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TERAKOYAオンライン読書会 資本主義の崩壊がはじまる!「資本主義の崩壊を歴史の枠組みから解き明かす」

2020-03-24 18:59:59 | 組織開発・社風改革

本日はZOOMによる読書会第3弾、書籍「資本主義の崩壊が始まる」の著者野田先生をお呼びした第2回目

本日のテーマは第4章「資本主義の崩壊を歴史の枠組みから解き明かす」でした。

前回は、技術革新で生産性が上がるのかをテーマとし、技術革新が進んでも経済成長に結びつかないことを、エントロピー増大の法則に基づいてご説明していただきました。

その続きとして、今回は歴史も絡めながらお話いただけるということで、参加メンバーも楽しみな様子。





まずは、中世から近代へのパラダイム転換

中世では、「神」「人間」「自然」がキリスト教的世界観の中で繋がっていましたが、近代はそれぞれが「宗教」「芸術・哲学」「自然科学」と科学的世界観になりバラバラになっています。

中世の秩序ある世界から、近代の無秩序(自由)へと移り変わったんですね。これは前回学んだ”エントロピー増大”です!

 

同様に、自然科学の分野でも「生命(秩序)」から「物質(無秩序、自由)」へ変化が起こります。

要素還元主義の下、近代科学ではどこまでも要素に分け、要素から全体を説明することに注力してきました。

しかし、生命を分析する=解体は”死”でしかなく、近代化学はいまだに生命を解明することができていません。



そして次に、資本主義の経済の本質をお話してくださりました。

現在の資本主義では、人間を「商品という物質」にしてしまったそうです。

これがどのような意味かと言いますと…

経営者と労働者の対立構造を考えると、わかりやすく理解できました。

資本主義の中で、経営者は「労働力」という商品の「使用価値」(労働者の労働力を自由に使うこと)を目的に労働力を購入しているのに対して、労働者は「労働力」という商品の「交換価値」(賃金を得ること)を目的に、労働力を売っているんですね。つまり労働者は、賃金を得るためであれば、嫌な仕事も経営者に指示されればやらざるを得ず、経営者が労働者に支払う賃金は、労働者の労働力を使用するための単なる手段であるため、賃金を可能な限り抑えようとするわけです。

現在、私たちにとって当たり前の資本主義は、人間を「物質」にしてしまう仕組みとなってしまっていたんですね。

資本主義をこのような視点で考えたことがなかったので、驚きではありますが、野田先生のお話を聞いていると「なるほど。確かに人間は商品になっている…」と思ってしまいます。



 

最後は、資本主義は人間の生存欲求しか満たせない経済システムであるというお話。

資本主義の仕組みの中では、労働者は経営者の下で労働の主体性を奪われ、”働くこと”が「生計を立てるための手段」になっています。つまり、大半の労働者にとっての働く目的が、生理的欲求や安全欲求など、人間が生命として最低限生きていく上で欠かせない「生存欲求」を満たすことにあるんですね。さらに、経営者は最低限の賃金しか原則として与えないことになるので、労働者はますます生存欲求に縛られてしまうんです。

今の経済システムはこのような仕組みになってしまっていたんですね。

ですから、周囲を見渡しても「お金のために…」と言って働く人が大勢いるんですね。なんだか残念です。

 

さて、野田先生の解説が終わると参加者との対話がスタート

「私たちの生活や仕事の中で、外部不経済が生まれていると感じる機会はあるか?」

こんな問いの下で、対話をしていきました。

観光地でのゴミ問題や人間関係の摩擦によって生まれてしまうロス、科学技術の発展に追いつくための学ぶ時間(例えばパソコンの操作方法習得のための時間など)の増加…

と、普段気にかけていないと当たり前のことが、「よく考えてみるとこれも外部不経済だよね」と次々に!

 

いま問題のコロナのために、オンラインミーティングなどリモートワークが進んでますが、これは科学技術の革新によってもたらされている恩恵です。

しかし、本来触れられる距離にいて、同じ空間で話をする方が自然。野田先生のお話にもあったように、中世では、神と人間と自然が繋がっていました。それが今は切り離され矛盾し、限界に近づいている。この部分を解決しなければきっと次の時代はやってこないでしょう。


これからは本にも出てくるような共同体、共同体感覚がきっと必要になってくるはずです。でもそれは中世とは違います。資本主義だって、きっと新しい時代への必要な通過点。中世と近代のどちらかに偏るのではなく、それぞれの良いところを組み合わせた時代が次にやってくるのではないでしょうか。

 そんな時代が少しでも早くやってくるようには何をしたらいいのだろうか。

 残り2回の野田先生のお話できっとヒントが出てくるはずです。野田先生との対話を通して、新たな経済システムの姿をみんなで見ていきましょう。

 

残り2回もどうぞよろしくお願いいたします。

 


情報から作られる信頼関係について

2020-03-23 10:53:12 | 組織開発・社風改革
こんにちは。有限会社人事・労務の井上です。

新型コロナの影響で様々な環境への影響が出てきている昨今ですが、多数ある情報の中からいかに情報を読み取って、自分の行動を選んでいくかがこのような事態であれば尚更肝要であると感じます。

今回弊社でも3月より時差出勤を始め、通常の会議もzoomを使うなどして遠隔での業務を進めていました。
遠隔で会議を行うなども日頃から社内でzoomをつかった読書会などイベントを数多く行なっていたこともあり、抵抗感もなくスタートできました。



そしてまた今回、子供を持ち働く人たちの中で大きな影響としては、休校の措置かと思います。私自身は保育園に通う子を持つ身としても、いつ何時保育園もお休みになるか分からない所で在宅勤務についても現実的に考えつつ業務を進めています。

就学前の子を見ながらの在宅勤務は中々難しい為、いざ休園となると誰かに預けるなどして業務進めるなどが現実的な所かと思います。通常のリズムの中で全て行うことも難しくなる為、朝や夜などの時間の使い方も工夫が必要かなど色々考えています。

実際、在宅で業務を行うことの難しさは、実際に現場で顔を合わせて行う際の緊張感などを共通の認識で行うことができるかどうかと思います。
そこの部分は、いざ在宅での勤務が必要になってから考えていくのではなく日頃のコミュニケーションの中で作り上げていく必要があります。

チームでも日頃から遠隔で業務を連携して行なっている方もおり、そうした方とも定期的にzoomを繋いでミーティングを行うなど離れているからこそ感じる部分を日頃から一緒に考える習慣を持つことで自身が、いざ在宅で、となった時にも、スムーズに対応進めていけるように思いました。

後は、slackやchatworkを使いリアルタイムでの情報共有のスピードを高め、情報の掴み方も日頃から意識して要点を掴んでいけるような心がけも必要かと思います。

顔が見えるところでも正確に情報が掴めない中だと中々遠隔になった際に、業務に至る前段階での情報の整理に時間がかかってしまう為、チームで業務を行う上では、顔をあわせる日頃の中で情報に対する向き合い方の部分は、意識を揃えることでスピード感を持って場所を選ばず物事に対応できるように思いました。

まだまだ収束する気配がない新型コロナの対応ですが、これを機に幅を持たせた働き方について改めて社内でも話したり考えたりする機会を頂いたように思います。

状況に応じて柔軟に物事を考え、その中でも目的に向かい共通の気持ちで臨めるよう、これからも日頃の踏み込んだコミュニケーションの部分も大切に過ごしていこうと思いました。

弊社顧問の横浜市立大学影山先生をお呼びしてセミナーを開催 「SDGsで描く共感資本社会の組織の幸せの未来像」

2020-03-12 20:54:04 | 経営全般

先日、影山摩子弥先生(横浜市立大学都市社会文化研究科教授、横浜市立大学CSRセンター長)をお招きし、「SDGsで描く共感資本社会の組織の幸せの未来像」をテーマにセミナーを開催しました。
沢山の方のご参加、感想を頂きありがとうございました。

弊社併設の日本ES開発協会の新年会として企画した今回のセミナー。新型コロナウィルスによる世情を踏まえて急遽Zoomでの開催となりましたが、社会人の方だけでなく、大学生、さらにボランティアに興味があるという高校生にも参加いただき、会場参加とご自宅・オフィス等からの参加者の皆さんとがオンラインでつながり、大変活気溢れるひとときとなりました。

*弊社がお世話になっている沢山のSDGsに取り組んでいる企業が発刊しているレポート・手帳


弊社の関係先の方々は、SDGs に取り組んでいる、取り組もうとしている会社や個人の方々が多いのですが、今回は様々な事例を交えて体系的に、”SDGs が何故注目されているのか?”という点を影山先生からお伺いすることができました。
そこには日本が世界の中で経済をどのように捉えるのかということを示していくこととつながっていきます。
今までの地球を、そして地域社会を壊してまでも格差を起こし、世界との分断を加速してまで資本主義を動かしていくことにどんな意味があるのか、という世界に対する投げかけでもあるのです。

SDGsには、これからの世界で一番大事な課題が17項目掲げてあります。
皆が共通言語として「あたなたはどのような社会課題に取り組んでいますか?」と問いかけることができます。
「はい!私も取り組んでいますよ」と笑顔で。




SDGsに取り組みたいという方からの相談として多いのは、「それやると儲かるの?」という点です。
私達のこの場をみてもわかるように、長い目でみたら儲かるんじゃないですか、というところです。
ただ、儲かることより“取り組むことで幸せかどうか”を大切にしているので、“儲かるか否か”は基準にしていないのです、と私は話すことにしています。

また、人材の採用のための一つの手段であるというのが一番重要で、昨今ではSDGsを小学生でも勉強しているとのこと。
影山先生の大学では、週に1回、3コマ毎週使って授業をしているといいます。
就活生もCSR報告書を読んでいるそうです。



企業や外に見えないところで学生さんはみんなやっているそうで、OBを訪問してみたり、セミナーなんかしたり、SDGsの視点で突っ込んだ質問をする学生もいる。
SDGs をやっていない会社はいくら稼いでいたとしても学生は選ばない、と会場でも声が挙がりました。

SDGsは共感から社会を巻き込む物語
SDGs は共感から始まります。
戦略的意味があるか?ストーリーがあるかどうか?
ただ、売りたいからSDGsを使うのではなく、ストーリーや共感、戦略がそこにはあるか?



確かに・・・。
なるほど・・・・。と唸る人が続出でした。




皆さんからの感想をあげさせていただくと・・・

事業とどう繋がるのかわからなかったが、中小企業もやらなければならないと感じた。
どちらかと言うとCSRの意識。狭い領域で考えていたけど、話を聞いて、お客様や新入社員の広いシェアで捉えるのがSDGsなんだなと。
17のターゲットを当てはめるだけかと思ったが、共感のためのものだとわかってよかった。
私は、SDGsが、人事として、経営戦略として、大切なことであるというのがよけいにわかった。新たな役割が人事に必要。

若い人の自意識が高すぎて・・・(笑) 
という感想もありました。

今回の影山先生によるセミナーは沢山のことを私たちに示してくれました。
私自身、影山先生のSDGs というのは共感を生み出すストーリーであるという投げ掛けは、自分自身が新たなリーダーシップへと飛躍しなくては、と突きつけられているように感じました。
そこには、コミュニティを作る力、対話をする力、他者をストーリーに巻き込んでいこう!と場を醸成する力、そして実践する力、というように、今までにはない複雑な社会課題=現象に対して本質を見抜いて具体的な行動へと落とし込んでいく力が必要なのだと感じます。



2030年に向け世界は変わっていく。
SDGs を通して世界に先駆けて日本こそがGDP に変わる新たな基準を世界に示していく。
その社会の一員である私たち一人ひとりが行動と意識を変えていくことで、世界を変えていく。
私たちは世界に対して無力ではないんだというおもいを新たにしました。
そして、学生が企業を選ぶ目線も知り、影山先生や参加した学生との間での対話を通して、たくさんの気付きを得られた素晴らしい場でした。

私たちは、地域でも有数のSDGsに取り組む企業にお世話になっているのですが、今回影山先生の論理的かつ実践的なお話を伺い、そして皆さんとのオンラインでの実りある対話の機会もいただき、改めて影山先生そして先達の企業とのご縁に感謝だなあと感じました。
ありがとうございました。

よろしければ、動画もご覧ください↓




TERAKOYAオンライン読書会 資本主義の崩壊がはじまる! 技術革新で生産性は本当に上がるのか?

2020-03-06 14:24:40 | 組織開発・社風改革

TERAKOYAオンライン読書会 資本主義の崩壊がはじまる!

技術革新で生産性は本当に上がるのか?

コロナ騒動の中、本日はZOOMによる読書会第3弾

書籍「資本主義の崩壊が始まる」の著者の野田先生をお呼びしての本日はその第一回目




テーマは技術革新で生産性が本当にあがるのか?

えっ?まさにAIの技術を取り入れて組織は社会は経済成長をしていくって文脈で国の政策も私たちの働き方改革も語られているのでは?


そんな疑問から始まった今回の読書会。

メンバーの皆さんも???

しかし野田先生の話を伺いそして参加する皆さんとの対話を通して

確かにグラフをみると昔と違って人口の伸び(低下】率以上に生産性の向上によって

GDPは成長しているが年代を経るごとに技術革新による生産性は低下しているなあ。




なぜか?

 

詳しくは、野田先生の書籍を読んでいただくか、是非2回目から聞いていただきたいのですが、技術革新が進んでも実質的な経済成長に結びつかないマイナスコストが増大するとのこと。

それをエントロピーの増大、減少の法則から野田先生が解説

 

さて野田先生の解説の後は参加者との対話の時間。

さてどんな気付きが生まれるのか?




メンバーからは、

確かにそうだよね。

やたらと契約書を事細かに結びたがるケースが増えましたよね。

実は人事考課制度を作成するっていうのも外部不経済だよね。

働き方改革ってどんどん対立構造がうまれてその分、やれシステムだ規則だとマネジメントコストが膨らむばかり

なるほど経済成長はほとんど無くなるわけですねと。

そこで、これからの社会は、個人かチームかという話題になった。




資本主義はいままで競争、所有の概念で伸びていったしかし、社会がネットでつながり一瞬のうちの人と人がつながる世界になると優秀な一個人や会社によって問題を解決するいままでの所有の概念や競い合うという概念では却って不経済である時代に。

能力が高い一個人を中心に社会を発展させていくという旧来の資本主義のシステムでは、社会の複雑さやスピード、多様性には対応できないばかりでなくそれによる弊害やマネジメントコストの方がかかってしまう。

そもそも賢い人が考えだした戦略でも仲間がそれに意義やワクワク感を見出さなければその戦略は実行に移されない、説得している方が外部不経済なのだ。そしてたとえ二流の戦略でもそこにワクワク感を感じやってみようとメンバーの誰もが感じる戦略の方が実行力の面で優れているといえる。

これからの時代はチーム、共感こそが複雑な世の中に対応していく為の最善の策だ。そのための新しい社会システムが必要だという。

それは人工的な物質的枠組みでの社会ではなく生命論的なつながりの新しい社会システムの実装だ。

そこには、自然界の法則であるエントロピー増大の放っておくと無秩序になる状態を自然界の法則を逆らってまで秩序立てようとする人間本来の生命論的な営みを発動させる社会環境が必要だという。

おもしろくなってきたぞ!

次回以降は、生命論的なポスト資本主義として新たな経済システムへの移行がすでに始まっているという話をこの書籍の内容を共通基盤として野田先生と共に対話を通して皆さんと気付きを体感していく。

次回以降も楽しみです。