伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

市議会閉会し賛成討論に立ちました

2019年09月30日 | 市議会
議案第17号、令和元年度一般会計補正予算案に対する賛成討論



 10番、日本共産党・市民共同の伊藤浩之です。

 私は議案第17号、令和元年度いわき市一般会計補正予算・第3号について、並びに委員長報告に賛成の立場から討論いたします。

 私が討論に立つと、反対討論ではないかと身構えてお聞き取りいただく節があるようでございますが、私は、過去に5回程、賛成討論に立っており、今回は何のひねりもなく賛成の立場での討論であることをあらためて申し述べ、安心してお聴き取りいただき、その趣旨をご理解いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 さて、本案に盛り込まれております、本庁舎耐震改修工事にかかわる補正予算を考えるとき、私が初当選させていただいて、最初の定例議会で行った一般質問を思い出します。

 私は、2005年の市長選挙と一緒に実施された市議会議員補欠選挙で、初当選させていただき、当選後、初めての議会となった定例会で一般質問に立つことになり、同じく初当選されました櫛田市長の選挙公約について質問いたしました。

 この選挙では、文化交流施設大ホールの2,000席以上への計画変更や、いわき駅前第一種市街地再開発の一環としてそのビル内に整備が予定された総合型図書館を独立型図書館とする計画の見直しが大きな問題になり、私は、見直しを市民に訴えた櫛田市長の公約には、契約が済んでいる等の状況から、公約通りに進めると費用が膨らむ可能性があるなど問題だとの立場から質問を行いました。

 いずれも、最終的には当初の計画を逸脱しない範囲での見直しにとどまり、私は市長の公約はいわば反故にされたと受け止めてまいりました。

 今は私は共産党を離れたとはいえ、共産党から立候補し、当選後に公約には問題があり守るなとの立場から質問するのは、一般的なイメージから考えると、らしくないと言えばらしくない質問、このように見えると思いますが、その時々の状況を踏まえて、市民の不利益にならない結論を導き出すために努力することが大切だと考えていました。その考えは現在でも変わりません。

 この視点は、今議会に提案された一般会計補正予算案に含まれる、本庁舎耐震改修工事でも貫くべきと考えております。


市民にお詫びします

 本案には工事の進捗に伴い、新たに必要となった追加工事のうち、プロポーザル方式による契約でリスク分担等により、本市が負担することになった工事の費用を増額補正する内容等が含まれています。

 一般質問でも概略触れましたが、本事業は2015年に基本構想を策定し、技術提案の具体的な指針を与える目的の「要求水準書」を示して公募型プロポーザルを実施しました。

 この公募型プロポーザルには、2者が提案を寄せ、審査の結果、最優秀提案者となった大成建設株式会社東北支店と、市議会の議決を経て、2017年6月に工事請負契約を締結しております。

 その後、工事の進捗に伴って新たな工事が必要となったため、リスク分担表に基づき分担を判断し、昨年11月定例会に1回目の補正予算を議決、本年2月定例会の審議を受けて変更契約が締結され、今定例会には2回目の追加工事等の補正予算が提案されるに至りました。

 工事の契約額は、当初、57億7,620万円でしたが、1度目の変更契約で59億1,208万8,480円となり、工期も半年間延長され来年1月31日までとなっておりました。

 今定例会に提案された新たな追加工事等の費用の総額である5億4,859万2,000円を加えると、現時点での総額は64億6,068万480円となり、工期はさらに14ヶ月延伸され2021年3月までとなります。

 本事業におけるリスク分担による予算の増額については、昨年の11月定例会でも様々な議論があり、今回の提案にあたっても様々な声が聞かれ、また本定例会でも議論がされてまいりました。

 本来であれば、この間交わされた議論は、当初の契約案が提案された2017年の6月定例会に求められておりました。契約案の可否を判断するには、契約の内容、金額の妥当性などについて詳細に検討されることが求められましたが、この時の審議が十分でなかった結果が、追加工事等に関するリスク分担に疑義を生じさせ、市議会においても補正予算として提案される度に、事業に対する議論を繰り返す結果となってきたものと思います。

 本件については様々な疑問、また、うわさが流れているようです。このようなことで、市民のみな様に不安をもたらすことになったことについては、心からのお詫びを申し上げなければならないと考えております。


工事が止まればどうなるのか

 本件は、契約が交わされ、一定進んだ現状で仮に工事が止まるようなことになればどうなるのかが問題になります。

 政策総務常任委員会で執行部は、
一つには、今回の追加工事を設計変更に盛り込めない場合、工事は一時中断し、中断の間の現場事務所の維持費等が、中断の原因者である本市の負担とになること、
二つには、補正の必要性を理解いただけるよう説明を続けるようなるが、それでも理解をいただけず中止の状況が続き、事業者から工事の中止の申し出があれば、その場合に対応が検討されることになる――すなわち発注者と請負事業者の間で損害賠償の争いになる可能性も容易に予想される状況であることが説明されております。

 私は、一般質問で、今回に止まらず、今後も追加補正があるのか質し、「お質しの通りです」と、契約上、今後も追加工事等による補正がありうるとの答弁を得ました。本件が、リスク分担表をあらかじめ取り決めた公募型プロポーザルを経て契約されている以上、その契約の履行に発注者及び請負事業者が誠実に向き合うことは当然であり、従って工事の進捗にともない想定外の事象が把握されれば、その対応として追加の工事等が発生する可能性を避けることができないことから当然の答弁であります。

 別の視点から見れば、災害時の拠点となる本庁舎の耐震性を強めることに反対する市民はほとんどいないものと考えますので、1度目の追加工事もそうでしたが、今回の追加工事に関しても、契約に著しく反する請負事業者の行為があれば別ですが、それがない以上、契約内容に即して一つ一つの事項を判断していくことが、私たちに求められているものと思います。

 同時に、昨年の11月定例会及び今議会の議論を通して、追加となった工事等についての理解と妥当性について明らかになりつつあると考えております。当初の契約から考えればずいぶん遅れたとは言え、この間に明らかになった点は市民のみな様にしっかりと説明して、ご理解を頂きながら本事業をすすめる状況になりつつあると考えております。


契約に基づく耐震改修工事

 そこで、まず本案の妥当性について考える際に、本庁舎耐震改修工事が、正式な契約に基づき進められているという点を、しっかり押さえることが必要と考えます。

 本件は、公募型プロポーザルにより事業者からの提案を受け、最優秀となる提案を選び、提案した事業者と契約を結んできました。

 そして、昨年11月の追加工事も、今回提案の追加工事等も、この契約に含まれるリスク分担表等によって、互いに協議する中で最終決定に至ったものであるということです。


主張して決定した分担

 その上に立って、今回提案に至った追加工事等について、その決定過程を具体的に見てみると、契約に基づき互いに慎重な検討を加える中で決定してきた経過を見ることができるものと考えています。

 追加工事等が必要になった14項目については、市民棟と本棟間の山留壁、いわゆるシートパイル打設で必要な根入れの深さが確保できないため鉄骨の柱による補強が必要になったこと等、それぞれに理由ははっきりしております。

 そして14項目のうち、4項目を除く10項目がリスク分担表に基づく分担の対象になりました。

 請負事業者は、10項目のうち、「1工区新設杭工法の変更」を除く、残り9項目については発注者である市に負担を求めてきました。

 この請負事業者の求めに対し工事監理者のJRE東日本建築設計は、9項目のうち、5項目は請負者負担、4項目は市の負担と意見しましたが、市はこの意見を受けながら内容を精査し、監理者が市の負担とした4項目のうち1項目については事業者の負担を求めた結果、10項目のうち7項目を請負事業者、3項目を市が分担して負担することになりました。

 最終的に市の主張で請負事業者の負担となった1項目は、「工区等の法面保持のための山留壁施工」でした。

 この工事について請負事業者は発注者に負担を求めています。工事監理者も、既存杭のまわりから吹き上げる水が原因で追加工事が必要になったという判断から、リスク分担表の「自然条件における湧水・地下水」の項目に該当するため発注者の負担になると意見しておりました。

 これに対し、市は、この項目は工事施工上必要になった追加工事で、免震装置の設置に関わる設計変更の対象にならないと判断し、この場合リスク分担表の「技術条件におけるその他」に含まれる「工法・施行手順に関する技術提案」に該当するため請負事業者の負担になるという考えをもって工事監理者と協議し、最終的に、請負事業者の負担が妥当という見解で一致したと説明しております。

 この経過には、リスク分担を慎重に検討してきた経過が浮彫りになっているものと思います。


基礎杭高止まりへの対応も妥当

 また、リスク分担の対象とならない市負担の4項目のうち、「3-2工区における既存杭の高止まり」については、2016年9月の段階で市、設計監理者及び請負事業者で認識が共有されており、当初の基本設計に反映することができたのではないか等の疑問が呈されております。

 この点に対して市は、
一つは、竣工図と杭打ち報告書の違いから高止まりの可能性についての認識を市、設計監理者及び請負事業者の三者が共有したのは基本設計の完了に近い段階であったこと、
二つに、実際に掘削して竣工図と杭打ち報告書のどちらが正しいかの状況を確認し、その上で必要な対応策を検討することにしていたことを説明しまいりました。

 今議会における提案は、実際の掘削で、報告書に見る高止まりが確認できたために工事が必要となり、免震装置施工上の安全対策のための追加工事として市の負担に整理されたものでありました。

 市が説明するように、2つの図書等が杭の状況を別々に伝える状況の中では、実際の状況を把握してから設計に反映させるという考え方は理解できるところであります。

 また、執行部は、仮に、当初の基本設計に、高止まりへの対応工事が反映された場合は、当初の契約金額にその分の工事費が反映することになり、追加工事として補正予算を計上した場合の変更契約後の総額と同じになることを説明しており、この点も理解ができるところであります。

 2つの図書に違いがある中で、現状を確認した上で対応を決定した今回の追加工事に至る経過は、むしろ、より妥当な対応であったこを示すとも考えられます。


 リスク分担によらない他の3項目については、
「工期延伸に伴う経費の増」
「労働者確保に要する間接経費」
「インフレスライド」であり、
それぞれ、3-2工区の杭の高止まりに伴うもの、
市内での企業や労働者確保が困難な現状から市外の作業員確保が必要になったことに伴うもの、
また物価上昇に伴うものとなっています。
作業員不足は現場の声としても聞こえてきており、これらの費用増加についてはやむを得ないものと考えられます。


独自に算定した事業費

 また、事業費の判断についてです。

 追加の14項目のうち市が負担する7項目について、請負事業者の見積額は、総額で6億7,689万7,000円でしたが、市はこれを独自に算定しなおして、合計で5億4,859万2,000円とし、1億2,830万5,000円が縮減されています。ここでは適正な負担とするよう検討が進められた経過を見ることができます。

 昨年11月定例会の政策総務常任委員会の審議等で、工事の進捗により追加工事が発生し、予算の増額補正の計上が繰り返されることになりかねないと問題視され、厳正に対応することが求められてまいりました。

 私は、この市議会の求めに市としてどのように対応してきたのか一般質問で取り上げましたが、執行部は、
一つには要望を真摯に受け止めて、請負業者や工事監理者との定期的な会議の実施や現場の確認など工程管理に努め、適正な費用負担の視点に立って工事を進めてきたこと、
二つには追加工事の補正予算案の計上にあたって「請負業者の見積もりに対し、工事監理者がその妥当性を確認した上で、常任委員会での要望等も踏まえ、市において厳正に算定を行った」と答弁しておりました。

 私は、この間の追加項目等に関わる市の対応を見るときに、この答弁にあるように、執行部は市議会の求めに真摯に対応してきたと受け止めることができると考えております。

 以上、本工事における追加工事は、契約に基づき検討され、本市としても市民の利益に立って必要な主張をし、より妥当な工事の分担、より妥当な工事費用となるよう補正予算が準備されてきたものと考えるところです。


耐震免震は妥当か

 次に、契約に基づく行為としては妥当であっても、そもそも耐震改修工事の工法の選択には問題があったのではないかという指摘についてであります。

 本庁舎の耐震改修をどのような手法で行うのかは、基本構想で示されています。この基本構想では、耐震化手法として、
耐震補強、
免震改修、
制震補強、
建て替えの4案を例示し、
このうち免震改修について「要求水準を満たす本庁舎の耐震改修工法として、最も有力であると考えられる」と評価する内容となっております。この基本構想の標記に、免震改修ありきだったのではないかという指摘がされています。

 総務常任委員会の質疑で執行部は、提案のうち1者の提案は地下の掘削を伴わない耐震工事だったことを例としながら、掘削を伴う免震改修ありきの事業構築でなかったことを説明しております。ここには、基本構想で「免震改修」が最も有力と評価されながらも、実際の提案はこの評価に拘束されず、自由に提案できる状況であったことが示されております。

 また、耐震改修工事の工期は、当初の2017年6月23日から2019年8月30日だったものが、今回も含めて2度にわたる追加の結果、19ヶ月延伸し、2021年3月までとなりました。
結果としておおよそ5年間を工事に費やすことを踏まえれば、建て替え工事が妥当だったのではないかという指摘もされています。

 執行部は、基本構想策定の過程で、耐震改修と建て替えの比較検討を行ったとして、その内容を説明しておりました。

 説明によると、事業費で考えると、約63億円となる耐震改修に対し、建て替えでは約118億円となり、建て替えを選択した場合約55億円余計に費用がかかること、
また、これに財源も加えて考えると、耐震改修では、元利償還金の7割が交付税として国から措置される緊急防災・減災事業債を活用できる一方、
建て替えには国庫補助等が見込めず、実質的な市の負担額が約80億円増加することになりかねないこと、
さらには、建て替えの場合、新庁舎の建設場所の選定や庁舎の機能、市民の合意形成など課題も多く、それらの検討に要する相当の期間、耐震性に問題のある庁舎を使い続けるリスクが生じること、
以上のような状況を踏まえて費用面でも、安全面でもリスクの小さい耐震化工事による対応を選択したことを説明しておりました。

 政策総務常任委員会の審議では、免震工事の手法の一つとして「中間免震」もあるという外部からの指摘も紹介されました。中間免震いわゆる中間階免震について執行部は、福島県庁の耐震化工事で、地下の階を利用して免震装置を設置する同様の工法が選択されており、この事例でも施工上の変更が生じ、予算的にも10数%アップしていることが説明されました。この例から考えれば、どのような手法がとられるにせよ、そこには一長一短があり、本庁舎で選択された免震改修の工法が適当ではなかったとはいいがたい、このように考えられます。

 以上のことから、本庁舎耐震改修工事を進めるにあたって策定された基本構想が妥当性を欠くとはいいがたく、この基本構想を前提に進められた本事業についても相当に妥当なものであったと考えられます。


事業者の選定は妥当だったのか

 次に、契約に基づく行為としては妥当、耐震改修工事の工法を示した基本構想も妥当だとしても、請負事業者の選定には問題があったのではないかという疑問についてです。

 先程から触れているように、今回の請負事業者の決定は公募型プロポーザルによって行われました。

 昨年の11月定例会からリスク分担によって追加工事が生じる状況に疑問が寄せられており、このような疑問が生じる請負事業者の決定は妥当だったのか、私は、このことに疑問を感じました。

 このことを質した私の一般質問に執行部は、居ながら工事を前提としながら、
一つは施工業者の持つ独自の技術を反映すること、
二つには最新の高度技術や工法を活かした改修を行うこと、
以上のことから公募型プロポーザルによる契約は妥当だったとの考えを示しました。

 公募型プロポーザルで、リスク分担をあらかじめ取り決めるのは、既存の建築物との関わりで、様々なリスクが想定される耐震改修工事に適切に対応することに目的があるとされており、リスク分担表は「官庁施設における耐震改修事業実施ガイドライン」に示されるリスク分担をもとに作成したと説明されております。

 公募型プロポーザルを導入した経過は、このような説明で理解できるところではありますが、実際の事業者選定理由はどうだったのでしょうか。

 市のホームページには、公募型プロポーザルの「審査結果報告書」が掲載されています。
 この報告書では、「最優秀提案者として選定された技術提案については、液状化層を考慮した基礎下免震工法による耐震性能の確保や、工事中、工事後の庁舎機能の維持に配慮された提案内容であり、選定委員会の総意として選定されたものである」、このように記載されているだけで、具体的な評価内容は示されておらず、選定過程に不透明さが残っておりました。

 政策総務常任委員会の質疑では、大成建設の免震改修の提案を選んだ具体的な理由が示され、選定過程の透明さが増したものと思います。

 その説明によりますと、大成建設が提案した免震改修工事が優秀と評価された理由の一つには、震災後の地下の基礎杭の状況を直接確認できることがあり、
二つ目には、もう1者が提案した免震改修と別の手法では、メリットもあるものの、居ながら工事の観点から見ると、工事の進捗に伴い、順次執務室を移動する必要が生じ、移動による市民サービスの低下や職員の負担の増加などのデメリットがあることが説明されております。
これらの説明で、大成建設の提案の優位性の一端が明らかになってきたものと思います。

 本来であれば、公募型プロポーザルにより、より多くの提案が寄せられ、その提案の比較検討の中で、より良い施工方法が選択されることが望ましいものと思います。しかし、結果として2者からの提案にとどまりました。この結果、選択の幅が狭まった感はいなめませんが、執行部の説明からは、公募型プロポーザルによる今回の請負事業者の決定には、ふさわしい理由があったものと思料されました。


末端の労働者の賃金確保に適切な設計変更を

 最後に、追加補正が繰り返されることに対する疑問についてです。

 本工事は公募型プロポーザルで請負事業者を決定しており、契約時にはあらかじめリスク分担表を確認するなど、追加工事が発生することを想定したもので、これらは国の示すガイドラインに沿うものだったことは先に触れました。

 昨年11月定例会の討論でも述べましたが、今回と同様、工事の進捗に伴い追加工事が必要となり、補正予算が編成された事例はたびたび見られます。私自身、産業建設常任委員だった時に、そのような変更契約事案の審議にたびたび加わってきました。

 今議会の政策総務常任委員会の審議でもこの点についての説明がありました。その説明によりますと、
一般的には、建築工事の場合、上物を建てるという概念があるので、変更がない設計をして予定通りに竣工させることに価値を置く認識がある一方、
土木工事の場合、土の中に隠れた要因の変化に対応して、もともと変更はありきという認識に近い感覚が現場に共有されているとされておりました。

 これは昨年11月定例会で引用した産業建設常任委員会に付託された別の土木工事の変更契約案に対する説明と同趣旨となりますが、本庁舎耐震補強工事の場合は、土の中であり、かつ建築物の地下ということを考えれば、なおさら、想定できなかった事象が発生することはありうると捉えることが妥当と考えます。

 また、執行部の説明では、土木工事に限らず、最近の建物の建築や改修に関わる工事でも設計変更等が繰り替えされており、
その事例として
東分庁舎の地震補強工事、
子ども元気センターの新築工事、
南部火葬場の改築工事が示されました。

 さらにこうした設計変更等の増加の背景も説明されました。
 それによりますと、末端の労働者まで賃金を確保していくために、適切な事業費を支払うことが必要であり、適切な設計変更を推進するという考え方に国が変化していることがあるといいます。

 こうしたことを考え合わせれば、耐震補強工事を適切にすすめ下請け労働者も含め、末端の労働者の賃金等待遇をしっかり確保するためにも、必要な追加工事に対して、その責任ある部分については補正予算も計上して、必要な工事資金を確保することは、絶対に欠かしてはならない措置であると考えられます。

 以上討論してまいりましたが、本案に計上された本庁舎耐震改修工事に要する補正予算は妥当なものであり、また、必要なものでありますことから、本案は可決すべきものと考えます。


説明責任をしっかり果たして

 しかしながら、工事が進んだ今の段階で、契約に基づく行為が問題になるその背景には、
本工事の契約の手法として取り入れられたリスク分担を含んだプロポーザル契約の内容が十分に説明されてこなかったこと、
今回の請負事業者の選定理由が具体的には示されておらず決定過程が不透明であったこと、
また、リスク分担の決定過程が十分に説明されなかったことなど、
執行部の説明責任のあり方にも問題があったものと思います。

 特に今回の提案に含まれる3-2工区の基礎杭の高止まりについては、昨年の11月定例会の際に、すでに追加工事が発生する可能性が掌握されておりました。にもかかわらず、このことに関する何の説明もないままに今回の提案に至ったことに、この間の市の対応への疑問が膨らむ要因になっていると思われます。

 委員会審議の中でも、また、本会議でも市の説明責任について発言させていただきましたが、提案される内容について後日の誤解を招かないように、
議案等についての説明を詳細にしっかり行うこと、
また、本件では追加工事に関する疑義が生じている中で、精度及び熟度が低い情報だとしても把握している範囲での情報を開示して共有していくことも説明責任のあり方としては重要であると考えます。
今後、市が市民及び市議会にたいしても説明責任をしっかり果たすことを重ねて要望しておきたいと思います。

 また、この間の審議を通じて市役所本庁舎耐震化改修工事について、理解を深めることにつながりました議員各位の質問や質疑に感謝を申し上げながら、この間の議論の中で明らかになった事項を踏まえれば、本案については可決し、市民のサービス拠点で有り、災害時の対応拠点となる本庁舎の耐震工事を竣工に向けて粛々とすすめるべきと考えることを改めて申し上げ、みなさんのご賛同を心からお願いして討論といたします。
 ご清聴ありがとうございました。





採択された意見書


■太陽光発電の適切な導入に向けた制度設計と運用を求める意見書
■水産業の体質強化を求める意見書
■高齢者の安全運転支援と移動手段の確保を求める意見書
■信頼される政府統計をめざしてさらなる統計改革を求める意見書
■地方財政の充実及び強化を求める意見書


最新の画像もっと見る

コメントを投稿