皆様がそれを感じることができないということは、情報の共有化あるいは復興の進捗をつぶさに市民に発信することができなかったことが、1つの要因ではないかと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
そういう違いではなくて、そもそもこの認識が違ったのではないかということを、そのときの発言と今回の答弁を聞くと感じるわけであります。結局、選挙戦の中で争われたこと自身が、今、市長がおっしゃったことがそのとおりであるとするならば、結局、市民に大いなる誤解を与える中で選挙戦が進んだのではないかと考えざるを得ないところがあるわけなんですね。そういう意味で、やはりその発言のあり方というのには、しっかりと注意を払って行うことが必要なのかなという感想を持ちます。
次の質問ですが、復旧・復興事業のスピードアップ化を図るとされております。
どのように図っていくお考えなのかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
ふるさと・いわきの一日も早い力強い復興と再生を果たすためには、市民の健康や雇用を守ること、市民の住環境を整えることが極めて重要でありますことから、医療、職・雇用、住居、いわゆる医・職・住における課題解消に向けた取り組みを、重点的かつ積極的に展開してまいりたいと考えております。また、福島県内原発の全基廃炉の実現など、市民の皆様との8つの約束の実現に努めるとともに、被災沿岸地域における生活基盤の再生に向けた取り組みの着実な推進とあわせ、フェイスブックなどを活用した積極的な市政情報の発信に取り組み、市民の皆様が復興を実感でき、将来に夢と希望の持てる明るく元気ないわき市の創造に向け、国・県との連携を図りながら、全力を挙げて邁進してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
できるだけ具体的な施策についてお伺いしたかったんですが、今の答弁の中にあったのは、これからの取り組みに対する決意ということとお伺いしました。具体化はこれからということなんでしょうが、ぜひ市民の期待に応えるスピードで、また、情報発信も含めてですが、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
私たちはつくる会と政策を議論する中で、震災後の渡辺市政のもとでの復旧・復興についてどう見るかということを、繰り返し繰り返し議論しました。市民の皆さんの中でのうわさや評判もありまして、その影響を受けた意見もありました。しかし、これには根拠がないということと、復旧・復興の事業が国・県の施策展開のスピードに左右される側面が大きいことから、復旧・復興のスピードを選挙で問題にすれば、有権者に誤解を与えることになると意見がまとまりました。このため、復旧・復興の事業については、渡辺市政から引き継ぎながら、これまで実現してこなかった高過ぎる国保税の引き下げや、一部損壊住宅への支援などで市民生活を支え、また、子供たちの教育環境を充実して学びを保障するなどの政策をまとめ、選挙ではこの実現を目指そうということになりました。残念ながら候補者を立てることができなかったので、このことを市民の皆さん、有権者の皆さんに問うことはできなかったわけでありますが、こうした立場から見ても、復旧・復興のスピード云々が選挙戦の中で争われたことは、大変残念な思いで聞いておりました。
次に、共立病院の建てかえ計画にかかわって伺います。既に提案説明で表明された中身も含むと思いますが、改めて伺います。
今度の選挙戦では、総合磐城共立病院の病床数を建てかえの基本計画にある670床にするのか、それ以上にするのかが論戦され、清水市長は、ベッド数を減らすことの是非を含め、新病院のあり方を再検討すると発言されたことが報道されておりました。
市長は病床数についてどのような見解をお持ちかお伺いします
◎市長(清水敏男君)
新病院における病床数につきましては、いわき地域の医療体制の現状や総合磐城共立病院の果たすべき役割を考慮すると、一定規模の病床の確保は必要と考えておりますが、新病院については、建設後、数十年の長期にわたる使用が想定されますことから、今後、加速する人口減少や高齢化のさらなる進展など、病院を取り巻く社会情勢の変化に柔軟に対応し、かつ将来にわたり持続可能な病院経営を見据えた適正な病床数を模索する必要があると考えております。こうした考えのもと、基本計画における病床数670床程度を基本としながら、市内人口の動向や将来の入院患者数の見通しなどについて、なお見きわめを図るとともに、現場の医師の意見も踏まえながら、将来を展望した必要な病床数について、建築基本設計の中で決定してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
基本的に、これまでの計画を踏襲していくんだという答弁であったと思います。また、今度の選挙の中では、この経営形態も含め再検討する必要があるともされておりました。
この経営形態について、清水市長はどのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
◎市長(清水敏男君)
経営形態のあり方につきましては、私は市長就任以来、さまざな視点から熟慮を重ねてまいりましたが、市病院事業中期経営計画に基づく各種取り組みの着実な推進により、昨年度においては、平成12年度以来、12年ぶりに黒字決算となるなど、経営状況に一定の改善が見られることを評価するとともに、次年度に予定される地方公営企業会計制度の大幅な改正なども見据えて、当面、病院事業管理者のもと、現行の地方公営企業法の全部適用を維持し、経営改善に向けたさらなる取り組みを進めていくことといたしました。
◆10番(伊藤浩之君)
次の質問ですが、これらの見直しをしながら、選挙後の発言では、78億円の補助金はいただく方向で進めたいとされてきました。事業の進捗と補助金の支給は、密接な関係を持っているものと考えております。市長は、見直しの公約で事業をおくらせながら補助金を活用していくことについて、どのように整合性をとっていくお考えですかという質問でありましたが、既に提案要旨説明、また、昨日の答弁の中でも78億円の補助をいただくことを前提に事業を進めると、平成28年度までに事業を完了することを目指すのだということでありましたので、これについては質問を割愛させていただきたいと思います。
私は、公約自体を見直した今回の判断内容は是認するところですし、今回、質問項目に挙げたのも、そういうことを市長に伝えたいからでありました。ただ、多くの皆さんが選挙中、あるいは選挙後に耐震工事をしているので、急いで建てかえる必要はないと訴えたことと、補助金をいただき平成28年度までに事業を進めるという考えには大きな格差・隔たりというものを感じるわけであります。選挙前後の市長の訴えを聞いた市民の皆さんは、その格差・差異がなぜ生じてしまったかということの説明を求めていると思います。
改めて、わかりやすく説明をお願いしたいと思います。
◎市長(清水敏男君)
私は9月28日の就任後、いろいろと精査をさせていただきました。補助金と事業計画の関係、あるいは市内医療関係者等の意向、あるいは事業展開をするに当たっての関係知見者等の動向や、病院内部のこれまでの対応、あるいは医師確保に関する当面の活動、あるいは経営形態の見直しに関する環境条件の整備状況等、熟慮に熟慮を重ねた結果でございます。
◆10番(伊藤浩之君)
選挙戦から1カ月しかたっていないという状況であります。選挙のときに、どういう情報を持っていたのかということが問題になるような感じがするんですが、同じ答弁の繰り返しになると思いますので、次に進みたいと思います。
次に、町外コミュニティについて伺います。
町外コミュニティをどのような形で設置するかは、将来の本市まちづくりに大きく影響するものと思います。これまで本市は、町外コミュニティの受け入れについて分散型で受け入れる希望を述べてまいりました。ところが、清水市長は町外コミュニティに関して集中型、分散型にこだわらないとおっしゃっております。
まず、集中型とはどのような内容を持った町外コミュニティなのかお伺いします。
◎行政経営部長[兼]危機管理監(本間靜夫君)
一般的には、災害公営住宅と役場庁舎や学校、病院などの公共施設等を組み合わせたものを、別の自治体の特定の場所に集中して整備するものとしてイメージされております。
◆10番(伊藤浩之君)
結局、一定の規模を持った開発行為を伴うコミュニティーのあり方だと思うんです。
こういう集中型を整備した場合の、将来の本市まちづくりへの影響をどのように捉えていらっしゃるでしょうか。
◎市長(清水敏男君)
集中型の町外コミュニティが整備される地域では、人口の集積が図られ、地域の活性化など、地域振興にプラスの効果が期待されるところであります。一方、組み合わせる公共施設等の種類や規模によっては、上下水道など新たなインフラ整備が必要になることや、住民の帰還が完了した場合はその後の跡地利用が課題となるなど、本市の都市計画に影響を与えることが懸念はされております。
◆10番(伊藤浩之君)
集中型がよいのか、分散型がよいのかを考える際に、現在の国などの考え方も踏まえていかなければならないと思います。少なくとも、国は、双葉郡の住民について、それぞれの町に早期に帰還することを前提に、除染を初めとした作業を進めております。おまけに、除染をしても十分に線量が下がらない現実がある中で、最近は、調査に訪れたIAEAが、追加被ばく線量の1ミリシーベルトにこだわらなくてよいというアドバイスをしていきました。また、原子力損害賠償紛争審査会が、避難命令解除後、1年で賠償を打ち切るという方針を打ち出しております。命令が解除されても、住民が帰還できないでいる現実は、広野町を見れば明らかです。緊急時避難準備区域が解除されて1年半余りが過ぎましたが、いまだに2割程度の住民しか帰還できないでいるわけであります。いずれにせよ、国はこういうことをしながら、帰還に向けての外堀をどんどん埋めているという状況があるわけですから、その中で集約型として整備することは妥当なのかという問題が発生してくると思います。早期の帰還が実現することになれば、集約型の町そのものが住民がいない町になってしまいかねないことになるわけですので、もし集約型を考えるのであるならば、先ほど述べたような、早期の帰還を迫るという国の考えを改めることを求めることがまず必要なのではないかと私は思います。町外コミュニティのあり方も、国の動向も見て、本市の将来のまちづくりという観点をしっかりと見据えて、慎重に考えていただきたいと思います。
次に、市街化区域の見直しについて伺います。
現在、市内での宅地不足が言われています。市長は、宅地の確保の観点から市街化区域を見直すという発言をされています。市街化区域は、公共投資を優先することになる地域になりますので、見直しで市街化区域をいたずらに広げることになれば、これも将来の本市のまちづくりと財政に影響を及ぼすことになります。
そこでまず、本市の市街化区域は現在どのようになっているのかお伺いします。
◎都市建設部長(伊藤公二君)
本市の市街化区域につきましては、昭和45年の当初指定以来、5回の見直しを経て、現在は約1万48ヘクタールとなっております。このうち、田、畑、山林などを合わせました未利用地の面積は約2,160ヘクタールで、市街化区域面積の約21.5%となっております。
◆10番(伊藤浩之君)
21.5%の未利用地がある。そこには畑も水田もあるというお話でありますが、それだけの未利用地があるという状況であります。
この市街化区域を拡大することによる本市への影響は、どのようなものがあるとお考えでしょうか。
◎都市建設部長(伊藤公二君)
市街化区域を無計画に拡大いたしますと、無秩序な市街地が低密度に拡散し、住環境の悪化を招くとともに、道路、公園、上下水道などの都市インフラ設備への初期投資や維持管理コストが多大となることが考えられるところであります。このため、市街化区域の拡大に当たりましては、住宅団地など計画的な市街地の整備が行われた地域を初め、人口や産業の将来動向を見通し、行政の政策等により位置づけられた区域を対象としまして、区域拡大と調整の図られた都市インフラの整備など、計画的な市街地の整備を行うこととしております。
◆10番(伊藤浩之君)
市街化区域の無秩序な拡大が、本市のまちづくりにとっては悪影響になるということだと捉えました。
市街化区域については適宜見直されることになっておりますが、本市市街化区域の見直しの状況は、どのようになっているのでしょうか。
◎都市建設部長(伊藤公二君)
線引き見直しに当たりましては、県からは震災の影響を踏まえた防災の視点に加え、今後の状況変化に応じた対応を検討するとの方針が示されておりましたが、本市における津波被災者の住宅再建や原発事故に伴う避難者の受け入れの増加等に伴い、宅地需要の増加や地価の高騰、交通渋滞の発生などのさまざまな影響が顕在化しつつありまして、市街化区域の拡大が求められている状況にあります。
このようなことから、市といたしましては、今後における県の復興公営住宅建設の候補地選定の見通しや、土地区画整理事業及び未利用地における民間開発等による宅地供給の状況等を見きわめながら、市街化区域の拡大も視野に、震災後における都市計画基礎調査の実施など、早期線引き見直しに向けた県との協議を開始したところであります。今後、市街化区域の拡大に当たりましては、市街化区域に近接し、道路などの必要な公共施設が既に整備され、または将来の整備が確実であるなど、土地利用計画との整合を図り、良好な住環境を形成する区域などを基本として、県と協議を進めてまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
見直すとしても、これまでの公共投資を生かして最小限の見直しにしたいという意向を持っているように、今の答弁を聞いて感じます。この見直しについても、人口減という現実を踏まえて慎重に対応されることをお願いしたいと思います。
次に、子育て支援等について伺います。
清水市長は、出産祝い金や放課後児童クラブの全小学校区への設置などの子育て支援、保育士の正規職員の配置、また、学校図書館司書を全小・中学校に配置することを公約しております。将来を担う子供たちが育つ環境整備に大いに取り組もうという姿勢には賛同をするところであります。
そこでまず、出産祝い金の公約について、どのように実現するお考えか伺います。
◎保健福祉部長(赤津隆彦君)
安心して子供を産み育てられる環境を整備し、市民福祉の向上を図るためには、子育て世代に対する支援が大変重要な要素であると考えております。このため、市としましては、子育て世代の経済的な負担を軽減し、さらなる子育て支援につながるような事業の創設及び内容について、検討してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
昨日の質問の中で、出産祝い金が安易な政策だというお話があって、その実現を求める質問というのも安易な質問なのかなという感想を持つところでありますけれども、ただ、学校の先生によく聞くんですが、子供たちの家庭に貧困が広がっているというお話がよくあるんです。そして、その貧困が子供たちの学力にも影響しているというのであります。こうした状況があるからこそ、何らかの形で家計を支援するということは決して安易なお話ではないと思います。子育て支援を充実させようという市長の考えには賛同するところです。きのうのお話ですと、現金で給付するか、現物で給付するのか云々というお話もありました。学校給食の無料化、また、パートで働いても保育料に消えてしまうという訴えもあります。保育料の引き下げを求める声もあるわけであります。現金給付か、現物給付か、子育て支援に異を唱える議員もいないと思います。市民の願いによく耳を傾けながら、また、議会ともよく話し合って子育て支援策の充実に向けて努力されることをお願いしたいと思います。
次に、放課後児童クラブの全小学校への設置については、どのように実現するお考えでしょうか伺います。
◎保健福祉部長(赤津隆彦君)
今後の放課後児童クラブの整備につきましては、74小学校区のうち、36小学校区が未実施であり、このうち国が定める実施対象要件であります利用児童数10人以上が見込まれる就学児童数100人以上の小学校区11カ所について、余裕教室を活用することを基本として、計画的に整備してまいりたいと考えております。その他の小学校区については、余裕教室の状況や保護者のニーズ等を勘案して、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
よく状況を見きわめながら進めていただきたいと思います。
市長は、いわき市の保育士の配置の現状について、先ほどのアンケートへの回答でもありますが、半数以上が非正規の状況は、公立の施設として望ましいものではなく、早期に改善すべきと考えるという考えを表明しておりました。
正規職員の配置拡大にどのように取り組む考えかお伺いします。
◎保健福祉部長(赤津隆彦君)
正規職員の配置につきましては、今後の保育需要や退職者数の推移、さらには民営化による影響等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
民営化の状況を見きわめながら検討するとおっしゃっておりますが、結局、この半数以上が非正規の状況というのは、そういう状況の中で延々と続けられるという状況になるんです。これが不正常な状況であるのは、これまでも議会の中で議論されてきたところであります。やはり、先ほどの質問の中でもありましたけれども、正規の職員をしっかりとふやしていくということに取り組んでいただきたい。このことを要望しておきたいと思います。
次に、学校図書館司書の配置は、渡辺前市長のもとで試行的に実施をされ、その結果を検証しながらその後の対応を検討するとされてきました。
今後、全小・中学校に配置する取り組みをどのように進めるお考えかお伺いします。
◎教育部長(加藤和夫君)
学校図書館司書につきましては、現在、学校司書設置事業として、今年度は平五小、御厩小、植田中に1名ずつ配置し、さらに長倉小を基幹校に、常磐地区の6つの小学校を担当する者を1名配置し、計4名の配置となっております。今後につきましては、本事業の目的である効果の検証や課題の洗い出しを行った上で、これらを踏まえて、全校配置に向け検討してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
この配置については、どの程度のスピードで進める考えがあるのかお伺いします。
◎教育部長(加藤和夫君)
できる限り速やかに進めてまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
早期に進めることを、ぜひお願いしたいと思います。
次に、職員の給与についてお伺いします。
国は、国家公務員給与の減額をしたことに伴って、地方公務員にも今年度の給与を国に見合って削減することを要請し、あわせて地方交付税の削減を行うことにしました。本市は、市長選前、給与削減は実施しないこととしましたが、清水市長は選挙前にもそういう発言をされておりますが、選挙後、改めて給与削減を検討するという表明をしておりました。
そこでまず、本市職員給与の民間との格差はどのようになっているのかお伺いします。
◎総務部長(石井和一君)
本市の職員給与につきましては、地方公務員法に定める均衡の原則に従い、県の人事委員会が県内の一定規模以上の民間企業の平均給与を調査して行います勧告の内容に基づき、県に準じて改定を行ってきているところであります。今年度につきましては、県の人事委員会が県内の民間給与との格差が極めて小さいことから、勧告を見送った状況を踏まえますと、本市の職員給与につきましても同様に民間給与との格差はないものと認識しているところでございます。
◆10番(伊藤浩之君)
民間との格差は非常に小さいという状況で給与改定をしない、それが今回の人事院勧告であったり、県の人事委員会の報告の結論であったわけであります。こうしたときに、給与を削減することには合理性はないと言わざるを得ないと思います。
そこで、職員給与のピーク時からの減額分はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
◎総務部長(石井和一君)
職員の給与がピークでありました平成10年度における一般行政職の平均年齢である42歳程度で、妻と子供2人を扶養しているモデル職員で比較をいたしますと、平成25年度におけます年収の見込みは約646万4,000円となり、平成10年度と比較をいたしますと約107万6,000円の減額となっております。
◆10番(伊藤浩之君)
民間の皆さんも大変な思いをしておりますが、公務員も同じように大変な思いをしているというのが、今の数字から見てもわかるんだと思います。職員給与の減額について、渡辺前市長のもとで実施しないことが決定をされ、清水市長は、他市でも実施しているので、いわき市としても検討するべきという発言をされております。
震災以降の職員の労働をどのように評価しているのかお伺いします。
◎市長(清水敏男君)
職員の皆さんは、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故という、未曽有の複合災害からの一日も早い復旧・復興のため、いわき市職員としての使命感を持って、津波被害に見舞われた沿岸域の復旧・復興や全市的な除染対策、風評の払拭など、直面するさまざまな課題の解決に向けて、震災直後から昼夜を問わず一致協力して、それぞれの職務に全力で取り組んでいただいているものと認識しております。
◆10番(伊藤浩之君)
そういう状況でありますので、きのうの西山議員の質問の中で、給与の削減については見送るんだと、行わないんだということが表明されておりますので、そのことは是にしたいと思います。
この給与削減を迫る国のやり方には、地方自治に対する介入だという批判があります。削減の見送りを決めた際の1つの理由は、各自治体の判断において自主的に定めるべきものであることとしていましたが、ここで表明されたことは、まさに地方自治の立場で判断するということだったと思います。本年度の人事院勧告も、また、県の人事委員会の報告も、官民格差は小さいとして給与改定は見送るという結論を出しております。市長に就任して最初の仕事が、よそもやっているからとか、国が求めているからなどということで給与削減の判断をなされるということになれば、本市の自主性、本市の自治が問われることになる、私はそう思っておりました。そうしたことから、昨日の答弁を是にするという思いでいるわけであります。この大きな項目の中、総じて、選挙前、選挙中そして選挙後の発言、こういったところからわずか1カ月の中で、復興の進捗状況もそうであります。新病院の建設計画もそうであります。そして、この給与の問題でもそうであるんですが、余りにも言動に開きがあるんではないかと感じております。
先ほど、公約について市長の口からは聞けなかったんですが、やはり議員にとってはそれを準備する過程でもしっかりと情報を集めて準備をするし、それについてはしっかりと守っていくことが必要だということを私は指摘したわけでありますが、公約あるいは選挙前、選挙中、そして選挙後の発言と現在の考えが、このように開きがある状況になったのはなぜか、市長はどこに原因があったと考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
◎市長(清水敏男君)
市長就任後、的確な状況分析に基づいて迅速な判断を行い執行することは、いわゆるスピード感を示す源泉と考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
そのとおりであるとは思うんですけれども、ただ、やはり発言したことの重みといいますか、発言したことに対する責任といいますか、そういうものはどうしてもついて回るのです。結果はオーライであったとしても、やはりその過程というのは遵守されなければならないと思いますので、市長には十分その点、今後の市政運営の中でも心に置いて、市政運営に当たっていただきたいと思います。
次に、イノシシの有害鳥獣の対応策についてです。
まず、イノシシの駆除には市イノシシ捕獲報奨金交付制度で対応し、そのための予算として1,500万円、1,500頭分の予算を計上しておりました。
本年度の実績はどのようになっているのでしょうか。
生活環境部長(鈴木秀幸君)
本年9月末現在の市イノシシ捕獲報奨金交付制度における捕獲実績は593頭でございます。
◆10番(伊藤浩之君)
593頭ということでありましたので、申しわけないんですが、時間がなくて最後の結論の質問だけにさせていただきたいと思います。
イノシシの捕獲については、わな及び巻狩りというのが行われております。
わなによる捕獲が実績として多いとは思うんですが、巻狩りの効果をどのように捉えていらっしゃるのかお伺いします。
◎生活環境部長(鈴木秀幸君)
巻狩りの効果といたしましては、複数の人員等によってイノシシを取り囲んで追い込むことにより、捕獲に至らなかった場合であっても、被害が発生している区域からイノシシを遠ざけることができる、追い払い効果があるものとされております。
◆10番(伊藤浩之君)
この巻狩りに対する支援策というのが、やはり十分ではないというか、ない状況の中で、ここに光を当ててほしいという狩猟者の声があるわけであります。
現在行われているイノシシ捕獲報奨金制度のほか、巻狩り等に対する支援制度を新たに創設して、有害鳥獣対策を充実すべきと思いますがいかがでしょうか。
◎生活環境部長(鈴木秀幸君)
市イノシシ捕獲報奨金交付制度におきましては、有害鳥獣対策の一環として、巻狩りも含め捕獲実績により報奨金を交付することとしており、平成24年度は目標とする事業量である1,500頭の捕獲頭数を達成するなど、狩猟者の協力がありますことから、一定の理解を得られているものと認識しておりますので、今後も現行制度を維持してまいりたいと考えております。
◆10番(伊藤浩之君)
ある地域では、区長会が弁当代を出しているというようなところもあるんです。そういう市民の努力を踏まえて再検討されることをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
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