新型コロナウイルス対策で消毒にお酒を使うのはありなのか?
アルコールの消毒液が品薄となっています。筆者の経営する原価BARでも、日々の業務に使う製品を確保するのに手一杯です。一刻も早く流通が正常化することを望みますが、あと数か月は厳しい状況が続きそう。そんな中、酒屋やネットショップから「スピリタス」というお酒が姿を消しました。
スピリタスはポーランド産のウォッカで、70回以上も蒸留してアルコール度数96度を誇る世界最強のお酒です。そう、みなさんこのお酒を消毒液として使うために購入しているのです。あるスーパーではスピリタスを消毒用に使えるというPOPを掲示して販売していました。
結論から言うと、お酒を消毒液として使うのはNGです。
アルコール度数96度、火気厳禁のウォッカ「スピリタス」
映画のワンシーンみたいにお酒で消毒できない理由
アルコールといってもいくつか種類がありますが、消毒に使えるのはエタノールです。お酒のアルコールもエタノールなので、同じと言えば同じです。しかし、スピリタスをそのまま使っても消毒できません。アルコール度数が高すぎるためです。
例えば、アルコールで手指を消毒する際は15秒の時間がかかります。アルコール度数が高すぎると、すぐに蒸発してしまい、消毒しきれないのです。厚生労働大臣が定めた医薬品の規格基準書である日本薬局方によると、消毒用エタノールのアルコール度数は体積比で76.9~81.4%と定められています
アルコール度数を高めるのは至難の業ですが、落とすのは簡単です。精製水で薄めれば、80%にすることはできます。エタノール濃度は同じなのである程度の効果は出るかも知れませんが、オススメできません。
呑兵衛としては、お酒を飲食以外に使うのはNGと言いたいところですが、それだけが理由だと反論が来そうです。実際は、あくまで飲料であるため、アルコール以外の成分が、消毒効果にどんな影響をあたえているのかわからないためです。
本当は消毒効果が低いのに、素人考えで間違った運用をして、かえってリスクを高めてしまう可能性もあります。自作の消毒液をフリマサイトなどで売ったら、薬事法違反になる可能性もあります。
手指の消毒であれば手洗いをしましょう。物の表面を消毒したいなら、塩素系漂白剤を利用する手もあります。単にエタノール消毒製品が品薄だからと、パニックからの買い占めは避けましょう。
新型コロナウイルスでお酒業界はどんな影響を受けた?
新型コロナウィルスとお酒関連では、ビールの話題があります。みなさんが自粛ムードのため飲食店は壊滅的なダメージを受けているのですが、そのぶん自宅飲みが増えています。そのため、アサヒやサッポロ、キリンなどは前年同月比で販売量が2~4%増加しています。しかし、メキシコのコンステレーション・ブランズが販売している「コロナ」ビールは風評被害を受けています。
ライムを入れて飲むコロナビール
アメリカの広告会社がビール好きの737人に世論調査を行ったところ、38%が「コロナ」ビールを購入しないと回答したと発表しました。「38% of Americans」というキーワードがツイッターのトレンド入りになるほど注目を集めたため、2月29日、コンステレーション・ブランズは好調に売り上げていると発表することになりました。
当たり前ですが、「コロナ」ビールは新型ウィルスとは関係ありません。ちなみに、「コロナ」ビールは瓶に直接口を付けて飲みます。カットライムを入れることが多いのも特徴です。味わいはライトで、ライムでさらにさっぱりとして、ぐいぐいと飲めます。ネットショップにも潤沢に在庫があるので、ぜひBARでも自宅でも「コロナ」ビールを飲んで応援しましょう。