雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

和製ハーブ

2013年07月02日 | ポエム

▲自宅の自生の木になった山椒の実。粉山椒を作るのだ!!

 和製ハーブと大人の味
 毎年、庭のあちこちで紫蘇が自生し、青紫蘇と赤紫蘇、両方が発芽して成長する。でも私は、紫蘇の香りが小さい頃から苦手で、ついこの間まで、一生口にしなくても良いと思っていた。ところが、還暦に近づいてきた57歳のこの歳になって、自ら料理に使ったりするようになった。例えば、豚肉のロール焼では、棒状の山芋とスライスチーズと共に、青紫蘇を1枚一緒に巻いて、作る。そうなると、逆に紫蘇の香りが無いとさみしい気さえしてくる。
 夏も近づいて、そろそろ冷やしソーメンの季節だ。亡くなった父は、麺つゆの中に、白ゴマを擂り、卸ショウガを溶かし、さらに刻んだ青紫蘇の葉を入れて食べていた。水をはったガラスの鉢には、ソーメンが泳ぎ、その上に青紫蘇が数枚、彩りで乗せてあった。かつての私は、その飾りの青紫蘇の匂いさえ、眉をしかめて嫌がったが、今年は父のように、刻んだ紫蘇を薬味に加えて、食べてみようと目論んでいる。この歳になって少し大人の味覚に近づいたかな?
 10年程前から、よく食するようになったのは、ミョウガである。これも、私が植えたものが、毎年花芽を出し、庭仕事のついでに収穫する。翌日のお昼の冷やしソーメンや冷や奴の薬味になることが多い。たくさん採れた日は甘酢に漬けておくと、そのままツマミになる。
 三つ葉も一度苗を植えたものが、毎年庭に自生する。親子丼を作る際に、三つ葉を刻んで加えると、素人料理が、少しプロの味に近づくからありがたい。三つ葉は、かき揚げに加えると、やはりワンランク上の味となる。さらに私は食事に汁物が欠かせないが、白出汁に、三つ葉を入れたかき玉汁をよく作る。わざわざ買い求めることは無いが、自生しているなら使わぬ手はない。
 これも10年程前に、唐津で種苗を扱っている義理の弟から数株もらったニラが、庭の小さな畑で毎年かってに成育する。数株しかないので、餃子やレバニラ炒めやニラ玉・ニラ饅頭などニラがメインの料理をする際には、買ってくるが、例えば野菜炒めや中華風のスープなどに、もうひと味という時、庭のニラが頭に浮かぶ。ちょっとの量使うには十分な量が収穫できる。しかも一度ばっさり収穫しても、また忘れた頃には葉が延びてくる。ほったらかしで同じ株から年に3度は収穫できる、あんたはエラい!!義理の弟よ。あなたもエラい!!!
 昔「なんであんなもの」と思っていた山椒も不思議なことに、あの香りが好きになった。本当に不思議ですね。炊き込みご飯やお吸い物にポンとたたいて一節のせると、山椒ワールドがひろがる。庭仕事をしながら、ローズマリーやセージの葉を触って手に付いた匂いを嗅ぐが、最近は山椒もついつい手で撫でなでしてしまう。いかん、いかん。危ない、危ない。数年前に家人がバジルペーストのバジルの葉を山椒の葉で作ってくれたが、なかなかの味だった。今年は私も作ってみたい。我が家の山椒は、鳥が運んできてくれたのか、気がついたら植わっていたので、ますますありがたい。今年は実がいっぱい成っていて、自家製粉山椒を作ろうと楽しみにしている。
 ネギは、ネギも小ネギも小さい頃から好きだった。テレビの県民ショーで、大阪の人が、根付きで買って来た小ネギを使った後に、根を捨てずに植えるという話があって、驚かれていたが、実は熊本県人である私も同じことをする。たまに小ネギを買い忘れた時に庭に走ると、1回分には十分な位収穫出来て便利だ。ただし、園芸店に嫁いだ唐津の妹には「やめてよー」と言われる。
 ネギは外国にもあるが、紫蘇や山椒やニラは和製ハーブと言ってもいいだろう。近年、スーパーの野菜売り場や園芸店では、様々な西洋のハーブがそろっている。
 私が20代の頃、ハーブと言ったら香辛料と同じ棚に並んだ、乾燥したものがやっと手に入る状態だったので、確か喫茶店などでバジリコ・スパゲティーを注文したら、バジルの代用で刻んだ青紫蘇を使ってあったように記憶する。紫蘇が嫌いだった私にはあり得ないメニューだが、あれはあれで和製スパゲティーとして、今年の夏はちょっとお試ししてもいいなと思っている。
(2013.6.28)

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