伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

平和考えるきっかけに――議員だよりNo.2246の記事を書きました。

2019年08月20日 | 市議会







見て、学んで、平和考えるきっかけに
市の「原爆と人間展」終わり、25日に市民団体の平和のつどい



 74回目の終戦記念日を迎えた8月15日、中継された全国戦没者追悼式。安倍首相の式辞と天皇のお言葉が放送されました。この日を含む8月1日から16日まで本市は「原爆と人間展」で原爆パネルを展示しました。目的は「非核平和思想の普及・啓発」を図ることにありました。この「非核平和」という本市の願いは国の政治にどのように届いているのか、全国戦没者追悼式から考えてみたいと思います。


 8月15日正午前に始まった、全国戦没者追悼式のテレビ中継では、天皇皇后が入場された後に安倍首相が式辞を読み上げました。

 この中でどのような言葉を語るのかが注目されました。しかし、期待された過去の侵略戦争にふれ反省することはありませんでした。

 戦後59年だった2004年8月15日、当時の小泉首相は追悼式の式辞で次のように述べていました。

 「先の大戦において、我が国は、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。国民を代表して、深い反省とともに、犠牲となった方々に謹んで哀悼の意を表します」


 この侵略戦争への反省は、1993年の細川護熙首相以後の歴代首相が踏襲していました。実は、第1次安倍内閣の下、2007年には「アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」「深い反省とともに、犠牲となった方々に謹んで哀悼の意を表す」と、安倍首相自身が述べていました。
 この反省と哀悼が、この間の式辞からはすっぽりと落とされているのです。

反省欠如と関係悪化

 こうした政府の、侵略戦争への反省の欠如が、近隣国との関係を悪化させているように見えます。

 隣の韓国との関係は、経済的制裁で泥沼化の様相を呈しています。

 きっかけは韓国の元徴用工の日本企業を相手とした賠償請求訴訟の判決でした。賠償を認める判決と企業資産の差し押さえに対して日本側は、輸出管理の手続きを簡素化する優遇措置の対象国から韓国を除外する措置をとりました。また一方では、安保法制の強行や、空母の保有を計画するなど軍備の増強をすすめています。

 こうした動きが近隣各国の緊張を高めることは間違いありません。実際に、韓国が来年から戦闘機F―35Bを最大16機搭載できる軽空母の建造に入ると報道されています。もともと計画されていたようですが、この実施を早めたのです。日本との関係が悪化しつつあるタイミングで発表されたのは、日本の「いずも」の空母改修に対抗するためという指摘もあります。

 空母は、攻撃型の装備ですから、こうした両国の動向は、いっそう緊張を高めてしまうことは間違いありません。


反省ふれた「お言葉」

 天皇は追悼式の「お言葉」で、「過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い」と、侵略戦争への反省の上に世界の平和と我が国の発展へ希望を述べました。

 こうした過去への反省は、未来の良好な関係を発展させる基礎を築くものです。この「お言葉」に見られる立場を明確にしていくことが政治にも求められています。


社会を動かす市民の声

 社会を動かす力をもっているのは、最終的には市民の声です。

 市の原爆と人間展は16日で終了しました。ご覧になった方は、どのような感想をお持ちでしょうか。原爆という、ともすれば日本の被害がクローズアップされる展示ではありますが、写真が示す深刻な戦争被害の実態は、平和の達成のために何が必要かを、市民のみなさんが考えるきっかけになったものと思います。

 このような取り組みの積み重ねが、社会を動かす力を大きくしていくことは間違いありません。

 8月25日には市民団体が映画と講演、展示などを内容とする「いわき平和のつどい」を計画しています。

 映画は沖縄の米軍と自衛隊基地問題を扱ったドキュメンタリー映画「標的の島 風(かじ)かたか」が10時と13時からで2回上映され、15時からは映画監督の三上知恵さんの講演が計画されています。

 本市が実施した「原爆と人間展」と合わせて、平和を考えるきっかけにしていただきたいと思います。

文=伊藤浩之


最新の画像もっと見る

コメントを投稿