3月に開催したJES春のてらこや でお話をしてくださった深野住職がいらっしゃる山口の洞春寺さんへ。
新緑あふれる川沿いの町並み。歩くスピードの速さが自慢のわたしが思わず時間を忘れてゆっくり歩いてしまうほど、居心地よい道が続きました。
山門を眺めながら道を入ると、何やらにぎやかな声と共に深野住職がいらっしゃいました。
お寺で暮らしていたヤギが里帰りとのこと。
まもなく出発するヤギの向こう側に見える山々との境目には、お隣で暮らす子どもたちが描いた絵がいろどり豊かに並んでいます。
いろいろなものが存在する多様な空間にワクワクしながら、中へご案内いただきました。
水之上窯。
ご縁あってここにこの場ができたことで生まれたという新たな人たちの往来。
前の晩には、萌春と呼ばれるBarが開かれ、まちで暮らすさまざまな方たちが静かに集い、語らいの時間を過ごしたそうです。
ヤギの親子がおいしそうに草をはむ姿を眺めながらいただく、搾りたてのヤギ乳。
こんなにゆっくりとした時間を過ごすのは久しぶり。自分の身体時計が整ってゆく感覚がありました。
お寺で暮らすお弟子さんが創ったという現代アート風の表現物。
その先にはツリーハウス。
コロナ禍に3密を避けながら継続的に開かれたという映画上映(No密映画祭)。
二代目マル住職。Facebookでは、おてんばな子だなと思っていましたが、実際に会ってみると、おしとやか・甘えんぼうな印象。
ちょうど昼休みの時間に入り、ご近所の県庁で働く方々が「マルちゃん~」と呼びかけながら立ち寄っていく様子をみて、日光街道を歩きながら体感で学ぶ「地域のつながりの基点」、という言葉が頭に浮かびました。
地域にあるさまざまな関係性を結び付けたり整えたりする介在役・触媒役たる存在が、「このまちは居心地が良いな」と思う地域には必ずあります。それは、人間だけではなく、古くからある建造物だったり、その地で経営する会社であったり、昔からまちを見守っている大木だったり。
そのようなつながりの基点が存在するから、人やモノや情報が往来し、暮らしや仕事やこころみが動いていきます。そして、それら一つひとつの働きから新たな価値が生まれ、次なるこころみを興す原動力になったり、それらを眺める周りの人たちにもエネルギーが伝播し、まち全体のWell-Beingが高まっていく。
道を歩いていると、つながりの基点から生まれる作用が地域に循環しているさまを体で感じる地域が要所要所で出てくるのですが、ここ山口で感じる居心地の良さも、時空を越えた多層的なつながりの基点として洞春寺さんが存在しているからなのでは、と感じました。
帰り道は、同じ川沿いを歩きながら、小さな醤油屋さんに立ち寄り、ちょうど切らしていた醤油とアイスを購入。一気に汗が噴き出す暑さだったこの日、優しい甘さのアイスで体を冷やしつつ、心はたくさんのエネルギーを吸い込んだ感覚で、帰りの新幹線に乗り込みました。
つながりの基点に往来する多様な人・価値観・情報が、場の源にあるおもいと紐づき、自然と新たなこころみが生まれたり新たな一歩が促されたりする。洞春寺さんのような場が各地に基点として存在したら、どれほど居心地よくジンワリと幸せ感を得ながら暮らすことができる地域が広がっていくことだろうか。
わたしたちは、日頃の業務を通じてつながり豊かなES実践企業を増やし、活動を通してここ台東区や日光街道沿いのまちとご縁を深めていますが、「ES実践企業がコミュニティ経営を推進することで、職場の延長線上にある地域の健全性も高まる」というWell-Beingの視点を意識しながら、洞春寺さんや山口のことを思い浮かべつつ、取り組みを進めていこうと思いました。