最近、テレビドラマで時代劇がめっきり少なくなったと思いませんか? NHK以外では予算の関係もあって、相当な人気シリーズでない限り連続ドラマ制作は厳しいのでしょう。刑事ものか病院ものでないと当たらない時代でもありますから。
出典:http://perrierdiary.blog.fc2.com/blog-entry-3826.html
テレビ東京で713回に渡って放映されたのが「大江戸捜査網」です。放映期間は1970年10月から1984年3月までで、途中に中断期間がありましたが長く続いた名物時代劇の一つです。主演は初代の杉良太郎から、二代目の里見浩太朗、三代目を松方弘樹が務めました。
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“隠密同心 心得之条 其之壹っ”
我が命我が物と思わず
武門之儀 飽くまで陰にて
己の器量を伏し
御下命 如何にても果す可し
尚 死して屍拾う者無し
死して屍拾う者無し
死して屍拾う者無し
私もよく覚えていなかったのですが、この有名な“隠密同心 心得之条”が登場したのは、第3シリーズからのようです。「死して屍拾う者無し」は高度成長期の日本の猛烈な勢いと過酷な労働を象徴するものと思われました。
この心得之条は「其之壹っ」であって、「其之參っ」まで存在していたことはご存知ない方も多いと思います。
“隠密同心 心得之条 其之弐っ”
およそ悪はその実態を見極め
その根源を断つべきこと
虎穴に入らば 己の肉を斬らせ
しかる後 敵を倒すべし
この定め 忘れることなかれ
“隠密同心 心得之条 其之參っ”
行動は風のごとく速やかに
いかなる窮地に陥るも
みだりに狼狽することなく
一度 決すれば 必ず敵を斬るべし
一度 決すれば 必ず敵を斬るべし
一度 決すれば 必ず敵を斬るべし
《其之壹っ》があまりにも有名になった為、劇中で常時流されたことで覚えてしまった方も多いでしょう。
隠密同心とは、正式には隠密廻り同心のことで、奉行直属である。定町廻り同心,臨時廻り同心を勤め上げ,成績優秀で有った者が就任していました。云わば「秘密潜入諜報捜査員」です。初期作品に「アンタッチャブル」のサブタイトルがついていたように海外のスパイものを意識していたことは間違いないでしょう。
出典:https://doga.hikakujoho.com/library/00007592.html
必殺シリーズは朝日放送(ABCテレビ)が長きにわたって放映した人気時代劇シリーズです。「許せぬ悪を金を貰って始末する」殺し屋稼業というものが昭和の勧善懲悪絶対の時代に大衆に受け入れられるかどうかには、多くの疑問と反対意見が寄せられたようです。しかし、どうしても新シリーズを制作しないといけない事情がありました。その理由というのが、当時一世を風靡した「木枯し紋次郎」の存在でした。
出典:https://ameblo.jp/munenori-killy/entry-12578210529.html
笹沢左保の股旅物時代小説シリーズを原作に市川崑が監督した、徹底的にリアリティを追求した作品です。30%を超える視聴率を記録したフジテレビのお化け時代劇は中村敦夫の人気と相まって時代を反映する一大現象になりました。紋次郎の決め台詞「あっしにはかかわりのないことでござんす」が流行語になりました。
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紋次郎に勝てる時代劇を作れ、というのが各局の悲願でした。それに対して朝日放送が出した答えが、池波正太郎の小説『仕掛人・藤枝梅安』『殺しの掟』などを原作として『必殺仕掛人』の放映を木枯し紋次郎放映の時間帯にぶつけてスタートしました。当時と貼れば、この勝てる見込みのない戦いは紋次郎が主演、中村敦夫の怪我によって中断を余儀なくされた後に衰退を始めたのに対して、『必殺仕掛人』と『助け人走る』を除く全シリーズが完全オリジナル作品となっています。特に中村主水が登場して以降の『必殺仕事人』は超ヒットシリーズになりました。一般的な勧善懲悪を旨とする時代劇とは異なり、主人公は基本的に善行者ではなく、あくまで金のために殺しを行うアンチヒーローです。殺し屋という社会的に悪とされる稼業をあえてなす理由は、「どう理屈をつけようと殺人は悪であり、自分達が『正義の味方』にならないよう敢えて金をとっている」「合法的には裁くことができない悪人のみを殺める」「殺しにあたり、万に一つの間違いもないよう調査をする」といった倫理面のあとづけがされているのです(参考:wikipediaより)。
短命に終わった木枯し紋次郎に対して、超ロングシリーズになった必殺シリーズはいつしか日本の時代劇を代表する作品となり、元来幕末期を舞台にしていたにもかかわらず、時空を超えて赤穂浪士を助けたり、また海を渡ってジョン万次郎と出会ったり、大リーガーと試合までしました。まあ、時代劇というファンタジーと考えれば何でもありというのは悪くはないと思います。
NHKの朝ドラは岡山を舞台に展開していますが、撮影は主に京都の太秦映画村で行われています。時代劇の聖地だったはずの太秦が段々と寂しくなっていくのは辛いですが、困難を乗り越えて大作が作られると良いですね。
大江戸捜査網から話が広がってしまいました。すみませんね。
よろしくお願いします。
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