伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

側溝土砂上げの困難な状況語られた内郷まちづくり懇談会

2015年07月29日 | まちづくり
 いわき市は13の支所ごとに数年に1回のまちづくり懇談会を行っていますが、きのうは内郷地区で開かれ出席しました。

 「ずっと住み続けたい・歴史と健康の町・うちごう・宝の郷づくり」と題された懇談会。6人の方が、内郷地区の観光まちづくりや救急体制のあり方と医師の招へい、子ども会の再編と財政支援、内郷駅付近の空き土地の活用の問題などを意見等として発言していました。



 このうち商工業者への支援に関する意見は、たまたま25日から27日まで開かれた自治体学校の分科会で学んできた内容と合致し、また市長が今年度中に条例を提案するとしていたことから、より深い興味を持って聞いていました。

 内容は、中小業振興条例を名称と内容ともに小規模事業者支援を明確にしたものにしてほしいというものです。市は今年度末の条例提案に向け、8月3日に関係者等からなる懇談会を設置し、検討を始めるとしていました。低減された内容は自治体学校でも、紹介されてきたものでもり、その通りだと思いながら聞いていました。どんな内容になっていくのか注視していこうと思います。

 もう一つは、市道等の側溝の土砂上げの実施を求める声です。

 いわき市では毎年2回「いわきのまちをきれいにする市民総ぐるみ運動」として、いっせい清掃が行割れます。震災前は、合わせて市道等の側溝の土砂上げも実施されてきました。

 しかし原発事故以降、土砂を持ち込む場所を確保できず、4年間中断されたままです。そこで住民は、「固くなった土砂を掘り出すことは困難になっている。要望すれば市は実施してくれるのか」と求めたのです。

 ここで最大のネックになっているのが、土砂の「仮置き場」あるいは「保管場所」の確保の問題です。

 両者の違いは、国の基準による処分の方法によって生じます。
 国は、原発事故後に行った上空からの線量調査のデータに基づき、空間線量が0・23μsv(マイクロシーベルト)以上の地域を除染実施区域と定めています。この区域のうち、除染実施前に行う「事前モニタリング」で再度測定し、同様0・23μsv(基準値)以上あった場所についてのみ、除染作業を行うことにしています。

 発生した放射性廃棄物は、「仮置き場」にいったん保管した後、国が設置する中間貯蔵施設に国の責任で搬入することになっています。市内では久ノ浜・大久地区では、側溝の土砂上げがモデル事業として実施され終了、今年度は同じく川前地区で実施される予定になっています。両地区とも地区内に仮置き場を設置できています。

 一方、基準値未満の地域・場所に国が対応するという考えは持っておらず、ここで発生した放射性廃棄物は、中間貯蔵施設に運ばれることになっていません。それぞれの市町村が「保管場所」を設置し保管することにされています。

 一時保管の仮置き場でも関係住民の合意を得ることは困難で、四倉地区や平地区の住宅除染では、除染廃棄物を住宅の敷地内に仮置きする手法ですすめてきました。仮置き場でさえ確保が難しい状況ですから、長期間運用する保管場所の確保は、輪をかけて困難です。

 実際、市は市有地を中心に側溝土砂の保管場所を探してきました。しかし、①風評被害への懸念、②保管の長期化への不安、③放射性物質への不安―でいずれも関係者の理解を得ることができなかったといいます。

 このため市は、①側溝土砂の処理方針を示すこと、②0・23μsvにかかわらず除染に対しては財政支援をとること、③除染物については線量にかかわらず国の責任で貯蔵施設に搬入すること――を国に求めています。住民目線の要望ですが、実現していません。

 本格的な実施を考えれば、そもそも原発事故が原因であることを踏まえて国が責任を持って対処することが求められます。

 側溝の土砂上げ実現は結局正答を出すことができないでいます。今後の大きな課題と思います。市といっしょに国の責任を果たすよう求めていくことが求められていると実感しました。

 さてこの懇談会は御厩小学校の体育館で行われました。氷と扇風機で涼が図られていましたが、それでも暑い。参加された住民のみなさん、本当にご苦労様でした。 



※このブログ記事は同じテーマを議員だよりの原稿にするにあたって一部書き換えました。


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