2021>
4月1日より「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、より高齢者が労働に駆り出される時代が到来した。現在、実際に働く高齢労働者たちは何を感じ、現役世代は何を準備すればいいのか?
実際に60歳で定年を迎えた後、今もさまざまな職場で実際に働き続ける当事者たちの声を紹介していく。
再雇用終了後はシルバー人材派遣のバイト生活に
「今の仕事はもともと70歳になるまでの契約で、次の更新はありません。新しい仕事が見つかればいいのですが……」と佐々岡さん
「まだ隠居できない」とシルバー人材センターに登録し、現在は倉庫管理の仕事に就いている。 「会社の退職金は2100万円、再雇用中も手取りで18万円もらっていましたがローンの残高が800万円ほどあり、老後資金が不安でした。それで体が動く限りは仕事をすることにしました」
仕事は定期的に広い倉庫内を巡回するほかは、受付として事務所に待機しているだけ。ただし、訪れる人も電話もめったにないとか。
「仕事内容が単調すぎるのも逆に辛い」
「これもれっきとした管理業務なのでしょうけど、さすがにやることがなさすぎて。でも、シルバー人材センターで紹介してもらえる仕事は軽作業だったり、今やっている管理人のような比較的楽な業務が多いのも事実。若い人たちのようにバリバリ働けと言われても困りますが、仕事内容が単調すぎるのも逆に辛いですけどね」
ただし、一番の不満はフルタイムで働ける仕事が少ないこと。今の仕事も6時間勤務の週3日で、収入は月7万円程度だ。
70代になった途端に求人数は激減
「今も働き口があるのは素直に嬉しいですけど、それでも老後の雇用には70歳という年齢で区切りがあるように感じます。できるならもっと上の年齢層でも働ける求人を増やしてほしいですね」
以前に比べれば高齢者でも仕事ができる環境は整ってきたが、まだ十分とは言えないようだ。 <取材・文/週刊SPA!編集部>