歌論 無名抄 範兼家会優事
範兼家會優ナル事 俊恵云和哥會のありさまのげに/"\しくいふに おほえし事はつぎのところにとりてはちかくは 範兼卿の家の會のやうなることはなし。亭主...
歌論 無名抄 思餘自然歌讀事
思餘比自然ニ哥ヨマルヽ事 又心にいたくおもふことになりぬればおのづから哥は よまるゝ也。金葉(集)によみ人しらずと侍かとよ。 身のうさをおもひしとけは冬の夜も とゞ...
歌論 無名抄 非歌仙難歌事
非哥仙哥ノ難じタル事 哥はなにながれたる哥よみならねどことはりをさき としてみゝちかきみちなればあやしの物の心にも をのづから善悪はきこゆるな...
歌論 無名抄 俊頼顕輔の恋歌を讃むる事
俊恵云顕輔卿の哥に あふと見てうつゝのかひはなけれども はかなき夢ぞいのちなりける この哥を俊頼朝臣感じていはくこれはむくの葉 みがきしてはなあぶらひきる...
歌論 無名抄 蘇合姿事
蘇合ノスガタ 抑樂の中に蘇合といふ曲あり。これをまふ には五帖まで帖〃をきれ/"\にまひおはりて のち破をまふ。やがてつゞけてきうをまふべきに 急の一...
歌論 無名抄 女歌読懸事
女ノ哥ヨミカケタル故實 勝命語云しかるべき所などにて無心なる女房など の哥よみかけたる無術ことおほかり。それは 故實のあるなり。まづきかぬよしにそら...
歌論 無名抄 ますほの薄の事
マスホノスヽキ 雨のふりけるひある人のもとにおもふどちさし あつまりてふるきことなんかたりいでたりけるつゐで にますほのすゝきといふはいかなるすゝきぞなど...
歌論 無名抄 案過して成失事
案過テ成失事 愚詠の中に 時雨にはつれなくもれし松の色を ふりかへてけりけさのはつゆき これを俊恵難云たゞつれなくみえしといふ べき也。あまりわりなくわがせ...
歌論 無名抄 依秀句心おとりする事
依秀句心劣スル事 圓玄阿闍梨といひし人の哥に ゆふぐれになにはの浦をながむれば 霞にうかぶおきのつりぶね この哥はいふなれどぬしの心をとりせらるゝ哥也。 そのゆ...
歌論 無名抄 歌つくろへば悪事
哥ヲイタクツクロヘバ必劣事 覺盛法師が云哥はあら/\しくとめもあはぬやう なるひとつのすがた也。それをあまりさいくみて とかくすればはてにはまれ/\物めかしか...