伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

国保医療費免除の継続で申し入れ

2012年09月19日 | 活動報告
 東日本大震災の被災者に医療費の自己負担分を免除する支援策が続いていましたが、9月いっぱいで終了することになっています。この継続を求める声がある中で厚生労働省は、免除を継続する希望がある自治体に対し免除分の8割を国が助成することを決めました。福島県も1割を負担することを決め、市町村は1割を負担すれば免除を継続できるようになりました。

 福島県は各自治体に意向調査を行っていましたが、いわき市は、市負担分の財源確保が困難なことを理由に、医療費免除を9月いっぱいで打ち切る意向でいました。このため日本共産党市議団は本日、いわき市長にあてた申し入れ書を持って市民協働部長と懇談しました。

 部長は、仮に実施した場合の財源として1億5000万円から2億円程度の財源が必要になり、これを国保税で負担した場合には来年度の国保税を今年度と同程度引き上げる要因になることや、緊急事態による財源不足に対応して積み立てられている基金も、今年度の引き上げ幅を圧縮する目的で取り崩したことなどで残高が1000万円程度しかないために財源になりえないことなどを説明、免除の継続は困難だという立場を表明しました。

 国保の担当者は、県内で実施するのは白河市、須賀川市、南相馬市、相馬市(県内13市のうち)であり、南相馬市は市内に原発事故にともなう免除がかかる地域があるために全域で実施され、南相馬市は基金を財源に実施するなど、いわき市とは条件に違いがあることを強調。さらに協会健保も9月で免除制度を打ち切ることにしており、その制度との整合性も考えたとしました。

 また、被災者の生活再建の立場から、この間も国保連合会などを通じて医療費の免除の継続などを求めてきた結果が、今回の国8割負担で残り市町村負担という仕組みであり、厚労相が「これで被災者を救済できる」と述べたことを説明しました。しかし、被災者の支援ということを考えれば、市町村ごとに判断するのではなく、全ての被災者を等しく救済できる全額国負担の制度が望ましいという考えも示しました。

               ★

 制度のあり方に関して言えば、市町村に判断させるという国の姿勢には問題ありで、同感です。部長は、「趣旨は承りました。上にも伝えます」とはいうものの、医療費免除の継続はこのままでは難しい。「もっと声を…」。これが現時点での、打開策の最大のものでしょう。ご意見をお聞かせください。

 なお、申し入れ全文は次の通りです。





            2012年9月19日
いわき市長
 渡辺敬夫 様
   
              日本共産党いわき市議団
                      団長 伊藤浩之
                          高橋明子
                          溝口民子
                          渡辺博之


     医療費一部負担金の免除の継続を求める要望


 震災から1年6カ月を経過した今も、被災者は生活環境の大きな変化によって、肉体的にも精神的にも多大な負担を強いられています。特に高齢者世帯では、「体調を崩した」「痴呆が進んだ」など医療や介護の必要が増しているのが実態です。

 こうした中、国は避難指示地域以外の住民の医療費一部負担金について、原則9月末で終了するとしていたものを、継続する市町村に対しては、基本的に来年3月まで免除額の8割を交付すると表明しました。同時に県も市町村に対し、免除額の1割を財政調整交付金から交付するとし、市町村に継続の意向調査を実施したところです。

 これに対し本市は医療費一部負担金の免除を実施しない意向にあります。しかし、震災からの復興はまだまだ途上にあり、津波被災地住民の仮設住宅や一時借り上げ住宅での避難生活が続いており、また地震被害世帯でも、住宅の取り壊しや再建、また修繕などが続いている状況にあります。この中で、市民一人一人が震災以前の生活を取り戻し、安心して暮らせる状況をつくるために一部負担金の免除継続について再考し、医療費無料化継続を県に申し出るよう求めます。

 県は現在、10月1日からの実施に向けて医療機関と被災者への周知のための準備をすすめていますが、仮に10月1日からの実施に間にあわない場合でも、還付制度を併用することによって、10月1日に遅れての実施もできないことではありません。従って一般財源からの繰り入れも含めて、本市の負担分となる1割分を確保することを検討し、一部負担金の1割負担を実施することを求めます。

 さらに国は、今回の無料化継続の有無をそれぞれの自治体に判断をさせ、実施する場合のみに8割を支援するとしています。医療費一部負担金の軽減などは、本来、被災地住民が等しく恩恵を受けられるようにするべきです。そのための実施の判断は当然国で行い、費用負担も国が行うべきです。従って、一部負担金の免除の財源は、国が全額負担するよう要望するよう求めます。


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