第1原発のサブドレン水を浄化処理した海洋放出について、国と東電がいわきの漁業者に説明会を開いたことが17日に報道されました。説明会終了後、東京電力ふくしま復興本社の石崎芳行代表が、「技術的な説明については一定の理解を頂いと思う」とコメントしたといいます。今回の説明もあくまで漁業者に向けたもの。このような説明の仕方で良いのか、あらためて疑問の思いがわき上がってきます。国や東電が漁業権を持つ漁業者に説明することは当然のことです。しかし、これでとどまって良いのか、と思いを強くします。
サブドレン内の浄化水放出に関する説明ついて報道する福島民報=2015/01/15
農作物でも同様のことが言えますが、福島県産、いわき産からセシウム等が基準値以内でも、あるいはほとんど検出されていなくても、産地を見て購入をためらう傾向――いわゆる風評被害の問題があります。これはセシウムの数値をどうとらえるかについて、個人間に考え方の違いあるから生じてくるものと思います。
漁業者が「一定の理解」をしたという「技術的な説明」は、漁業者以外にはされていません。つまり県民、市民、そして広く全国のみなさんは「技術的な説明」を理解する機会がないのです。汚染されたサブドレン水を浄化処理してもトリチウムは残ります。その水を海洋放出するわけです。そのトリチウムを一定放出しても安全だというなら、その理由をしっかり説明することが必要ですが、この面でも一般の市民は蚊帳の外に置かれているわけです。
この状況の中、仮に漁業者が海洋放出を了解した時に何がおこるのか。「認めた漁業者が悪い」と批判の矛先が一定程度漁業者に向きかねないという危惧を覚えます。
先だってある方から聞きました。どこでの話だったのか失念しましたが、ある店頭で消費者の話しが耳に入ったそうです。福島県産の農産物が店頭にあるのは「農業者が作るから悪い」と批判が農民に向いていて愕然とした、というのです。「農産物を汚染の危機にさらす原因を作った東電や国を責めるのなら分かる。作った人を責めるのはおかしい」と感じていると話していました。
水産物でも同じことがおきかねません。水産物の放射性物質の量にかかわらず、福島産の水産物が店頭に並ぶのは「漁をした漁業者が悪い」
「水を流すことを了承した漁業者が悪い」となりかねないのです。しかし、漁をした漁業者が悪いわけではありません。線量の測定をした上で、国の基準に照らして問題がないものを出荷しているわけですから。問題があるとすれば、水を放出した東電、それを認めている国にあります。
こうした考えもあって、以前にいわき市議会の東日本復興特別委員会で東電と国に、トリチウムに関して質問したことがありました。その時の模様は本ブログの2014年4月24日の投稿に記載しています(= http://blog.goo.ne.jp/hiroyuki19601121/d/20140424 )。
原発事故前も大気と海洋合わせて4兆ベクレルのトリチウムを放出していたのが東電福島第一原発です。汚染水で排出されるのはそれに比較して十分小さい値なので大丈夫というのが東電や国の考えなのでしょう。しかし、そのことを含め、安全性の根拠を国民に説明することを求めたのですが、いまだに実施する気配はありません。
風評被害払拭のためには、原発事故の現状を国民に正しくわかっていただき、放射性物質の汚染状況とその影響について、東電や国が国民に繰り返し説明して理解を広める努力をすることです。
サブドレン水の排水が問題無いと考えるならば、漁業者への説明にとどまらず、いわき市民、福島県民、そして国民に直接説明することが何よりも大切だと思います。東電、国にこのような機会を求めていきたいと思います。
サブドレン内の浄化水放出に関する説明ついて報道する福島民報=2015/01/15
農作物でも同様のことが言えますが、福島県産、いわき産からセシウム等が基準値以内でも、あるいはほとんど検出されていなくても、産地を見て購入をためらう傾向――いわゆる風評被害の問題があります。これはセシウムの数値をどうとらえるかについて、個人間に考え方の違いあるから生じてくるものと思います。
漁業者が「一定の理解」をしたという「技術的な説明」は、漁業者以外にはされていません。つまり県民、市民、そして広く全国のみなさんは「技術的な説明」を理解する機会がないのです。汚染されたサブドレン水を浄化処理してもトリチウムは残ります。その水を海洋放出するわけです。そのトリチウムを一定放出しても安全だというなら、その理由をしっかり説明することが必要ですが、この面でも一般の市民は蚊帳の外に置かれているわけです。
この状況の中、仮に漁業者が海洋放出を了解した時に何がおこるのか。「認めた漁業者が悪い」と批判の矛先が一定程度漁業者に向きかねないという危惧を覚えます。
先だってある方から聞きました。どこでの話だったのか失念しましたが、ある店頭で消費者の話しが耳に入ったそうです。福島県産の農産物が店頭にあるのは「農業者が作るから悪い」と批判が農民に向いていて愕然とした、というのです。「農産物を汚染の危機にさらす原因を作った東電や国を責めるのなら分かる。作った人を責めるのはおかしい」と感じていると話していました。
水産物でも同じことがおきかねません。水産物の放射性物質の量にかかわらず、福島産の水産物が店頭に並ぶのは「漁をした漁業者が悪い」
「水を流すことを了承した漁業者が悪い」となりかねないのです。しかし、漁をした漁業者が悪いわけではありません。線量の測定をした上で、国の基準に照らして問題がないものを出荷しているわけですから。問題があるとすれば、水を放出した東電、それを認めている国にあります。
こうした考えもあって、以前にいわき市議会の東日本復興特別委員会で東電と国に、トリチウムに関して質問したことがありました。その時の模様は本ブログの2014年4月24日の投稿に記載しています(= http://blog.goo.ne.jp/hiroyuki19601121/d/20140424 )。
原発事故前も大気と海洋合わせて4兆ベクレルのトリチウムを放出していたのが東電福島第一原発です。汚染水で排出されるのはそれに比較して十分小さい値なので大丈夫というのが東電や国の考えなのでしょう。しかし、そのことを含め、安全性の根拠を国民に説明することを求めたのですが、いまだに実施する気配はありません。
風評被害払拭のためには、原発事故の現状を国民に正しくわかっていただき、放射性物質の汚染状況とその影響について、東電や国が国民に繰り返し説明して理解を広める努力をすることです。
サブドレン水の排水が問題無いと考えるならば、漁業者への説明にとどまらず、いわき市民、福島県民、そして国民に直接説明することが何よりも大切だと思います。東電、国にこのような機会を求めていきたいと思います。
ただその努力の成果を、地元の方でもあまりご存じない様子がうかがわれるブログを見まして、要らぬお世話とは思ったのですが地元でも誤解がある事は漁業水産、観光関係者の方々にも残念な事と思いますので、ご連絡します。
被災チェロと東北への旅 (17) <名物あんこう鍋>
http://blog.hokkaido-np.co.jp/enjoy-cello/2014/12/post-569.html#comments
<いわき放射能市民測定室・たらちねへ100万円>
http://blog.hokkaido-np.co.jp/enjoy-cello/2015/01/post-605.html
いわきのアンコウやアワビが大変に汚染されている、と言った話を地元の方に聞かれたようです。
http://www.fsgyoren.jf-net.ne.jp/kensakekka-iwaki.pdf
もちろんいずれも検査結果が公表され、全く問題ないと確認済みで出荷されています。
このような誤解も「地元の方の話」であれば事実として受け取られ、またその話をご自身の地元や、遠方の知人友人にお話しになり、実態を伴わないまま「福島の水産物は危ない」というイメージだけが伝播、拡散することは想像に難くない事ですし、またその結果が現状の一因でもあるのではないかと感じました。
(このブログの方のようにネットで発信し、かつ演奏家として各地を回り、その土地の人と交流することが多い方なら尚更では)
このような誤解を少しでも防ぐためには、上記の漁連の写真入り資料をパンフなどにして主だったお店に置いて頂き、質問にはお店の方がお答えになれるように情報共有にご協力頂くなど、HPで公表する以外に、もっとアナログな方法もよいように感じられました。
(ただ誤解の発生にも、事故で味わった恐怖、不利益、国や東電への深い不信感が作用しているとしても致し方ないことと思いますが…)
以上、不躾なコメントをどうぞお許しくださいますよう。
最後になりましたが、現在苦境にある方々が少しでも早く平穏を取り戻せますよう、いわき、浜通りそして福島県の皆さまの今後が、希望と実り多いものでありますよう、祈念しております。
大切なことは放射性物質の影響のとらえ方をきちんとすることです。放射性物質があれば問題ではなく、どの程度あるのかが問題なのだということです。
ここを抜きにして、放射性物質があればたとえ少量でも許されないとするのは行き過ぎなのだろうと感じています。
原発事故がおこったもとで、この福島で多くの方々が暮らしているという現実を踏まえるならば、そこにある放射性物質の状況を把握しながら、その被ばく量を少なくするための生活を作り上げることだと思っています。もちろん何の対応も必要ないという選択肢もあるでしょう。
現在、市内では食材や体内被曝をはじめ様々な検査が行われています。ブログにも紹介しましたが、自家消費用食材には、これまでも受検が容易になる装置も新たに導入されることになります。
行政の行う測定方法や情報周知に批判がでる場合もありますが、これも必要なら是正しながら旺盛に取り組ん行く必要があると思っています。
原発に反対することと、原発事故が起こったもとで放射性物質が飛び散った範囲の地域で暮らすという選択をすることは全く別物です。事実を事実として踏まえ、そして事実を伝えながら、この福島で暮らしていければ幸いです。