伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

議会改革の状況を学んできました

2015年02月11日 | 市議会
 11日の建国記念日は、風邪を引いたらしく体がだるかった。これを書いているさなかも手のひらにもやもや感があり、ボーとした感じがあります。

 建国記念日はなぜ2月11日か。日本の初代の天皇とされる神武天皇が即位した日で紀元節にもとづく設定だとか。考えてみると、日本の祝日には天皇制がかかわるものがそれなりにあり、4月29日は昭和天皇の誕生日、明治天皇の東北巡幸に民間船を使って横浜港に帰ったのを祈念したのが7月20日の海の日(ハッピーマンデー法で7月の第3月曜日が祝日)、そして12月23日の天皇誕生日。確かに憲法上、天皇は特別な存在ではありますが、こんなところで特別の存在を広報しているんだなーとあらためて思います。

 その記念日をボート過ごす原因となった風邪は視察疲れがもたらしもの。先週水、木、金と3日間の常任委員会視察、一昨日、昨日の議会改革推進検討委員会の視察。さすがに連続する視察はこたえた。昨日の岡山県議会の視察で声が枯れていたのは風邪のためだったのかと、あらためて原因がわかってホッとしているところです。

 さて、今回の議会改革推進検討委員会の視察は、広島県福山市で議会報告会の開催状況などについて学び、岡山県議会では議会改革の取り組みとじ議員政策条例をテーマにお話を伺い、勉強してきました。


委員会視察の往復の新幹線は、東海道新幹線米原付近の降雪のため徐行運転でした。行きは30分遅れ、帰りは7分遅れの運行なりました。また常磐線のスーパーひたちは踏切の安全確認のため緊急停止。常任委員会の視察では搭乗便が2時間20分遅れとなりました。交通機関の難が続いた視察の日々でした。

 いわき市議会の議会改革推進検討委員会は、議会基本条例を制定することを目的に活動してきましたが、これまでの話し合いではどんな内容を盛り込むかで一致することができず、まず一致できることについて実施をし、その積み重ねの上に条例を作ろうということになり、現在、①議会報告会を議会として開催すること、②議会・議員からの政策立案・提案の促進、③議員間討議の制度化――を早期に実施しようと検討をすすめています。

 福山市議会では、議会事務局と議会報告運営委員会委員長が質問に答えてくれました。
 同市議会は2011年12月に議会基本条例を制定し、同年から議会報告会を開催してきました。この報告会を実施するために議会報告運営委員会が設置され、報告内容の検討や事後の報告会のまとめなどを行っています。

 報告会は同市の自治会連合会ブロックごとに市内8ヶ所で、毎年6月から8月の間に市役所や支所の会議室を利用して実施されます。概ね10人の議員を一つの班として4班を編成し、2つづつ会場を担当して運営します。報告は議会のしくみと予算。会場には要約筆記と手話通訳を配置しているといいました。

 参考になるのは2013年度と14年度で変更した点です。いわき市議会の検討でもそうなっているのです、報告はもちろん会場の参加者との質疑でも政党会派の考え方などは述べないとされていた点を、会派の考え方を述べるとした点です。市民に分かりやすい説明にするためにはその方が良いと判断したのだそうです。

 課題となっているのは参加者の幅を広げること。現在ホームページや議会だよりでの広報の他、自治会や女性連絡協議会、PTA連合会、老人クラブ連合会、福山市立大学など11団体に案内をしているだそうですが、約8割が60代以上の参加となっているそうです。その原因は自治会からの参加者が多いらしく、比較的投票率が低い世代をどう報告会に呼び込むかが課題だという認識を話していました。

 委員長の私見でしょうが、「来てもらうだけでなく、様々な団体に出かけて行って、報告・質疑をするというのも良いのではないかと思っている」という趣旨のお話がありましたが、これは重要な視点なのかもしれないと思いました。ただそうなると報告会というより、懇談会の意味合いが強くなるかもしれませんが。

 2日目の岡山県議会では議会事務局の方が話してくれました。
 同県議会では議会基本条例を2012年12月に議決し公布しました。議会改革としてこれまで予算全体を中心として総括質疑を行う予算総括協議会の設置や地域公共政策セミナーの開催、代表質問や一般質問の方法などを切り替えるなどの議会改革をすすめてきたといいます。

 また議員から提出をされて制定される議員政策条例の制定状況は、地方分権一括法の改正以降、都道府県議会で議員政策条例の制定が顕著になってきたことから同県議会でも、その取り組みがはじまったのだといいます。

 制定された条例は2003(平成15)年3月の「岡山県中山間地域の振興に関する基本条例」を皮切りに9件の条例が制定されています。このうち議会基本条例はほぼ1年の検討・準備を経て制定され、その他の条例でも水面下・公式の場含めて約半年の時間かけて準備され、制定されているといいます。

 いわき市議会の現在の検討状況は、議会報告会などで出された市民の意見などを踏まえて条例化が必要なものを検討するために政策検討委員会を設置する方向が話し合われていますが、岡山県ではどうか。

 これまで制定された条例では、がん対策推進条例では、県議会議員で組織される「がん対策推進岡山県議会議員連盟」の中心議員がその制定に向けて条例案をまとめ、これにかかわる環境文化保健福祉委員会、文教委員会に条例案が説明された後、環境文化保健福祉常任委員会が発議することに決定され、議会運営委員会を経て、本会議に提案され全会一致で可決成立しました。

 このように条例案は議員が取りまとめを行って、その内容に関連する委員会がある場合はその委員会に、それ以外のものは議会運営委員会が担当して条例案を審議し本会議に提案し採決に付されることになります。いわき市議会で検討されているような、政策を条例案化するにあたって特別の委員会を設けていないわけです。これは基本的に現在実施される条例案提案までの過程と同じということです。

 条例案を出してくるのは最大会派がほとんどとなるそうです。議会で出す条例案は可決されなければ意味がないことがその背後にあるでしょう。可決されるためには過半数を得なければなりません。同一会派内は事前の調整がしやすいと思います。少数会派が条例案を提案するためには、他会派との調整が必要になるので、必然的に条例案提案までのハードルが1段高くなってしまうわけです。

 岡山県議会に見られるように、議員提案による条例案は現在の議会の仕組みの中でも提案できるわけですが、いわき市議会で特別の委員会を設けて条例あの検討をするその意義がどこにあるのかは、明らかにしておく必要があると思いました。常設機関を置くことで、従来は水面下に行われる会派間の調整などが、常設の機関で行われることにより調整しやすくなるということがあると思います。

 いずれにせよ、議会提案による条例案は議員の側に住民の声を吸い上げて、それを政策化し条例案にまとめ上げるという意欲が欠かせないことは明らかですので、常設機関を設置することが議員の側の意識を高めることになれば良いのかな、とも思いました。

 両議会で様々なお話を聞けたことは今後の参考になりました。今後の検討に活かしていきたいと思います。 


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