鼻がツンツンしてきたので、面白偏屈医者のやっている耳鼻科へ行った。私はそこの常連患者だ。
前の患者は、私より少し若そうな制服ジイさんだった。
よせばいいのに、お医者の前に座ったトタン、彼は眼鏡を外した。
「眼鏡はしていていいですよ、ウチは眼科じゃなくて耳鼻咽喉科です!」、とお医者の一発。
「あっ、スイマセン」と、制服ジイさんはシドロモドロ。
さらに悪いことに、お医者の前でスリッパを脱いだ。
「スリッパは脱がなくていい!脱ぐなら履くな、履いたらぬぐな。ハッ、ハ、ハ………」
ますます制服さんの体勢は悪くなっていく。
しかも、診察の動機がふるっている。
「どうしたンですか?鼻、ノド、耳……?」
「ノドです。魚の骨がつっかえたらしくて………(モグモグモグ)……」 制服さんの歯切れはすこぶる悪い。
「何食べたの?」
「魚です!」 再度の質問なので、制服さんも苛立ったのかキツイ語調。
「メダカかサメかを聞いているンです!」 お医者はますます言いつのる。
「ウナギです!」
「フーン……」と、お医者は制服さんのノドを覗き込んだ。「オーッ、あった、あった!」
ウナギの骨がノドに刺さっていたらしい。
それからが大変。ナースさんに舌を引っ張らせておき、お医者がピンセット様の器具で骨を取り出した。
「ホーラ、こんなに大きい!」
制服さんに見せていたが、残念ながら私からは見えない。
「▲▲さん、黒っぽい紙を持ってきて!」 お医者がナースさんに命じた。
持ってきた黒っぽい紙の上にクダンの骨を置いて、
「サア、これが犯人です。イヤ、ハンコツ(どうやら犯骨のことらしい)かな?」などと言いながら、お医者は上機嫌で紙を制服さんに手渡した。
記念として犯骨(?)を渡したものらしい。あくまでも愉快なお医者だ。
「もう大丈夫ですよ。もしダメだったら、また来てください、ハイ!」
お医者は別のカルテを手にした。
次は私の番だ。
長くなりましたので、私の診察状況は明日のブログで報告します。
私に対しても、数々の迷言があって、楽しいひとときでした。
写真は11月25日撮影。11羽の鴨は、テンデンバラバラに動いていた。
つまり、みんな個性派なのでしょうか。珍しく思えたので撮りましたが、もともと鴨ってそんなものなのでしょうか。
どうぞ、 「到るところ青山」 http://hiyodori.blogzine.jp/seizan/ にもお出かけ下さい。