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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 その181 圧倒するシェア(ABインベブ)~世界ビールの潮流でどう生き残るか~

2018-01-18 07:43:21 | ビジネス
こんにちは、彩りプロジェクトです。

このブログでは、中小企業支援を目的に様々な情報提供を行っております。

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圧倒するシェア(ABインベブ)~世界ビールの潮流でどう生き残るか~

アサヒグループホールディングスは昨年8月上旬に1月から6月決算を振り返りました。

総額1兆2000億円を投じて買収した西欧と中東欧のビール事業が業績に貢献、同期の売上高は前年同期比20%増の9374億円、営業利益は34%増の707億円でした。

欧州に重点投資すること一方で、抜本的な整理に乗り出したのが中国事業です。

昨年6月には持ち分法適用会社で中国飲料大手、康師傅飲品の保有株(約20%)全てを約700億円で売却すると発表しました。

中国では1昨年末、農業と乳業事業を手掛ける子会社の売却も発表しました。

世界最大のビール市場である中国では最大手の華潤ビールなど上位の寡占化が進む一方で、最近は販売低迷で大手各社も苦戦しています。

アサヒは市場の足掛かりにしようと、2009年から大手の青島ビールに20%弱を出資してきましたが、この保有株の扱いについても焦点になりそうです。

キリンホールディングスの1月から6月期決算は営業利益が36%増の797億円でした。

赤字のブラジル事業を売却した効果が大きかったと言えます。

しかし、この方針転換の代償は大きかったようです。

2011年、約3000億円を投じて同国のビール会社を買収しましたが、約4年後に1000億円超の減損損失を計上しました。

今年、売却を決めましたが価格はわずか約770億円となってしまいました。

ブラジルは世界3位の市場ですが、そのうち約7割のシェアをアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)が握っています。

キリンはとても太刀打ちできなかったのです。

ブラジルに限らず、世界中のビール会社にとってABインベブと真っ向勝負する戦略は立てられません。

イギリスの調査委会社ユーロモニターによると2016年、ABインベブのシェアは26.2%で断トツとなっていると報告がありました。

日本勢を見るとアサヒGHDが3.4%で7位、キリンHDが2.2%で9位と差は歴然です。

文字通り、ABインベブは世界シェアで圧倒的な存在なのです。

そもそもアサヒが買収した欧州事業がABインベブと世界2位のイギリスSABミラーが昨年統合するのに伴って、同社が切り離した事業を「拾った」ものだったのです。

マーケティング戦略のセオリーで言えば、日本企業のグローバル展開において残された可能性は「ニッチ戦略」となります。

キリンHDは、ABインベブの存在感がさほど高くない東南アジアなどで市場開拓を進めています。

2015年にはミャンマーで8割のシェアを持つ最大手を買収しています。

アサヒはビールの本場、欧州に経営資源を集中させていますが、ABインベブとぶつかる大衆的な価格帯では勝負していません。

買収先の販路を生かして「スーパードライ」も販売し、プレミアムのブランドイメージを育てると言います。

サントリーHDは海外ではビール事業は厳しいと判断し、アメリカのビーム買収を機に蒸留酒に集中しています。

ビール以外の酒へと嗜好が多様化しているのは、日本に限らず世界的な流れのようです。

「ビール頼み」を脱却し幅広い酒類や清涼飲料、食品などの収益源を強くすることが、日本の大手にとって喫緊の課題と言えるのかもしれません。



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