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マーケティング研究 他社事例 466 「資金調達のために未来を語る1」 ~ハイテク企業が自信過剰に明るい未来を示す~

2019-12-19 08:55:21 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 466 「資金調達のために未来を語る1」 ~ハイテク企業が自信過剰に明るい未来を示す~

今年はハイテク分野において、数多くのスタートアップ企業が株式市場に上場しました。

そうした企業の頂点に立つために必要なものは、みなぎるほどの野心とうさんくさい誠意といわざる得ません。

こうした資質を、アメリカのウィーワークは完ぺきなまでに持ち合わせています。

シェアオフィスの賃貸を手掛けるウイーワークスは、先を行くアメリカのウーバー・テクノロジーズやアメリカのリフトと同様に、創業から10年もたたずに世界的な企業となりました。

ニューヨークでたった1フロアのオフィス賃貸から始まった同社は、今や世界的な企業に成長し、直近の資金調達をもとにするとその企業価値は470億ドル(約4兆9500億円)に達します。

しかし、ウーバーやリフトと同様に、ウイ―ワークもそのビジネスモデルが実際にきちんと機能するのか、誰も確信をもって言い切ることは出来ません。

実際の所、ウイーワークはハイテク企業の衣をまとっただけのいわゆる不動産会社です。

そのことを確かめたければ、上場時の資料を見ればよいです。

必要なページ数の倍くらい分厚くまとめられた資料には、楽しそうに働く人々の写真がこれでもかというくらい掲載されています。

「人々が出会い、コミュニティーを形成し、生産性を高め合う場所」になることを目指し、オフィス市場を独占することによって、企業価値を3兆ドルに押し上げるとも主張しています。

ウイワークのビジネスモデルは、コミュニティにこそ、その秘密があります。

ソフトバンクの孫さんが惚れたのもそこに魅力があったからです。

具体的には、オフィスに集まるクリエイターや起業家を「メンバー」と呼び、スマートフォン上のアプリでメンバー同士をつなぎ、協業を支援しているのです。

大企業のメンバーが有能なクリエイターや起業家を発掘するのにも役立っているようです。

オフィス内でも「コミュニティマネジャー」と呼ばれる管理人が常駐し、メンバー同士の交流を促します。

「われわれのミッションのひとつは、スタートアップが成功する確率を高めるためのプラットフォームを提供することだ。絶えずメンバーの”働きやすさ”を気にかけて、日々改善に努めている」(マッケルビー氏)

これには、リフトやウーバーと同じような自信過剰ぶりが表れています。

リフトは、自動車の発明以降、最大の社会的変化の一翼を自分たちが担うと強調しました。

ウーバーは上空をタクシーが飛ぶ時代がもうそこまで来ていると述べるとともに、同社がターゲットにしているのは12兆ドル(約1256兆円)の市場だと示唆しました。

12兆ドルの中には、消費者がレストランで消費する金額も含まれています。

誇大広告はハイテクセクターが持つ手品のようなものです。

素晴らしい事業を起こせば金銭面でも膨大な成功が転がり込んでくるのですが、控えめでいなければならない理由などあるかという訳です。

ロボタクシーの商用化は近いとする、アメリカのテスラの予言は、自動運転に関する同社の予測は現実となると人々に信じさせる思いがけない効果がありました。

確かに、ウーバーがビジネスの範疇に捉える市場は巨大であるため、同社への評価はさほど過大ではないと思われがちです。

(続く)



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