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新型コロナで結婚式延期、交渉したらキャンセル料8割減 女性「まるっともらう気だったのか

2020年03月13日 13時36分48秒 | 日々の出来事
新型コロナで結婚式延期、交渉したらキャンセル料8割減 女性「まるっともらう気だったのか

新型コロナウイルスの影響で、結婚式を控えた新郎新婦が、延期やキャンセルの決断を迫られています。

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事情が事情なだけに、キャンセル・延期料を無料にした「神対応」の式場もありますが、数十万以上の追加料金がかかる式場もあり、対応は分かれているようです。

弁護士ドットコムニュースには、3月8日に予定していた結婚式を5月に延期した女性から「最初は10万ほどと言われていた延期料が、結局約77万と提示され絶句しました」という声が届きました。

最終的には15万円ほどになったそうで、式場とどう交渉したのか話を聞きました。

●延期料「まだサービスを受けていないのに…」

メッセージを寄せたのは、名古屋市に住む女性(22)です。女性は保育関係の仕事をしており、招待していた職場の人から2月末に「安全を考えて全員欠席する」という連絡を受けました。

さらに、女性は妊娠4カ月ということもあり、このまま開催することに不安を感じたため、式場に延期を相談。すると、式費用260万円にくわえて、さらに約77万円が追加でかかると言われました。

延期する場合の見積書には、引き出物代約21万円、映像代が6万9000円、花代約19万円、カメラマン写真代7万7000円、印刷物約6万2000円、司会代4万4000円などの記載がありました。

「まだサービスを受けていないのに、なぜ追加で入っているものがあるのか」。女性が式場側に問い合わせると、負担は一部の引き出物や手配済みの装花代のみとなり、延期料は当初の2割ほどの15万円ほどとなったそうです。

また、当初、写真代については支払う必要があると言われたため、式予定日に写真を撮ってもらおうとカメラマンの会社に直接連絡したところ、「延期料を取るつもりは全くない。プランナーにもそのように伝えたし、今までの人たちもそうしてきた」と言われました。

「カメラマンさんは1円もいただく気がなかったのに、式場はまるっともらう気だったんです。びっくりです」。一連の対応を巡り、女性は式場に対して不信感も抱いています。

●キャンセル料「事業者側に実損が出ていない場合は減額も」

新型コロナの感染拡大を懸念して、泣く泣く結婚式のキャンセルや延期をする場合、キャンセル料などの支払いはどうなるのでしょうか。

消費者問題にくわしい岡田崇弁護士は「契約書には解約をしたときには式までの日数に応じて、見積もりの何%かのキャンセル料を支払うなどと割合が示されていることが多い。

この場合、民法上は『キャンセル料を支払わなければならない』という契約条項は原則として有効になりますが、消費者契約法上事業者に生じる平均的な損害を超えるものは無効になります(9条1項)」と話す。

ただ、新型コロナの場合、キャンセルや延期が直前のことが多いため、「事業者にも損害が生じていることから、無効になるような場合はあまりないのではないか」とも指摘します。

「延期についても、契約書に特に規定がない場合は、一旦キャンセルをして、予約を取り直すのと法律上は変わらないことになります。もっとも、キャンセルや延期によって、事業者側に実損が出ていない場合は、交渉により減額してもらえることもあります」

また、式場がカメラマンや司会者などを外注している場合は、「式場の都合でキャンセルすることになるため、解約料を支払わければならない可能性が高い」と言います。

「ホテルだと自前で司会者などを用意しており、従業員のためキャンセル料がかからないこともありますが、外注の場合は式場にとっての実損となります。そのため延期の場合でも、請求される可能性もあります。式場から見積書が出て来た場合、それぞれ根拠を聞いてみても良いでしょう」

女性の場合は項目ごとに見積書を提示されましたが、全ての式場がこうした対応を取るとも限りません。まずは新郎新婦で話し合い、式場側と相談する必要がありそうです。



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最善でも死者数は日本13万人、世界1500万人。GDP損失は2.3兆ドル。米シンクタンク試算

2020年03月13日 12時06分31秒 | 医療のこと
最善でも死者数は日本13万人、世界1500万人。GDP損失は2.3兆ドル。米シンクタンク試算

世界保健機関(WHO)は3月11日(米東部時間)、新型コロナウイルスの拡大を「パンデミック(世界的流行)」と表明した。

【全画像をみる】最善でも死者数は日本13万人、世界1500万人。GDP損失は2.3兆ドル。米シンクタンク試算

アメリカ国内でも、ウイルス拡大の先行きについて、厳しい見方をする報告書や専門家の発言が相次いでいる。企業や学校の閉鎖が続き、状況が一変してきた。

3月11日のダウ平均株価の終値は、トランプ政権が新型コロナウイルス拡大にうまく対応していないという懸念から、1400ドル以上暴落した。

11日朝までは「落ち着け。すぐに状況は良くなる」と発言していたトランプ米大統領だったが、夜にはテレビ演説し、アメリカ国内での感染の拡大を抑えるためイギリスを除くヨーロッパからの渡航を停止すると発表した。

大統領の新型コロナウイルス対策チームのメンバーで、アレルギー・感染症国立研究所長のアンソニー・ファウチ博士は11日下院の公聴会で、激しい口調でこう言った。


「インフルエンザと同じようなものだという人がいる。しかし、インフルエンザの致死率は0.1%だ。新型コロナウイルスは、その10倍以上にのぼり、格段に死を招く確率が高い」

議員「最悪のケースが起きるのですか」

博士「イエス。基本的に今よりも悪化します」

というやりとりも、議会内の空気を緊張させた。

ファウチ氏はトランプ氏自身がインフルエンザと比較し、「インフルエンザの致死率の方が新型コロナよりも高い」と繰り返していることに警鐘を鳴らしている。 GDP損失は最善で2.3兆ドル、最悪で9.2兆ドル
 
米有数のシンクタンクであるブルッキングス研究所は3月2日、「COVID-19が世界のマクロ経済に及ぼす影響:7つのシナリオ」という報告書を発表した。

それによると、各国政府の対応が適切ではなく、1918─19年に流行したスペイン風邪と同程度の感染率という最悪のシナリオの場合、新型コロナウイルスで死亡する日本人は57万人、世界で6800万人という恐ろしい数字を出している。

死亡者の推定は以下のとおり。

日本:最善のシナリオ13万人、最悪のシナリオ57万人

中国:最善280万人、最悪1260万人

アメリカ:最善24万人、最悪106万人

世界合計:最善1518万人、最悪6834万人

報告書は、アメリカでは、インフルエンザによる死亡者は年間平均で約5万5000人で、新型コロナの最善シナリオの5分の1程度だと指摘している。

また、世界の総生産(GDP)は、最善のシナリオでも世界で2.3兆ドル、最悪のシナリオでは9.2兆ドルが失われるという。国別の損失は以下の通り。

日本:最善1400億ドル、最悪5490億ドル

中国:最善4260億ドル、最悪1.6兆ドル

アメリカ:最善4200億ドル、最悪1.8兆ドル

報告書は、オーストラリア国立大学のウォーウィック・マッキビン教授とローシェン・フェルナンド氏が手がけた。新型コロナが世界経済に及ぼす影響を理解し、各国がウイルス対策に対し正しい判断をすることを目的としている。

両氏は過去のHIV、SARS、新型インフルエンザなどの影響に加え、経済成長率や各国の情勢などを考慮し、死亡者数などを試算している。

 感染や死亡によって減少する労働力、製造網が乱れることで上昇するビジネスコスト、家計に及ぼすインパクトや消費の変化などの影響を分析した。その上で、GDPなど最善から最悪の7つのシナリオを紹介している。

アメリカ3分の1が感染という試算も
 
一方、オンラインニュースのインディペンデントによると、ネブラスカ大学医療センターのジェイムズ・ロウラー教授は、アメリカでは人口の3分の1に当たる9600万人が感染し、48万人が死亡するという見通しを示した。2月26日に開かれた米国病院協会(AHA)のウェブセミナーで明らかにした。

ブルッキングスの報告書では、アメリカでの死亡者は24万~106万人という見通しなので、ロウラー教授の見通しもその範囲内にある。

高齢者への影響は深刻で、新型コロナに感染すると重症となるケースが多く、80歳以上の患者の死亡率は14%に上る。70~79歳では8%、60~69歳は3.6%としている。

ロウラー教授は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領政権で国土安全保障会議の、オバマ政権で国家安全保障会議のメンバーを務めた。アメリカでは感染症対策は、国家安全保障会議の管轄である。またロウラー教授が所属するネブラスカ大学医療センターは、日本に停泊していたダイアモンド・プリンセス号で感染したアメリカ人乗船客を受け入れ、治療している。

ロウラー教授は新型コロナウイルス拡大で病院側が混雑などに対する準備を早めに進めることで、死亡者数を抑えることを促すため、感染者と死亡者の見通しを明らかにしたとしている。ネブラスカ大学は、インディペンデントに対し、見通しはロウラー教授個人のものだと断っている。

これらの報告書などに共通することは、世界の国家レベルだけでなく、地方自治体、医療機関、コミュニティなどの早めの対応がいかに重要かを強調している点だ。ブルッキングスの報告書は、緊急事態が起きていない場合に軽視されがちなヘルスケアシステムや、公衆衛生への投資がいかにダメージを抑えることができるかも訴えている。
 ハーバードは寮から学生を退避
 
一方、株価暴落だけでなく、アメリカの市民生活にも大きなダメージが表れている。

CNNによると、グーグルの親会社アルファベットは3月10日、北米の全従業員に対し、4月10日まで在宅で勤務を行うよう求めた。対象はアメリカとカナダにある11のオフィスで、CNNがグーグル幹部からの電子メールを確認した。

ニューヨーク州立大、ニューヨーク私立大の授業はほとんどがオンラインとなった。アイビーリーグの名門校ハーバード大は、学部生がほとんど寮生活をしているが、学生に対し寮を離れるように通知した。実家に戻る飛行機代が払えない学生の行き場がなくなり、問題となっている。

アメリカ内で最も感染者数が多い西部ワシントン州シアトルでは、マイクロソフトやアマゾンなどが従業員に自宅勤務を促している。シアトル市では公立校の休校も決めた。

米大統領選・予備選の民主党候補で残っているジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース上院議員は3月10日、初めて選挙集会を中止し、これが予備選の結果に影響を及ぼす可能性が出てきた。

ニューヨーク・タイムズによると3月11日現在、アメリカの感染者は41州で1107人に上り、死亡者は32人となった。ニューヨーク州は3月1日、感染者が見つかって以来、11日で213人に上っている。


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東京五輪中止に向けてアメリカ政府が出した“極秘通達”

2020年03月13日 11時16分11秒 | 社会のことなど
東京五輪中止に向けてアメリカ政府が出した“極秘通達”

7月24日から開催予定の東京五輪に、衝撃の情報が駆け巡っている。

「アメリカ政府とつながりのある一部の航空会社とホテルチェーンに『東京五輪のキャンセル』について、極秘で通達があったのです。

マスク転売で2000万円 新型コロナでボロ儲けする中国人美女


新型コロナウイルスを取り巻く状況が劇的に改善されない限り、東京五輪はキャンセルされる。延期はない。いまから備えておけ、ということでしょう」(在米ジャーナリスト・伊吹太歩氏)

なぜ、アメリカ政府が開催中止に言及できるのか。伊吹氏は「五輪は完全にアメリカファーストだから」と言う。

「米テレビ局『NBCユニバーサル』は’22年から’32年まで77億ドル(約8050億円)で独占放映契約を結んでおり、IOC(国際オリンピック委員会)の収益の半分を占めている。アメリカの言いなりにならざるを得ないのです」(前出・伊吹氏)

1年延期した場合、来年8月にアメリカで開催される『世界陸上』とバッティングしてしまう。今年、無観客で開催するにしても、世界中の選手を一都市に集めて大丈夫なのか、という疑問が残る。選手の派遣を拒否する国が出てくる可能性も否定できない。

パシフィック大学教養学部政治学科のジュールズ・ボイコフ学科長が嘆く。

「NBC以外でも米企業はキャンセルに備えて保険に入っていますが、日本は違う。東京五輪が中止となれば1兆3500億円にものぼる開催費用がムダになってしまうのです」

アメリカの代表選手が来日できること。それが開催の絶対条件だが、アメリカ国内で感染者数が急増している現状を考えると厳しいと言わざるを得ない。

「感染拡大中のウイルスの動きを予測するのは難しい。IOCが中止を決められるリミットは開催日の60日前。つまり5月末ですが、それまでに感染爆発が収まるとは思えない」(ネブラスカ大学公衆衛生学部長のアリ・カーン氏)

アメリカが日本人の入国を拒否したとき、それが悲劇の始まりとなる。

 3月13日売りの『FRIDAY』最新号では、アメリカ政府のより詳しい動きを報じている。


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「内定取り消し」その時、どう動く ~ 新型コロナウィルス不況に負けないために

2020年03月13日 11時03分00秒 | 雇用と職のこと
「内定取り消し」その時、どう動く ~ 新型コロナウィルス不況に負けないために




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日本を過剰な「コロナ自粛」に追い込んだ2つの原因

2020年03月13日 08時49分52秒 | 社会のことなど
日本を過剰な「コロナ自粛」に追い込んだ2つの原因
 新型コロナウイルスの影響により、3月に入ってから日本経済が完全に沈滞してしまいました。日本全国で、宴会シーズンなのに飲食店では宴会のキャンセルが相次ぎ、ホテルは宿泊もラウンジもガラガラ。飛行機や新幹線の予約もキャンセルが多く、高速道路からも観光バスがなくなり空いています。

 中国人観光客の大半が消えてしまったことに加え、安倍総理のイベント自粛要請と学校休校の措置により、企業と国民の双方が一気に自粛モードに入った結果ではあるのですが、冷静に周りを見回すと過剰な自粛、“自粛”を通り越した“萎縮”になってしまっているように見受けられます。それはなぜでしょうか。

● 勝手に「1-2週間が瀬戸際」と言った専門家会議

 ここで改めて自粛に至った経緯を振り返ると、最初のきっかけは、内閣官房に設置された専門家会議が2月24日に、「これから1-2週間が急速な(感染の)拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となります」という見解を示したことです。

 この専門家の見解を受けて、安倍首相が2月26日にイベントの自粛を、そして27日に小中高校の全校休校を要請しました。

 ところで、この経緯の中で私が1つ疑問に感じていたことがあります。どうして専門家は「1-2週間」という具体的な数字を発表したのだろうかということです。

 そもそもコロナウイルスは新しい感染症ですので、当然ながら専門家も明確な根拠や確証を持って「1-2週間」と具体的な数字を示せるはずがありません。単に専門家の切迫感の表れなのでしょう。

 ところが、政治的には具体的な数字を出すのは重い判断です。この「1-2週間」がたったら本当に瀬戸際を超えたのか、と問われることになるからです。普通なら「当面の期間」などといった表現にするでしょう。案の定、今週が2週間後に該当するので、安倍総理は3月10日にイベント開催の自粛を10日程度継続するよう要請する羽目になりました。

 ちなみに、2月24~27日の前後に政府内でどのような議論や意思疎通が行われていたか、私が官邸周辺を中心にさまざまな関係者から情報収集したところ、どうやら専門家会議は官邸の完全な了解を得ないまま「1-2週間」という数字を発表した可能性が高いように感じます。専門家会議の議論の中身を仕切っているのは厚労省のはずなので、官邸と専門家会議をつなぐべき立場にある厚労省がここでも大きなミスを犯したのです。

 過剰な自粛をあおる2つの原因

 それはともかく、日本全体の過剰なまでの自粛の背景にあるのは、もちろん安倍総理のイベント自粛要請ですが、ここで改めて“自粛”の正確な意味を調べてみると「自分で自分の行いを慎むこと」(広辞苑)となります。そして“慎む”の意味を調べると「あやまちや軽はずみなことがないように気をつける。慎重に事をなす」とあります。つまり、「自粛イコール何でも中止」とはならないではないのです。

 実際、2月26日の新型コロナウイルス感染症対策本部(第14回)で安倍総理は、「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、また、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします」と述べています。中止は選択肢の1つに過ぎないのです。

 それにもかかわらず、イベントのみならず宴会や旅行も含め、経済活動の凄まじいまでの自粛が起きているのは何故でしょうか。私は2つの原因があるのではないかと思っています。

 1つは、コロナウイルスについて専門家の間でも意見が分かれている中で、感染症の専門家の方々の中にはちょっと極端な持論を気軽に言い過ぎている人がいて、それが結果的に国民の不安心理を過剰に煽っているのではないかということです。

 メディアに出演している専門家の中に数名そういう人が見受けられますが、政府の専門家会議のメンバーも同様です。そもそも2月24日に「これから1-2週間が瀬戸際」と言ったのも、本当に2週間で沈静化するか誰も分からない中では無責任と思います。

 また、メンバーの1人は会見で「戦いは数カ月から半年、年を超えて続くかもしれない」と発言していますが、それが本当に事実か分からない中でこういう表現をすると国民の不安を煽るだけであることを考えると、それを公の場で平気で言っていることには違和感を覚えます。

 もう1つは、強い自粛への同調を求めるネット上の人たちの声です。典型例は、自粛要請が出る中、東京事変が東京でのコンサートを開催したところ、YOSHIKIさんや多くの一般の人が批判したことです。

 これはある意味で、感染症専門家の厳しい見方の意見に賛同している人たちが、専門家の間でも意見が分かれているにもかかわらず、他人に対しても同じ意見に賛同するよう強制しているのと同じではないでしょうか。

  宝塚歌劇団が3月9、10日に公演を再開したのに12~19日までまた休演することを決めたのも、もちろん政府の自粛要請の期間が10日長くなったのもありますが、この判断には、公演再開に対して同様な批判の意見が多かったことも影響したのではないでしょうか。

過剰な自粛で倒産も… 企業や国民の望ましい対応とは

 しかし、いろいろなことを踏まえても、やはりこの過剰な自粛は行き過ぎだと思います。私は個人的に、テレビに一緒に出演したさまざまな感染症専門家の方に話を伺った結論として、政府の自粛要請に企業や国民の側として以下のように対応すべきではないかと思っています。

 まず、コロナウイルスについては感染症専門家の間でも意見が明らかに異なっていて、望ましい対応について統一見解はありません。その一方で、専門家の方々が異口同音に言うのは、高齢者については重症化のリスクや致死率が高いけど、若い世代については双方とも高くないので、そこまで過剰に警戒する必要はないということです。実際、軽症の“隠れ”感染者は既にかなり多いはずで、でも若い世代なら重症化せずに治る可能性の方が高いようです。

 かつ、特にイベント等を主催する企業については、資金に余裕ある大企業ならイベントを中止しても大丈夫ですが、中小零細の会社の場合はイベントを一度中止しただけで倒産となるところが多いという現実があります。

 そうした事実を踏まえると、若い世代が客層のメインであり、かつ出来る限りの予防策(来場者に対するマスク着用・消毒の強制・体温測定、換気の強化など)を実効的に実施できる場合は、主催者がイベントを自己責任で実施するのは許容されて然るべきではないでしょうか。そこで感染者が出たら、主催者の社会的責任が問われるのですから。

  そして、自己責任が問われるのはイベントを主催する側だけではなく、来場する側も同じだということです。大阪のライブハウスなどがクラスターとなって高齢者施設などに感染が広がっていることからも分かるように、例えば高齢者に接する機会が多い人は、自分が行く予定のイベントが開催される場合でも安全を考えて行かないようにするなど、自己責任で慎重な判断をしなければなりません。


● 感染者数の増加抑制と 通常の経済活動の両立を目指すべき

 いずれにしても、初期段階での厚労省の対応は後手後手で明らかに失敗だったにもかかわらず、官邸主導で安倍総理が打ち出したイベント自粛と学校の休校、そしてそれを受けた過剰なまでの自粛(=日本人の律儀でルールを守る国民性)によって、現状、日本の感染者数は韓国やイタリアなどと比べて明らかに少なく抑えられています。WHOも日本の対応を評価しているくらいです。

 その一方で、米国や欧州でコロナウイルスの蔓延が本格化しつつあり、WHOもついにパンデミックを宣言しました。世界の金融市場が暴落していることからも明らかなように、これから世界経済は大混乱になるでしょう。

 そのように世界的に厳しい状況となりつつある今だからこそ、震源地である中国に次いで大規模感染を早期に経験した日本は、初期の感染者数の激増を抑えられた次のステップとして、感染者数の増加を抑えつつ経済活動に支障を来さないやり方を確立し、世界に示すべきではないでしょうか。

 幸い、専門家会議からは、コロナウイルスのクラスターの発生リスクが高いのは、「換気の悪い密閉空間」「人の密集」「近距離での会話」の3つの条件が重なった場合であるとの知見が示されました。逆に言えば、この3つの条件を意識して避けるようにすれば、高齢者は除外すべきですが、イベントの開催も含め通常の経済活動を行っても感染のリスクは高くないはずです。

 とすれば、政府が3月19日に自粛についてどういうスタンスを打ち出すか分かりませんが、そうしたルールを守った上で多くの企業や国民が出来るだけ通常の経済活動を行うようにするタイミングが来ているのではないでしょうか。

● 安倍総理がもっと会見して 分かりやすく説明することが不可欠

 そして、それを実現するために大事なのは、政府がもっと国民に分かりやすく広報を行うべきということです。専門家会議のメンバーに好きに喋らせていてはいけません。

  また、厚労省はHPに詳細な情報を出していますが、わざわざHPを訪れて情報を丹念に読み込む人など多くありません。多くの人がテレビ番組やネットでにわか知識を学び、人によっては一部の専門家の極論を信じてしまっているのが現実です

そう考えると、やはり安倍総理がもっと頻繁に会見を開き、専門家の見解も含め分かりやすく国民に説明するようにすべきではないでしょうか。例えば感染が広がるドイツでは、メルケル首相が会見で、

 ・全人口の60~70%に感染する恐れがある。
・ただし、過剰に批判することは不要。ほとんどの感染者は軽症か無症候なので、問題は医療システムの機能不全を防ぎ、高齢者と持病を持つ者を守ること。
・だから医療システムに過度の負担をかけるのではなく、感染を遅らせることに軸足を置くべき。

 と実に分かりやすい説明をしています。

 実は安倍総理もこれまでほぼ同じ説明をしているのですが、役人が発言要領を書いているので、そこまで率直に伝わってきません。

 実際、日本政府の説明の下手さは際立っています。例えば、2月27日に学校の休校を要請した時、安倍首相はその理由として「子どもたちの健康・安全を第一に考え」と発言しました。

 しかし、子どもが感染しても重症化するリスクは高くないことを考えると、この説明には違和感があります。そこで官邸周辺で情報収集した時にこの件も尋ねたところ、学校の休校を決めた最大の理由は、ある地域で地元の教職員の多くが通うスポーツジムで感染者が出たことから、教職員がきっかけとなって学校がクラスターとなり、軽症の子どもから高齢者に感染が広がるのを避けたかったというのが学校の休校を決めた最大の理由のようでした。

 それならば、それを率直に説明した方が学校休校の必要性がもっと理解されたであろうに、回りくどい説明をした結果として、メディアなどが突然の休校要請を厳しく批判したことを考えると、安倍総理は正しい対応をしているのにあまりにもったいないと思います。

 一部の専門家が極論を述べて国民の不安を高めるのを抑えるにも、また極論への同調を求めるネット上の声を抑えるにも、やはり安倍総理が頻繁に会見して分かりやすく国民に説明を繰り返すのが不可欠ではないでしょうか。

  (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)




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