雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

トランペットの詩(うた)

2011年03月14日 | ポエム
トランペットの詩(うた)


何も無い空に
真っ暗な空に
ひとりの男は
力いっぱいペットを吹いた
それはすべての眠りを覚ますくらい
ペット吹き自身すら驚いたくらい
強く
大きく
長く
暗い空にどこまでもどこまでも
響いていった
ペット吹きの小さな心は
とうに突き破って‥‥

ペット吹きは
悲劇は嫌いだった
だけど
悲劇の主人公になることは
好きだった
少しの苦しみに
少しのさみしさに
そして喜びにさえ
涙を流そうとした
声を出して泣こうとした

しかし
悲しみが生まれ
ペット吹きが泣くことを
誰もが許すとき
ペット吹きの涙はすっかり乾いていた
声は枯れていた

ああ
トランペットよ
何も無い空に
真っ黒な空に
彼の代わりに泣いておくれ
悲しみの詩を歌っておくれ


(1973)




[2011年3月14日]
東北関東大震災に被災された皆様、心よりお見舞い申し上げます。
特に若い方や子どもさんがたくさん亡くなったことに、心が痛いです。
今のところ、私には祈ったり、願ったりしか為すすべがありません。
こんなときこそ、音楽や絵画など、様々な芸術が一つの力になると信じますが、
私の言葉達に、そんな力があるとはとても思えません。
しかし、何をしたら良いか、何が出来るのかを考え乍ら、
先月末に立ち上げたこのブログに、
今日は一編の詩に祈りや願いを込めてかきあげました。

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顔 

2011年03月11日 | ポエム


  顔

    1


やさしい顔をすると
あなたはつらい
悲しい顔をすると
あなたはせつない
知らん顔をすると
あなたはさみしい

ぼくはあなたに
どんな顔をしたらいいの

どんな顔をしたら
一番あなたは楽なのでしょう



    2


さみしそうな顔は
しないでください
ちょっぴり濡れた
あなたの目も美しいけど
ぼくは
本当に笑っている
あなたの目をみたい‥‥
無邪気で
子どもっぽい方が
似合っています
ぼくは
好きです‥‥

(1973)



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ピエロ 2

2011年03月09日 | ポエム

ピエロ 2


さみしがりやの笑顔の人は
いつもみんなとしゃべりたがる
さみしがりやの笑顔の人は
どんなときでも笑いたがる
そしてそいつは
みんなといっしょにしゃべれずに
みんなといっしょに笑えずに
みんなの笑いの中で
孤独に負けて泣いている

さみしがりやの笑顔の人は
孤独に負けて泣いてるときに
愛する人としゃべりたい
愛する人と笑っていたい

(1972.6.16)






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ピエロ1

2011年03月07日 | ポエム

 ピエロ 1


大勢の中で孤独なら
たった一人の孤独でいたい
笑いの中で泣くのなら
たった一人で泣いていたい
(1972.6.16)







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思い出砂漠

2011年03月04日 | ポエム
思い出砂漠


ぼくの心は
ひでりです

笑顔も
涙も乾き砕けて
小さな砂になりそうです

ぼくには
たくさんの笑いと悲しみがあったので
砂漠がひとつできそうです
『思い出砂漠』と言うのです。

あたなにひとつお願いです
雨を降らせてくださいね
決して花を咲かせようと
思っているのではありません

(1974)




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