「もしドラ」って言うらしいんですけど、恥ずかしながら、この前書店で「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を買ってしまいました。
恥ずかしながらというのは、表紙に少女漫画の女子高生が載っているからです。店の人にカバーをつけますか?と聞かれて、いつもは「要りません」と答えていますが、この時は、「はい、お願いします」と即座に答えました。
この本は前から少し気になっていたのですが、100万部を超すベストセラーということで、一度読んでみようと思った次第です。
この本は、ドラッカー(ピーター・F・ドラッカーは1909年にオーストリアに生まれ、1973年に書いた『マネジメント』により、「経営学の父」と呼ばれている。)の『マネジメント』(エッセンス版)を具体的な事例(この場合都立高校の野球部)を通じてわかってもらおうとする、意欲作です。今まで、全体が漫画でわかってもらおうとする感じのものが多かったように思いますが、この本は、先ほどのエッセンス版から引用して、野球部の女子マネージャーが本当の意味で「マネジメント」するとはどういうことかを、わかりやすくまとめてくれてあります。
そのストーリー性においても、なかなか泣けるものがあるので、読んでいて退屈しないつくりになっており、さすがは、今の若者向けの本だと納得しました。
さて、内容でマネジメントについて書かれていた点をいくつか書いてみようと思います。
①組織の目的を定義するとはどういうことか?
→「顧客」が誰かを意識すること。野球部で言うと、「顧客」とは、「野球部を運営するのにお 金を出してくれたり、協力してくれたりする人」、つまり、「親」や「先生」や「地域の人」「ファン」そして「野球部員」ということになる。
②野球部における「マーケティング」とは何か?
→野球部員が何を考え、何をしたいかを聞き出すこと。(この本ではそれを「面談」という形で行っている)
→その上で、「魅力的な練習メニュー」を作って、自ら喜んで実施するようにさせること。
そのメニューは競争、結果、責任という3つの要素で作られた。
③「マネジメント」とは何か?
→生産的な仕事を通じて、働く人に成果を上げさせること。
④「働きがい」を与えるとは?
→仕事そのものに責任を持たせること。そのためには、生産的な仕事、フィードバック情報、継続学習が不可欠。
⑤組織を活性化させるには?
→専門家が必要。その専門用語をマネージャーは通訳して、組織全体に伝えないといけない。
⑥組織の成長には準備が必要。コミュニケーションがうまくいくようになれば、成長する。そのきっかけは突然やってくるように思えて、実は準備が必要。
⑦組織の目的は?
→人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和すること。
⑧仕事を生産的にするには?
→ア 仕事に必要な作業と手順と道具を分析する。
イ 作業を集めて総合する。
ウ 仕事のプロセスの中に、方向付け、質と量、基準と例外について管理手段を組み込む。(最初はマネージャーが示すが、その後は自己管理目標を設定する)
エ 道具
⑨企業が存在するには、「イノベーション(新しい満足を生み出すこと)」が必要。
イノベーションは科学や技術ではなく価値であり、外の世界への影響。
それには、古いもの、陳腐化しつつあるものを捨てなければならない。(この本ではそれを「送りバント」と「ボール球を打たせる投球術」に求めている。)
⑩事なかれ主義ではダメ。
→組織の健全さは高度な基準の要求。
成果とは、打率である。全て成功するのは曲芸である。失敗をおそれてはいけない。
⑪「トップマネジメント」がチームとして機能するには?
→ア メンバーはそれぞれの担当分野において、最終的な決定権を持つ。
イ メンバーは担当分野以外を決定してはならない。担当者に回すこと。
ウ メンバーはほめあう必要はないが、攻撃しあってはならない。
エ トップマネジメントにはリーダーがいる。リーダーはボスではなく、チームをまとめる人である。
⑫組織の適正規模とは?
→最低規模と最大規模の限度がある。地域社会に迷惑をかけるのは、大きすぎる。
⑬マネージャーにとって、最も大切なことは?
→真摯さである。そして、チームに明確な目標を与え、成果をあげなければいけない。
目標には、「市場地位の目標」だけでなく、「集中の目標」も必要。(あと3ヶ月で何をして、何を捨てるかというようなこと)
⑭組織の目的は?
→努力というプロセスではなく、成果である。
⑮成果中心の精神を高く維持するには?
→配置、昇給、昇進、降級、解雇などの人事である。
以上のようなことが、主に書いてあったように思う。そうでないよと思われる方はご意見ください。