天使の雨
ふたりが外へ出ると、
待っていたかのように雨が降りだした。
僕らはそれぞれに傘を手にしていた。
まず君が白い水玉模様の茶色の傘をさし
次に僕が無骨な黒い傘をさそうとしたとき、
君は僕の手を黙って抑え、
自分の傘を二人の間に差し出したのだ。
そうして僕らは君の小さな傘に入って
次の駅まで歩いていった。
それはあたかも僕の天使が僕にチャンスを与えるために
降らせた雨のように思った。
君の肩を抱くチャンスだ。
そうわかっていても
僕はそれすらできなかった。
(1975.10.19~2015.5.25)
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