中小企業のES=人間性尊重経営のパイオニア/有限会社人事・労務 ES組織開発・人事制度改革ブログ

社員の幸せ、職場の幸せを基準に経営を、社風を変えたいと本気で思っている社長さん・人事担当者の方へのエールをあなたへ!

ティールとは「灯り」~嘉村賢州さんをお呼びしてのセミナーを終えて

2018-07-29 23:15:35 | ES
『ティール組織』解説者・嘉村さんとのセミナーが終わりました。




私たちは、テイールとは「灯り」と考えています。
その心は、いま地域や業界などのコミュニティの基点として頑張っている皆さんにとって、組織のあり方として実はまだその先があるんだ、と遠くに見える灯のようなものだと思うのです。

ただ、この灯は、ティール的に言えば、達成型組織である“オレンジ”の「俺が俺が」の段階では見えないですし、グリーン(多元型組織)の家族主義的な「私たち」の段階でもがき苦しんでいるうちに見えてくるものだと思うのです。
だから、まずは、自社の枠組みを取っ払い、地域全体・業界全体を考えたグリーンのビジネスモデルを作ろうという社長の肚からの意思表示があって初めて、ヒエラルキー組織からフラット組織へと変化し、他社との協働を求めようというモチベーションや当事者意識が出てくるのです。


実務的には、組織の発達段階と個人の発達段階には相互補完関係があると私たちは考えます。ロバートキーガンという方が、成人発達理論という学問の分野で「人間の意識構造には五段階の階層がある」という理論を打ち立てましたが、この考えは、昔からなじみのある「会社の人間にみられる3タイプ」の話と結び付けて考えることができます。
すなわち、自ら仕事をする“自然タイプ”、他人のはたきかけによって動き出す“可燃タイプ”、そして言っても動かない“消火タイプ”の3つです。
「私はこうしたい」という自分の欲求が優先し、なかなか“他者の立場に立って考える”ということができないのが、消化タイプ。組織の規範に則って行動する従順さはあるが、認知の枠組みが強固で思考の柔軟さに欠ける可燃タイプ。
規範や叱責、承認といった外的動機づけで消化タイプ・可燃タイプが行動する段階であるのとは異なり、自然タイプは、心の火種に火をつける機会にチャレンジしたりあり方を模索する場に身を置いたりと内的動機付けによって自ら動くことで、気づきを得、学びに還元することができます。
このような自然タイプの人材が、必然的にティールやグリーンの組織には集まってくるのです。個人は自分の居心地の良い社会・組織に入ろうとしますから、もし可燃タイプの人材がそこにいてもその社会にはなじまず無理が生じます。
また、ティールやグリーンの組織においては、協働やコンセプチュアルスキルなどを持ち合わせた人材を求めるようになります。
個人は組織を求め、組織は自社のビジネスモデルにあった人材を求めるというわけです。
そして私たちは、実務家として、すべての社員が自然タイプであるわけでなく、この“個人を強くする視点”を持ちながら“強い個人同士の対話の場”を通して個人と組織の両面に働きかけていく必要があると考えています。


最後に、私たちが考えるティールの文脈は、「ティールが灯であるならば、遠くから見ると綺麗ではあるが、必ずしもそこを目指すことが正しいとは限らない」ということです。
灯は、近くに行くと意外と大きく聖火台の聖火ぐらいで、近づきすぎるとやけどするかもしれません。また、あかりが灯されて明るくなれば、そこには見えるものが増えると同時に「影」も生まれます。個や組織が進化しても、そこに守りたいもの・捨てたくないものが生じ、囚われや執着が露わになるかもしれません。
ただ、ニートやフリーター、メンタル不全の人が若手世代を中心に増えている中、グリーンやティールといった人間性尊重を軸とした組織が増えていくのは大いに喜ばしいことだし、私もそんな個人や企業を支援していきたいと思っています。
もちろん多様な人材を抱えている私たちも、それに向けてまずは、グリーンを追求していく。ティールはその時になってみて考えよう!とそんな共通合意を得たところです。

独禁法の適用でどう変わる?労働市場

2018-07-21 20:26:02 | ダイバーシティ
こんにちは!
先日台湾・研修にて初体験したUberより はたらくカタチ・ビジネスモデルの変容を体感した
有限会社人事・労務 パートナー行政書士の矢尾板です!


2016年11月17日。経済産業省は「雇用関係によらない働き方」という資料を発表し注目を集めました。

そこには、フリーランスの直近の動向や社会への働きかけ、そして今後フリーランサーの人口が増加することを見越して、企業・社会はどのような対応を取っていくと良いかの見解がまとめられています。


オープンイノベーション。
一人・一社で単に社会的課題の解決へと立ち向かう時代の終焉。
複雑化する課題に対して思い(文化)の重なる多様な人材とともに解決を図ることが求められます。

そんな中で浮上した「人材市場への独禁法適法」
2018年2月15日。公正取引委員会は「労働分野に独禁法を適用するための運用指針」を公表しました。


独禁法の適用で労働市場はどう変わるのでしょう。


公正取引委員会は具体的な違反行為を示しています。
企業が「秘密保持契約」を盾に競合他社との契約を過度に制限したり、イラストやソフトなどの成果物に必要以上に利用制限や転用制限をかけたりすれば、「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあると指摘。
複数の同業他社間で賃金の上昇を防ぐために「互いに人材の引き抜きはしない」と申し合わせればカルテルとして摘発するとしています。



日本では約1,064万人ものフリーランサーが活動しているとのこと。
現在国内のいわゆる「生産人口」の数は7,650万人程ですので
その内の約14%の人がフリーランスとして活動しているということになります。

フリーランサーが持つあくなき「技術・技能の向上」
強いエネルギーを 企業・組織は有効活用していくことによって 企業内に既成概念に捉われない新しい風を送り込むことも可能になる。

これまで、独禁法は一般法、労働法は特別法、として労働法が優先されると考えられてきましたが
公正取引委員会は「労働分野に独禁法を適用する」とし、将来のさらなる働き方の多様化に備える姿勢を示しました。


持続可能な経営の要素として「多様性」は必須。
多様なはたらく力をいかに活用するか。はたらくカタチ・ビジネスモデルの変容です。


今後の独禁法の動向を押さえつつ
7月26日(木)は皆さんとともに学び創造する時間を過ごせること心待ちにしています。

はたらくワクワクの根っこを育てる!チャリティイベントに参画させていただきました

2018-07-14 12:28:10 | ES
7月8日(日)に行なわれた「子供の町チャリティフェスティバル」。
”もっと知ろう 児童養護施設”をテーマに、春日部にある社会福祉法人子供の町を応援しよう!とまちをあげて取り組む初めてのイベントでした。




ご縁あってお声がけいただき私たちも参画させていただくことになり、学生メンバーと共にブース準備を進めて来ました。
また、当日は、文教大学のボランティア団体の学生の皆さんも加わり、子どもたちとワクワク楽しむにぎやかな一日を過ごすことができました。




このチャリティイベントに参画した過程で感じたことが三つあります。


●「まちをあげて応援」というエネルギーの強さ
春日部のまちで志をもって活動・経営している皆さんが集い、子供の町を応援しよう!という温かなエネルギーで一つの場を創り上げる機会に参画させていただいた私たちは、春日部においては”ヨソモノ”の立場です。
その客観的な立場から、当日の場の運営に関わらせていただいた時に見えてきたのは、「地域に存在する”つながり”の豊かさ」でした。

来場した子どもたちとボランティアの学生たちで交わされる、「こんにちは!」「ひさしぶりだね!」というあいさつ。
子供の町の職員の皆さんも、ブース出店している地域の皆さんも、一緒になってテキパキと設営や片づけを推し進める姿。
そして、会場内のあちこちで広がる、運営メンバーと来場者との間での「がんばっているね!」「調子はどう?」といった会話の数々。
一日のイベントの中で、たくさんの温かな言葉と笑顔が飛び交って様子を垣間見ることができました。


まちをあげて応援しよう!と多様な顔ぶれが集った時に高まる”場の力”は、日頃から、春日部での暮らしや“はたらく”を通してさまざまなつながり価値があるからこそ生まれるもの。
ヨソモノだからこそ見える、地域のつながりという価値。
私たちも、グリーンフェス縄文ファームといった場でのこころみを通して、地域のつながり価値の向上に少しでも寄与できればと思いました。


●学生メンバーのアイディアと創作力は、すごい。
:今回私たちは、「はたらく体験(はたラボ)」と「あそび場」で出店しました。

はたラボで子どもたちが行う”おしごと”は、八百屋・本屋・おもちゃ屋。
八百屋は、縄文ファームで育った有機野菜。
本屋は、メンバーから寄付してもらった絵本・児童書。


おもちゃ屋は、日頃お世話になっているスリーハイさんが取り組む“廃材プロジェクト”の品々、手作り竹とんぼ、そして、ガチャガチャ!学生メンバーが設計して創りあげたガチャガチャには、同じく学生メンバーの手仕事によるアクセサリーが入りました。


”はたラボ”のコンセプトである「はたらくワクワクの根っこを育む」を踏まえて、パッとWebサイトで調べたり、友達に呼びかけて材料を集めたり、授業のはざまでコツコツと創りあげたり、というアクションの速さ・アイディアの豊かさ・実行力は、見事なものでした。

自ずと引き出されるそれらの力を、社会に出てからも大切にしていってほしいと感じました。


●内発的動機付けの大切さ
:「はたらくワクワクの根っこを育む」ことは、将来、社会人として働く上での”内発的動機づけ”の強化につながると私たちは考えています。
また、はたらく体験から得られる気づき・学びは、将来の働き方・働くかたちを考える上での選択肢の広がりに結び付くとも考えています。


今回おしごと体験をしてくれた子供たちの中で、10年後・20年後に実際に「八百屋になりたい!」と手を挙げる人はいないかもしれません(いるかもしれません!)。
でも、大きな声を出したり呼びかけを工夫したりしながら野菜を販売し、お客様から「ありがとうね」と言ってもらった瞬間の記憶が、将来、仕事で悩みが生じた時にそれらを解消するきっかけになったり、職業選択をする上での判断要素につながるかもしれません。

来場してくれた子どもたちが社会に出る頃には、ロボットやAIが台頭し、私たちのはたらくかたちの多様化が今よりも更に広がっていることでしょう。

そのような変化の流れの中でも、子供たちが未来の”はたらく”に希望と可能性を感じながら社会に出て行けるように、これからも「未来の”はたらく力”を増やす!」を合言葉に、多様なメンバーと共に活動を推し進めていきたいと思います。

働き方改革関連の法改正セミナー

2018-07-13 13:59:16 | ダイバーシティ
こんにちは!有限会社人事・労務の西田です。

先日、行政書士の矢尾板とともに物流業界向けの「働き方改革セミナー」で講義をさせていただきました。



働き方改革に関する法改正、国会でも色々と紆余曲折ありましたが、ようやく成立されました。法改正の主なポイントとしては、
・時間外労働の上限規制
・中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
・一定日数の年次有給休暇の確実な取得
・フレックスタイム制の見直し
・特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
などが挙げられます。
その他にも同一労働同一賃金関連として、パートタイマーや契約社員、派遣社員の待遇についても法改正があります。

この法改正の背景には、やはり少子高齢化が影響しています。少子高齢化が進み、労働力人口が益々減っていく中で、それぞれ個々の事情を抱えながら、残業ができない方や地域から離れられない方、子育て中の女性など、今までの社会では、なかなか働きづらかった方々が積極的に働けるように、また、価値観が多様化している若者にとってより魅力的な働き方ができるように今回の大きな法改正が行われました。
この法改正により、時間外労働に上限が設定されたり、有給が取りやすくなったりと労働者にとって働きやすくなった部分も多いかと思います。



最近は、法律だけでなく、世間も残業に対する考え方も大きく変わってきました。
今までは、「残業もいとわず根性で仕事をしている」社員を評価していた会社もいつのまにか「残業が多いなんて仕事ができない証拠だ」などとすっかり考え方が変わり、限られた時間の中で、生産性が上がるような仕事をする社員が求められるようになってきました。
ある調査では、働く人の「平均帰宅時間」がこの10年間で、男性は午後8時2分から午後7時48分へ、女性は午後6時48分から午後6時1分へ、それぞれ短縮しているそうです。
私自身としては、時間外労働が少なくなり、働きやすくなることで、様々な方が活躍できるような社会はすごく良いことだと思いつつ、若い時期は、仕事をたくさんすることで、仕事のやり方や経験、知識を身につけていくのでは、と思ってしまいますが、少しずつそういう時代ではなくなってきています。

そんな中で、人事評価の視点も少し変わってきています。
今まで、特に中小企業では仕事量が多い社員を評価する傾向にあったかと思います。
多少、仕事にムダがあっても時間を掛けてでも最終的に達成すれば良いとされていました。
しかし、これからの時代は仕事の質が高い社員を評価することが必要です。
時間限定社員なども多くなってきて、価値観や働き方が多様化している時代の中で、限られた時間の中でいかに仕事を完成させるかということが、より重要視されます。

仕事を量で評価するのであれば割と簡単です。売上、件数、利益・・・。
最終的にどれだけ数字を出したかということで評価すればよかった訳ですが、質で評価するには、生産性や効率性など、仕事のやり方であったり、出てきた結果の中身を細かく見ていかないとならないのです。



そのためには、今まではなんとなく結果や成果量で評価していた部分をデータや統計などを駆使しながら、より客観的で正確な情報を出すこと。そして、仕事の中身をしっかり把握するために、日頃からよりコミュニケーションをとりながら、仕事ぶりを見ていくことが必要となります。
今までマーケティング等に比べ、評価という視点では、客観的なデータを重要視してこなかったと言われています。
しかし、これからは生産性や効率はもちろん、会社の価値観にあった行動をしているか、社内外に「つながり」をどれだけ持っているか等を感覚値ではなく、客観的に可視化して、それをもとに評価していくことが、これからの時代に求められてきています。

長時間労働対策は“始め方”が肝心!取組みを始める前におさえるべきポイントとは?

2018-07-12 15:44:44 | ダイバーシティ
皆さんこんにちは!社会保険労務士の原田です。

先日、介護事業所経営者様向けのセミナーでESを軸とした人財確保をテーマにお話させていただいた際も、働き方改革について皆さま関心が高いことが伝わってきました。

セミナーの中では、介護業界の特徴に合わせて特に重要となる人事労務管理のポイントについて広くお伝えさせていただいたのですが、中でも、女性比率が高い介護業界における女性への配慮や男性社員含めた両立支援に関わり、また、現在、監督署の重点チェックポイントにもなっている長時間労働対策については特に丁寧に説明させていただきました。

長時間労働対策を進めるにおいては、ポイントをおさえてから始めないと従業員の不満や経営リスクにつながることがあるので注意が必要です。


介護事業所に限らず様々な業界でも参考になると思いますので、今回は、先日お話させていただいたセミナーの内容から長時間労働を始める上でのポイントについて紹介させていただきたいと思います。




長時間労働対策を進めるにあたり、まず、注意が必要なこと。

それは、
「長時間労働対策をすれば、単純にES向上につながるわけではない」ということです。

ポイントをおさえずに取組みを始めることは、むしろ、従業員の不満や経営リスクに繋がるケースもあるので注意が必要です。

実際に取組みを進めて、従業員の不満やリスクに繋がったケースを見てみると、
・ 業務量は変わらないのに、残業時間の削減を求められ心身ともに疲弊
・ 残業申請書を正しく出すことを遠慮するようになり隠れ残業の発生
・ 労働時間が減少したことにより手取り給与が減少し不満の発生
といったケースが見受けられます。

特に、長時間労働対策を進める上で隠れ残業やサービス残業が発生してしまうことは、従業員の大きな不満や経営リスクにもつながるため注意が必要です。

そこで、長時間労働対策の取組みを始める際のポイントですが、以下の二つが重要になってきます。

【長時間労働対策を始める上でのポイント】
① 目的の共有を行った上で始める
② 正しい勤怠管理が出来るようになった上で始める


まずは、目的の共有、同じ長時間労働対策であったとしても企業によって取組みを行う目的は様々です。長時間労働対策には従業員の協力が不可欠です。従業員の理解を得て取組みを進めていくためには「どうして取組みをはじめるのか?どんな状態をめざしていきたいのか?」といった取組み目的を共有することが大切です。残業削減が目的ではなく、残業削減をすることによって得られることも合わせて共有していくことで社員も取組みに共感しやすくなります。

また、労働時間は給与にも直結します。介護業界の課題として給与の低さが上げられることがありますが、給与の低さを残業代でカバーしている(生活残業)という状況も実際に見られます。長時間労働対策を始める上では、労働時間削減は社員の大切な給与にも影響を与えるものだということも認識した上で、取組みを進める目的を伝えていくことも大切です。

二つ目の正しい勤怠管理についてですが、これが出来ていないまま取組みをすすめてしまうと隠れ残業や未払い残業につながってしまうリスクが高まり危険です。

最悪のケースでは、「業務はこれまで以上に忙しくなり、サービス残業が増え、給与は減ってしまう」という状況も、このような状態では従業員にモチベーション高く働いてもらうというのは難しいというのはご理解いただけると思います。

勤怠管理とは、何時から何時まで働いたのかを正しく把握するということで、特別に難しいことを求めるものではありません。

しかし、実際は職場の風習などにより実際の労働時間と給与計算において利用される実労働時間に差が発生していることは少なくありません。このような場合は、まずは、正しい勤怠管理ができるようになることを目標として勤怠管理の方法を見直す必要があります。そして、残業時間削減の取組みは正しい勤怠管理ができるようになってから取組むようにしましょう。

以上、①目的の共有を行った上で始める②正しい勤怠管理が出来るようになってから始める、の二つのポイントをおさえた上で長時間労働対策を始めることで取組みの主体となる社員の不満や経営リスクを減らすことが出来ます。

これから長時間労働対策を始めようと考えられている方、また、取組みを始めているけれど、うまく取組みが進んでいないという方は、今回紹介させていただいたポイントの二つが実践できているか確認をしてみてください。

また、実際の長時間労働対策の取組み事例などについては機会をあらためて紹介させていただきたいと思います。


作成:原田真吾 社会保険労務士/WorldShiftコミュニケーター