伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

故安倍元首相の国葬には反対

2022年08月15日 | 政治
 8月12日に世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の関連団体UPF(天宙平和連合)開いた集会が報道された。それによると、集会では故安倍元首相への弔意を示す献花も行われたという。世界平和統一連合は正式略称を「家庭連合」としているようなので、以後、家庭連合・旧統一協会と標記したい。

 UPFは家庭連合・旧統一協会とは別組織と否定しているようだが、設立者が統一協会創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)。おまけに集会は文鮮明氏没後10周年に行われたようだ。こう見れば紛れもない関係団体だ。その団体がわざわざ献花の機会を設ける。しかも古安倍元首相は、かつて、この団体の集会等にメッセージを送っていたという。家庭連合・旧統一協会と安倍首相のずぶずぶの関係が、ここに示されているようだ。



 家庭連合・旧統一協会は、その活動資金の多くを日本で稼いでいるという。かつては霊感商法等で高額商品を売りつけて暴利をむさぼり、現在でも同様の被害があるようだが、加えて信者から多額の献金をしぼりとってお金を作り、そのお金を活動資金とし、また資産に代えているようだ。いわば、日本人が被害者になっている。こうした団体を持ち上げてきたような人の国葬を執り行なうことで、功績をたたえようとすることが許されるのだろうか。

 ちなみに故安倍首相は、米国大統領がトランプ氏に変わった際、いち早く訪米し就任前の同氏と会談した。12日の集会には集会には

 なぜ、故安倍首相を国葬とするのか。そこには、安倍政権8年有余の期間の功罪の罪を洗い流して、功、すなわち功績のみを光らせ、自民党政権を持ち上げようという意図を感じてしまう。

 岸田首相は国葬とする理由を、①憲政史上で最長期間首相を務めた、②さまざまな分野で重要な実績をあげた、③国内外から哀悼の意が寄せられている、としている。しかし、安倍首相が長期政権でしたことと言えば、国外の評価は別として、国内的には政治の不信を高めるようなことだったのではないか。そんな印象を持つ。

 安倍首相の下で、戦後の政治の基本はがらっと変えられた。
 現日本国憲法が容認するのは個別的自衛権だけだった。これを閣議決定で集団的自衛権にまで拡大し、世界のどこでも米軍と共同作戦を展開できる安保法を強行した。そして、東京オリンピック誘致にあたっては、汚染水の漏水等が続いていた東京電力福島第一原子力発電所の事故は「アンダーコントロール」とウソをつき、誘致につなげた。政府主催の桜を見るかいの規模を拡大し、地元の後援会員などを招待するとともに、パーティーで饗応した利益供与の疑惑が持ち上がり、国会答弁では118回もの虚偽答弁を繰返すなど国会をないがしろにした。また、いわゆるお友達への利益供与が疑われた森友・加計学園問題。どれも国政を歪める問題のある政治だ。私には、安倍首相の8年有余の功罪のうち、罪過の方が大きかったと考えている。

 こうした安倍政権の罪過を国葬とすることで覆い隠そうとすることが許されるはずがない。

 加えて、国葬となれば、全国の小中学校をはじめとした公共施設で、弔旗(半旗)を掲揚することが強制されかねないとも思う。

 7月12日に安倍首相の葬儀が営まれたことにあわせて、全国のいくつかの自治体の教育委員会の中で、小中学校等で弔旗を掲揚するよう要請する通達を出したことが報道されている。石川県教育委員会、仙台市、川崎市、帯広市などが報じられていた。政府は各自治体が判断するものとしているが、忖度なのか何なのかは分からない。国葬ともなればさらに多くの自治体でこうした措置が執られかねないと懸念が募る。

 2年前、2020年の故中曽根首相の内閣と自民党の合同葬の際に、文科省は国立大学や自治体の教育委員会に弔意に関する取り扱いを要請する文書を出した。これを受けて、仙台市などの市教育委員会が小中学校に弔旗の掲揚を求めることがあった。合同葬でさえこのようなことがおこる。国葬は公の主催する行事として、もっと大々的に弔旗の掲揚の強い要請がされかねないのではないだろうか。

 小中学校での弔旗の掲揚は、子ども達に故安倍首相に対する偏った評価を与えかねない。普段と違う旗の揚げ方・弔旗を揚げられるほど偉い人という評価を子ども達が持つことによって、客観的に功罪が問われるべき政治の内容を功績面からみる見方を子ども達に与えかねないと考えられる。内心の自由の侵害との私的もある。

 考えて見れば、ずいぶん前のことになるが、皇族の葬儀と元首相の葬儀で弔旗の掲揚が文科省から各自治体教育委員会に要請があった際、教育委員会に要請を出さないよう求めたことがあった。
 当時は、共産党いわき市議団の事務局の仕事をしていた。要請の一部始終は、赤旗に記事も書いた。




 はじめのは皇族の葬儀に関するものだったが、要望する時点で、すでに小中学校にあてた文書が配布されており、文書は撤回せず、申し入れの趣旨は「今後そしゃくする」と答えた。
 ほぼ1週間後、故福田赳夫首相の合同に関するものだったが、これは要望を受け入れ「文書を流さない」と答えた。

 この時も、今回の問題と同様の趣旨から申し入れたものだった。

 27年前のことではあるが、当時からこうした問題が繰返されてきた。SNS等を見ると、「国葬反対」の声が流れている。こうした声を上げていくことが、これからも大切なのだろう。
 あきらめず・・。

 

 
 

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