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明日殺されるのに…」獣医大の驚くべき実態、学生たちの苦悩

2020年03月12日 23時49分11秒 | 医学と生物学の研究のこと
明日殺されるのに…」獣医大の驚くべき実態、学生たちの苦悩


実習にショックを受ける学生たち
 
 「外科実習の前日に実験犬を犬舎から外に出すと、しっぽを振って大喜びします。翌日には殺されるのに……切ない」「バケツにどんどん死体を捨てた」――。

【写真】女性に大人気「フクロウカフェ」のあぶない実態

 憧れの獣医師になるために大学に入ったら、犬、牛、鶏、ラットなど多くの実験動物を傷つける実習にショックを受ける学生がいる。

 最近は、動物が本来の行動ができて幸福な状態であるべき「アニマルウェルフェア」(動物福祉)を重視し、健康な動物を傷付ける実習を減らして練習用の模型など代替手段を取り入れ、治療を要する動物の臨床実習に力を入れる大学が出てきた。

 しかし一方で、狭くて汚いケージに実験動物を閉じ込め、麻酔の失敗で動物が苦しんだり、術後のケアも不適切だったりする事例があることが取材で分かった。

 私は2017年から2年間かけて、獣医大関係者らの証言、国公立獣医大に情報公開請求した動物実験計画書などに基づき、各地の獣医大を取材した。

 全17の獣医大に取材を申し込み、そのうち2大学が飼育施設、1大学が臨床実習の見学をさせてくれた。

 取材を始めたきっかけは、動物保護団体「Cruelty Free International」(本部英国)が17年1月に日本の2獣医大の犬舎の動画と写真をインターネットで公開し、狭くて糞尿臭いケージに実験犬を閉じ込めているなどの状況を暴露したことだった。

 団体は文部科学大臣に「近年獣医師を目指す人には命を尊重する心を養うことが求められ、故意に動物を傷つけることに懸念の声が高まり、英米、カナダなどでは実験動物を授業で使うことを止めた獣医大、医大が多くあり、代替法や臨床実習に力を入れています」として、犬の侵襲的(傷付ける)な実習をやめるよう要請文を提出した。

  ちなみに英国では実験動物で手技の練習をすることが法律で禁じられている。16年には米、カナダの全医学部で生きている動物を使う実習が廃止された。
残酷な5日間連続手術
 
 日本の獣医大の「実習」とは、実験動物で解剖、手術の練習などを行うものと、動物病院に連れてこられる病気の犬猫、農場の病気の牛・馬などを診る臨床実習の2種類がある。

 日本は長らく実験動物の実習に頼り、臨床実習は「ほとんど見学」(大学関係者)という状態が続いてきた。

 例えば犬の外科手術は日本では、1日で終えて安楽死させるのが一般的だ。しかし日本獣医生命科学大(東京都武蔵市)では、連続5日間同じ犬の開腹・開胸手術をしていたことが分かった。

 1日目に不妊去勢、2日目に脾臓の摘出、3日目に腸管吻合、4日目に骨盤から大たい骨を外す、5日目に肺の切除、という内容。

 毎日、手術をして麻酔から覚めたら翌日再び麻酔をかけて体を切ることを繰り返し、「犬は痛がってキューン、キューンと泣き叫んでいた」(卒業生)。

 5日間連続手術について、動物実験に詳しい獣医師は「通常の不妊手術でも、雌犬は術後数日間は非常に痛がる。残酷極まりない。これは動物愛護管理法にも違反する行為ではないか」と憤った。

 少なくともこの方法を30年以上続けていたが、ある学生が外部の組織に訴えて翌年から中止された。

 同大に事実関係を問うと、17年8月に河上栄一獣医学部長名の書面で「ご指摘の通り、4年前までは実施していました。しかし、現在は1日のみ生体を使用することに変更しました」などと返答があった。

 大阪府立大も外科実習で、同じ犬を3回開腹・開胸手術で使っていたことが分かった。

 同大に今後の方針を聞くと、岡田利也獣医学類長名の書面で「18年4月から外科実習の犬を半分に減らす予定」と回答があり、今年再び質問すると、「19年4月以降、外科実習で実験犬を用いておりません」(岡田氏)とのことだった。

  実験動物の実習について、獣医大卒業生は「医学部では、生きている人間を手術の練習台にせず、御献体を使い、臨床実習で学ぶ。獣医学部なら動物を犠牲にしていいとは思いませんでしたが、教員に理解してもらえず、仕方なく授業を受けました」と打ち明けた。
酔せずに放血殺して… 
 酷い話は犬にとどまらない。

 酪農学園大(北海道江別市)で09年、北里大(青森県十和田市)で14年、実験牛を麻酔せずに放血殺して解剖に使っていたことが学生の内部告発によって明らかになった。告発文には「子牛は首をずばっと切られたとき、モーモーと苦しそうに大きな叫び声を上げた」などと記されていた。

 両大学は事実関係を認め、「獣医学部においては、研究、教育いかなる場合においても、牛の無麻酔放血殺は廃止してます」(北里大)などと明言し、「16年から全身麻酔をかけた後、筋弛緩薬で呼吸停止を確認。以前は麻酔下での放血も認めていましたが、今は放血はやっていません」(山下和人酪農学園大教授)としている。

 最近は山口大、鹿児島大などが、犬などの侵襲的な実習を廃止(牛、豚、鶏など産業動物の解剖実習を行っている大学はある)して、精巧な外国製の模型を購入して念入りに練習した後に臨床実習に臨み、保護犬猫の不妊去勢手術でシェルター・メディシン(保護動物の群管理)教育を始めている。

  ただし、取材に応じてくれた大学がごく一部に限られ全体像がつかめない。また生きた犬の使用はやめても、実験動物の業者から購入した死体を使っている大学もある。
 麻酔が切れてラットが暴れ出し…
 
 さらに最近の取材で、ラット、マウスなどの実習で不適切な扱いがあることが分かった。

 例えば北里大では、教員がラットに麻酔を実演した後にやるのだが、大学関係者によると、「薬を充満させた瓶の中に入れて麻酔をかけたのですが、学生は教員から麻酔薬の量について明確な指示もなく、加減が分からず適当に入れました。すると解剖の途中で麻酔が切れてラットが暴れ出した。二酸化炭素を充満させた瓶に入れて死なせたが、腹から血が流れ出していた。その場で、『やばいね~』『殺害だね』という声が上がりましたが、そのままラットの体を切り続けている学生もいた」という。

 術後の処置にも問題を感じた。北里大の実習では、ラットの卵巣を切除してクリップで縫合後、ケージに戻したが、「ケージは糞尿だらけ。さらに複数のラットを同じケージに入れるので、クリップをかじり合って傷口が化膿してしまった」。

 金網のケージ内に、巣箱など動物の行動欲求を満たす環境エンリッチメントの用具は何もなかった。

 獣医学的ケアに詳しい関係者は「金網は足裏を痛めます。せめてタオルを入れれば、寒さから身を守れて、くるまって眠ることもできます。本来は、飼い方と術後ケアも含めての教育ではないのでしょうか」と指摘する。

 この他、脊髄反射を見るために、上顎をはさみで切って頭がない「脊髄ガエル」を作る生理学の実習がある。「切る場所がずれると、『はい、別のカエル』と次々と取り換えた記憶が今も頭から離れない」と語る学生もいる。

  私はこれらの事実確認のために、北里大の高井伸二獣医学部長に今年2月に質問書を送ったが、返答はなかった。
学生たちの「本音」
 
 保定(動物が動かないように押さえておくこと)や腹腔内投与などの練習ができるマウスの模型をいくつか導入した獣医大でも、必ずしも模型を十分活用しているとはいいがたい実態がある。

 麻布大(神奈川県相模原市)ではマウスを使う実習で、模型はあったが、「教員は『模型もありますよ。高いから壊さないでね』という感じで、全員が練習をみっちりやりなさい、という感じではなかった」と学生。

 生きたマウスは一人1匹ずつ与えられたが、「しっぽに生理食塩水を静脈注射する練習でも暴れたので、何度もしっぽをひっぱり、マウスが疲れ果てるまで繰り返してました」。最後は麻酔薬を過剰投与して安楽死させ、解剖して臓器の位置を確認した。

 実験マウスは「どんどん繁殖するので時々間引きされています。毎日『今日実験、実習に使われるのはこの子』と見送っているうちに、動物実験に嫌悪感を覚えるようになった……」と打ち明ける学生もいた。

 有精卵の中にウイルスを投与して1週間後に胎児を取り出す実習もあった。「グロテスクだった。胎児には血管が通い、ひよこの形をしていた。細胞培養するため臓器を次々取り出して、バケツにどんどん死体を捨てた。嫌になりました」

 私はこれらの点について、麻布大に2月に質問したところ、村上賢獣医学部長名の文書で「代替法教材を積極活用するとともに、動物の福祉に配慮した実習を行っております。また臨床実習におけるシェルター・メディシンの導入を検討しています。動物福祉の取り組みについては、ホームページなどで公開することを準備してますので、今後はそちらでご確認ください」と返ってきた。

 このような実習に疑問を抱いている学生が気持ちを吐露した。

 「どの実習も殺すほど必要だった、と納得したことがない。今は優れた模型もあり、代替法や動画で十分学べると思う」
「教員に実習の必要性について尋ねたら、『必ずしも必要ではないが、まぁやっとけば』『私もよく分からない』と返ってきました」
「教員から『自分たち専門家は一般の人と考え方が違う。外で実習の話をするな』と言われました」
日本の動物実験はどこへ向かうのか
 
 実習については、獣医大学が加盟する「全国大学獣医学関係代表者協議会(JAEVE)」の稲葉睦会長(北海道大大学院教授)が17年12月に東京大で開かれたシンポジウムで、「実習での生体利用は可能な限り減らす方針で、全国の大学の共通理解だと思っており、今具体的な取り組みを進めています」と発言した。

 JAEVEは「代替法検討委員会」を設置しており、私は今年1月に久和茂(東京大大学院教授)会長に委員会の進捗状況を聞いたところ、メールで「公表できる状況ではありません。教育改革には非常に多くの課題があり、少しずつ改善作業を進めているところです」などと返信があった。

 私は3年前から何度もこの件でJAEVEに質問しているが、返事をもらったことがない。

 生理学、解剖学などでの小動物、両生類の使用については、「健康な状態の臓器を生で見る必要がある」という大学教員の主張をこれまで何度か聞いてきた。どうしても生体実習が必要というのであれば、以下のことを守るべきではないかと思う。

 まず動物実験(実習を含む)の国際原則である3R(細胞やコンピューターなどできる限り代替法を活用する、使用数を削減する、できる限り苦痛の軽減を図る)を守ること。

 3Rは、1959年に英国で研究者の倫理基準として提唱された。3Rは動物愛護管理法で理念に過ぎないが、代替法と削減は配慮義務、苦痛軽減は義務として明記されている。

 日本の動物実験施設は自主管理体制で、自治体への届け出義務すらないため、施設内で実際に何が起きているか外部からは分からない。

 獣医大は、動物実験計画を審議する学内の動物実験委員会で個々の実習の必要性、苦痛軽減の方法などについて議論を尽くすべきではないだろうか。

 「動物福祉は世界の規定路線であり、健康な動物を傷付けたり、殺したりする実習は廃止していくべきです」と明言するのは獣医倫理学が専門の高橋優子酪農学園大准教授。

 「例えば犬の解剖をするなら、飼い主の理解を得て病院で死んだペットを『献体』としてもらったり、保護したけれど死んでしまった犬を動物愛護団体から頂いたり、自然死した野犬を使ったり、あらゆる手段を尽くすしかない。結果が分かっていることを確認する実習は、動画やコンピューターなどで代替が可能です。手技を学ぶには、模型などで何度も練習を積んだ上で、臨床実習に注力すれば良いでしょう」とする。

 獣医大学は教育機関として、学生が納得するような倫理的実践を示してほしい。

  そして実習は動物実験でもある。アニマルウェルフェア重視の動きが世界的に広がる中、これが獣医大だけの問題ではなく、医薬品、化粧品、食品、化学製品などあらゆる分野で行われている動物実験にも共通することであることを、その恩恵を受ける私たちも認識する必要があるのではないだろうか。




  中には「このような授業を受け続けると、学生全員が良心の欠如した人間になってしまうのではないか」と訴える学生もいる。














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26度の湯で新型コロナ予防」にだまされた? 医師が教える、デマを見分ける5つのコツ

2020年03月12日 22時48分52秒 | 日々の出来事
26度の湯で新型コロナ予防」にだまされた? 医師が教える、デマを見分ける5つのコツ
新型コロナウイルス感染症に関して、国内でも経路のわからない感染が増え、不安が広がっている。それとともに、デマや偏った情報も飛び交うようになった。

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 WHOのテドロス事務局長は、2月15日のミュンヘンでの会議において、「われわれの戦いはエピデミックだけではなく、インフォデミックとの戦いでもある」とアナウンスしたが、「インフォデミック」とは、デマなどの誤った情報が爆発的に伝播することだ。 WHO は、「デマが伝播する速度はウイルス感染よりも速く、より危険だ」と、 警戒する 。

 日本でも、「お湯を飲んでコロナ予防」「生姜がコロナ予防に効く」「花崗岩が免疫力を高める」などのデマがSNSを通じて拡散した。また、「トイレットペーパーが品薄になる」というデマにより買い占めが起き、全国のドラッグストアからトイレットペーパーが消えた。

 現在、日本の新型コロナウイルス感染による患者数は3月10日時点で無症状者を含め514名、死者9名(ダイヤモンドプリンセス号における感染者数は696名、死者7名。3月9日時点、厚生労働省)だ。

 検査体制の不十分さにより、実際の感染者数はもっと多いことが示唆されるとはいえ、ほとんど報道されない今シーズンのインフルエンザ罹患者数は700万人弱。予防接種や治療薬もあるインフルエンザと単純比較することはできないが、コロナウイルスによる実際の健康被害よりも、誤情報や報道により引き起こされる不安の影響は大きいのではないか。

 人は不安になると、こうあって欲しいという情報に安易にとびついてしまうので、注意が必要だ。では、必要以上に不安や恐怖を煽られることなく冷静に過ごすにはどうすればいいのか。

  わたしは医師で、医療全般について、一般の方に知っていただくべく医療執筆も行っているが、今回の新型コロナウイルス肺炎に関しても、情報発信を行ってきた。誤情報や偏った情報には、共通した特徴がある。これは新型コロナウイルス感染症のみではなく、癌など他の疾患にまつわる情報にも共通している。



誤った情報、偏った情報の5つの共通点
 
1.○○に効く、あるいは強い断定

 ネットで○○に効く、と謳っているものは誤情報の可能性が高い。医学では、治療にせよ予防にせよ「百パーセント」を謳うことができることは少なく、今回の新型コロナウイルスに至っては、まだ有効な治療法さえ確立されていない。

「効く」「予防できる」と言い切っているものは「怪しい」と考えて差し支えない。

2.「免疫力」という魔法の言葉

「免疫力」という言葉は、インチキ癌治療などでもよく使われる言葉なので、要注意だ。たしかに、現時点で有効な治療法のない新型コロナウイルス感染症において「重症化するかどうかはその人の免疫力による」という記述は間違いではない。また、近年癌治療においても「免疫療法」の重要性は増してきている。「免疫力を高める食品」というのも、腸内細菌などの観点から確かに存在はする。

 しかし、特に食品に関しては、劇的、短期的に効果があるわけではなく、現時点においては手洗いや咳エチケット、換気などの習慣のほうが重要度は高い。「免疫力」という言葉をもとに、特定の食品などを売りつけるようなサイトの場合、まずインチキだと考えて差し支えない。また、特定の食品を摂取しようとするよりも、バランスのよい食事に睡眠を十分とることを、この時期は心がけてほしい。

 消費者庁は、予防効果を標榜するマイナスイオン発生器や健康食品など、根拠の不確かな商品について 注意を呼びかけている 。

3.陰謀論、政治的文脈

  陰謀論も、医学におけるデマの定番だ。有名なのは、予防接種の陰謀論で、「ワクチン会社と政府の陰謀によって、有害な予防接種を打たれている」というものだ。たしかに、ある種の薬剤においては、製薬会社のマーケティングが市場への影響をもたらすのは確かだが、行政が推奨する予防接種に関しては有効性が立証されている。
 
 新型コロナウイルスに関しても、PCR検査が増えない状況に対して、「国立感染症研究所(以下、感染研)のOBが邪魔をしている」などの陰謀論が唱えられたが、録音や記録などのファクトが出てこないかぎり、 このような「個人の感想」を直ちに鵜呑みにすることは勧められない。

 また、「親安倍」「反安倍」などの政治的文脈で語られる医学の話は、結論ありきのことが多く、医学的な検討がなされていることは少ないことも覚えておくべきだろう。

4.一方向だけの取材

 ワイドショーなどの番組では、連日「検査を受けられずたらい回し」の報道があったが、患者側のみの訴えで構成され、医学的経過が不明瞭なケースも少なくなかった。

  PCRの国内検査体制には 課題が山積みであることは事実だ 。1月末に感染研が自家調整の遺伝子検査を確立したが、国内の検査体制の整備が、感染の広がりに追いついていない。保険適用がなされるまでの間、医師が必要と判断しても検査を断られてしまう例が続出し、日本医師会が調査を行ったところ、30例あまりの不適切なケースがあったことが報告された。

 しかし、当事者の一方だけを取材した報道がフェアであるはずがない。ひとつのケースについて、患者、医師双方からの情報が報道できている場合は、比較的フェアな報道がなされていると考えられるのではないだろうか。

5.利益相反がある、またはその可能性

 例えば、製薬会社の会社員や、製薬会社から資金提供を受けた研究者が、ある薬の効果について報告した場合、利益相反を開示する必要がある。こういったケースでは、利益相反があること自体が悪いのではなく、 必ずしも全例に情報の偏りがあるわけではないが、 見る側が、「そのような情報である」と、認識することが必要だ。


  治療法が確立しておらず、治療薬が存在しない新型コロナウイルス感染症に関しては今後の問題なのだろうが、ニュースを見る側の視点としては、必要なポイントだろう。

誤った情報を鵜呑みにしないために、できること
 
1.まずは立ち止まり、冷静になること。

 今、あなたはとても不安だ。都合のいい情報が流れてきたら、すぐに飛びついてしまうかもしれない。しかし、一旦立ち止まってクールダウンしよう。これは一番重要なことだ。そして深呼吸して、その情報に上にあげた特徴がないか、客観的に検討してみよう。

2.ソースを確認すること。

 ある報道があったとすると、そもそも、最初の発信者はどこの誰なのか、どんな情報に基づいて発信されたのかを、確認してみるといいだろう。実験データやアンケート結果、統計解析結果、目撃・インタビューなどを通して直接体験された情報を一次情報といい、それを引用、編集などして報告したものが二次情報、twitterなどで流れてくるものは三次以降の情報とされるが、もともとの情報源に近いほど正確な情報だと考えられる。

 今自分が手にしている情報はどの段階なのかを、もう一度見直してみよう。 情報源を複数探すことができると、様々な角度からの検討が可能になるだろう。

3.「ファクト」と、「オピニオン」を分けて考えよう

 ある情報を手にしたとき、それが「ファクト」つまり事実に基づいているのか、「オピニオン」つまりだれかの主観的意見にすぎないものなのかを、つねに考えてみることが重要だ。

 ファクトとは、具体的なデータや、いつ誰がなにをしたなどの、明確な記録や証言に基づく情報だ。たとえば、「感染研OBが邪魔をしている」という証言は、録音や記録などの「ファクト」がなければ、「オピニオン」の状態にとどまる。情報について、直ちに「嘘」「本当」を断定する必要はないが、本当にファクトと言えるのかについて、十分吟味することが必要だろう。

 新型コロナウイルス感染が国内でも広がってきて、不安が広がっている今だからこそ、一度クールダウンしてみよう。ひとりひとりが、自分のもとにある情報についていま一度検討してみることは、医療崩壊を防ぎ、ひとりひとりが心身共に健康を維持するためにも必要なことではないだろうか。



参考文献
https://www.who.int/dg/speeches/detail/munich-security-conference
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30461-X/fulltext
https://www.caa.go.jp/notice/assets/200310_1100_representation_cms214_01.pdf
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/28/06625/
https://blogs.scientificamerican.com/observations/how-to-report-on-the-covid-19-outbreak-responsibly/?fbclid=IwAR2E7tBSG92vv4AHjcxIV2v8jC_o4Sg-b0lVb7ec95rck_cu5kNfU2fdAu8
 https://infodemic.blog/?fbclid=IwAR0xp7FYpZYbgR3dtSZYhMyfLgJ--z7JLke8KWQOmReq7KlsWFod5JWOZMs
     
松村 むつみ


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コロナ禍でウソがばれた「アベノミクス」という大失敗

2020年03月12日 19時13分52秒 | お金のこと
コロナ禍でウソがばれた「アベノミクス」という大失敗

新型コロナウイルスが日本経済に深刻な影響を及ぼしつつある。しかし、日本経済の不調はその前から明らかだった。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「アベノミクスのせいで、日銀は身動きのとれない状態にある。政府は大胆な財政出動を決断すべきだ」という――。

【この記事の画像を見る】

■アベノミクスからの「消費増税+新型コロナ」で日本経済は瀕死の状態

 新型コロナウイルスが日本経済に深刻な影響を及ぼしつつあります。感染の広がりがいつ抑え込まれるかまったく不透明な中、どこまで経済が落ち込むかが心配です。

 景気指標はどんどん落ち込んでいます。

 私は経営コンサルタントとして、顧客企業に対して、ふだんよりかなり多めの「手元流動性」を持っておくようアドバイスしています。手元流動性は、自身でコントロールできる現預金などの資金のこと。ふつう大企業は月商の1カ月分、中堅企業は1.2~1.5カ月分、中小企業は1.7カ月分くらい持っていれば資金繰りに問題ないと言えます。

 しかし、先行きが不透明なため、今は通常よりかなり多めに確保しておいたほうがいいと考え、そう伝えています。企業にも万が一に備えてという緊迫した空気を感じます。

 経済学では「ショック」という言葉を、「不連続な断絶」が起こった時に使います。1970年代の「オイルショック」や2008年の「リーマンショック」がよく知られていますが、2020年はまさに「コロナウイルスショック」という状況になってしまいそうです。

■急激に落ち込む景気指標

 今、新型コロナウイルスの影響で多くの人が集まるコンサートやイベントが軒並み中止・延期となっています。明らかに経済にマイナスです。ただ、ここで大事なのは、日本経済はその前から下降気味であったという認識を持つことです。

 2019年は景気が徐々に悪化していた中で、10月1日に消費税が10%に上がり、一気に減速感が増していたのです。さらに、そこへ新型コロナがやってきたというのが正しい認識です。

 図表1は「日銀短観業況判断」です。これは景気が「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の差をパーセントで表したものです。全員が「良い」と答えると「プラス100」、全員が「悪い」と答えると「マイナス100」となります。

 その大企業・製造業の数字を見ると、2018年くらいまでは「プラス20」前後でした。「どちらでもない」という答えもあるために、「プラス20」というのは、まずまず良い数字です。それが、2019年の3月調査頃から落ち込み始め、消費税増税前の9月調査では「プラス5」まで落ちていて、増税後の12月調査では「0」です。6年7カ月ぶりの水準まで落ちてしましました。

 国全体の経済の規模や伸びを表す国内総生産も、消費税増税後の2019年10~12月の数字は、実額を表す「名目」も、インフレを調整した後の「実質」も大きく落ち込みました。

 とくに実質国内総生産は年率でマイナス7.1%というとても大きな落ち込みです。

  ここまではある程度想定していたことではありますが、新型コロナ騒動が始まる前から景気は落ち込み始めていたという認識が必要なのです。


2020年2月の「街角景気」は東日本大震災以来の低い水準

 一部には、未曽有の新型コロナ不況の到来だと言う人もいますが、新型コロナが経済に与えるダメージはどの程度の大きさなのか実態はまだわかりません。そんな中、多くの人を驚かせたのが「街角景気」(図表2参照※)でした。

 内閣府が毎月実施している「景気ウォッチャー調査」は、タクシーの運転所、ホテルのフロント係、小売店の店頭の販売員、中小企業経営者など2000人あまりに各地で聞き取り調査をして指数化したものです。

 「50」が良いか悪いかの分かれ道ですが、2018年から「50」を切るようになり、2019年にはその数値がさらに落ちていき、10月の消費税増税後は低迷が続いていたのですが、ウイルス騒動発生後の2月25~29日に調査した結果ではそれが一気に14ポイント以上落ち、「27.4」と東日本大震災以来の低い水準となりました。

■株式市場、為替市場も大混乱

 新型コロナウイルスが、イタリアをはじめとする欧州や米国にも感染を拡大したことから、世界の株式市場もパニックとなりました。NYダウが2月半ばには2万9000ドルを超えていたのが、3月9日、終値は2013ドル安と過去最大の下げ幅となり、1年2カ月ぶりに2万4000ドルを割り込む水準まで下落しました。

 同じ3月9日、為替もそれまでは1ドル110円程度で比較的安定していたのが、一時101円台まで突っ込み、2016年11月以来、約3年4カ月ぶりの円高水準となりました。その後に少し戻すという展開になっています。

 欧米などでの新型コロナウイルスの感染拡大から、世界経済への懸念が強まり、比較的安全とされる円が買われていることに加え、米国のさらなる利下げへの期待も、円買いの動きを加速させているようです。円高化は日本経済に痛手となります。

 こうした動きに合わせ日経平均株価も2万4000円近くまで上昇していたのが、こちらも一気に1万9000円を切る水準まで急落しました。

 こういう状況において、米国の中央銀行であるFRBは政策金利を0.5%緊急利下げし、誘導ゾーンを1.0%から1.25%に下げました。これにともない、10年物の長期金利は1%を切る水準にまで下がり、一時は過去最低の0.3%台にまで下がりました。しかし、それでも市場は動揺を続けました。

■原油価格の下落は米国のシェールオイル産出企業の財務を悪化させる

 私を含め多くの人が驚いたのは、日本の株式市場や円ドルの為替市場の動揺だけではありませんでした。新型コロナの影響は原油市場をも揺るがしました。

 ドバイ原油は今回のウイルス騒動までは1バレル50ドル前後で比較的安定していましたが、一気に20ドル台まで下落(ニューヨーク原油先物が日本時間9日昼の時間外取引で1バレル29.71ドルを付けた)。2016年以来の低い水準に落ち込みました。

 原油価格急落の直接的な原因は石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアによる追加減産協議の決裂によるものですが、新型コロナ騒動による世界経済への減速懸念も背後にはあります。その後30ドル台に戻してはいますが、このことは、原油に財政の多くを依存するサウジアラビアはじめ中東諸国やロシア、ベネズエラなどの信用不安をあおり、さらに世界経済の減速懸念を強めることとなっています。

  また、原油価格の下落は、米国のシェールオイル産出企業の財務内容を悪化させる懸念もあります。これらの案件はなんらかの形で日本経済へのダメージとなるリスクがあります。

躊躇せず行動する」と豪語していた日銀は身動きがとれない状態

 日本政府は現在、新型コロナ感染拡大を止めることに躍起になっています。また、資金繰りが厳しい企業に対しては、政策金融公庫などを通じての融資や保証の拡充を決めています。

 いら立たしいのは、日銀です。いま(3月11日時点)のところ全く動きを見せていません。

 これまで、「緊急時には躊躇(ちゅうちょ)せず取りうる行動を取る」と明言していた日銀・黒田東彦総裁ですが、どういうことなのでしょうか。新型コロナ倒産と呼ぶべきニュースが日々聞こえているのに、これ以上、企業を見殺しにするつもりでしょうか。

 とはいえ、日銀は繰り出せる策は限られています。考えられるのは、せいぜい「マイナス金利の深掘り」でしょうか。しかし、これは「理論上」は実施可能ですが、どれだけの効果があるかはまったく不明。むしろ、それでなくても収益環境が悪くなっている銀行の収益をさらに悪化させることになりかねません。

 3月18日、19日の政策決定会合に注目だが、結局のところ、金融政策で今回の「ショック」を乗り越えるのは無理だと私は考えます。

 政府は財政出動などを機動的に行ってほしいものです。繰り返しますが、企業は、保険の意味も含めて、手元流動性を普段より多めに持っておいてください。



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小宮 一慶(こみや・かずよし)
小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学、東京銀行などを経て独立。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』など著書多数。
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東京五輪に不透明感、動揺するスポンサー企業

2020年03月12日 18時35分09秒 | 社会のことなど
アングル:東京五輪に不透明感、動揺するスポンサー企業


東京 12日 ロイター] - 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が本格化し、7月からの東京五輪・パラリンピック開催に不透明感が漂い始めた。国際オリンピック委員会(IOC)をはじめ、主催者側は中止も延期もないと強く主張しているが、多額の協賛金を支払う五輪のスポンサー企業の間には動揺がみられる。

10─20兆円規模の経済対策案浮上、新型コロナで現金給付など検討

主催者側とスポンサー企業は先週、非公式に会合を開いて準備状況を話し合った。出席した関係者によると、新型コロナの感染状況から大会の計画変更はありうるのかどうか、変更があるならそれはいつ決まるのかといった具体的な話はなかったという。

あるスポンサー企業はロイターに「懸念する人が増えているが、我々にできることは何もない」と語った。「もし4月も5月も6月も続くなら問題になるだろう。何が起きるか注視している」 。

パートナー企業と東京五輪・パラリンピック組織委員会は定期的に会合を開いており、この日は何十人もの出席者がいた。ある関係者は、「何ら決まっていない。内部はぐだぐだな状態だ」と語り、混乱している様子であることを明らかにした。

最終的な決定権はIOCのトーマス・バッハ会長にある。コカ・コーラ<KO.N>やブリヂストン<5108.T>、キヤノン<7751.T>、トヨタ自動車<7203.T>、 パナソニック<6752.T>などがスポンサーに名を連ね、日本企業は昔から気前が良かった。

IOCをはじめとした大会関係者はここ数週間、東京大会を予定通り行うことを強調してきた。IOCは4日、「東京五輪の成功に変わらぬ自信を持っている」と声明を発表。大会組織委員会の森喜朗会長も11日の会見で「安全で安心な五輪を進めるのがわれわれの基本的スタンスだ」と述べ、計画の変更はないと強調した。森氏は「ウイルスの影響はないとは言っていないし、あると思うが、専門家が対応を考えている」と語った。

大会期間中、日本を訪れる外国人は観客と選手を含めて60万人以上と予想されている。もし中止となれば、3300億円以上の企業協賛金と、会場建設など1兆円以上の準備費用が吹き飛ぶことになる。

インバウンド効果と五輪特需も見込まれているだけに、東京大会の成功を自身の政治遺産にしたい安倍晋三首相にとっては避けたいシナリオだ。世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)」に相当すると表明した12日、安倍首相はすぐに会見し、「必要な対策は躊躇(ちゅうちょ)なく決断して実行していく。感染の広がりを抑えるために全力を尽くしていきたい」と強調した。

<延期なら1─2年が現実的か>

五輪の予選とテスト大会の一部は場所を変えて行ったり、延期された。本大会は7月24日に開幕予定であり、主催者が最終決定を下すまでにはまだ時間がある。

CBSスポーツで冬季大会の放送権交渉に3回関わったことがあるニール・ピルソン氏は、遅くとも5月初めには状況を見極めると予想する。「感染が縮小しているのか拡大し続けているのか分かるだろう」 と、ピルソン氏は言う。

専門家は、多くの選手が一カ所に滞在する環境で安全な大会を開催するのは難しいだろうと指摘する。「オリンピック村だけでも1万7000人─1万8000人が集まって交流する」と、米スミス大学でスポーツ経済学を専門とするエコノミストのアンドリュー・ジンバリスト氏は語る。

大会組織委員会の理事の1人、高橋治之氏はロイターの取材に、新型コロナが五輪に与えうる影響について、委員会の中でシナリオ作りを始めたことを明らかにした。

 高橋氏は、今のところ何も決まっていないとしつつ、たとえ延期の必要があっても「年内の延期は難しい」とみる。高橋氏は「プロスポーツの日程は数年先まで決まっている」と指摘。「あらゆる可能性に備えて準備を始める必要がある。夏に開催できない場合、1─2年程度の延期がもっとも現実的だ」と語った。




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来月入社の『採用』次々取り消し!「新型ウイルスで経営苦しいから」突然の通告に戸惑う若者たち

2020年03月12日 17時14分12秒 | 雇用と職のこと
来月入社の『採用』次々取り消し!「新型ウイルスで経営苦しいから」突然の通告に戸惑う若者たち…自民党対策本部長「お気の毒」と他人事

春のセンバツ高校野球の中止も決まったが、就職が決まっていた学生らへの内定取り消しも相次いでいる。Aさん(20)は専門学校を卒業し、イベント関連会社に入社予定だったが、8日(2020年3月)に「新型コロナウイルスで4月からの仕事が中止とかになっているので」と、
社長から内定取り消しの電話を受けた。「すごく悔しいですけど、もう次(の会社)に行って見返してやろうかなと思っています」とAさんは話す。

結婚式場に就職が内定していた短大生のBさん(20)は、9日に内定取り消しの電話を受けた。

「キャンセルが相次いで、会社としても赤字でやっていくことができない。新卒を雇う余裕がないので、申し訳ないけどなかったことに」と言われたという。「一方的に電話を切られてしまいました。悔しいしとしか言えない。何のために頑張ってきたのか」と憤りを抑えきれない様子だ。高校や大学の奨学金1000万円の返済が来月から始まる。「バイトでは返していけない。精神的に追い詰められている」と話していた。

■自民党対策本部長「お気の毒」とまるで他人事

スタジオ出演していた自民党の田村憲久・新型コロナ対策本部長は「結婚式場はいま大変な状況で、雇う余裕がないのはわからないことはないが、お気の毒としか言いようがないですね。

一方で日常の生活、経済活動に戻ってもらう方向性をわれわれは早く出さなければいけません。日常生活を正常時に戻していくプロセスを国民のみなさんに早く示したい」という。どこか他人事に聞こえてしまう。

高木美保(タレント)「企業が将来的に不安だからというだけで、内定を取り消していいのでしょうか。(学生に対する)説明が足りていないのはどうかなと思います」

司会の羽鳥慎一「感染拡大防止と経済対策のバランスですね」

これらの内定取り消しは、すべて違法のはずだ。




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