首都封鎖”秒読み!? 政府の極秘試算で懸念される「メガクラスター」 識者「今後2~3週間が危ない」

油断は禁物だ。中国発の新型コロナウイルスの感染拡大でパニック状態の欧米と比べると、現状では持ちこたえている日本だが、ここで自粛を緩めては元も子もない。関西ではオーバーシュート(爆発的な患者急増)への懸念から大阪府と兵庫県の往来自粛が要請されたが、首都圏でメガクラスター(巨大な感染者集団)が形成され、感染爆発すれば国家機能マヒに陥る恐れもある。識者は「2~3週間が危ないのではないか」と警告する。
【表】主な出かけて「いい場所」「悪い場所」
小池百合子都知事は23日、大規模イベントの自粛を来月12日まで続けることを確認、「感染の爆発的な増加を抑え、ロックダウン(都市封鎖)を避けるために不便をお掛けするが、ご協力をお願いしたい」と危機感をあらわにした。
厚生労働省のクラスター対策班が21日に都へ示した分析結果は、現状の対策が続けば都内では4月8日までに患者が計530人、重症者が計41人出るとの試算だった。
大阪府の吉村洋文知事がすでに公表している厚労省の試算では、大阪と兵庫で4月3日までに患者が3374人、うち重篤者が227人と記されていた。
大阪と兵庫では3月20~22日の3連休に往来の自粛を要請したが、都内は花見の名所を中心に多くの人出があった。満員電車は時間帯によってはなお解消されず、東京では新宿や渋谷など繁華街も人出の多い状態が続く。
「今後2~3週間が危ないのではないか」と問題を提起するのは、京都大学大学院医学研究科の村中璃子医師だ。
「外出する人も増えているように見える。イベントの自粛の結果が見えてくるのはこれからで、どちらに転ぶかまだ見えないタイミング。本来なら、より慎重になるべきときだ」と指摘する。
オーバーシュートを警戒すべき場所について前出の村中氏は、「危ないのは感染症指定病院ではなく、むしろ新型コロナとは関係がないと思われる診療科や病院だ。防護体制をとっていない病院で医療者の感染が起きれば、ただでさえ逼迫(ひっぱく)している貴重な医療資源が減るだけでなく、院内感染が起きる懸念がある。また、ライブハウスやカラオケだけでなく、換気設備の古いオフィスや飲食店など、換気の少ない密閉空間はクラスターを発生させる恐れがあるので、避けた方がよい」と助言した。
死者が6000人を超えたイタリアでは、生活に必須でない生産活動を中止し工場や事務所を閉鎖するなど、一層厳格な感染拡大防止策をまとめた新たな首相令が出た。
感染者が3万人を突破した米国では東部ニューヨーク、西部ワシントン、西部カリフォルニア州について大規模災害に認定。ニュージーランドは全ての住民に自主隔離を求める全国規模のロックダウンを実施する。
首都圏が感染爆発したら何が起こるのか。評論家の八幡和郎氏は、「電車が完全に止まる場合に備えて、企業などが徒歩圏内にどの程度の人員を配置するなどの対策が必要になるだろう。ニューヨークのように航空管制官が感染し、数日は羽田空港や成田空港が利用できなくなるなど、外国から物流が滞るなど特殊な問題が出てくる可能性もある。国会や首相官邸など政府機能への感染も非常に心配だ」と語る。
都内で最近増加している感染者は欧州など海外からの帰国者が目立つ。厚労省のクラスター班の分析は、1~2週間以内にこうした帰国者を起点とするクラスターの形成や連鎖、さらに大規模なメガクラスターの発生が懸念されている。
これを防止する手段の一つが大規模イベントの中止や延期だが、政府や埼玉県が開催自粛を呼びかけるなか、さいたま市で格闘技イベント「K-1」が決行された。あくまで法律に基づかない自粛要請だったため、今後も従わない主催者が出かねない。「法の限界」があらわになった。
13日には新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に、新型コロナウイルスを追加する改正法が成立した。首相が感染拡大を「緊急事態だ」と宣言して同法を発令すれば、都道府県知事が住民にイベントの自粛などを法的に要請できる。さらに、施設の使用制限も要請でき、事業者が正当な理由なく応じなければ要請より強い「指示」を出せるようになった。ただ、これらの自粛措置には罰則規定がない。
日本国憲法に「国家緊急事態条項」がないなか、感染の拡大阻止は、国民一人ひとりの自主性にかかっている。
【表】主な出かけて「いい場所」「悪い場所」
小池百合子都知事は23日、大規模イベントの自粛を来月12日まで続けることを確認、「感染の爆発的な増加を抑え、ロックダウン(都市封鎖)を避けるために不便をお掛けするが、ご協力をお願いしたい」と危機感をあらわにした。
厚生労働省のクラスター対策班が21日に都へ示した分析結果は、現状の対策が続けば都内では4月8日までに患者が計530人、重症者が計41人出るとの試算だった。
大阪府の吉村洋文知事がすでに公表している厚労省の試算では、大阪と兵庫で4月3日までに患者が3374人、うち重篤者が227人と記されていた。
大阪と兵庫では3月20~22日の3連休に往来の自粛を要請したが、都内は花見の名所を中心に多くの人出があった。満員電車は時間帯によってはなお解消されず、東京では新宿や渋谷など繁華街も人出の多い状態が続く。
「今後2~3週間が危ないのではないか」と問題を提起するのは、京都大学大学院医学研究科の村中璃子医師だ。
「外出する人も増えているように見える。イベントの自粛の結果が見えてくるのはこれからで、どちらに転ぶかまだ見えないタイミング。本来なら、より慎重になるべきときだ」と指摘する。
オーバーシュートを警戒すべき場所について前出の村中氏は、「危ないのは感染症指定病院ではなく、むしろ新型コロナとは関係がないと思われる診療科や病院だ。防護体制をとっていない病院で医療者の感染が起きれば、ただでさえ逼迫(ひっぱく)している貴重な医療資源が減るだけでなく、院内感染が起きる懸念がある。また、ライブハウスやカラオケだけでなく、換気設備の古いオフィスや飲食店など、換気の少ない密閉空間はクラスターを発生させる恐れがあるので、避けた方がよい」と助言した。
死者が6000人を超えたイタリアでは、生活に必須でない生産活動を中止し工場や事務所を閉鎖するなど、一層厳格な感染拡大防止策をまとめた新たな首相令が出た。
感染者が3万人を突破した米国では東部ニューヨーク、西部ワシントン、西部カリフォルニア州について大規模災害に認定。ニュージーランドは全ての住民に自主隔離を求める全国規模のロックダウンを実施する。
首都圏が感染爆発したら何が起こるのか。評論家の八幡和郎氏は、「電車が完全に止まる場合に備えて、企業などが徒歩圏内にどの程度の人員を配置するなどの対策が必要になるだろう。ニューヨークのように航空管制官が感染し、数日は羽田空港や成田空港が利用できなくなるなど、外国から物流が滞るなど特殊な問題が出てくる可能性もある。国会や首相官邸など政府機能への感染も非常に心配だ」と語る。
都内で最近増加している感染者は欧州など海外からの帰国者が目立つ。厚労省のクラスター班の分析は、1~2週間以内にこうした帰国者を起点とするクラスターの形成や連鎖、さらに大規模なメガクラスターの発生が懸念されている。
これを防止する手段の一つが大規模イベントの中止や延期だが、政府や埼玉県が開催自粛を呼びかけるなか、さいたま市で格闘技イベント「K-1」が決行された。あくまで法律に基づかない自粛要請だったため、今後も従わない主催者が出かねない。「法の限界」があらわになった。
13日には新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に、新型コロナウイルスを追加する改正法が成立した。首相が感染拡大を「緊急事態だ」と宣言して同法を発令すれば、都道府県知事が住民にイベントの自粛などを法的に要請できる。さらに、施設の使用制限も要請でき、事業者が正当な理由なく応じなければ要請より強い「指示」を出せるようになった。ただ、これらの自粛措置には罰則規定がない。
日本国憲法に「国家緊急事態条項」がないなか、感染の拡大阻止は、国民一人ひとりの自主性にかかっている。