マーケティング研究 他社事例 292 「フランスの人手不足状況１」～失業率高いのになぜ～

マーケティング研究　他社事例　292　「フランスの人手不足状況１」～失業率高いのになぜ～


フランス西部の都市、ナントから５０Kｍの地にある町ショレのある工場では大きな粘土の塊が成形され、乾燥を経た後に摂氏1000度の窯に入れられ焼かれています。

こうして作られたテラコッタ建材はその後、各建設会社に出荷されて行きます。

工場を所有するブイエ・ルルー社はテラコッタ建材おフランス最大手メーカーで、ここ最近のフランスの経済回復に貢献しているのです。

しかしながら成長にブレーキをかけかねない要因が1つあります。

改革を志向する政府の下でフランス経済が回復に向かっているにも関わらず、人材確保が困難であるという事です。

「熟練、非熟練問わず、現在の労働者が置かれている雇用環境は厳しい。需要と供給の不均等が存在している」

とロラン・ベスナールCEOは語ります。

フランスの失業率は依然９％を超えていて欧州でも高い水準です。

しかし、フランス国立統計経済研究所によれば、そのフランスでさえ、熟練労働者の不足を嘆く企業が増えていると言います。　

企業側のニーズと労働者が持つ技能とのミスマッチが、回復基調にようやく転じ始めたフランスの経済成長を腰折れさせかねないと言えます。

ユーロ圏の大半の国が同様の問題を抱えているようです。

昨年の夏、ブイエ・ルル―社は製品の納期延長を余儀なくされました。

理由は、工場のメンテナンス人員が不足したためです。

同社は、フランス国内にて1400人の従業員を雇用しています。

売上は年１０％のペースで伸びていました。

「メンテナンス作業が必要なのはこの産業に限らず、景気が少し上向くにつれ、様々な産業がメンテナンス人員を求め始め、奪い合いの状態になっている」

「最も手を打たなければならない問題は大学制度と学校制度、そして気前の良すぎる福祉制度だ」

とCEOのベスナール氏は言っています。

これは、フランスで従業員を雇用するのに苦労している経営者の多くの気持ちを代弁していると言えます。

どういう事なのでしょうか？

（続く）


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