WHO発表「聞き取り調査の中で子供から大人への感染事例報告はなし…」一斉休校することに意味はあるのか?
2日、安倍首相は参院予算委員会の中で「緊急事態宣言の実施も含め、新型インフルエンザ等対策特別措置法と同等の措置を講ずることが可能となるよう、立法措置を早急に進める」と述べた。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、危機感を示した形だ。
【画像】家族に「感染疑い」…注意するポイントは?
さらに1日、加藤厚労相は記者会見を開き、政府の専門家会議がこれまで国内で発生した事例を分析した結果を発表した。
<厚労省発表:感染経路の特徴>
・国内で感染が明らかになった人のうち、8割が他者に感染させていないという
・集団感染が起こる場所の共通点として、換気が悪い、人が密集して過ごすような空間、不特定多数の人が接触する恐れが高い場所を上げた。
また、加藤厚労相は、1人の感染者が複数に感染させた事例が報告された場所について、具体的に名前を挙げている。
・スポーツジム
・屋形船
・ビュッフェスタイルの会食
・雀荘
・スキーのゲストハウス
・密閉された仮設テント
さらに、家族に感染が疑われる場合において、家庭内で注意する8つのポイントを公開した。
<家庭内で注意するポイント~家族に感染が疑われる場合>
・部屋を分ける…部屋数が少ないなど部屋を分けられない場合は、2m以上の距離を保ったり、寝る時に枕の位置を互い違いになるようにするなどの工夫を
・感染が疑われる人の世話は、限られた人で行う…免疫力の落ちている人や持病を持っている人は、なるべく世話はしない
・家庭内でもマスクを着用する
・こまめに手洗いをする
・定期的に換気をする
・トイレやドアの取っ手など、共有部分は消毒する
・リネンや衣服を洗濯する
・マスクや鼻をかんだティッシュはすぐにビニール袋に入れ、室外に出す時は密閉して捨てる 子ども→大人の感染は「データなし」 休校の効果は?
他にも、WHOは中国保健当局らと合同調査を行い、2月20日までに中国で感染が確認された5万5924人のデータについて、詳しい分析を明らかにしている。
<WHO・各国の専門家・中国保健当局らの合同調査の結果>
・感染者の約80%が軽症
・13.8%が重症
・6.1%が重篤
・全体の致死率は3.8%だが…80歳以上の高齢者の致死率は21.9%に上る
・一方、19歳以下の感染者は全体の2.4%にとどまり、そのうち重症が2.5%、重篤が0.2%という結果に
・集団感染の78~85%が家庭内感染だが…WHO調査チームの聞き取り調査によると、子供から大人への感染事例は報告がないという
果たして、安倍首相の決断「全国一斉休校」に効果はあるのだろうか?
尾木直樹(教育評論家):
これだけ分母の大きなデータで、信頼性は非常に高いんじゃないかと思います。新型コロナウイルスの正体がだんだんとはっきりしてきて、これからの政策の見直しとか、我々の心構えを変えなければいけないと思いますね。
安藤優子:
そうですね。一斉に学校を休んでも、親が家庭内にウイルスを持ち帰るリスクを絶たない限りは、あまり効果がないことを、このデータは示しているのではないでしょうか?
松本哲哉氏(国際医療福祉大学 主任教授):
いま日本の中でお子さんが感染している例も少ないことを考えると、学校が広がりやすい場になっているかというと、たしかにそこまで言えません。逆に高齢者の致死率が20%を超えているということは、そちらをどう守るかということを優先して考えなければいけないと思います。
安藤優子:
高齢者の致死率が20%を超えるというのは、ショッキングなデータですよね。
伊藤洋一(エコノミスト):
高齢者になると基礎疾患がありますし、高齢者って手すりにつかまって階段のぼったりしますしね。僕は高齢者がどうやってウイルスにかからないようにするか研究する方が先だと思います。そちらの方が社会的な安定を保てるし、親御さんも経済活動に参加できるしと、僕は思うんです。
安藤優子:
そうですよね。やっと正体が見えてきたんだから、正体に合わせて措置も柔軟に変えていただきたいなと思いますね。お年寄りをどうやって守るのか、とても重要な部分だと思います。