※本文中太字が質問項目になります。
1 市民の暮らしの現状について
(1)本市市民の暮らしの現状について
10番、日本共産党・市民共同の伊藤浩之です。
まず、市民の暮らしの現状について伺います。
経済のグローバル化に伴い、人々の経済格差の拡大が問題になっていますが、国際援助団体のオックスファムの報告によると、世界に2,153人いる10億ドル=1,100億円以上の資産を持つビリオネアの富の総計額は、その他の46億人の富の総計よりも大きいとされています。
詳しく見ると、世界の富裕層上位26人が、所得が低い世界の人口の約半数38億人と同じ額の資産を独占しており、富裕層の上位43人が下位半数と同じだった前年の推計より、さらに格差が拡大しています。
先に紹介したビリオネアには、32人の日本人が含まれていますが、こうした富の偏在はグローバル企業によるタックスヘイブンや富裕層への優遇税制、法人税の過剰な引き下げ、医療など福祉や教育予算の削減などの新自由主義的政策によってもたらさられているもので、報告は富裕層への課税の適正化が必要と指摘しています。
格差の拡大で国民には生活不安が広がっています。
介護資格学校を運営する株式会社ガネットが昨年12月にインターネットを通じて、定年退職を控える50代の男女319人と定年後も働く60代の男女259人に、定年後の働き方に関して聞いています。この結果、定年後、働かないことに不安を感じている層が8割に達していたといいます。
不安に感じる理由は老後の生活資金が91.8%と大半を占めていました。また、老後に向けて貯蓄をしていない人が24.1%で、老後の生活のために2,000万円の貯金が必要と言われる中、ほぼ4人に1人が貯金さえできていないという実態が浮き彫りになっていました。
安倍内閣は、定年退職の年齢以降も働き続けることができる一億総活躍社会と言っていますが、実態は、働きたいから働き続けることを選択する社会ではなく、生きていけないから働く社会になっているわけです。
この国民の経済的な困難を本市でも強く意識させたのが、本市が実施した「いわき市子どもの生活実態調査」の結果でした。
この調査は、小学5年生と中学2年生、それぞれ1,500世帯を対象に昨年実施され、74.8%の回答を得ています。その中で生活に困窮あるいはその周辺にある層となる世帯の合計は20.6%に達していました。実に5世帯に1世帯が生活に困難をきたしている結果には驚きを禁じえません。
家庭の経済状況が、子どもの将来にマイナスの影響をもたらす貧困の連鎖が言われます。本市の実態を見て、子ども達の未来と、本市の未来を創造した時に、危惧を覚えるのは私ばかりではないと思います。
本市市民の生活の向上のために、所得の向上を図ることが求められています。そのためには収入を増やすような社会的な仕組みを作ることが必要です。
全国一律に最低1,000円以上の地域最低賃金とすることを求める声があります。本市は、このような地域最賃のあり方をどのようにお考えでしょうか。
地域最賃の引き上げには、大企業等の下請けとなって、日本産業を屋台骨で支えている中小企業の経営を守る仕組みや支援を合わせて構築することは欠かせないものとなります。合わせて、政府・国に対して求めていくことが重要になっていると考えます。
(2)本市の経済状況と消費税の影響について
さて市民が厳しい経済状況に置かれる中で、昨年10月1日、食料品等をのぞく消費税が10%に増税されました。お金がたくさんある人も、あまりない人も、等しく課税され、所得が少ないほど負担が大きい逆進性を持つ消費税の増税は、本市市民の生活に多大なダメージを及ぼす最悪の政策でした。
それは、今年1月、福島民報と福島テレビが共同で実施した県民世論調査にも表れております。安倍内閣の不支持が13.6%上昇して53.9%となったこととともに、政策では景気経済対策を望む声が最も多くなっている内容でありました。
また、震災復興事業が終期を迎える中で本市の雇用状況にも陰りが見えております。
本市の今年度の有効求人倍率は、4月、5月こそ前年度より0.3%高かったものの、6月以降は上昇に転じた昨年とは違って下降を続け、9月には最大で前年同月比で0.12ポイント低い1.47まで落ち込みました。
台風第19号等で被災した10月から上昇に転じほぼ前年並みを回復していますが、災害復旧に関わる一時的な効果にすぎないと考えられますので、増税はなおさら市民の暮らしに大きな悪影響を与えたものと思います。
そこで、まず、市長は、本市の経済状況をどのように把握しているのか、伺います。
また、昨年10月1日に実施された消費税増税の影響が本市の経済にどのような影響を及ぼしているとお考えでしょうか、お示し下さい。
(3)政府新年度予算案の市民生活の影響等について
増税の一方では、社会保障での給付の削減も検討されています。これも市民生活には大きな影響をもたらします。。
政府の新年度予算案で社会保障費は、全学生の9割が対象外となる低額所得世帯向け就学支援制度が加わるなど、見かけは大きくなっていますが、高齢化が進む中で引き続き自然増を抑制する政策をとられています。
また、医療では75歳以上の窓口負担を低所得者も含め1割から2割に増額、介護では、月収で10万円から12万9,000円の低年金者の施設入所時の食事負担を月額で2万2,000円引き上げる検討をし、さらに20年度の年金支給額は実質0.3%引き下げられます。
安倍政権の最近の看板政策の「全世代型社会保障」の実態は「全世代切り捨て型社会保障」ではないかと批判もされています。
一方、新年度予算の地方財政を見ると、地方交付税が16兆5,882億円となるなど、ほぼ例年並みの財源が確保されていますが、引き続き抑制基調にあると言われており、本市財政は、健全性を維持しながらも、社会保障関係経費の増加や公共施設の老朽化対策等、震災からの復興と地方創生に向け、「多額の財政需要が見込まれるため、財政調整基金等を取り崩して対応せざるを得ない」という財政となっています。
この中、本市は、市民生活を支えるためどのように対応するのでしょうか。
年金支給の抑制は、高齢者の受診抑制等による健康への影響、消費の抑制等による高齢世帯の暮らしへ多大な影響を与え、本市にもマイナスの影響になると考えます。市長はその影響をどのようにとらえ、市民の健康と暮らしを擁護する施策を新年度はどのように進めていくのか伺います。
また、低年金者の施設入所時の食事負担の月2万2,000円の引き上げは施設利用の抑制につながり、介護難民を生み出す結果、介護保険制度導入のきっかけとなった老々介護などによる不幸な事態を繰り返すことにつながりかねません。市長は、市民が介護の心配がなく安心して生活を送ることができるように、国に対し、引き上げには問題があると意見すべきと思いますが、いかがでしょうか。
2 市長の年頭所感と新年度予算案等について
(1)本市新年度予算案の特徴等について
今議会に提出された総額1,489億7,889万4,000円の新年度一般会計予算案は、「未来につなぐいわきの復興・創生予算~災害を克服し、共に創る『いわき新時代』~」をスローガンとして、「『いわき新時代の』の礎」となる、「魅力あるいわきの創生に向け『共創』によるまちづくりを進めていく、としています。
そのために予算編成では、
一つには財政の健全性を保つとしています。財政の健全性を保つために、どのような点に留意されて予算編成を行ったのでしょうか。
二つには市民福祉の増進と将来世代への責任を同時に果たすとしています。そのための予算編成とするために、どのような点に留意されたのでしょうか。
三つには、東日本大震災の復興の総仕上げを最優先で進めるとしています。総仕上げを最優先とするためにどのような事業に取り組むのでしょうか。
(2)年頭所感と災害を克服する力強いまちづくりについて/span>
市長は1月7日、年頭所感を公表しました。私はこの年頭所感を読んで、「災害を克服し共に創る『いわき新時代』」というタイトルとは裏腹に、災害克服の力強さも、新しい時代への希望も膨らませることができませんでした。
昨年12月定例会でも述べたように、台風の被災者は被災直後から生活再建への手がかりを手探りしていました。その被災した市民が希望を持てるように、年頭所感では、本市が災害復興や市民の暮らしの復興への支援にどのように力を尽くすのか、具体的に率直に語られることが待ち望まれていたと思います。
しかし、肝心の災害への対応に関しては、多くの部分を昨年末に設置した検証委員会の結果を受けた対応に先送りしてしまいました。ここに、所感の上滑り感を強く感じました。
そこでまず、年頭所感を公表する意義はどのようなものなのか、市長のお考えをお示し下さい。
新年を迎え1月には、例年に見られない異常な気象状況を体験しました。28日から降り始めた雨は、翌29日の11時までに気象庁のアメダスで143mmを観測するなどの大雨になり、大久川及び仁井田川沿いの住民に避難勧告が発令されました。
極めて異例な大雨ですが、地球温暖化が進み、これに伴う気象変動が引き起こされていると指摘されている昨今を考えれば、これまでの常識では推し量れない事態が引き起こされても何の不思議もないと思えます。
昨年本市に被害をもたらした台風の襲来も、その原因は、海水温の上昇などの気象変動の影響と考えられており、今後は過去の常識にとらわれない対応が重要になっていると考えられます。近年4月の大雨被害もありました。
いつ災害が来るか分からない。あるいはいつでも災害が発生する可能性がある。この観点にたてば、災害対応の準備は待ったなしで進めることが必要だったはずです。
年頭所感で、台風第19号等による災害対応について検証委員会の検証結果を踏まえて改善すると先送りしてしまったことは、被災者の暮らしと生業の再建の障害になり、スピード感に欠ける対応となってしまったと考えます。
本年1月の大雨という異例の気象状況も踏まえ、被災住民をはじめ市民に安心感を持って暮らしと生業の再建に早期に取り組んでいただけるように、本市はどのように対応していく考えでしょうか。
私は、年頭所感では、市独自の災害対応の改善と並行して検証委員会の検証を進め、検証委員会の検証結果で災害対応の総仕上げを図るとうい観点で具体的対応を盛り込み、被災者、そして市民の安心を確保し、生活や生業再建意欲を持ってもらうという観点が必要だったと思います。
さて、本市は福島県に対し被災した堤防等に関して、もとに戻すだけの原型復旧ではなく、河道掘削や堤防がない区間の築堤なども含めた改良復旧を求めています。
県は、改良復旧に含みを持たせながら査定をすすめており、次期出水期までには被災堤防等の復旧作業を終える目標をもって作業を進めていると聞いています。
年頭所感は、「災害からの復旧」の今後について、「発災前よりもさらに強靭な防災・減災の仕組みが必要不可欠」とし、新年度一般会計予算案では、「台風第19号等による災害からの復旧と災害を克服する力強いまちづくりに重点的に取り組む」としています。
新年度予算案で災害を克服する力強いまちづくりには、具体的にどのような事業が盛り込まれているのでしょうか。
(3)復興の総仕上げとトリチウム水への本市の対応について
「復興の総仕上げ」という時に、本市の事業のみの視点から語ることは、はなはだ不十分という印象をぬぐえません。
東日本大震災は、巨大地震と津波による災害に加え、東京電力福島第一原子力発電所の炉心溶融と放射性物質の放出という災害が加わった人類が体験したことがない最悪の災害でした。原発事故という災害の特殊性ゆえ、長期にわたる被害をもたらし続けることが予想されます。
地震や津波による被害に対応するハード面での市の復興事業は、確かに収束に向かいつつありますが、被災地のコミュニティをどう取り戻すかという地域づくりの課題も残っているなど、被災地や住民的な観点から見た「復興の総仕上げ」は、まだまだこの先のことと思われます。
1月22日放送の羽鳥真一のモーニングショウで「継ぐ女神」のコーナーに、四倉町の大川魚店が登場し、震災とお店の再建を地域の復興につなげようという店主ご夫妻の思いが感動をもって紹介されていました。番組のなかで、被災地の住民が「失ったものがもとのように復旧することによって元気を取り戻せる」と語っていました。このことからも、津波被災地にコミュニティを取り戻すことをもって初めて「復興の総仕上げ」を一段進めたと胸を張ることができるものと思います。
本市が始めた「空き地バンク事業」によって、被災地に人が戻り、まちとコミュニティが再建されることを心から願いたいと思います。
また、事故原発の廃炉作業が続く現実を踏まえると、この面からも「復興の総仕上げ」はまだまだ先の課題と思わざるをえません。
そこでまず、
市長は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関して、年頭所感では「汚染水対策も含めた廃炉の取り組みや適正な損害賠償の実施等」について、「引き続き、国及び東京電力に対して、確実に実施するよう、私自ら強く申し入れる」としています。
これまでどのようなことを申し入れ、
どのような成果があったと捉えていらっしゃるのか、うかがいます。
「復興の総仕上げ」を考える時に、今、社会的にも大きな問題になっている、汚染水を処理した後に残るトリチウムを含んだ処理水の問題を脇に置くことはできないと思います。
常磐沖での漁業という市民の生業を復興させるためには、トリチウム水の処分から発生しかねない風評という問題と対峙せざるをえず、この風評の克服なくして生業の復興はおぼつかない状況にあるからです。
今後の原子力発電所事故からの復興を見据えた時、現時点での大きな課題の一つであるトリチウムを含んだ処理水の処分方法に関して、資源エネルギー庁が設置した小委員会は、薄めて海洋放出、水蒸気にして大気放出する案を「現実的な選択肢」とし、海洋放出については「社会的影響は特に大きくなると考えられる」とする指摘も含む報告書をまとめました。
復興を進める上で避けて通れないトリチウムを含んだ処理水への対応に、市長はどのような考えを持って臨むのでしょうか、お示し下さい。
3 市民の健康を守る課題について
(1)新型コロナウイルスの備えについて
次に新型コロナウイルスに関して伺います。
中国武漢市から広がった新型コロナウイルスは、国内でも感染が拡大しており、国内感染の患者は、25日までに128人確認され、うち無症状の方が12人となっており、日々感染範囲が拡大する様相を示しています。
このウイルスの性質も、感染の広がり具合も、未だ十分に解明されていない状況にあり、この現状を考えれば、いつ、なんどき本市に飛び火してくるか分からない、そういう状況にあります。
こうしたもとで、新型ウイルスに関して、本市の対応の状況、市民の心構え等を幅広く共有しておくことが、市民に安心して生活していただく土台になるものと思います。
そこで、
感染症の発生状況には、海外発生期、国内発生早期、国内感染期と、その流行状況による段階のとらえ方がありますが、新型コロナウイルスの段階はどの段階にあると捉えていらっしゃるのか、うかがいます。
本市では新型コロナウイルスの感染が疑われる市民からの相談等に対応するため「帰国者・接触者相談センター」を開設し、また、感染の疑いの定義に該当しない市民や一般の相談には、「いわき市保健所総務課感染症対策係」を窓口に対応しています。
これまでの市内の相談状況等(医療機関に依頼した聞き取り調査の状況も含め)はどのようになっているのかうかがいます。
新型コロナウイルスに関する大量の報道が流されており、市民は流行と感染に関する不安を感じています。本市は感染防止に向けてどのように対応しているのか、うかがいます。
市民はこの新型コロナウイルスにどのように対応していくことが望ましいのでしょうか。本市のご所見を伺います。
(2)特定健康診査等の受診率向上について
次に特定健康診査等についてです。
公表された2018(平成30)年度の国民・栄養調査は、所得による健康診断の受診状況を調べています。
これによると世帯所得が200万円未満では男女ともに約4割が未受診です。600万円以上の未受診割合が男性で16.7%、女性で26.1%であることと比べると、低所得者ほど健診の未受診者の割合が低くなっている事がはっきりと示されました。
また、2012(平成24)年度の労働者健康調査では、従業員数が少ない事業所ほど、また、パートや派遣労働者など不安定雇用の方ほど未受診者が多い傾向が明らかになっています。
本市の健診の受診率は低い状況にありますが、本市のこれまでの取り組みはどのようなものだったのでしょうか。
本市市民の所得が決して高くない状況を見れば、所得が低い市民や小規模な事業所あるいはパートや派遣など不安定雇用にある市民を健診受診につなげることが、受診率向上と市民の健康を守る上で大切な取り組みになると思います。本市は今後の取り組みはどのように進めるお考えがあるでしょうか、お示し下さい。
(3)ふうしん予防対策の推進について
次はふうしん予防対策です。
1月15日、福島県は今年第2週の感染症発生動向調査の週報を発表しました。この中で、本市の男児が先天性風疹症候群・CRSを発症したと公表しています。2014(平成26)年以来の発症例で、県が調査を始めて以降、2例目の事例になるといいます。
CRSは妊娠初期の女性が風疹にかかった場合、生まれた赤ちゃんに難聴や心疾患などの障がいがでる病気です。防止のためには女性の妊娠前のワクチン接種や、家族など身近な人々の摂取が重要とされており、本市議会でも接種の推進が取り上げられてきました。
県内では2019年度から成人男性に抗体検査の無料受信券を配布しています。しかし使用者は、昨年9月末時点で受信券を受け取った約9万4,000人の13.9%に止まっており、社会全体の免疫力を高めて流行拡大を防ぐ上で問題がある状況となっています。
少年時代に予防接種の機会がなかった40歳から57歳の男性に、定期接種を受けた同年代の女性と比べて免疫を持たない人が多いとされています。これらの世代の方に確実にワクチンを接種していただくことが必要です。
本市は、必要な方に風疹ワクチンの接種を確実に受けていただくために、次年度の取り組みをどのように進める考えか、伺います。
4 安心のいわき市へのいくつかの課題について
(1)障がい者雇用の支援策について
1月17日、特定非営利活動法人いわき市障がい者職親会、略称「職親会」が呼びかけた市議会と職親会との視察懇談会に参加し、民間事業者による障がい者雇用の取り組みを拝見してきました。
この折に、同会が立ち上がった頃の本市内の障がい者雇用は決して誇れるものではなかったものの近年改善され、2019年6月1日現在、民間事業者は法定雇用率2.20%を達成し、国や福島県の達成率を上回るようになっているとお聞きしました。成果を上げてきた地道な活動に敬意を表したいと思います。
市内で障がい者の法定雇用率を満たしている企業は56.9%ありますが、職親会の視察・研修の際、障がい者雇用の拡大に向けて3点ほどの要望・意見が語られていました。障がいを持つ方の就労を拡大し、安心して就労できる社会環境を整えるためにいずれも大切な意見と感じました。
一点は、障がい者雇用の支援制度として、事業者の規模に応じて障がい者雇用調整金と報奨金の制度がありますが、より小規模な事業者の雇用を促進するために何らかの支援制度を求めるもの、
二点目に、精神障がい者の雇用を促進するにあたって大切な実習先の確保に困難な状況があり、市独自に実習受け入れに対する助成制度の創設の検討を求めるもの、
そして三点目に、公共交通機関が少ない本市の状況で通勤手段の確保が困難であり、何らかの交通手段の確保策を検討すること、
こういった意見です。
障がい者雇用拡大の最前線で活動するこうした民間の方々の活動を本市として支えるために、これらの要望にどのように応えていくお考えがあるのか、お答えください。
(2)通学路等の安全確認について
2月5日、神奈川県逗子市で市道の斜面が崩落し、県立高校の女子生徒が巻き込まれ死亡する痛ましい事故が発生したと報道されました。
約10mの民間所有斜面の石垣で補強されていなかった上部約5mが、幅約3mから4mに渡り崩れ、女子生徒はこの下敷きになってしまったといいます。市の担当者は「危険の予兆は把握していない」とコメントしています。
翻って、1月28日から29日かけて季節外れの大雨となった本市では、常磐湯本町のまこと幼稚園入り口付近の市道の法面で落石が発生しました。幸い事故等にはつながりませんでしたが、この法面の落石は、せめて子ども達が登校で利用する通学路の安全性の確認と、問題がある場合の対応が必要だと知らせているように思われてなりません。
そこで、まず、本市における通学路の安全確保の対応はどのようになっているのか、うかがいます。
次に、危険箇所に民有地が含まれる場合、民有地の安全確保に関する対応はどのようにしているのか、うかがいます。
震度6弱を記録した2018年の大阪北部地震で、小学校のブロック塀が倒壊し児童が死亡する事故が発生したことを受け、本市では学校等の危険箇所を改善すると同時に、民間のブロック塀等の撤去を支援する補助金を創設し、安全確保に取り組んでおります。
この制度により安全上問題がある民間の塀等の改修状況はどのようになっているのか、うかがいます。
また、安全確保に向け、今後、民間のブロック塀についてどのように取り組んでいく考えなのか、お示し下さい。
通学路の安全確保の観点から、民地における問題箇所を改善するための支援制度創設を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
(3)遠野支所の耐震化に関する対応について
新年度の一般会計予算案には遠野支所の耐震改修に関する予算が計上されています。昨年の台風第19号等の際、上遠野地区の住民は上遠野小学校体育館に避難しましたが、体育館の雨漏りや外トイレのため利用するとびしょ濡れになってしまう、放送受信設備がなく情報を得にくいなど、避難所機能の不十分さが多数指摘されていました。]
今回の支所の耐震改修を知り、避難所機能等も持たせ、多目的に利用できる施設にしてはどうかという声もあります。
耐震性を改善することは、利用する住民、働く職員の安全確保の観点から必要なことではありますが、住民の意見を聞く機会を設け、耐震性を確保する対応方法を検討することが必要と考えます。いかがでしょうか。
5 働き方改革について
(1)職員の超過勤務等について
2月定例会に向けてこの代表質問の準備に頭を痛め、午後7時頃に帰路につく日々が続きました。議会棟を出ると、空に浮かぶ月が光の環=光環をまとっている日がたびたびあり、目を奪われましたが、空から視線を落とすと市役所のほとんどの窓には煌々と灯りが点っていました。
不幸にも質問原稿のデータがクラッシュしてしまい一からのやり直しとなり、午後9時頃までかかり書き直した2月13日も、市役所のほとんどの窓は灯りがついていました。職員のみなさん、遅くまで大変です。
さて、職員が超過勤務をしなくて済む実効ある取り組みをこの間求めてまいりましたが、昨年は台風第19号等による災害に見舞われ、通常業務に加え災害対応業務に対応した職員のみなさんは繁忙を極めています。
いただいた資料によりますと、市長部局に限りますが、災害後、月に80時間を超える残業をされた職員は、
10月に316人、
11月に200人、
12月に117人、
1月に77人と
最大で前年の17倍となり、
うち100時間を超える残業をされた職員も
同じく、
193人、
148人、
79人、
44人と、
最大前年の39倍になるなど、この間の職員の激務の状況を推し量ることができる状況でした。
一方、この災害の発生で年度間では平年との比較で改善状況を推し量ることが難しい状況になっていますが、
平年と比較できる4月から9月の期間で考えた場合、働き方改革によって超過勤務をしなくてすむ職場環境に向けて改善が進んでいると評価できるのかどうか、認識をお聞かせください。
公務員の勤務環境を整備する一環として育児休業制度が導入されています。総務省の調査によりますと、地方自治体における2018年度の女性職員の育児休業の取得率が99.4%に達するのに対し、男性職員の取得が低調で、
首長部局で10.6%、
消防で1.6%、
など、
地方公務員全体では5.6%の取得にとどまっており、
国家公務員の12.4%、
民間企業の6.2%に及んでおらず、
2020年度までに官民とも13%にする政府目標達成に黄信号が灯っているとされています。
そこで、本市の場合、育休取得の状況は、男女別に見た場合、どのような状況となっているでしょうか。
超過勤務の削減を進め、育休をはじめ休暇を取得しやすくするさらなる労働環境改善が必要です。どのような職場環境づくりをすすめる考えか、うかがいます。
(2)会計年度任用職員について
本年4月1日から、嘱託職員や日々雇用職員等の職種が変更され会計年度任用職員として雇用されることになります。
会計年度任用職員は、1会計年度を上限とする非正規雇用の職員ですが、これまでより賃金が引き上げられる外、手当や休暇の面でも改善が図られます。
雇用の継続という面から見ても、一年ごとの雇用更新は従来と変わらないものの、原則3年とされていた雇用限度が緩和され、3年を超えて任用する事も可能となるなど、待遇面の改善が図られることになります。
これまで本市で嘱託や日々雇用として本市の業務遂行に貢献してきた職員に、引き続き業務を通して培った力を発揮してもらうことは、本市の業務遂行にも恩恵をもたらすものと考えます。
会計年度任用職員の対象となる嘱託及び日々雇用職員に対する次年度以降の会計年度任用職員としての雇用に関する雇用条件等の必要な周知はどのようになっていますか。
雇用条件の改善を活かして、雇用された会計年度任用職員のみなさんには引き続き力を発揮してい頂きたいと思います。同時に改善があるとはいえ、会計年度任用職員も非正規雇用であることに変わりはありません。正規化も含めて、その雇用条件の改善をさらに図られるようお願いしたいと思います。
(3)教員の働き方改革について
次に教員の働き方改革についてです。
教員の多忙化や長時間労働が問題になり、本県でも、2017年6月に実施した調査で、小学校教諭の約4割、中学校教諭の約7割が月80時間以上の時間外勤務を行っていました。
「看過できない状況にある」として、国の改善策を受けながら福島県教育委員会も、福島県教職員多忙化解消アクションプランを策定し、本市でもこのプランを基づき取り組みを進めてきましたが、教職員の実情を考える時に、いっそう改善の取り組みを進めることが重要な状況にあると思います。
まず本市は、この間どのような取り組みをすすめ、どのように改善が図られてきたのか、伺います。
先の通常国会では、教員の働き方改革を進めるために、教員の労働時間に柔軟性を持たせて管理する「変形労働時間制」の導入を含む改正法が可決されました。
繁忙期の勤務時間を1から2時間伸ばし、夏休みなどの長期休暇の際に、伸ばした分を休暇としてまとめ取りすることで、全体としての労働時間の抑制を図ろうとするものです。
この変形労働制の導入は、業務量の削減ではなく、教員の長時間労働を前提として、繁忙期に長く働いた分を休暇に付け替えるだけですから、問題があります。
現場では、繁忙期の勤務時間が延長された分、従来であれば開かれなかった時間帯に会議が入るなど、いっそう長時間労働に拍車がかかると批判がある外、勤務時間延長によって保育園の迎えが難しくなる等、子育て、介護を担う教員等には「これでは仕事を続けられない」と悲鳴があがっているといいます。
この教員の働き方改革として国が導入した変形労働制は、自治体の条例改正によって可能となるものですが、アクションプラン等、勤務時間短縮の取り組みに逆行するものとなると考えます。変形労働制に関して、市長はどのようにとらえているでしょうか。
6 法律の拡大解釈による自衛隊の海外派遣への見解について
(1)海上自衛隊のイラン沖派遣と本市非核平和都市宣言について
米国がイランとの核合意から一方的に離脱したことに端を発し、両国の対立が深まってきました。
米国は有志連合構想を呼びかけ、これを受けた我が国は、連合構想に直接参加せず、防衛省設置法の「所掌事務の遂行に必要な設置・研究」を根拠として「調査・研究」のための情報収集活動にあたるとし、独自にP3C哨戒機と護衛艦を派遣し、イラン近海での活動を始めています。
しかし、法的根拠はあくまで防衛省の事務規定であり、自衛隊の海外派遣の根拠になりえず、拡大解釈による派遣の強硬だと批判がされています。
このような問題がある派遣は、本市非核平和都市宣言の恒久平和の実現の理念から考えても問題があります。
また、米国はより小型で使いやすいとする観点から小型核兵器の配備をすすめています。イランとの緊張激化は核兵器の使用にもつながりかねず、本市の宣言と相反する事態が生じかねません。
「調査・研究」名目で派遣された自衛隊の撤退と、緊張激化の原因となったイランとの核合意からの米国の一方的離脱を撤回し合意に復帰する意見を米国に提出するよう、非核平和都市宣言の立場から政府に対して意見すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上、第1演壇に登壇しての1回目の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
1 市民の暮らしの現状について
(1)本市市民の暮らしの現状について
10番、日本共産党・市民共同の伊藤浩之です。
まず、市民の暮らしの現状について伺います。
経済のグローバル化に伴い、人々の経済格差の拡大が問題になっていますが、国際援助団体のオックスファムの報告によると、世界に2,153人いる10億ドル=1,100億円以上の資産を持つビリオネアの富の総計額は、その他の46億人の富の総計よりも大きいとされています。
詳しく見ると、世界の富裕層上位26人が、所得が低い世界の人口の約半数38億人と同じ額の資産を独占しており、富裕層の上位43人が下位半数と同じだった前年の推計より、さらに格差が拡大しています。
先に紹介したビリオネアには、32人の日本人が含まれていますが、こうした富の偏在はグローバル企業によるタックスヘイブンや富裕層への優遇税制、法人税の過剰な引き下げ、医療など福祉や教育予算の削減などの新自由主義的政策によってもたらさられているもので、報告は富裕層への課税の適正化が必要と指摘しています。
格差の拡大で国民には生活不安が広がっています。
介護資格学校を運営する株式会社ガネットが昨年12月にインターネットを通じて、定年退職を控える50代の男女319人と定年後も働く60代の男女259人に、定年後の働き方に関して聞いています。この結果、定年後、働かないことに不安を感じている層が8割に達していたといいます。
不安に感じる理由は老後の生活資金が91.8%と大半を占めていました。また、老後に向けて貯蓄をしていない人が24.1%で、老後の生活のために2,000万円の貯金が必要と言われる中、ほぼ4人に1人が貯金さえできていないという実態が浮き彫りになっていました。
安倍内閣は、定年退職の年齢以降も働き続けることができる一億総活躍社会と言っていますが、実態は、働きたいから働き続けることを選択する社会ではなく、生きていけないから働く社会になっているわけです。
この国民の経済的な困難を本市でも強く意識させたのが、本市が実施した「いわき市子どもの生活実態調査」の結果でした。
この調査は、小学5年生と中学2年生、それぞれ1,500世帯を対象に昨年実施され、74.8%の回答を得ています。その中で生活に困窮あるいはその周辺にある層となる世帯の合計は20.6%に達していました。実に5世帯に1世帯が生活に困難をきたしている結果には驚きを禁じえません。
家庭の経済状況が、子どもの将来にマイナスの影響をもたらす貧困の連鎖が言われます。本市の実態を見て、子ども達の未来と、本市の未来を創造した時に、危惧を覚えるのは私ばかりではないと思います。
本市市民の生活の向上のために、所得の向上を図ることが求められています。そのためには収入を増やすような社会的な仕組みを作ることが必要です。
全国一律に最低1,000円以上の地域最低賃金とすることを求める声があります。本市は、このような地域最賃のあり方をどのようにお考えでしょうか。
地域最賃の引き上げには、大企業等の下請けとなって、日本産業を屋台骨で支えている中小企業の経営を守る仕組みや支援を合わせて構築することは欠かせないものとなります。合わせて、政府・国に対して求めていくことが重要になっていると考えます。
(2)本市の経済状況と消費税の影響について
さて市民が厳しい経済状況に置かれる中で、昨年10月1日、食料品等をのぞく消費税が10%に増税されました。お金がたくさんある人も、あまりない人も、等しく課税され、所得が少ないほど負担が大きい逆進性を持つ消費税の増税は、本市市民の生活に多大なダメージを及ぼす最悪の政策でした。
それは、今年1月、福島民報と福島テレビが共同で実施した県民世論調査にも表れております。安倍内閣の不支持が13.6%上昇して53.9%となったこととともに、政策では景気経済対策を望む声が最も多くなっている内容でありました。
また、震災復興事業が終期を迎える中で本市の雇用状況にも陰りが見えております。
本市の今年度の有効求人倍率は、4月、5月こそ前年度より0.3%高かったものの、6月以降は上昇に転じた昨年とは違って下降を続け、9月には最大で前年同月比で0.12ポイント低い1.47まで落ち込みました。
台風第19号等で被災した10月から上昇に転じほぼ前年並みを回復していますが、災害復旧に関わる一時的な効果にすぎないと考えられますので、増税はなおさら市民の暮らしに大きな悪影響を与えたものと思います。
そこで、まず、市長は、本市の経済状況をどのように把握しているのか、伺います。
また、昨年10月1日に実施された消費税増税の影響が本市の経済にどのような影響を及ぼしているとお考えでしょうか、お示し下さい。
(3)政府新年度予算案の市民生活の影響等について
増税の一方では、社会保障での給付の削減も検討されています。これも市民生活には大きな影響をもたらします。。
政府の新年度予算案で社会保障費は、全学生の9割が対象外となる低額所得世帯向け就学支援制度が加わるなど、見かけは大きくなっていますが、高齢化が進む中で引き続き自然増を抑制する政策をとられています。
また、医療では75歳以上の窓口負担を低所得者も含め1割から2割に増額、介護では、月収で10万円から12万9,000円の低年金者の施設入所時の食事負担を月額で2万2,000円引き上げる検討をし、さらに20年度の年金支給額は実質0.3%引き下げられます。
安倍政権の最近の看板政策の「全世代型社会保障」の実態は「全世代切り捨て型社会保障」ではないかと批判もされています。
一方、新年度予算の地方財政を見ると、地方交付税が16兆5,882億円となるなど、ほぼ例年並みの財源が確保されていますが、引き続き抑制基調にあると言われており、本市財政は、健全性を維持しながらも、社会保障関係経費の増加や公共施設の老朽化対策等、震災からの復興と地方創生に向け、「多額の財政需要が見込まれるため、財政調整基金等を取り崩して対応せざるを得ない」という財政となっています。
この中、本市は、市民生活を支えるためどのように対応するのでしょうか。
年金支給の抑制は、高齢者の受診抑制等による健康への影響、消費の抑制等による高齢世帯の暮らしへ多大な影響を与え、本市にもマイナスの影響になると考えます。市長はその影響をどのようにとらえ、市民の健康と暮らしを擁護する施策を新年度はどのように進めていくのか伺います。
また、低年金者の施設入所時の食事負担の月2万2,000円の引き上げは施設利用の抑制につながり、介護難民を生み出す結果、介護保険制度導入のきっかけとなった老々介護などによる不幸な事態を繰り返すことにつながりかねません。市長は、市民が介護の心配がなく安心して生活を送ることができるように、国に対し、引き上げには問題があると意見すべきと思いますが、いかがでしょうか。
2 市長の年頭所感と新年度予算案等について
(1)本市新年度予算案の特徴等について
今議会に提出された総額1,489億7,889万4,000円の新年度一般会計予算案は、「未来につなぐいわきの復興・創生予算~災害を克服し、共に創る『いわき新時代』~」をスローガンとして、「『いわき新時代の』の礎」となる、「魅力あるいわきの創生に向け『共創』によるまちづくりを進めていく、としています。
そのために予算編成では、
一つには財政の健全性を保つとしています。財政の健全性を保つために、どのような点に留意されて予算編成を行ったのでしょうか。
二つには市民福祉の増進と将来世代への責任を同時に果たすとしています。そのための予算編成とするために、どのような点に留意されたのでしょうか。
三つには、東日本大震災の復興の総仕上げを最優先で進めるとしています。総仕上げを最優先とするためにどのような事業に取り組むのでしょうか。
(2)年頭所感と災害を克服する力強いまちづくりについて/span>
市長は1月7日、年頭所感を公表しました。私はこの年頭所感を読んで、「災害を克服し共に創る『いわき新時代』」というタイトルとは裏腹に、災害克服の力強さも、新しい時代への希望も膨らませることができませんでした。
昨年12月定例会でも述べたように、台風の被災者は被災直後から生活再建への手がかりを手探りしていました。その被災した市民が希望を持てるように、年頭所感では、本市が災害復興や市民の暮らしの復興への支援にどのように力を尽くすのか、具体的に率直に語られることが待ち望まれていたと思います。
しかし、肝心の災害への対応に関しては、多くの部分を昨年末に設置した検証委員会の結果を受けた対応に先送りしてしまいました。ここに、所感の上滑り感を強く感じました。
そこでまず、年頭所感を公表する意義はどのようなものなのか、市長のお考えをお示し下さい。
新年を迎え1月には、例年に見られない異常な気象状況を体験しました。28日から降り始めた雨は、翌29日の11時までに気象庁のアメダスで143mmを観測するなどの大雨になり、大久川及び仁井田川沿いの住民に避難勧告が発令されました。
極めて異例な大雨ですが、地球温暖化が進み、これに伴う気象変動が引き起こされていると指摘されている昨今を考えれば、これまでの常識では推し量れない事態が引き起こされても何の不思議もないと思えます。
昨年本市に被害をもたらした台風の襲来も、その原因は、海水温の上昇などの気象変動の影響と考えられており、今後は過去の常識にとらわれない対応が重要になっていると考えられます。近年4月の大雨被害もありました。
いつ災害が来るか分からない。あるいはいつでも災害が発生する可能性がある。この観点にたてば、災害対応の準備は待ったなしで進めることが必要だったはずです。
年頭所感で、台風第19号等による災害対応について検証委員会の検証結果を踏まえて改善すると先送りしてしまったことは、被災者の暮らしと生業の再建の障害になり、スピード感に欠ける対応となってしまったと考えます。
本年1月の大雨という異例の気象状況も踏まえ、被災住民をはじめ市民に安心感を持って暮らしと生業の再建に早期に取り組んでいただけるように、本市はどのように対応していく考えでしょうか。
私は、年頭所感では、市独自の災害対応の改善と並行して検証委員会の検証を進め、検証委員会の検証結果で災害対応の総仕上げを図るとうい観点で具体的対応を盛り込み、被災者、そして市民の安心を確保し、生活や生業再建意欲を持ってもらうという観点が必要だったと思います。
さて、本市は福島県に対し被災した堤防等に関して、もとに戻すだけの原型復旧ではなく、河道掘削や堤防がない区間の築堤なども含めた改良復旧を求めています。
県は、改良復旧に含みを持たせながら査定をすすめており、次期出水期までには被災堤防等の復旧作業を終える目標をもって作業を進めていると聞いています。
年頭所感は、「災害からの復旧」の今後について、「発災前よりもさらに強靭な防災・減災の仕組みが必要不可欠」とし、新年度一般会計予算案では、「台風第19号等による災害からの復旧と災害を克服する力強いまちづくりに重点的に取り組む」としています。
新年度予算案で災害を克服する力強いまちづくりには、具体的にどのような事業が盛り込まれているのでしょうか。
(3)復興の総仕上げとトリチウム水への本市の対応について
「復興の総仕上げ」という時に、本市の事業のみの視点から語ることは、はなはだ不十分という印象をぬぐえません。
東日本大震災は、巨大地震と津波による災害に加え、東京電力福島第一原子力発電所の炉心溶融と放射性物質の放出という災害が加わった人類が体験したことがない最悪の災害でした。原発事故という災害の特殊性ゆえ、長期にわたる被害をもたらし続けることが予想されます。
地震や津波による被害に対応するハード面での市の復興事業は、確かに収束に向かいつつありますが、被災地のコミュニティをどう取り戻すかという地域づくりの課題も残っているなど、被災地や住民的な観点から見た「復興の総仕上げ」は、まだまだこの先のことと思われます。
1月22日放送の羽鳥真一のモーニングショウで「継ぐ女神」のコーナーに、四倉町の大川魚店が登場し、震災とお店の再建を地域の復興につなげようという店主ご夫妻の思いが感動をもって紹介されていました。番組のなかで、被災地の住民が「失ったものがもとのように復旧することによって元気を取り戻せる」と語っていました。このことからも、津波被災地にコミュニティを取り戻すことをもって初めて「復興の総仕上げ」を一段進めたと胸を張ることができるものと思います。
本市が始めた「空き地バンク事業」によって、被災地に人が戻り、まちとコミュニティが再建されることを心から願いたいと思います。
また、事故原発の廃炉作業が続く現実を踏まえると、この面からも「復興の総仕上げ」はまだまだ先の課題と思わざるをえません。
そこでまず、
市長は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関して、年頭所感では「汚染水対策も含めた廃炉の取り組みや適正な損害賠償の実施等」について、「引き続き、国及び東京電力に対して、確実に実施するよう、私自ら強く申し入れる」としています。
これまでどのようなことを申し入れ、
どのような成果があったと捉えていらっしゃるのか、うかがいます。
「復興の総仕上げ」を考える時に、今、社会的にも大きな問題になっている、汚染水を処理した後に残るトリチウムを含んだ処理水の問題を脇に置くことはできないと思います。
常磐沖での漁業という市民の生業を復興させるためには、トリチウム水の処分から発生しかねない風評という問題と対峙せざるをえず、この風評の克服なくして生業の復興はおぼつかない状況にあるからです。
今後の原子力発電所事故からの復興を見据えた時、現時点での大きな課題の一つであるトリチウムを含んだ処理水の処分方法に関して、資源エネルギー庁が設置した小委員会は、薄めて海洋放出、水蒸気にして大気放出する案を「現実的な選択肢」とし、海洋放出については「社会的影響は特に大きくなると考えられる」とする指摘も含む報告書をまとめました。
復興を進める上で避けて通れないトリチウムを含んだ処理水への対応に、市長はどのような考えを持って臨むのでしょうか、お示し下さい。
3 市民の健康を守る課題について
(1)新型コロナウイルスの備えについて
次に新型コロナウイルスに関して伺います。
中国武漢市から広がった新型コロナウイルスは、国内でも感染が拡大しており、国内感染の患者は、25日までに128人確認され、うち無症状の方が12人となっており、日々感染範囲が拡大する様相を示しています。
このウイルスの性質も、感染の広がり具合も、未だ十分に解明されていない状況にあり、この現状を考えれば、いつ、なんどき本市に飛び火してくるか分からない、そういう状況にあります。
こうしたもとで、新型ウイルスに関して、本市の対応の状況、市民の心構え等を幅広く共有しておくことが、市民に安心して生活していただく土台になるものと思います。
そこで、
感染症の発生状況には、海外発生期、国内発生早期、国内感染期と、その流行状況による段階のとらえ方がありますが、新型コロナウイルスの段階はどの段階にあると捉えていらっしゃるのか、うかがいます。
本市では新型コロナウイルスの感染が疑われる市民からの相談等に対応するため「帰国者・接触者相談センター」を開設し、また、感染の疑いの定義に該当しない市民や一般の相談には、「いわき市保健所総務課感染症対策係」を窓口に対応しています。
これまでの市内の相談状況等(医療機関に依頼した聞き取り調査の状況も含め)はどのようになっているのかうかがいます。
新型コロナウイルスに関する大量の報道が流されており、市民は流行と感染に関する不安を感じています。本市は感染防止に向けてどのように対応しているのか、うかがいます。
市民はこの新型コロナウイルスにどのように対応していくことが望ましいのでしょうか。本市のご所見を伺います。
(2)特定健康診査等の受診率向上について
次に特定健康診査等についてです。
公表された2018(平成30)年度の国民・栄養調査は、所得による健康診断の受診状況を調べています。
これによると世帯所得が200万円未満では男女ともに約4割が未受診です。600万円以上の未受診割合が男性で16.7%、女性で26.1%であることと比べると、低所得者ほど健診の未受診者の割合が低くなっている事がはっきりと示されました。
また、2012(平成24)年度の労働者健康調査では、従業員数が少ない事業所ほど、また、パートや派遣労働者など不安定雇用の方ほど未受診者が多い傾向が明らかになっています。
本市の健診の受診率は低い状況にありますが、本市のこれまでの取り組みはどのようなものだったのでしょうか。
本市市民の所得が決して高くない状況を見れば、所得が低い市民や小規模な事業所あるいはパートや派遣など不安定雇用にある市民を健診受診につなげることが、受診率向上と市民の健康を守る上で大切な取り組みになると思います。本市は今後の取り組みはどのように進めるお考えがあるでしょうか、お示し下さい。
(3)ふうしん予防対策の推進について
次はふうしん予防対策です。
1月15日、福島県は今年第2週の感染症発生動向調査の週報を発表しました。この中で、本市の男児が先天性風疹症候群・CRSを発症したと公表しています。2014(平成26)年以来の発症例で、県が調査を始めて以降、2例目の事例になるといいます。
CRSは妊娠初期の女性が風疹にかかった場合、生まれた赤ちゃんに難聴や心疾患などの障がいがでる病気です。防止のためには女性の妊娠前のワクチン接種や、家族など身近な人々の摂取が重要とされており、本市議会でも接種の推進が取り上げられてきました。
県内では2019年度から成人男性に抗体検査の無料受信券を配布しています。しかし使用者は、昨年9月末時点で受信券を受け取った約9万4,000人の13.9%に止まっており、社会全体の免疫力を高めて流行拡大を防ぐ上で問題がある状況となっています。
少年時代に予防接種の機会がなかった40歳から57歳の男性に、定期接種を受けた同年代の女性と比べて免疫を持たない人が多いとされています。これらの世代の方に確実にワクチンを接種していただくことが必要です。
本市は、必要な方に風疹ワクチンの接種を確実に受けていただくために、次年度の取り組みをどのように進める考えか、伺います。
4 安心のいわき市へのいくつかの課題について
(1)障がい者雇用の支援策について
1月17日、特定非営利活動法人いわき市障がい者職親会、略称「職親会」が呼びかけた市議会と職親会との視察懇談会に参加し、民間事業者による障がい者雇用の取り組みを拝見してきました。
この折に、同会が立ち上がった頃の本市内の障がい者雇用は決して誇れるものではなかったものの近年改善され、2019年6月1日現在、民間事業者は法定雇用率2.20%を達成し、国や福島県の達成率を上回るようになっているとお聞きしました。成果を上げてきた地道な活動に敬意を表したいと思います。
市内で障がい者の法定雇用率を満たしている企業は56.9%ありますが、職親会の視察・研修の際、障がい者雇用の拡大に向けて3点ほどの要望・意見が語られていました。障がいを持つ方の就労を拡大し、安心して就労できる社会環境を整えるためにいずれも大切な意見と感じました。
一点は、障がい者雇用の支援制度として、事業者の規模に応じて障がい者雇用調整金と報奨金の制度がありますが、より小規模な事業者の雇用を促進するために何らかの支援制度を求めるもの、
二点目に、精神障がい者の雇用を促進するにあたって大切な実習先の確保に困難な状況があり、市独自に実習受け入れに対する助成制度の創設の検討を求めるもの、
そして三点目に、公共交通機関が少ない本市の状況で通勤手段の確保が困難であり、何らかの交通手段の確保策を検討すること、
こういった意見です。
障がい者雇用拡大の最前線で活動するこうした民間の方々の活動を本市として支えるために、これらの要望にどのように応えていくお考えがあるのか、お答えください。
(2)通学路等の安全確認について
2月5日、神奈川県逗子市で市道の斜面が崩落し、県立高校の女子生徒が巻き込まれ死亡する痛ましい事故が発生したと報道されました。
約10mの民間所有斜面の石垣で補強されていなかった上部約5mが、幅約3mから4mに渡り崩れ、女子生徒はこの下敷きになってしまったといいます。市の担当者は「危険の予兆は把握していない」とコメントしています。
翻って、1月28日から29日かけて季節外れの大雨となった本市では、常磐湯本町のまこと幼稚園入り口付近の市道の法面で落石が発生しました。幸い事故等にはつながりませんでしたが、この法面の落石は、せめて子ども達が登校で利用する通学路の安全性の確認と、問題がある場合の対応が必要だと知らせているように思われてなりません。
そこで、まず、本市における通学路の安全確保の対応はどのようになっているのか、うかがいます。
次に、危険箇所に民有地が含まれる場合、民有地の安全確保に関する対応はどのようにしているのか、うかがいます。
震度6弱を記録した2018年の大阪北部地震で、小学校のブロック塀が倒壊し児童が死亡する事故が発生したことを受け、本市では学校等の危険箇所を改善すると同時に、民間のブロック塀等の撤去を支援する補助金を創設し、安全確保に取り組んでおります。
この制度により安全上問題がある民間の塀等の改修状況はどのようになっているのか、うかがいます。
また、安全確保に向け、今後、民間のブロック塀についてどのように取り組んでいく考えなのか、お示し下さい。
通学路の安全確保の観点から、民地における問題箇所を改善するための支援制度創設を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
(3)遠野支所の耐震化に関する対応について
新年度の一般会計予算案には遠野支所の耐震改修に関する予算が計上されています。昨年の台風第19号等の際、上遠野地区の住民は上遠野小学校体育館に避難しましたが、体育館の雨漏りや外トイレのため利用するとびしょ濡れになってしまう、放送受信設備がなく情報を得にくいなど、避難所機能の不十分さが多数指摘されていました。]
今回の支所の耐震改修を知り、避難所機能等も持たせ、多目的に利用できる施設にしてはどうかという声もあります。
耐震性を改善することは、利用する住民、働く職員の安全確保の観点から必要なことではありますが、住民の意見を聞く機会を設け、耐震性を確保する対応方法を検討することが必要と考えます。いかがでしょうか。
5 働き方改革について
(1)職員の超過勤務等について
2月定例会に向けてこの代表質問の準備に頭を痛め、午後7時頃に帰路につく日々が続きました。議会棟を出ると、空に浮かぶ月が光の環=光環をまとっている日がたびたびあり、目を奪われましたが、空から視線を落とすと市役所のほとんどの窓には煌々と灯りが点っていました。
不幸にも質問原稿のデータがクラッシュしてしまい一からのやり直しとなり、午後9時頃までかかり書き直した2月13日も、市役所のほとんどの窓は灯りがついていました。職員のみなさん、遅くまで大変です。
さて、職員が超過勤務をしなくて済む実効ある取り組みをこの間求めてまいりましたが、昨年は台風第19号等による災害に見舞われ、通常業務に加え災害対応業務に対応した職員のみなさんは繁忙を極めています。
いただいた資料によりますと、市長部局に限りますが、災害後、月に80時間を超える残業をされた職員は、
10月に316人、
11月に200人、
12月に117人、
1月に77人と
最大で前年の17倍となり、
うち100時間を超える残業をされた職員も
同じく、
193人、
148人、
79人、
44人と、
最大前年の39倍になるなど、この間の職員の激務の状況を推し量ることができる状況でした。
一方、この災害の発生で年度間では平年との比較で改善状況を推し量ることが難しい状況になっていますが、
平年と比較できる4月から9月の期間で考えた場合、働き方改革によって超過勤務をしなくてすむ職場環境に向けて改善が進んでいると評価できるのかどうか、認識をお聞かせください。
公務員の勤務環境を整備する一環として育児休業制度が導入されています。総務省の調査によりますと、地方自治体における2018年度の女性職員の育児休業の取得率が99.4%に達するのに対し、男性職員の取得が低調で、
首長部局で10.6%、
消防で1.6%、
など、
地方公務員全体では5.6%の取得にとどまっており、
国家公務員の12.4%、
民間企業の6.2%に及んでおらず、
2020年度までに官民とも13%にする政府目標達成に黄信号が灯っているとされています。
そこで、本市の場合、育休取得の状況は、男女別に見た場合、どのような状況となっているでしょうか。
超過勤務の削減を進め、育休をはじめ休暇を取得しやすくするさらなる労働環境改善が必要です。どのような職場環境づくりをすすめる考えか、うかがいます。
(2)会計年度任用職員について
本年4月1日から、嘱託職員や日々雇用職員等の職種が変更され会計年度任用職員として雇用されることになります。
会計年度任用職員は、1会計年度を上限とする非正規雇用の職員ですが、これまでより賃金が引き上げられる外、手当や休暇の面でも改善が図られます。
雇用の継続という面から見ても、一年ごとの雇用更新は従来と変わらないものの、原則3年とされていた雇用限度が緩和され、3年を超えて任用する事も可能となるなど、待遇面の改善が図られることになります。
これまで本市で嘱託や日々雇用として本市の業務遂行に貢献してきた職員に、引き続き業務を通して培った力を発揮してもらうことは、本市の業務遂行にも恩恵をもたらすものと考えます。
会計年度任用職員の対象となる嘱託及び日々雇用職員に対する次年度以降の会計年度任用職員としての雇用に関する雇用条件等の必要な周知はどのようになっていますか。
雇用条件の改善を活かして、雇用された会計年度任用職員のみなさんには引き続き力を発揮してい頂きたいと思います。同時に改善があるとはいえ、会計年度任用職員も非正規雇用であることに変わりはありません。正規化も含めて、その雇用条件の改善をさらに図られるようお願いしたいと思います。
(3)教員の働き方改革について
次に教員の働き方改革についてです。
教員の多忙化や長時間労働が問題になり、本県でも、2017年6月に実施した調査で、小学校教諭の約4割、中学校教諭の約7割が月80時間以上の時間外勤務を行っていました。
「看過できない状況にある」として、国の改善策を受けながら福島県教育委員会も、福島県教職員多忙化解消アクションプランを策定し、本市でもこのプランを基づき取り組みを進めてきましたが、教職員の実情を考える時に、いっそう改善の取り組みを進めることが重要な状況にあると思います。
まず本市は、この間どのような取り組みをすすめ、どのように改善が図られてきたのか、伺います。
先の通常国会では、教員の働き方改革を進めるために、教員の労働時間に柔軟性を持たせて管理する「変形労働時間制」の導入を含む改正法が可決されました。
繁忙期の勤務時間を1から2時間伸ばし、夏休みなどの長期休暇の際に、伸ばした分を休暇としてまとめ取りすることで、全体としての労働時間の抑制を図ろうとするものです。
この変形労働制の導入は、業務量の削減ではなく、教員の長時間労働を前提として、繁忙期に長く働いた分を休暇に付け替えるだけですから、問題があります。
現場では、繁忙期の勤務時間が延長された分、従来であれば開かれなかった時間帯に会議が入るなど、いっそう長時間労働に拍車がかかると批判がある外、勤務時間延長によって保育園の迎えが難しくなる等、子育て、介護を担う教員等には「これでは仕事を続けられない」と悲鳴があがっているといいます。
この教員の働き方改革として国が導入した変形労働制は、自治体の条例改正によって可能となるものですが、アクションプラン等、勤務時間短縮の取り組みに逆行するものとなると考えます。変形労働制に関して、市長はどのようにとらえているでしょうか。
6 法律の拡大解釈による自衛隊の海外派遣への見解について
(1)海上自衛隊のイラン沖派遣と本市非核平和都市宣言について
米国がイランとの核合意から一方的に離脱したことに端を発し、両国の対立が深まってきました。
米国は有志連合構想を呼びかけ、これを受けた我が国は、連合構想に直接参加せず、防衛省設置法の「所掌事務の遂行に必要な設置・研究」を根拠として「調査・研究」のための情報収集活動にあたるとし、独自にP3C哨戒機と護衛艦を派遣し、イラン近海での活動を始めています。
しかし、法的根拠はあくまで防衛省の事務規定であり、自衛隊の海外派遣の根拠になりえず、拡大解釈による派遣の強硬だと批判がされています。
このような問題がある派遣は、本市非核平和都市宣言の恒久平和の実現の理念から考えても問題があります。
また、米国はより小型で使いやすいとする観点から小型核兵器の配備をすすめています。イランとの緊張激化は核兵器の使用にもつながりかねず、本市の宣言と相反する事態が生じかねません。
「調査・研究」名目で派遣された自衛隊の撤退と、緊張激化の原因となったイランとの核合意からの米国の一方的離脱を撤回し合意に復帰する意見を米国に提出するよう、非核平和都市宣言の立場から政府に対して意見すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上、第1演壇に登壇しての1回目の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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