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マーケティング研究 他社事例 461 「不動産開発重視」 ~オリンピック後に懸ける~

2019-12-06 09:17:34 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 461 「不動産開発重視」 ~オリンピック後に懸ける~


東京オリンピック・パラリンピックまで1年を切りました。

関連需要に沸いた業界の筆頭が建設業界である事は皆さんもご存知ですよね。

2019年3月期のゼネコン大手の業績は絶好調でした。

1工事当たりの粗利益率を表す完成工事高総利益率は大手4社ともに10%超の高い水準になりました。

しかし、オリンピック需要という「お祭り」はいつまでも続くわけではありません。

受注環境としては2018年がピークだったとの試算もありますので、人口減少が進む日本では今後、建設需要や公共投資は縮小するのは否めません。

そこで、ゼネコン各社は業績好調なうちに、将来の備えに動き始めています。

大林組や鹿島のように海外建設会社のM&Aに活路を見いだすところもあれば、前田建設工業のように「コンセッション」事業に将来を懸けるところもあります。

コンセッション事業とは、空港や道路などの長期間の運営権を民間事業者に委託するもので、前田建設は既に仙台空港や愛知県の有料道路などの運営に参画しています。

そのような中、業界の耳目を集めているのが清水建設です。

2019年~2023年度を対象とする中期経営計画で、不動産開発に積極投資することを打ち出しました。

同社が5年間で投資を予定している7500億円のうち、実に3分の2となる5000億円を不動産に投じると言います。

それを原動力に、直近の2018年度に1339億円だった経常利益を2030年度に2000億円以上にまで伸ばすという長期ビジョンを描いています。

具体的には、シンガポール、インドネシア、ベトナムといった東南アジア地域と北米での開発に注力し、現在は数%しかない海外不動産事業を拡大していく算段です。

国内では、金融とITが融合するフィンテックの進展を受け店舗網の縮小を進める金融機関にアプローチし、新規の需要を掘り起こそうとしています。

建設工事を通じて培ったBtoBの関係を活かし。不動産デベロッパーとは違った展開を目指そうとしていると言えます。

ゼネコンの不動産開発と聞けば、かつてのバブル期の苦い過去も思い起こされます。

熊谷組は国内外の不動産価格の下落を受けて債務超過に転落し、1000人規模の人員削減を余儀なくされ、金融機関から数千億円単位の債権放棄を受けました。

優先株を処理し、経営再建をようやく終えたのは、つい最近の2014年です。

青木建設(現・青木あすなろ建設)は、2001年に民事再生法の適用を申請し、事実上の倒産をするなど、不動産事業は社会問題化したゼネコン危機の一因ともなりました。

こうした懸念に対して、清水建設は「社外取締役制度の導入などガバナンス機能は向上している。当時と同じことには、なりようもない」と一笑に付します。

不動産に将来を託す清水建設のリスク管理能力が問われることになりますね。


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