伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

会計年度任用職員で雇用条件は向上するのか/いわき市議会9月定例会一般質問Vol.2

2019年09月22日 | 市議会
2 会計年度任用職員の導入について

(1)雇用の厳格化に伴う非常勤職員の雇用方法の変更について



伊  藤
 次に、会計年度任用職員の導入について伺います。
地方公務員法等の改正に伴ってこれまでの非常勤職員の雇用があらためられ、来年4月1日から一般職の非常勤職員として「会計年度任用職員」が導入され、任用や服務規律等の整備が図られることになっております。

 これまで本市の嘱託職員及び日々雇用職員などには、雇用のあり方には問題が指摘されてまいりましたが、今回これらが改善することになるならば歓迎されるところであります。

 しかし、働き方改革が言われる中で、法の改正により改革された今回の働き方に不十分な点があるならば、引き続きその改善を図ることも、同時に求められていると思います。

 そこで、本市としては会計年度任用職員の導入にあたって、どのように対応していくのかをお伺いしたいと思います。

 まず、地方公務員法等の改正で、2020(令和2)年4月から特別職非常勤職員及び臨時的任用職員の任用が厳格化されますが、どのような理由からでしょうか。


総務部長
 今般の地方公務員法等の改正につきましては、地方公共団体における行政需要の多様化等に対応し、公務の能率的かつ適正な運営を推進するため、地方公務員の臨時・非常勤職員について、特別職の任用及び臨時的任用の適性を確保し、並びに一般職の会計年度任用職員の任用等に関する制度の明確化を図るために実施されたものであります。


伊  藤
 本市では臨時・非常勤職員として特別職非常勤職員、嘱託職員、日々雇用職員を雇用しておりますが、今回の任用の厳格化という法改正によって、本市の特別職非常勤職員の雇用はどのようになるのでしょうか。



総務部長
 今般の法改正によりまして、特別職非常勤職員のうち「臨時又は非常勤の顧問、参与、調査委員、嘱託員等の職」につきましては、「専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であって、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断等の事務を行うもの」に限定され、総務省のマニュアルに示された職以外の職については、特別職非常勤職員として任用できないこととされたところであります。

 このことにともない、現在、本市において、特別職非常勤職員として任用しております行政嘱託員、交通教育専門員及び不法投棄監視員につきましては、職務の内容等から、地方公務員の身分を有しないこととなり、また、国際交流員、社会教育指導員、及び外国語指導助手等につきましては、一般職の非常勤職員として創設されます会計年度任用職員に移行することとなります。


伊  藤
 同じく、法改正によって嘱託職員及び日々雇用職員の雇用はどのように変更されるのでしょうか。


総務部長
 本市におけます一般職の非常勤職員につきましては、人事管理上特に必要とする場合には、雇用期間を1会計年度内とする嘱託職員を、また、欠員補充や業務繁忙等の臨時的な業務に対応する場合には、雇用期間を一会計年度内で通算11月以内とする日々雇用職員を雇用しているところであります。

今般の法改正により、現在の嘱託職員及び日々雇用職員につきましては、職務内容等を踏まえ、一般職の非常勤職員である会計年度任用職員に移行することを基本としているところであります。



(2)会計年度任用職員の雇用条件について


伊  藤
 これまで嘱託職員、あるいは日々雇用職員として雇用されていた職種が、来年4月からは新たに取り入れられる会計年度任用職員になるということであります。

 会計年度任用職員は、1会計年度を上限に雇用する非正規雇用で、短時間勤務型かフルタイム型、いずれかで雇用されることになります。その雇用条件がどのようになるのか、次に伺います。

 まず、会計年度任用職員の給与の種類、水準はどのようになるのか、伺います。


総務部長
 会計年度任用職員のうち、常勤職員と勤務時間が同一であるフルタイム会計年度任用職員につきましては、
類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級の初号給の給料月額を基礎としまして、現在の賃金水準も考慮した上で給料が支給されますほか、
常勤職員と同様の地域手当、通勤手当、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当、期末手当、特殊勤務手当、退職手当が支給されることとなります。

 また、パートタイム会計年度任用職員につきましても、報酬、通勤手当に相当する費用弁償、期末手当が支給されることとなり、
このうち、報酬につきましては、フルタイム会計年度任用職員に支給される給料や手当との権衡を踏まえた水準で、支給することとしたところであります。


伊  藤
 同じく休暇はどのようになるのでしょうか。


総務部長
 休暇につきましては、国の非常勤職員との権衡を図り、年次休暇の外、忌引休暇や公民権行使のための休暇等の特別休暇を付与することとなります。


伊  藤
 従前、11ヶ月雇用となっていた日々雇用職員など、任用面での問題があったような雇用でありましたけれど、会計年度任用職員の再度の任用の考え方、これについてはどのようになるでしょうか。


総務部長
 会計年度任用職員として任用された職員は、毎年度の人事評価による能力実証の結果を踏まえ、原則として3年間、最大で5年間、継続して任用できることとしたところであります。

 また、その後の任用にあたりましても、勤続年数等による制限を設けずに公募を行うことを基本としておりますので、選考の結果、再度の任用も想定されております。


伊  藤
 全体としては3年、5年にこだわらずに、もっと長く勤めることが可能になるということが分かりました。

 これらの法改正に伴う変更を受けて、本市は会計年度任用職員の処遇についてどのように対応していく考えなのか、お伺いします。


総務部長
 今般の法改正につきましては臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保する必要があることを背景として行われたものであります。

 このことから、本定例会におきまして、いわき市会計年度任用職員の給与に関する条例の制定等について提案しているところでありますが、市といたしましては、法改正の趣旨や、総務省のマニュアル等の内容を踏まえながら、会計年度任用職員の任用・服務・勤務条件等を適切に定め、処遇の改善を図ってまいりたいと考えております。



(3)職員の採用の考え方について



伊  藤
 処遇の改善に向けて努力をしたいということですので、しっかりと、これまでもより良い環境で働けるような雇用条件、これを確保することをぜひお願いしたいと思います。

 次に職員の採用の考え方について伺います。
 まず、正規職員数と非正規職員数の割合はどのように推移しているのか、伺います。


総務部長
 市長部局における正規職員数と臨時・非常勤職員であります嘱託職員及び日々雇用職員の職員数の推移につきまして、令和元年度と平成27年度の、それぞれ6月1日現在の比較で申し上げますと、
まず、正規職員につきましては、
令和元年度が1,772人で全体の72.1%となっており、
平成27年度の1,721人、69.9%と比較し、
51人、2.2%の増となっております。

 また、嘱託職員等につきましては、
令和元年度が684人で全体の27.9%となっており、
平成27年度の741人、30.1%と比較し、
57人、2.2%の減となっております。

 増減の主な理由といたしましては、
正規職員については、いわゆるいわき版ネウボラの実施、地方創生やシティセールスの推進をはじめ、公共施設等総合管理計画の策定及び進行管理などの新たな行政課題や職員の働き方改革への対応を図るために増員を行った一方、
嘱託職員等については、震災・復興業務の縮小に伴い、当該業務に従事していた職員が減少したことによるものであります。


伊  藤
 割合については、ほぼほぼ横ばいの状況にあるということで認識をしました。

総務省自治行政局が2018年10月に作成した事務処理マニュアルでは、正規職員が担う業務について「相当期間任用職員を就けるべき業務」とされており、これに該当する例示として「典型的には、組織の管理・運営事態に関する業務や財産の差押え、許認可と言った権力的業務が想定される」というふうにしております。

これは本市の業務では、どの範囲を指すのか、お伺いします。


総務部長
 お質しのありました「組織の管理・運営事態に関する業務や、財産の差押え、許認可等の権力的業務」につきましては、本市におきましては、
総務部職員課における行政組織や職務権限、職員の定数に関する業務、
財政部税務課、市民税課、資産税課及び債権管理課並びに税務事務所における市税の徴収及び賦課等に関する業務、
生活環境部廃棄物対策課における一般破棄物処理施設及び産業廃棄物処理施設の設置等の許可に関する業務など、
広範囲に渡っております。


伊  藤
 まっ、広範囲に渡っているというお話でしたけれども、これと異なる業務はどういうものかということをざっと考えるみるとですね、
現在、市が担っている保育の業務、あるいは各種窓口の業務というのもおそらく国の言っているものに該当しない。それから、公民館業務や市の施設管理・運営などの業務もこれに該当してこないのかなと感じてくるところであります。

これらっていうのは市民の生活や活動に深い関わりを持つ業務なんですが、これが場合によっては非正規化しても構わないよと言うことを国が言っている、裏返してみればですけれど、考えられると言うことになってくるのかなと思います。

 このように、国の考えでは、先程の答弁以外の業務は非正規職員で対応できるとの考えを含んでおりますが、本市としては、非正規職員の担う職務について、どのようなものを想定しているの、お伺いたいと思います。


総務部長
 今般の法改正にかかります総務省通知によりますと、「各地方公共団体における公務の運営においては任期の定めのない常勤職員を中心とするという原則を前提とすべき」との考え方が示されておりますことから、
臨時・非常勤職員が担う業務につきましては、これまで嘱託職員や日々雇用職員が担ってきた補助的な業務や、一時的な業務量の増大に伴う業務繁忙への対応などを想定しているところであります。



(4)会計年度任用職員制度の諸問題について


伊  藤
 非常に、そこの部分を厳格化して運用していただきたいな、というふうに思います。

近年で考えれば、正規職員が担っていた職種を非正規雇用に移したものとして、公民館長の嘱託化というのがあったように思います。5年間同一の館長のもと利用者サービスの向上につながるとされてきましたけれど、実際には館長が短期間になってしまうなどの問題も発生し、思った通りには進まなかったっていうのが現状ではなかったかと捉えております。

 こうした事例は、本来、会計年度任用職員に適した職務と適さない職務を慎重に見極めていくことが必要だということを示しているように思います。

 ある労働組合の資料では、一部の自治体で、国が期末手当や仕事の内容・勤務経験に基づいた給与を支給するように説明しているにもかかわらず、そのための財源を国が示さないために、新たな財政負担と非正規職員の人事管理等を理由として、一部の業務を除いて民間委託をしてしまおうと、こういう提案がされたということを紹介していました。

 結局、会計年度任用職員の制度の導入を、働き方改革や正規、非正規の格差是正という観点からとらえるのではなく、安く使える職員という観点からしか捉えていないということが、この提案の根っこにあったのではないかな、このように捉えております。

 本市の場合、そのようなことはないと思いますが、この制度に切り替わることを契機に、これまでの非正規雇用のあり方にあった問題点を改善し、正規、非正規雇用の処遇の格差の是正をいっそう進めることを期待したいと思います。

 さて、会計年度任用職員には様々な問題点や懸念が示されています。

 あらためて申しますと、雇用期間が1年で毎年公募の上選考が課せられること、まあ、有期雇用であるっていうことですね、
改善されるとはいえ給与が正規の初任給が基準となり賃金面での不利があること、
フルタイム、パートタイムで手当に格差がもうけられていること、
また手当については期末手当も含め「だすことができる」との規定となっており使用者の都合で変更が可能であること、
国は民間委託の推進による業務改革を求めておりその業務が民間に取って代わられかねないこと、
などです。

 本市が、これらの指摘や懸念が当たらないような仕組みとすることを希望するところですが、一つだけ条件付き採用期間について伺っておきたいと思います。

 会計年度任用職員に採用されると最初の1カ月は条件付き採用期間とされます。会計年度任用職員の任期が1会計年度内となっていることから、翌年度に継続して雇用される場合でも、最初の1カ月は条件付き採用期間とすることが毎年繰り返され、雇用の不安を持たされることになります。

 正規職員の場合には、最初の6カ月間が条件付き採用期間にあたりますが、任期の定めがなく、一定期間ごとに条件付き採用期間が繰り返されるというようなことはありません。このようなことから、会計年度任用職員のような雇用条件は正規職員との雇用較差の一つになると考えます。

 継続して雇用が予定されるような人材の場合は2年目以降、条件付き採用期間を設けないようにするべきと考えますが、いかがでしょうか。


総務部長
 総務省のマニュアルによりますと、会計年度任用の職につきましては、一会計年度ごとにその職の必要性を判断することとされ、再度の任用の場合においても、新たな職に改めて任用されたものとされるものとされていることから、条件付き採用期間については、この考え方に沿って対応してまいりたいと考えております。


伊  藤
 その国の考えがですね、ちょっと違うんじゃないかなと。特に、国を先頭に働き方改革を言っているときに、そういうありかたっていうのはどうなんだろうという感じがしますよね。

 正規職員の雇用条件と比較しても、この面で格差が残ります。継続雇用の場合は、条件付き採用期間の省略など、さらに改善をすすめることが必要だというふうに思います。

 お聞きしますけど、市独自に判断できないのであれば、制度の運用の検証を進め、雇用の格差の是正に向けて、さらに改善するよう、合わせて財源措置も国に求めていくことが必要と考えますが、ご所見を伺います。


総務部長
 ご案内の通り、この制度は来年の4月から実施ということで、今制度設計並び今回条例の提案もお願いしているとおり、これから導入する制度でございますので、詳細についてまだ今後詰められる点もございますので、国の通知等を的確に把握しながら対応していきたいと考えております。


伊  藤
 ええ、来年4月からの制度なんですけれども、だからこそ、始まった時からですね、中身を検証して、やっぱり改善するべきところは改善するっていうことを求めていくことが大切だと思いますので、よろしくお願いします。




※9月定例会の他の質問です。リンクが貼ってありますので、興味がある項目をクリックしてみてください。

いわき市議会9月定例会一般質問Vol.1=本庁舎耐震改修工事の説明しっかり

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