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マーケティング研究 他社事例 468 「EV車普及の抱える問題」 ~大手のマンションではほぼゼロ~

2019-12-24 15:03:52 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 468 「EV車普及の抱える問題」 ~大手のマンションではほぼゼロ~


「数台のEVの為の電気代や設置費用を誰が負担するのか」

「住民からの反発があり普及が進まない」

マンションではEV車普及に関して大きな問題を抱えています。

マンション駐車場への充電器設置はいわゆる「共用部」の変更となります。

これには管理組合の総会で半数以上の票を集める必要がありますが、負担増に反対する声が多いという事情があります。

世界的な燃費規制強化に伴い、自動車各社はEVの投入を本格化していますので、マンションにお住まいの方だけではなく、車を所有する人にとっては充電器は必要なツールとなっていきます。

ただ日本では普及のペースは鈍いのが現状です。

2017年度の新車販売のうちEVは2.4万台と全体のわずか0.5%となっています。

経済産業省と国土交通省が今年6月にまとめた新たな燃費規制で、30年の目標に掲げた普及率20%~30%への道のりは遠いと言えます。

EVの充電には国内に約3万台ある公共設備での「経路充電」と、自宅設備での「基礎充電」の2通りあります。

後者を通じて夜間などに充電できる利便性もEVの魅力の一つですが、現状では住宅の約4割強を占めるマンションなど共同住宅でのインフラ整備が遅れていると言われています。

経済産業省によると、充電設備設置を備えたマンションは全体の1%未満で、現在はEV購入者の9割以上が戸建てに住んでいる状況となっています。

日産自動車のEV「リーフ」の販売開始に合わせ、2010年前後には大手デベロッパーは充電設備付きマンションを積極的に販売しました。

しかし当時の技術では立体駐車場への設置が難しく、平置きのスペースのみだった事が大きな不満を生んでいたという事です。

その後も利用者は伸びず、2018年度に大手が首都圏で施工したマンションで充電器を備えた物件はほぼゼロとなっています。

最近の新築マンションでは、充電器の後付けのために駐車場に配電設備があることが多いと言います。

しかし後付けも簡単ではありません。

フル充電まで数時間かかる普通充電器の場合、設置に1台当たり80万~100万円程度の費用がかかり区分所有者の理解を得にくいという事情があります。

国や自治体の補助金もありますが、管理組合の総会を待てず、予算決議と補助金申請のスケジュールが合わずに設置を見送ることもあると言います。

マンション全体の電力供給計画の見直しや、新たな変電変圧設備が必要になるなどの技術的課題のほか、故障の責任を嫌う駐車場メーカーが機械式駐車場への設置を認めないといったケースもあります。

建築物の設備施工などを手掛けるJM(千代田区)は2017年にマンションでの充電器設置の相談窓口を設けました。

「電力契約の変更や配電・設置場所など、マンション管理士だけでは分からない事が多すぎる」(JM 大竹社長)

次世代自動車振興センターの調べでは、EVやPHV(プラグインハイブリッド車)を持たない世帯のうち、約9割が充電インフラや走行距離への不安をもっていると言います。

EVの普及が先か、充電インフラの整備が先か。

そんな「鶏と卵」のジレンマから抜け出せずにいる日本で、EVが市民権を得るにはまだ時間がかかりそうです。



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