社内サバイバルが激化するなか、大多数のサラリーマンは“出世”という一つの目標を諦めなければならない。せめてリストラされずに、ヒラ社員で会社員人生を終えるにはどうすればいいのか。人事コンサルタントの曽和利光氏に聞いた。
ミドル世代のヒラ社員の実像と、彼らに必要な生き残り戦略とは?
イラスト/ドテ山ススム
会社員である以上、出世は一つの目標だ。しかし、管理職削減時代が到来し、死ぬまでヒラ社員で終わる覚悟が必要になっている。
そこで、今回は全国の45~54歳正社員男性の中から、役職に就いていない300人を抽出し、アンケートを実施(調査期間は’21年1月29日~2月2日)。実像をあぶり出す。
2/17/2022
Q1の出世を諦めた時期だが、45歳未満が66.7%。多くの人が45歳未満で、出世への見切りをつける。
Q2「出世できなかった要因は?」という問いに、「出世欲がなかった」(50.7%)と答えれば、自己否定せずに済むからだろうか。 「セルフハンディキャップという心理学用語もあるのですが、やる気のなさを見せることで、失敗しても仕方ない、そもそも成功欲求がなかったと自分自身に思い込ませたい欲求が働きます」(曽和氏)
ヒラ社員が会社に残るには「サポートタイプに徹することが重要」
また、Q3「職場内での居心地」を問う設問では、「良い」「良くも悪くもない」との回答が70%を占める。
ヒラ社員である状況に危機感を覚えている人は少ないが、実のところ中高年ヒラ社員のリストラリスクは高い。彼らが会社に残るには、「サポートタイプに徹することが重要」と曽和氏は説く。
「特に、若手の悩みに耳を傾け、心のケアをしてくれる、メンタルサポートタイプは会社にとって重宝されます。本来、上司の役割ですが、現在の管理職は忙しく、スキル面での指導で手いっぱい。そこをフォローする先輩ヒラ社員は、実は貴重な存在なのです」
ヒラ社員が会社に残るには、ほかにも相応の努力が必要だ。
生き残るヒラ社員の4つのタイプはこれだ!
・空気に溶け込み存在を消す、人畜無害な忍びタイプ 年をとるとその経験から、ヒラ社員といえど余計なひとことを言ってしまいがち。その点、忍びタイプは無駄な主張をせず、空気のように存在を消して会社に溶け込む。「手間のかからないマネジメントフリーな人材は貴重。結果さえ残せば、組織のバッファとして生き残れます」(曽和氏)
・自ら減給を申し出る、志願兵タイプ 40代以上のヒラ社員がリストラされやすいのは、高すぎる給料が原因だ。若手と同程度の働きしかしない高給取りは、経営陣の頭痛の種となっている。それを察して、自ら減給を志願するタイプは生き残る。会社の業績が好調な時は忍びタイプ、雲行きが怪しくなったら志願兵タイプに変化するのも手
・同期の上司と大の仲良し、釣りバカ日誌タイプ 40~50代の中の一番の出世頭と仲良くなるタイプ。「出世頭と目される40代以上の課長・部長は、昇進の可能性が高い一方、年下の部下たちからは遠巻きにされやすい。課長・部長と同期のヒラ社員が出世頭にうまく取り入り、下の世代と上司をつなぐパイプ役になれば重宝されますよ」(曽和氏)
最も理想的な方法は?
・後輩のメンタルをサポート、ひとり応援団タイプ 長年ヒラ社員として働いてきた経験を生かして後輩たちをサポートする、生き残り戦略の中でも最も理想的な方法。場合によっては、実務面においてのサポート役に回ることもある。「ただし、若者にむやみに共感して、上司に楯突くのはNG。真っ先にリストラ対象となります」(曽和氏)