伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

国保税引き下げの可能性は / いわき市議会6月定例会一般質問4-1

2016年06月21日 | 市議会
 明後日には閉会するいわき市議会6月定例会。この議会での一般質問がまとまりましたので、掲載しました。大項目ごとに4回に分けます。興味のある方はお読みください。まずは1回目。今年度の国保税は税率の据え置きをする提案でした。引き下げができる可能性はないのか。繰越金に注目して質問しました。

 なおいわき市議会議会の中継で、録画中継されていますのでご覧ください。ここをクリックすれば開きます。⇒いわき市議会中継




1 国民健康保険について           
(1)2015(平成27)年度の決算について


伊 藤
 アロハ・アウ・・イナラ。
 やっぱり噛みましたね。なれないことはやるもんじゃない(笑い)。
 10番、日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。

 今議会はアロハ議会ということで、本会議場の装飾や初日の本会議前のフラダンスの披露、そして会議に出席するみなさんのアロハシャツの着用など、本議会に華やぎと和らぎを添え、その目的とする親しみやすい議会、市民に開かれた議会が市民のみなさんの心に響くことを心から願っております。



今議会に冠した「アロハ」という言葉ですが、あいさつの言葉で、午後という意味の「'auinala(アウイナラ)」と組み合わせたのが先ほどの「アロハ・アウイナラ」で「こんにちは」という意味になり、朝という意味の「kakahiaka(カカヒアカ)」と組み合わせれば「おはようございます」、晩という意味の「ahiahi(アヒアヒ)」と組み合わせれば、「こんばんは」という意味になるということであります。

 また「アロハ」は、あいさつとは別の意味も持っているようで、二つの秘められた意味“Kaona(カオナ)”というものがあるそうです。その一つが「アロハ」を分解して、アルファベットで言うとA、L、O、H、Aとなりますが、このアルファベットそれぞれが意味を持った単語の頭文字となり、このうちLは「Lokahi(ロカヒ)」で、この言葉には、日本語で言えば、協調とか調和、統一や一致という意味があるのだそうであります。

 さて昨年、憲法も民主主義も踏みにじった安倍政権に対して、国民のみなさんが野党は統一して安倍自公政権を打ち破れという道筋を示し、これに応えて野党が参議院選挙で選挙協力をするという流れが全国で作り出されてきました。

 この福島では、民進党、社民党、そして共産党が、市民のみなさんとともに、安保関連法制、私たちは戦争法と呼びますが、この戦争法の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、そしてアベノミクスによる格差と貧困の拡大の是正など7つの合意点の実現に向けて、それぞれ力を尽くそうということになりました。

 政策の違う政党が選挙協力をするのは野合だという批判の声も聞きます。しかし、先の通常国会では、野党が共同で残業時間規制を含む労働基準法の改正案など18の法案を提出することができました。そして3党のこの7つの合意事項は、憲法、自衛隊の派兵、そして経済政策まで幅広い分野に及び、この項目が土壌になってさらに豊かな政策の花を開かせることができるものと思います。

 本議会に冠されたアロハ、この言葉の精神を、このいわきでこそ引き継いでいかなければならない。このように思っております。

 そこで早速、暮らしと貧困にかかわる問題として、市民のみなさんの公的な負担の軽減をどう図るかという問題について質問してまいりたいと思います。国民健康保険税の問題であります。

 国民健康保険については、国庫負担を医療費の50%から給付費の50%負担するあり方に変更して以来、高騰を続け、いまでは加入者が高すぎて支払いが厳しいと感じるほどの水準になり、全国的にも問題になっています。

 そうした中、本市では、一昨年には資産割りを廃止し、昨年には所得割で1%の引き下げをはかり、また、法定減免の対象者を拡大するなど負担の軽減を図ってまいりました。

 そして本年度の国保税は、昨年度の税率で収支を見込むと、約6億円の収支不足が生じるものの、繰越金を充当することで、国保会計の運営は可能だという判断から、税率は現行通りに据え置くことを提案しております。

 そこで、まずは、昨年度の決算にかかわっていくつかうかがっていきたいと思います。

 本年度の国保税を決定するにあたって市長は、国保運営協議会に諮問をしていますが、その諮問では、決算の状況について次のようにのべていました。

 「平成27年度は、被保険者数の減少、復興需要による被保険者の所得増の鈍化、さらには、資産割の廃止及び所得割額の税率引き下げなどの影響により、国民健康保険税収入は減少傾向に転じ、一方、保険給付費については、被保険者数は減少しているものの、被保険者の高齢化や医療の高度化などにより、一人当たり医療費が増加し、平成25年度以降は、ほぼ横ばいで推移している状況にあるため、単年度収支は赤字となる見込みであります」

 ま、こういう内容です。

 ここに盛られた内容について、具体的にどのように決算に影響しているのかをうかがっていきたいと思います。

 まずは、被保険者数の減少による国保税収の影響額はどの程度になるのか、うかがいます。

市民協働部長
 被保険者数の減少による、国民健康保険税収入への影響額につきましては、平成26年度と平成27年度の調定額をもとに算出いたしますと約2億9,100万円の減収となっております。

伊 藤
 次に、被保険者の所得増の鈍化としていますが、推移はどのようになっておりますか。

市民協働部長
 平成23年度から平成27年度の被保険者一人当たりの所得額から算出される課税標準額の推移で申し上げますと、
平成23年度は43万5,520円、
平成24年度は44万1,085円で、前年度と比較して5,565円、1.3%の伸び、
平成25年度は52万7,335円で、前年度と比較して8万6,250円、19.6%の伸び、
平成26年度は56万2,922円で、前年度比較して3万5,587円、6.8%の伸び、
平成27年度は57万6,191で、前年度と比較して1万3,269円、2.4%の伸びとなっており、
近年、その伸びが鈍化している状況にあります。

伊 藤
 鈍化をしたといっても、23年度、24年度あたりに戻ったという程度ですね。で、この所得増の鈍化による国保税収への影響額はどの程度になるのでしょうか。

市民協働部長
 所得増の鈍化による国民健康保険税収入への影響額につきましては、国保税の調定額をもとに算出いたしますと、26年度の伸びは、約3億7,600万円であるのに対し、平成27年度の伸びは、約1億4,000万円となっておりますことから、影響額といたしましては、約2億3,600万円の減収となっております。

伊 藤
 次に、資産割額の廃止による影響額はどの程度になるでしょうか。

市民協働部長
 平成26年度に資産割額を廃止したことによる影響額は、廃止しなかった場合の試算額と比較いたしますと、単年度で約2億円の減収となっております。

伊 藤
 次に、所得割額の税率引き下げによる影響額はどの程度になるのでしょうか。

市民協働部長
 平成27年度に所得割額の税率を1%引き下げたことによる影響額は、税率を引き下げなかった場合の試算額と比較いたしますと、単年度で約2億9,000万円の減収となっております。

伊 藤
 まあ、以上のようなことなどから、決算では前年度に比べて国保税収としては5億円程減少したということです。

 一方、これらのことは予算編成時においてある程度は織り込んでいると思います。現実に2015(平成27)年度の予算現額では、前年より国保税の収入額を1億円低く見積もっていました。

 それに対して2015(平成27)年度の国保税の収入は、約5億円の減と見込まれるとのことですが、歳入のうち国民健康保険税の予算現額に対する決算見込みは、約1億6,200万円の増となっております。増となった要因は何と見ているでしょうか。

市民協働部長
 予算現額に対する決算見込み額が増となる主な要因といたしましては、現年度分の収納率の増、滞納繰越分の調定額の増、及び滞納繰越分の収納率の増があげられます。

伊 藤
 ということで、前年度に比べると減額はあったけれども、それぞれ収納率の向上、または調定額の増ということで、それが国保税収の増額につながっていくことが、今の答弁で分かってきたんだと思います。
で、単年度収支で赤字となっているわけですが、この理由は、どのようなところにあるのでしょうか。

市民協働部長

 平成27年度の単年度収支が、赤字と見込まれる主な要因といたしましては、歳入である国民健康保険税は、予算現額を上回る収入額を確保できる見通しであるものの、被保険者数の減や、所得割額の税率を1%引き下げたことにより、前年度と比較し、約5億1,400万円の減収となること、一方、歳出である保険給付費は、予算現額は下回るものの、被保険者の高齢化や、医療の高度化などにより、一人当たりの医療費が増加しており、前年度と比較し、約1億1,400万円の増となることが挙げられます。

(2)2016(平成28)年度の国保税等について 

伊 藤
 まあ、その単年度収支が赤字であっても、全体としてのバランスは取れているし、繰越金も24億3000万円余りと前年度の本算定時並みに見込むことができているという状況がこの決算からは見て取ることができると思います。

 その上にたって、今年度の本算定では、2015(平成27)年度の決算状況、16(平成28)年度の被保険者数の推移及び保険給付費等の支出を見込み、国民健康保険税について試算したところ、現行税率では、約6億円の収支不足が見込まれるものの、平成27年度からの繰越金により事業運営は可能との見通しに立って、税率を据え置く。このようにしたわけです。

 ただ一方では昨年に引き続き国の財政支援策が継続しています。

 国は国民健康保険の財政基盤強化策として約1700億円の支援を行いますが、今年度、本市への影響額はどの程度が見込まれるのでしょうか。

市民協働部長
 国の財政基盤強化策に係る、今年度の本市への交付額は、約3億8,300万円と見込まれますが、この交付にともなって、国庫負担金が約1億4,000万円の減収となりますことから、影響額といたしましては、約2億4,300万円が見込まれます。

伊 藤
 ま、ほぼ前年度並みには確保されるんだろう。こういうことであります。

 合わせて県の支援策も先だって新聞報道されておりました。

 その報道では、県独自の18歳以下の医療費の無料化に伴い、国が県内市町村への国保財政への補助金を減額していることから、県は、今年度、減額分の一部を独自に補てんすることにしたとされています。「県は補てんによって市町村の国保税の引き上げを緩和できる」などと新聞記事には書かれていましたが、この本市国保会計への影響額はどの程度が想定されるでしょうか。

市民協働部長
 県が本市に対して支出する額は、約2,000万円が見込まれます。

伊 藤
 国県合わせておおよそ約2億6,000万程のプラス要因があるということであります。

 今年度は現行税率では約6億円の収支不足が想定されるとしています。そこで単年度収支の推移はどのようになっているのか、おうかがいします。

市民協働部長
 平成23年度から平成27年度までの5年間の単年度収支につきましては、
平成23年度は、約4億8,700万円の黒字、
平成24年度は、約13億4,400万円の黒字、
平成25年度は、約3億4,600万円の赤字、
平成26年度は、約6億1,700万円の黒字であり、
平成27年度については、約6億3,800万円の赤字となる
見込みであります。

(3)国保税引き下げの可能性について    

伊 藤
 赤字と黒字を繰り返しているというふうな状況でありますが、この単年度収支は、年度の実質収支から前年度の実質収支を差し引いた収支であり、当該年度だけの収支を把握しようとするものと解説されておりました。これが赤字ということは、前年度までの蓄積の一部を食いつぶすことを意味しているということであります。

 ただ一方で、単年度収支は一定の期間をおいて赤字になるのが健全であるとする解説もあります。地方自治体は利益を追求する団体ではないからであります。

 本市でも現実に単年度収支で黒字となったり、赤字となったりを繰り返していることから、単年度収支が赤字になったからといっても、それは健全な財政の状況を示しているかもしれないということが言えるのだと思います。

 そこで次に繰越金の推移をうかがいます。

 朝一番の永山議員の質問で、繰越金の推移だけで上げ下げを論ずべきではないと、このように釘を刺されていますが、ここはあえて、禁断の領域、禁断の地に足を踏み込んで質問していきたい。このように考えています。

 そこで、繰越金の推移はどのようになっていますか。

市民協働部長
 平成24年度から平成28年度までの5ヶ年の繰越金につきましては、
平成24年度に繰り越された額は、約14億5,500万円、
平成25年度は、約27億9,900万円、
平成26年度は、約24億5,400万円、
平成27年度は、約30億7,100万円であり、
平成28年度については、約24億3,300万円となる
見込みであります。

伊 藤
 24(2012)年度以降10億を超え、20億を超え、30億にも迫る繰越金もあったということであります。

 2015(平成27)年度決算見込みの繰越金を見ると、30億7,000万円あったものが、28年度予算案の繰越金では24億3,000万円と6億4,000万円程度圧縮しており、これまでの蓄積を食いつぶしている状況はありますが、それでも24億3,000万円もの繰越金がある。そういう状況です。26年度と同じ額ということになります。
この繰越額の適正規模をどのようにとらえているのか、おうかがいします。

市民協働部長
 国の通知におきまして、国民健康保険財政の基盤を安定・強化する観点から、一定の保有額を、基金での積み立てと、予備費に計上することと示されておりますが、基金の保有額については、過去3ヶ年における保険給付費等の平均年額の5%以上に相当する額を積み立てることとされており、また、予備費については、保険給付費の3%以上の額を計上することとされております。

 これをもとに計算いたしますと、本市の場合、基金保有額については、約16億円の積み立てが必要とされ、また、予備費については、約8億円の計上が必要とされますことから、保有額としては、約24億円が必要となります。

 現在、本市においては、国民健康保険基金に約1億1,000万円を積み立てており、予備費には1億円を計上しております。

 これに加え、平成28年度への繰越金が、約24億3,300万円と見込まれますことから、合計で約26億4,300万円の保有額があることになります。

伊 藤
 ということをとらえてみれば、そこには適正な値というのはない。当然であります。そういう状況の中でここ数年20数億円以上の繰越金が続いてきたということです。

 昨年6月の市民福祉常任委員会ではですね、医療制度がどう変わるか分からないことに加えて、インフルエンザ等の予測し難い事態を考えると10億円でも繰越金が足りないのではないか。こういう議論がされておりました。

基金がない中で、繰越金そのものが基金の役割を担っているというのが今のいわき市の現実ということになっているのかと思います。

 ただ、こういう状況を続けていいのかということが、一方ではあるわけで、こうした繰越金の状況を見たときに、先ほどの質問の中で、たしか30(2018)年度には12億円程度まで(繰越金が)圧縮するんではないかという見通しが示されていたと思いましたけれども、この繰越金をさらに圧縮する観点を加えながらですね、今年度の国保税は引き下げも可能になっていくのではないか。このように考えておりますけれども、どのようにお考えでしょうか。

市民協働部長
 今ほど議員おただしのように、基金保有額については一定額保有しております。ただ先ほども申しあげた通り、国保税を引き下げたこと、医療費が増えていることをもとに、今後、単年度で赤字が推移することでありますから、30年度に12億保てるとしても、今現在、国保税を引き下げるということは、1年度で相当の風とか流行があると、耐えきれない状況もありますので、相当のリスクを背負うんで、引き下げをすることは困難だと考えております。

伊 藤
 一つだけ確認したいんですが、過去においてですね、インフルエンザとか、風邪の流行で赤字になったとか、会計が打撃になった事例はあったのでしょうか。厳しいときはあったようでございますけど。

市民協働部長
 備えとして繰越金等がありましたので、インフルエンザ等の流行で、それをこえた繰り上げ需要が生じたことはございませんが、一定の保険給付費を見込んでおりますので、その中で対応できたということだと思っております。

伊 藤
 今年度の処置は、次年度以降を見据えての今年度の判断ということですので、現実に、来年度、今年度のどんな決算になるのか、しっかりと見極めていきたいと、このように考えております。


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