21日の記事は、県内の生産者は「これまでの地道な努力が無駄になる」(薄磯裁縫組合)と海洋放出に反対し、農家も「処理水の科学的な安全性が国内外に十分伝わっていない状況で海に流せば、風評被害が再び広がってしまう」(会津坂下町)と対策の不十分さを指摘していると伝える。
再三、私自身も求めてきたが、原発の汚染水の問題で、風評被害を根本的に抑えるために、稼働してきた、あるいは稼働している全ての原発がトリチウムなど放射性核種を排出してきた実態も含めてトリチウム水の安全性を国自身の責任で国民向けに説明し、トリチウム水に対する理解と合意を広げることが、何よりも優先して実施されなければならない。こうして、トリチウムに対する判断材料を国民が等しく持って、判断してもらい、それでも風評被害が発生する場合に備えて対策を講じることが必要だと考えている。
いわき市議会が採択した意見書でも、同様の内容を含んだ上で、これらがされるまでは処理水の陸上保管を継続するよう求めている。
トリチウムに関する科学的な説明が国民に向けてされていないことの問題点は、19日付けの政府小委員会の委員も指摘している報じられている。
記事はこう書く。
政府原子力災害現地対策本部長を務める江島潔経済産業副大臣は十六日の福島民報社のインタビューで、トリチウムに関する国民の理解が十分に及んでいない現状を認めた。江島氏は「正直言ってなじみがない。トリチウムとは何かを答えられる一般国民は本当に科学に精通した人ぐらいだろうと思う」との認識を示した。
トリチウムが出す放射線は弱く、紙一枚でも遮断できる。国内外の原発や核燃料再処理施設からトリチウムを含んだ水は既に会溶出されており、環境への影響は報告されていない。こうした事実を踏まえ、江島氏(経済産業副大臣)は科学的に正確に伝えればトリチウムは恐ろしいものではないと分かってもらえるとした上で、これまでの国の取り組みの甘さを認めた。「努力が経産省として十分でなかった点はあるかもしれない」
さらにこの記事は、政府が小委員会の報告書に対応に当たって、処理水の性質や処分方法について「一般の国民向けに説明をする機会は設けなかった」と指摘した上で、小委員会が「全ての人々の不安が払拭されていない状況では、処理水を処分した場合に風評被害を生じうることは想定すべき」と指摘していることを紹介している。
私が最初にこのことを国や東電の担当者達に求めたのは6年前のことになる。市議会の特別委員会の席上だった。この時問題になっていたのが、事故を起こした原子炉に流れ込む前にくみ出した地下水を海に放出する「地下水バイパス」計画が問題になっていた時だ。原子炉に触れてはいないが、地下水も汚染されている可能性がある。この計画では、地下水のトリチウム量を1リットル当たり1,500bq以下に薄めた上で、海に放出したいとしていた。
この問題をめぐる質疑の中で、先の問題を質疑したのだ。「検討したい」が答えだったと思うが、結局、国はこの6年間、国民に向けた説明に力を入れることはなかった。そして、2年後の処理水の対応開始・・海洋放出の可能性が高いと伝えられているが・・に向けて、慌てて風評対策とトリチウム水の説明をしていきたいと言い出しているのだ。
平沢復興大臣が、「(政府が処分方針を決定した)後であろうとも国民や県民に理解、納得いただけるような取り組みや努力が絶対に必要だ」との認識を示した(20日、福島民報)と報じられている。
国民に向けた説明は当然のことだが、私は、この問題はあえて段階論的に進めることが必要だと考えている。まずは、トリチウムなど処理水に対する共通の科学的知見を国民的規模で持つことが出来るように政府や電力会社が国民に向けて説明・理解を広げること、この後に、処理水に関する対応を決定し風評被害対策も含めて対応を関係者・国民に説明すること。このように2段階で進めることが必要だと考えている。
トリチウムに関する国民的理解が広がるならば、風評被害のおきにくい土壌を作られることになる。こういう段階になれば、処理水対応についても国民的に冷静な受け止めをしていただけるようになり、関係者も対応策を受け入れやすい状況になるだろう。もし、トリチウムに関する国民的理解が広がらないなら、放出以外の対応策を検討するしかないのだ。
東電は、約2年で処理水を保管する陸上のタンクがいっぱいになるという。そこまで問題を放置してきたのは、国の責任であり、東電の責任だ。国民的な説明を求めていたのは6年前の私ばかりでなく、多くの方がそのような説明を求めていたのではないだろうか。こうした求めにまともに取り合わず、発生する問題解決を先送りにしてきた。その責は、国・東電自身が負うべきだ。
仮にここで対応方針を決定し、タンクがいっぱいになるスケジュールにあわせて、トリチウムと処理水の対応方針の説明をしていくことにするならば、国・東電が負うべき責任を関係者等に転嫁することになる。これまでも同じような対応をして、関係者・被災者を苦しめてきたことと同じ事を、再び繰り替えすることになるのだ。
その意味での、方針決定という国の考えを優先させながら、「国民や県民に理解、納得いただけるような取り組み」を進めるという復興大臣の考えは、不十分なものとしか言えない。方針決定を先延ばしにして、まずは、トリチウムに関する国民的な理解を広げるための説明をただちに開始すべき
今月末の方針決定の政府の意向を踏まえて、連日、トリチウム水関連の記事が紙面を埋めている。しかし、こうした報道は県内だけなのだろう。全国的にはこのような報道になっていないに違いない。その意味でも、まずはトリチウム水に関する国民的な理解を広げるための、政府の特別な努力が求められている。
そのことに真剣に取り組む事が、被災地や被害者の願いに応える道なのではないだろうか。政府には検討を願いたいものだ。
再三、私自身も求めてきたが、原発の汚染水の問題で、風評被害を根本的に抑えるために、稼働してきた、あるいは稼働している全ての原発がトリチウムなど放射性核種を排出してきた実態も含めてトリチウム水の安全性を国自身の責任で国民向けに説明し、トリチウム水に対する理解と合意を広げることが、何よりも優先して実施されなければならない。こうして、トリチウムに対する判断材料を国民が等しく持って、判断してもらい、それでも風評被害が発生する場合に備えて対策を講じることが必要だと考えている。
いわき市議会が採択した意見書でも、同様の内容を含んだ上で、これらがされるまでは処理水の陸上保管を継続するよう求めている。
トリチウムに関する科学的な説明が国民に向けてされていないことの問題点は、19日付けの政府小委員会の委員も指摘している報じられている。
記事はこう書く。
政府原子力災害現地対策本部長を務める江島潔経済産業副大臣は十六日の福島民報社のインタビューで、トリチウムに関する国民の理解が十分に及んでいない現状を認めた。江島氏は「正直言ってなじみがない。トリチウムとは何かを答えられる一般国民は本当に科学に精通した人ぐらいだろうと思う」との認識を示した。
トリチウムが出す放射線は弱く、紙一枚でも遮断できる。国内外の原発や核燃料再処理施設からトリチウムを含んだ水は既に会溶出されており、環境への影響は報告されていない。こうした事実を踏まえ、江島氏(経済産業副大臣)は科学的に正確に伝えればトリチウムは恐ろしいものではないと分かってもらえるとした上で、これまでの国の取り組みの甘さを認めた。「努力が経産省として十分でなかった点はあるかもしれない」
さらにこの記事は、政府が小委員会の報告書に対応に当たって、処理水の性質や処分方法について「一般の国民向けに説明をする機会は設けなかった」と指摘した上で、小委員会が「全ての人々の不安が払拭されていない状況では、処理水を処分した場合に風評被害を生じうることは想定すべき」と指摘していることを紹介している。
私が最初にこのことを国や東電の担当者達に求めたのは6年前のことになる。市議会の特別委員会の席上だった。この時問題になっていたのが、事故を起こした原子炉に流れ込む前にくみ出した地下水を海に放出する「地下水バイパス」計画が問題になっていた時だ。原子炉に触れてはいないが、地下水も汚染されている可能性がある。この計画では、地下水のトリチウム量を1リットル当たり1,500bq以下に薄めた上で、海に放出したいとしていた。
この問題をめぐる質疑の中で、先の問題を質疑したのだ。「検討したい」が答えだったと思うが、結局、国はこの6年間、国民に向けた説明に力を入れることはなかった。そして、2年後の処理水の対応開始・・海洋放出の可能性が高いと伝えられているが・・に向けて、慌てて風評対策とトリチウム水の説明をしていきたいと言い出しているのだ。
平沢復興大臣が、「(政府が処分方針を決定した)後であろうとも国民や県民に理解、納得いただけるような取り組みや努力が絶対に必要だ」との認識を示した(20日、福島民報)と報じられている。
国民に向けた説明は当然のことだが、私は、この問題はあえて段階論的に進めることが必要だと考えている。まずは、トリチウムなど処理水に対する共通の科学的知見を国民的規模で持つことが出来るように政府や電力会社が国民に向けて説明・理解を広げること、この後に、処理水に関する対応を決定し風評被害対策も含めて対応を関係者・国民に説明すること。このように2段階で進めることが必要だと考えている。
トリチウムに関する国民的理解が広がるならば、風評被害のおきにくい土壌を作られることになる。こういう段階になれば、処理水対応についても国民的に冷静な受け止めをしていただけるようになり、関係者も対応策を受け入れやすい状況になるだろう。もし、トリチウムに関する国民的理解が広がらないなら、放出以外の対応策を検討するしかないのだ。
東電は、約2年で処理水を保管する陸上のタンクがいっぱいになるという。そこまで問題を放置してきたのは、国の責任であり、東電の責任だ。国民的な説明を求めていたのは6年前の私ばかりでなく、多くの方がそのような説明を求めていたのではないだろうか。こうした求めにまともに取り合わず、発生する問題解決を先送りにしてきた。その責は、国・東電自身が負うべきだ。
仮にここで対応方針を決定し、タンクがいっぱいになるスケジュールにあわせて、トリチウムと処理水の対応方針の説明をしていくことにするならば、国・東電が負うべき責任を関係者等に転嫁することになる。これまでも同じような対応をして、関係者・被災者を苦しめてきたことと同じ事を、再び繰り替えすることになるのだ。
その意味での、方針決定という国の考えを優先させながら、「国民や県民に理解、納得いただけるような取り組み」を進めるという復興大臣の考えは、不十分なものとしか言えない。方針決定を先延ばしにして、まずは、トリチウムに関する国民的な理解を広げるための説明をただちに開始すべき
今月末の方針決定の政府の意向を踏まえて、連日、トリチウム水関連の記事が紙面を埋めている。しかし、こうした報道は県内だけなのだろう。全国的にはこのような報道になっていないに違いない。その意味でも、まずはトリチウム水に関する国民的な理解を広げるための、政府の特別な努力が求められている。
そのことに真剣に取り組む事が、被災地や被害者の願いに応える道なのではないだろうか。政府には検討を願いたいものだ。
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