伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

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2020年01月08日 | 市議会






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被災されたみな様にあらためてお見舞い申し上げます


いわき市議会11月臨時会・12月定例会

 いわき市議会は、11月臨時会(2019年11月22日)、12月定例会(同12月5日から19日)と連続して議会を開きました。

 11月臨時会には、総額201億401万円の一般会計補正予算案や専決処分された台風第19号等の被災者に市民税等を減免するための条例の承認案など6議案が提案され、全議案が全会一致で可決・承認されました。伊藤浩之議員が議案等に対する質疑に立ちました。

 12月定例会には、震災伝承みらい館設置に関する条例案や国保税の納期を5期から8期に拡大するための条例改正案、総額7億4,780万円と総額45億578万円の一般会計補正予算案など39議案が提案され全議案が可決されました。また、市議会提出の議会基本条例案や被災者支援制度の改善を求める意見書案など3意見書案を全会一致で可決・採択しました。

 この議会では一般質問に、伊藤浩之、溝口民子、渡辺博之、質疑に伊藤の各議員が立ち、市政の取り組みをただすと同時に、市民の要望実現を求めました。
 会派議員の一般質問や主な議決内容等をお知らせします。


震災の教訓は生きたのか・台風第19号等の災害対応をただしました

 死者9名、被害住家4,987棟、被害総額377億8,467万円(12月16日現在)と過去のどの水害よりもはるかに大規模な災害となった昨年の台風第19号と10月25日の豪雨災害。東日本大震災の証言と記録には「被害の規模が甚大で、初動対応期は、ほぼ平常時の対応を中断して、災害対応に振り向けた」と記載がありますが、大規模災害となった今回の水害に、本市はその経験を活かすことができたのでしょうか。

■ワンチーム
 死者9名、被害住家4,987棟、被害総額377億8,467万円(12月16日現在)と過去のどの水害よりもはるかに大規模な災害となった昨年の台風第19号と10月25日の豪雨災害。東日本大震災の証言と記録には「被害の規模が甚大で、初動対応期は、ほぼ平常時の対応を中断して、災害対応に振り向けた」と記載がありますが、大規模災害となった今回の水害に、本市はその経験を活かすことができたのでしょうか。

■寄り添う
 「被災者に寄り添ったきめ細やかな支援」に努めるとしますが、疑問が残る対応も。
 住宅応急修理制度の申請窓口が支所に置かれなかったが、全市に被災者がいることを踏まえて、妥当な措置だったのか。
 建築職の職員を最低1名以上配置するため、相当の被害規模の平地区等計5箇所に窓口を設置しました。各災害対策地区本部では、制度の周知等の対応をしました。窓口設置のあり方は、検討課題とします。

■情報発信の教訓
 今回の災害で情報発信の難しさがあらためて示されたと思う。市長は初当選後、震災後の閉塞感の原因に情報発信の不備が「1つの要因」としていたが、今回の情報伝達についての教訓は。
 伝達の内容が「分かりにくい」等の声もあり、今後、設置を予定している検証委員会での検証等を踏まえ、高齢者等の要配慮者にも効果的な情報伝達のあり方や避難誘導のあり方について検討していきたいと考えています。


常備消防職員増員で消防力強化をはかるべき

 市町村が適切な消防力を整備するにあたっての指針が消防力の基準で、この基準は、消防庁舎や消防車両、消防水利と消防職員について定めたものです。
 「消防力の整備指針」によると本市の消防職員の基準数は545人で、基準数に対する充足率は66.2%となっています。

 他の消防本部の充足率はどうか。
 平成27(2015)年度に実施した消防施設整備実態調査によると、全国が77.4%、福島県が72.4%です。

 8年前に質問した当時の充足率とほぼ変わっていない。この8年間の増員は8人で、毎年1名増にすぎず、全国基準数にするには184年かかる。せめて県内平均にするために33人増員をすべきでは。
 市民の安全安心の確保や消防需要などを見極めて総合的に判断したいと思います。

 消防職員の年次休暇取得の状況は市長部局と比較するとどうか。
 平成30(2018)年の取得実績で見ますと、隔日勤務者が4.8日、毎日勤務者が6.3日、平均で5.1日です。水道局及び病院職員を除く市長部局は平均10.4日で、消防職員の取得率が低い要因は、出動隊を編成する為の最低人員を確保しなければならない事があげられます。


健全財政の本市だから救助金増額はかるべき

 本市は財政を健全化しただけでなく、手堅く貯金を増やしています。

 一般会計の借金(市債)残高は。
 2007年度の1,405億円をピークに減少傾向で、2018年度は1,150億円です。

 重要な3つの貯金である財政調整基金、減債基金、公共施設整備基金の合計額は。
 2009年度は52億円で、2018年度は272億円です(復興関係を除く)。

■被災者への市独自の救助金増を

 台風19号等の水害で、床上1メートル未満の半壊世帯には被災者生活再建支援法による支援金が支給されません。半壊世帯でも、家財道具が壊れるなど出費がかさみました。
 県知事は独自の支援は検討しないと言っていましたが、市長等の要望に応え、10万円の特別給付金を支給することにしました。

 健全財政の本市も増額する政治決断を市長はすべきでは。
 大規模災害では、本来国の責任で対応すべきものであり、制度の拡充等を国に引き続き強く要望したいと考えます。


市議会で議決された支援策

■いわき市被災救助費救助金
 市条例に基づき救助費救助金や亡くなった方に弔慰金を支給する事業費です。

■いわき市豪雨災害特別資金信用保証料補助金
■いわき市豪雨災害特別資金利子補給補助金
 福島県緊急経済対策資金融資制度を活用する台風第19号等の被災事業者が対象です。
 信用保証料は、50万円を限度に補助します。
 利子補給補助は、融資利率(年1.5%以内)を3年間で100万円まで定額補助します。

■被災事業者事業継続奨励金
 「中小企業等グループ補助金」または「小規模事業者持続化補助金」を活用して、被災後も市内での事業継続に取組む事業者に10万円の事業継続奨励金を交付します。

■強い農業・担い手づくり総合支援交付金
 台風第19号等で被災した農業機械の再取得や修繕、パイプハウス等施設の撤去・再建を支援します。また、選果場やガラス温室等の再建、修繕等を支援します。

■被災農家経営再会緊急対策事業費補助金
 台風第19号等の大雨で倉庫などが浸水し保管していた米を出荷することができなくなった農家の営農再開を支援するため、土づくり、種苗等資材の準備などに支援します。

■農業等災害対策事業費補助金
 同じく被災した稲作農家等の経営再開を支援するため、収穫不能となった稲の腐熟促進等に要する経費を支援します。

※詳しくは、市ホームページ等でご確認ください。



11月臨時会質疑では・・床上浸水に支援拡大求めました

 水害による床上浸水で、家具や家電が壊れたり、住宅の補修が必要となっても、り災の判定が半壊以下には国の支援がないのは不合理です。

 支援の拡充への取り組みは。
 床上浸水の被災者支援に差が生じており、国に制度の拡充を引き続き要望していきたいと考えています。


一般質問


伊藤浩之

災害を踏まえたまちづくりは

 立地適正化計画策定の目的は。
 今後の急速な人口減少や超高齢社会が到来する中で、居住機能や、医療・福祉・商業等の都市機能を適正に配置し、コンパクトな都市づくりと公共交通を確保することで、将来にわたり持続可能な都市の実現を図るものです。

 計画の概要は。
 計画期間を2040年頃までとし、対象区域を都市計画区域として、平や小名浜などで、医療、福祉、商業等の日常サービスを担う都市機能を誘導する「都市機能誘導区域」と、その周辺で一定の人口密度の維持を図る「まちなか居住区域」を設定し、これらと連携した公共交通ネットワークを確保すること等としています。

 居住区域のうち、今回の水害で被災した区域が重なる地区は。
 平、内郷及び好間地区等の一部で被害が確認され、まちなか居住区域全体の1割程度と推計しています。

 水害区域に人口を誘導する計画だが、今回の災害による修正は。
 河川等の整備による水害対策等、ハード・ソフトを組み合わせた防災・減災対策を推進することとして、区域に含めました。
 当該計画の区域見直しは、設置予定の「立地適正化計画評価等専門委員会」で検証し、市民の意見も伺い判断したいと考えています。


溝口民子

県立高校改革の本市意見は

 国は教育再生と銘打つ改革を検討しており、県教育委員会の県立高校改革はこの路線に従ったものです。本年2月に県教育委員会は2019年度から5年間で25校を13校に統合・再編し、分校2校を募集停止にする改革方針を示しました。
 さらに、県教育委員会は「単なる統合で終わらせず、各校の役割の明確化や特色化を進めるとして、普通高校を「進学指導拠点校」「進学指導重点校」「キャリア指導推進校」の3つにランク付けしました。
 進学する高校によって子どもの人生まで決まってしまうようなランク付けは、子どもの伸びる可能性を奪ってしまう問題があります。
 本市では、2021年に小名浜高校といわき海星高校を、2022年度に遠野高校と湯本高校を統合するとしています。

 私は7月に湯本高校で開催された学校改革懇談会を傍聴したが、説明を聞きながら、統合ありきで進んでいる印象を受けた。本市はこれまで県教育委員会に対してどの様な意見を述べてきたのか。

 本市としましては、中学生の進路指導に支障をきたすことのないように、県立高校改革の趣旨や、統合校の学校運営ビジョン等を早期に具体的に示すこと、また、地域に貢献する人材の育成に力を入れてほしいこと等伝えてきた所です。


渡辺博之

低所得者の市営住宅家賃の独自減免を

 公営住宅法には、特別の事情がある場合に家賃を減免することができると書いてありますが、本市では規則などの定めがないために実施されていません。
 2年前の議会で、4分の3の中核市で独自の減免制度があり、そのうちの3分の1が減免後の最低家賃がゼロ円であること、福島県営住宅では最低家賃が1,000円であることなどを示しながら、本市での制度創設を求めました。これに対し市は、他の中核市などの調査を行いたいと答弁しました。
 昨年の定例会で、調査結果について質すと、さらに調査して家賃減免制度の是非について判断したいと答弁がありました。

 低所得者への市独自の家賃減免制度創設の検討状況は。
 入居者が病気で多額の治療費を必要とする場合や、企業等の倒産による失業等により、収入が著しく減少する場合等に減免をおこなうなど、具体の検討を進めています。

 制度創設の今後のスケジュールは。
 現在、減免制度に係る要綱等の整理など、事務作業を進めており、制度の創設に向け、できる限り早い時期に開始できるよう引き続き取り組みたいと考えています。


会派をこえた議会の活動が市政を動かしました

市民の声と会派を超えた共同が創った県支援制度

 水害では半壊以下の被害には支援はないなどの被災者の声を受けて、会派は市の救助費救助金増額を求めるとともに、議会としても市に求めるために、他の会派とも共同し被災地区から請願を提出してもらえるよう働きかけました。
 このような動きが広がる中で、市長は県市長会を代表して半壊以下の被災世帯に県独自の支援制度を創設するよう求め、県は10万円の特別給付金を支給することを決めました。
 垣根を超えた会派の協力と市民との共同が大きな力になり、市長を動かし、独自の支援制度の創設に後ろ向きの姿勢だった県を動かしました。

市議会の要望受け前納分の税も減免対象に

 11月臨時会では、台風第19号等で被災した市民の、2019年10月12日以降が納期となる個人市民税、固定資産税と都市計画税、事業所税を、被災の程度によって減免する条例を承認しました。
 議案を審議した政策総務常任委員会では、前納分が減免の対象にならない理由が税の理論上の問題と確認され、その理由は被災者が納得できるものではなく、国に改善を求める意見を提出するよう執行部に求めた上で可決していました。
 臨時会後、前納分を減免している自治体が確認されたため、市に減免実施の要望書を議会から提出。この結果、市は前納分も減免の対象とすることにしました。


市議会改革・・検討重ね全会派一致・議会基本条例を採択

 いわき市議会は、2000年に議会改革検討委員会を設置し、市民に親しみやすく、また開かれた議会に前進することをめざして議会の改革に取り組んでおり、近年は政策提案の活発化や議会報告会での市民意見の聴取等の活動を行ってきました。
 こうした取り組みを踏まえ、市議会として議会のあり方を市民に示す議会基本条例がとりまとめられ、全会派の賛同を得て議員提出議案として提案され、全会一致で可決しました。
 条例名は「市民とともに未来をひらくいわき市議会基本条例」。前文では、市民の負託に応え市民に信頼され続ける議会の実現をめざすことなどを宣言し、条文には、市民への広報広聴機能や政策形成機能の強化などを盛り込んだ内容です。



11月臨時会・12月定例会・主な議案内容と会派の対応

日本共産党・共同は提案されて採択に付された45件の議案全てに賛成し、全議案が可決されました。以下に主な議決内容を紹介します。文中の被災者は、台風第19号と10月25日の豪雨災害で被災した方をさします。

条例改正案等

■台風第19号等による被災者の国保税の減免に関する条例
 被災者の2019年10月12日以降の納期分の国保税を、被災の程度によって減免する条例が承認されました。

■いわき震災伝承みらい館条例の制定
 薄磯地区に整備している同館の開設に向け、審査資料の収集・保管や公開等、同館の事業等を定める条例が制定されました。

■工事請負契約の変更「本庁舎耐震改修工事」
 2会派が反対しましたが、多数で可決しました。共産党・共同としては、当初の契約により追加工事等について市と事業者の負担分担の方法が決められている等、執行部の説明を妥当と考えることから賛成しました(詳細は№147に記載)。

一般会計補正予算案

■住家床下消毒事業費
 台風19号等で床上、床下浸水被害の住宅の消毒作業を実施。8,042万円。

■災害廃棄物処理事業費
 浸水区域の水害ごみの収集運搬、処理等の費用。44億3,380万円。

■住宅応急修理事業費
 台風19号等で被災した住宅の応急修理のための費用。14億2,939万円。

■災害救助費
 市条例に基づき被災者に救助費救助金等を支給する。4億3,905万円。県が新たに制度を作った、半壊、床上浸水の世帯に対する10万円の支援は、この救助金と合わせて支給されることになります。該当する世帯は、市のお知らせにご注意ください。

■災害対策緊急事業費
 昨年8月に発生したがけ崩れから、主要地方道小名浜平線(通称、鹿島街道)を復旧する県の工事に合わせて市道取り付け部を工事するための市負担金。2億2,720万円。

国保税の納期が5期から8期に拡大

 国民健康保険税の納期はこれまで5期となっていましたが、これを8期に分けて拡大する条例改正案が提出され、可決しました。これにより、7月から翌2月まで、毎月月末(12月は25日)が納期限となり、1回ごとの納付額が軽減されます。
 市はこの改正によって納付率が0.6%程度向上する効果があると見込んでいます。
 国保税の納期を拡大することは、以前から市議会の一般質問等で取り上げられてきました。しかし、市民の納付の手間が増えることなどを理由に市はこの要望に応えることはありませんでした。
 時間がかかったとはいえ、市民の声が反映した措置は歓迎されます。


2019年12月定例会での意見書案・決議案の採択状況




なぜに答えます・・意見書・会派の対応

■トリチウム水
 前回保留分のトリチウム水関連の意見書案には、「トリチウム水の適切な処理」との文章がありました。
 「処理」の意味は「始末をつけること」。現状では最終処分=海洋投棄のニュアンスが強くなります。
 海洋投棄に反対する声があることを踏まえ、「処理」の言葉を「周囲の状況」を踏まえるとの意味を含む「対応」と変更するよう求めていましたが、合意に至らなかったため、保留とする姿勢を取りました。

■豪雨災害関係の2件
 この2件には「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」事業の遂行と予算の確保を求める文章がありました。
 「国土強靭化」事業は、堤防のかさ上げなどのインフラ整備に約7兆円を積み上げるものですが、具体的事業に防衛装備品の整備や性能向上等の費用も含め嵩上げされており、内容の精査が必要です。事業を精査する文言を入れることを求めましたが合意に至らず、保留としました。


次期定例会は2月20日の開会が予定されています。  
請願・陳情の提出、ご意見、ご相談等何でもお寄せください。


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