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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 664 「デザイン思考を体現する会社」 ~デザイン思考はデザイン会社だけのものではありません~

2020-10-21 14:04:02 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 664 「デザイン思考を体現する会社」 ~デザイン思考はデザイン会社だけのものではありません~


『デザイン思考』と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?

「なんだ、アーチストの事か」

「きれいな絵の事かな?」

「デザインは何となくわかるけど、デザイン思考となると何のことを言っているかわからないよ」

などなど、デザイン思考はまだ一般的な言葉ではないのかもしれません。

しかし、かなり私たちの身近なところに、このデザイン思考という考え方は浸透して来ています。

例えば、「お客様のニーズをお聞きし、お客様により良い提案をします」といった言葉なら結構聞いた事がある方が多いと思います。

このお客さんのニーズをしっかりと聞き、真の課題を捉え、本当に市場が必要としているものを提供するという中にデザイン思考が生かされているのです。

本日のブログは、そのようなデザイン思考を体現している会社のお話です。


「なぜ改善したいのですか?」

「どのような課題を感じていますか?」

アプリやウエブサイトなどデジタル領域のデザインを手掛けるグッドパッチは顧客からの問い合わせに、こう聞き返します。

デザイン会社では通常、営業担当者が顧客の要望を聞き、デザイナーに伝えますが、グッドパッチはデザイナーが最初から顧客の声を聞くのが特徴です。

『表層だけのデザインはしない』

グッドパッチの土屋社長は「従来の日本では、デザイナーというと、仕様書や指示書通りに表層的にきれいにする人だと思われていた」と言います。

しかし、グッドパッチは違います。

どんな見せ方をするか?

デザイナーは、設計や戦略を考える段階から参加します。

一例が2019年3月のフルリニューアルを手掛けた宅配サービス「出前館」アプリです。

2018年6月から準備を始めましたが、携わったのは単にアプリ画面の見た目を良くすることだけではありませんでした。

まずは出前館側と相談を重ね、サービスの基礎にある価値を「いつでも、みんなの出前館」という言葉で再定義することから始めました、

その上で「日常的」「ラク」など、価値を実現するための機能を検討しました。

利用者へのヒアリングにも同席し、最終的には、改修版アプリの228枚に及ぶ画面を設計しましし、ジャンル別検索やキーワード検索など、新しい機能を追加し、親しみを感じながら楽しく注文してもらえるよう「出前にゃん」というキャラクターの運用策も提案しました。

「設計・戦略段階から携われない、表層面だけの仕事は創業以来、受けてこなかった」という土屋氏の言葉が同社の特徴と狙いを表しています。

グッドパッチはデザイン会社ですが、新卒の美術大学出身者は2割程です。

いわゆる総合大学出身者が多く「グラフィックデザインなら美大出身者のほうがいい。ただ自分たちの目指すデザインは、顧客の本質的な価値を可視化して、ニーズを持つ利用者とつなげること。そうした価値を見つける上ではコミュニケーション能力のほうが必要」と土屋氏。

さらに、そのデザイン思考から派生させて企業ミッション策定も手掛けています。

日本ではあまりなじみのない、「デザイン」を展開する背景には、創業前の土屋氏のアメリカでの体験がありました。

土屋氏は大学在学中の21歳のときに「大病で入院し、生死の境をさまよった」と言います。

その経験から「生きた証を残したい」と考え、起業家になろうと決意しました。

卒業までの時間がもったいなく感じて大学を中退しましたが、起業する資金はありませんでした。

そこでパソコンを触るのが好きだったこともあり、IT企業の営業マンやウエブデザイン会社でウエブディレクターとして働きました。

27歳のときに起業が現実的になりました、それは、祖母が遺してくれた自分名義の預金550万円を手にした事でした。

しかし、今度は起業の「ネタ」がありませんでした。

セミナーを渡り歩く中、現DNA会長の南場智子氏の講演に感銘を受けました。

「起業するなら日本人で固まってはダメ。様々な人種で構成する『多国籍軍』を作りなさい」というものでした。

「シリコンバレーを見よう」とすぐに渡米を計画しましたが、海外に行ったことはなく、子供も生まれたばかりだったのですが、「断念したら自分の人生はない」と覚悟を決め、2011年3月に家族と出発し、サンフランシスコのデザイン会社で働きました。

西海岸で触れたアプリなどは明らかに日本とは違いました。

「めちゃめちゃ綺麗で使いやすかった。ワクワク感もあった」

理由を考えると、アメリカには自身の前職でした「ウエブディレクター」という職種がないことに気が付きました。

企画を作ったり、画面の設計をしたりする仕事でしたが、そうした仕事は「デザイナー」が手掛けていたのでした。

さらにアメリカのベンチャーでは、デザイナーが共同創業者を務めるケースも多く、戦略立案を含めて幅広い部分にかかわっていました。

「利用者が使う段階まで担当するデザイナーが、企業戦略から一気通貫で手掛けたほうが良いものが生まれるに決まっている」

渡米から半年後「日本にはまだデジタル領域のデザイナーが少ない、だが将来的な需要はきっとある」と確信し、デザイナーと事業を立ち上げました。

しかし、仕事の依頼はなく、手持ち資金はみるみる減り、残り3か月分になってしまいました。

転機は、ニュースアプリの「Gunosy(グノシー)」の改修を無償で手掛けたことでした。

アメリカで創業者の一人と知り合いになっていたことが縁でした。

サービスは面白いのですが、情報量が多すぎて使いにくいと感じ、見やすさに焦点を当てて作り直したところ、大ヒットとなりました。

手掛けた家計簿アプリの「マネーフォワード」も人気を集め、実績を知った企業から依頼が舞い込むようになりました。

グッドパッチは2020年6月にデザイン会社として初の上場を果たしました。

新型コロナウイルスの感染が続く中、6月の問い合わせ件数が過去最高に達するなど勢いも増します。

「自分たちがより影響力を持つ会社になれば、社会にデザインの可能性をより認知してもらえる」

そう語る土屋氏には、人口減少が進む日本の産業の発展には、創造性をもたらす「デザインの力」が不可欠だという強い信念があります。


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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 

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